有価証券報告書-第157期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ13,235百万円増加(対前期比3.9%増)し、353,382百万円となりました。
流動資産の増加24,193百万円は、主に貸倒引当金の計上に伴い減少したものの、受取手形及び売掛金、商品及び製品並びに現金及び預金が増加したこと等によるものであります。
固定資産の減少10,958百万円は、主に投資有価証券が減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ17,928百万円増加(同9.3%増)し、210,446百万円となりました。
流動負債の増加25,168百万円は、主に支払手形及び買掛金並びに短期借入金が増加したこと等によるものであります。
固定負債の減少7,239百万円は、主に繰延税金負債及び長期借入金が減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,693百万円減少(同3.2%減)し、142,936百万円となりました。これは、主に利益剰余金が増加したものの、その他有価証券評価差額金が減少したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は40.0%(前連結会計年度末より3.0ポイント減少)となりました。期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は2,314円42銭(前連結会計年度末より63円89銭減少)となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における世界経済は、欧米では、政策の動向に関する不確実性の影響が懸念される中、米国、ドイツ、英国など主要国において、景気回復が続きました。アジアでは、中国をはじめ、インドネシアやタイなど新興国において、景気持ち直しの動きが続きました。
一方、日本経済は、雇用情勢や企業収益の改善が進む中、設備投資の緩やかな増加や、個人消費・輸出において持ち直しの動きがみられ、緩やかな景気回復が続きました。
こうした中、当社グループの連結ベースでの売上高は、過去最高の621,137百万円(対前期比5.9%増)となりました。しかしながら利益面では、第2四半期連結累計期間までに計上した欧州子会社における太陽電池関連事業に対する貸倒引当金の計上等に加え、当第4四半期連結会計期間において欧州子会社における中東向けインフラ関連等回収が長引いている債権に対する貸倒引当金の計上等により、営業利益5,962百万円(同52.7%減)、経常利益6,374百万円(同53.4%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券売却益の計上等もあり、6,744百万円(同30.4%減)となりました。
単体ベースでは、売上高は302,583百万円(同7.9%増)となりました。利益面では、営業利益5,400百万円(同4.2%増)、経常利益7,629百万円(同2.1%増)、当期純利益3,662百万円(同53.6%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(情報電子事業)
情報電子事業は、主力の液晶関連は堅調でしたが、太陽電池関連の大幅減により全体として、売上が微減となりました。
液晶関連では、偏光板原料の販売が伸長しましたが、偏光板の販売は主として台湾において減少しました。
インクジェットプリンター関連では、コンシューマー分野でインク原料や部品の新規取引が始まり、また産業用分野向けも堅調に推移し、全体として販売が伸長しました。
複写機関連では、国内主要顧客向けの材料販売が堅調でしたが、海外向けの販売が減少し、全体では低調でした。
太陽電池関連の販売は国内外共に低調でした。二次電池関連では、材料の販売が減少しました。
半導体関連では、材料・装置共に販売が伸長しました。
これらの結果、売上高は214,963百万円(同2.7%減)となり、欧州子会社における太陽電池関連事業に対する貸倒引当金の計上等に加え、欧州子会社における中東向けインフラ関連等回収が長引いている債権に対する貸倒引当金の計上により、セグメント損失(営業損失)は2,045百万円(前期はセグメント利益(営業利益)3,992百万円)となりました。
(化学品事業)
化学品事業は、樹脂原料・添加剤などの販売伸長により売上が増加しました。
自動車分野では、エアバッグ用の原料販売が低調でしたが、放熱材など、その他の部品原料の販売は総じて堅調でした。
樹脂原料・添加剤のビジネスでは、エンプラ用の原料販売が伸長しました。
塗料・インキ分野向け原料・中間体は、ウレタン関連の販売と海外向け販売が伸長しました。
製紙業界向け薬剤の販売は堅調でした。
接着剤関連の販売は、横ばいでした。
これらの結果、売上高は51,580百万円(対前期比7.4%増)となりましたが、欧州子会社における貸倒引当金の計上もあり、セグメント利益(営業利益)は259百万円(同74.1%減)となりました。
(生活産業事業)
生活産業事業は、ライフサイエンス関連、食品関連共に販売が伸長して、売上が増加しました。
ライフサイエンス関連では、新薬用原料等の販売が概ね好調でしたが、抗生物質原料の販売減少により利益面は低調でした。米国や欧州では、医薬品・化粧品原料の販売が伸長しました。ホームプロダクツ分野は、柔軟剤原料の販売が低調でしたが、殺虫剤原料の販売増もあり、全体では微減となりました。
食品関連では、ブロッコリーなど冷凍野菜や切身凍魚の輸入販売が伸長しました。国産冷凍野菜の国内販売は堅調でした。国産食材の米国向け新規販売が伸長しました。米国では、エビ・サーモンの販売が好調でした。
これらの結果、売上高は42,392百万円(同4.8%増)となり、セグメント利益(営業利益)は1,920百万円(同5.5%増)となりました。
(合成樹脂事業)
合成樹脂事業は、自動車関連をはじめとして全般的に好調に推移し、売上が増加しました。
汎用樹脂関連では、日用品・食品・化粧品容器向けの樹脂の販売が伸長しました。建材・土木関連の販売は堅調でした。
高機能樹脂関連では、自動車向けの樹脂の販売が国内外共に好調でした。中国では日系・非日系共に自動車向けの樹脂の販売が伸長しました。東南アジアでは車両、OA向けの樹脂の販売が好調でした。
コンパウンド事業では、メキシコ拠点が利益面で苦戦しました。
フィルム・シート関連では、コンビニ飲料用や電子部品用の包材の販売が堅調でした。
スポーツ資材関連では、グリップテープの国内と北米向けの販売が堅調でした。
これらの結果、売上高は286,900百万円(同13.9%増)となり、セグメント利益(営業利益)は5,541百万円(同2.7%増)となりました。
(住環境事業)
住環境事業は、海外関連や住宅建材関連が低調でしたが、環境資材関連が好調で、売上は横ばいとなりました。
住宅建材関連では、大手ハウスメーカー及び木質ボードメーカー向けの資材販売は横ばいでしたが、建材メーカー向けの資材販売が低調でした。
環境資材関連では、非住宅分野向けの資材や住宅設備機器の販売が伸長しました。
海外関連では、東南アジア向けインフラ設備と中国向け原木の販売が低調でした。
これらの結果、売上高は25,137百万円(同0.3%増)となり、セグメント利益(営業利益)は157百万円(同39.6%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、貸倒引当金の増加、仕入債務の増加及び投資有価証券の売却による収入が投資有価証券売却益、売上債権の増加及び法人税等の支払額を上回ったこと等により、前連結会計年度末に比べ6,300百万円増加し、29,235百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は5,960百万円(前連結会計年度は1,840百万円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費、貸倒引当金の増加、支払利息及び仕入債務の増加額が、投資有価証券売却益及び売上債権の増加額を上回ったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は5,086百万円(前連結会計年度は4,504百万円の獲得)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入及び投資有価証券の売却による収入が、定期預金の預入による支出、有形固定資産の取得による支出及び投資有価証券の取得による支出を上回ったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,901百万円(前連結会計年度は481百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出及び配当金の支払額が、長期借入による収入を上回ったこと等によるものであります。
③販売及び仕入の実績
a.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) (百万円) | 前年同期比(%) |
| 情報電子 | 214,963 | 97.3 |
| 化学品 | 51,580 | 107.4 |
| 生活産業 | 42,392 | 104.8 |
| 合成樹脂 | 286,900 | 113.9 |
| 住環境 | 25,137 | 100.3 |
| その他 | 162 | 92.5 |
| 合計 | 621,137 | 105.9 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) (百万円) | 前年同期比(%) |
| 情報電子 | 202,354 | 97.4 |
| 化学品 | 45,422 | 102.8 |
| 生活産業 | 37,480 | 108.9 |
| 合成樹脂 | 265,135 | 116.1 |
| 住環境 | 23,665 | 100.6 |
| その他 | 32 | 99.0 |
| 合計 | 574,091 | 106.6 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益、費用の報告数値及び開示に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は過去の実績や状況に応じた合理的な見積もり、判断及び仮定により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積もり、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当連結会計年度における当社グループの連結ベースでの売上高は、過去最高の621,137百万円となりました。しかしながら利益面では、営業利益5,962百万円、経常利益6,374百万円、当期純利益6,744百万円となりました。
当社は、2021年3月期を最終年度とする4ヵ年の中期経営計画「New Challenge2020」(以下、NC2020という。)を策定しており、最終年度の2021年3月期に、売上高7,300億円、営業利益155億円、経常利益160億円、当期純利益120億円の達成を目指しております。当連結会計年度の目標は売上高6,300億円、営業利益125億円、経常利益130億円、当期純利益100億円であります。
当連結会計年度の売上高は中期経営計画の目標に達しなかったものの、合成樹脂事業の好調等により過去最高を記録したにもかかわらず、営業利益、経常利益、当期純利益は中期経営計画の目標、前連結会計年度実績と比較して共に大きく未達となりました。その原因は、第2四半期連結累計期間までに欧州子会社における取引先による在庫の無断売却に端を発した太陽電池関連事業に対する貸倒引当金の計上等に加え、当第4四半期連結会計期間において欧州子会社における中東向けインフラ関連等回収が長引いている債権に対する貸倒引当金の計上があったことによります。太陽電池関連事業における在庫の無断売却に端を発した損失発生については、平成29年9月に再発防止策を策定・公表いたしました。現在、再発防止策を当社グループ全体に周知し、順次実行に移しております。
当社としてはNC2020の重点施策である海外事業の更なる拡大と深化並びに成長市場や未開拓分野への注力等を重点的に推し進めることで、収益力基盤を一層強化し、継続的な企業価値の向上に努めていく所存であります。
| 第156期実績 | 第157期実績 | NC2020 (第157期目標) | NC2020 (最終年度目標) | |
| 売上高 (百万円) | 586,630 | 621,137 | 630,000 | 730,000 |
| 営業利益 (百万円) | 12,616 | 5,962 | 12,500 | 15,500 |
| 経常利益 (百万円) | 13,672 | 6,374 | 13,000 | 16,000 |
| 当期純利益 (百万円) | 9,687 | 6,744 | 10,000 | 12,000 |
| ネットD/Eレシオ (倍) | 0.30 | 0.28 | 0.4以下 | 0.4以下 |
(注)ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現預金)/自己資本
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(情報電子事業)
欧州子会社で上記記載の貸倒引当金の計上により多額の損失が発生したことを主因としてセグメント全体としても営業損失となりました。液晶関連では、中国・台湾で大型偏光板の価格競争が激しくシェアダウンしておりますが、国内の偏光板原料の好調により利益面では善戦しております。今後はLED関連やIT関連を育成してまいります。
(化学品事業)
売上高はビジネスの伸長で、ほぼ中期経営計画を達成したものの、欧州子会社における貸倒引当金の計上により、セグメント利益(営業利益)は大きく未達となりました。塗料・インキ分野向け原料・中間体の海外向け販売は伸長しております。放熱材の原料販売は順調に拡大しており、今後は放熱材の製品販売についても中国・北米向けに注力してまいります。
(生活産業事業)
医薬品原料やホームプロダクツ関連は順調に推移しております。先端医療分野と北海道での農業分野(栽培事業)は、やや当初の予定に比べて進捗が遅れておりますが、着実に進めてまいります。食品分野は国内の子会社を含む販売体制を再編し、拡販を進めてまいります。
(合成樹脂事業)
自動車関連をはじめとして全般的に樹脂の販売が好調で、売上高・セグメント利益(営業利益)共に中期経営計画を上回りました。コンパウンド事業では、メキシコ拠点が利益面で苦戦しましたが、試作は進んでおり2019年3月期から損益は改善していくと見ています。国内外で連携して、引き続きグローバルユーザー向け販売を中心に拡大していきます。
(住環境事業)
海外関連や住宅建材関連が伸びず、売上高は中期経営計画に対して未達となり、セグメント利益(営業利益)も、経費増もあり中期経営計画を大きく下回りました。廃材利用のパーティクルボードの販売は堅調で、建材分野(新規用途)と非住宅分野に注力してまいります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、各営業部門の事業計画・投融資計画に照らして、必要な資金を内部留保や金融機関からの借入金を中心に調達しており、その資金を運転資金や事業拡大に向けた投融資に使用しており、金融商品での運用や投機的な取引は行わないこととしております。
当連結会計年度は多額の貸倒引当金の計上等により損益面での落ち込みはあったものの、売上高は合成樹脂事業の好調等により過去最高を記録するなど営業活動そのものは概ね順調であったこと、政策保有株式の売却を積極的に進めたことから営業活動及び投資活動により資金を獲得しました。獲得した資金は事業拡大のため、自動車・環境・エネルギー関連の会社への出資やコンパウンド事業及びインフレ・フィルム事業の設備投資に使用し、また、金融機関からの借入金の返済や株主への利益還元等に使用しました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。