有価証券報告書-第63期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 15:02
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【項目】
138項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、中国経済の減速、原油相場の下落、米国における利上げなどの影響により、本格的な回復基調へのシフトとは至りませんでした。わが国経済においても、中国景気の影響および新興国経済の減速、さらに中東を震源地とした世界情勢の不安定化により先行き不透明感が強まりました。また、為替相場も上期は円安基調で推移したものの、第3四半期以降の円高の進行によって本格的な景気回復には至りませんでした。
このような状況下におきまして、当社グループは引き続き売上の拡大と、生産コストの低減に取り組み、ユーザーの安全を最優先として業績の向上に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は前期比12.8%増加の3,666億50百万円となりました。利益面におきましては、営業利益は前期比46.1%増加の242億4百万円、経常利益は為替差損等の増加により前期比25.6%減少の146億23百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、関係会社株式売却益等の特別利益が増加したこともあり、前期比58.1%増加の197億18百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
<医療関連事業>国内販売におきましては、メディカル営業部門では、注射・輸液関連製品や経腸栄養関連製品、検査関連製品、透析関連製品、バスキュラー関連製品が引き続き堅調に推移し、特に透析関連製品において、HDFフィルターと透析用監視装置の売上が大きく伸長しました。また、心臓外科(CVS)関連製品においても、売上高は復調してまいりました。他方、医薬営業部門では、後発医薬品促進策のもと、さらなる市場の拡大が図られ、既存製品の拡大と昨年12月の追補収載品目の発売開始により、売上高は堅調に推移しました。しかしながらAG(オーソライズドジェネリック)の先行発売や1品目に数十社の販売メーカーがしのぎを削る等、国内市場を取り巻く競争環境は益々熾烈になってきております。当部門では引き続き調剤薬局ならびにDPC病院への販売促進活動を強化するとともに、医薬品卸との連携を通じ、経口剤・外用剤のシェア拡大を図り、注射剤においても一層の情報提供活動に努めてまいります。
一方、海外販売におきましては、透析関連製品やホスピタル関連製品の販売強化により、好調を維持することができ、前期に比べ、売上は大幅に伸長しましたが外国為替市場の影響による為替差損の発生等により利益減となりました。また、医療現場の要望に迅速に対応し販売を拡大するため、海外販売組織網の強化を図り直販活動を推進してまいりました。当期はインドでは販売子会社の本社をハイデラバードに設立いたしました。また中国では販売子会社の事務所を長沙、南昌、淄博に設立し、エクアドルでは米国販売子会社の同国4番目である営業所をポルトビエホに設立いたしました。これら販売拠点を通じて、より地域に密着したきめ細かなサービスを提供しながら医療現場のニーズに応え、市場プレゼンスを高めてまいります。加えて、海外新工場(インド・インドネシア・バングラデシュ・中国合肥)では生産の安定化が進み、確立された品質システムのもとで生産拡大を実現して所在国および周辺地域を中心に販売を大幅に拡大するなど、売上増に寄与しました。
この結果、当事業の売上高は2,721億67百万円(前期比14.5%増)、セグメント利益(営業利益)は282億3百万円(前期比18.4%増)となりました。
<医薬関連事業>医薬関連事業におきましては、従来の受託製造のほか、経口剤、外用剤の製剤設計からの開発受託、さらにはバイアル、シリンジ、バッグといった包装容器から開発・供給できる特徴を活かした開発受託、ならびに付加価値の向上および差別化を目指したライフサイクルマネジメントの支援など、多様できめ細かな幅広い受託営業に努めてまいりました。また、バイオ医薬品ライン、経口剤および注射剤の高生理活性医薬品製造棟といった専用ラインでの受託製造の拡充に注力いたしました結果、堅調な推移を示しました。
また、医薬品包装容器・医薬品調製・投与デバイスに関しましては、医薬・ワクチン用ゴム栓、キット製剤用容器はもとより、小容量バッグ、プレフィルドシリンジ(プラスチック・ガラス)用部材等、医療現場における多岐にわたるニーズに対して、当社独自もしくは各製薬メーカーとの共同開発により各々の医薬品に適した容器、システムを提供することで順調に推移しました。さらに医療費抑制政策のもと、国内外の製薬メーカーとともに、将来のキット化(当社独自の医薬品+医療機器のコラボレーション)、自己注射システム化、剤形・投与経路変更を視野に入れた総合的な医薬品のライフサイクルマネジメントによる協力を行ってまいりました。
この結果、当事業の売上高は622億66百万円(前期比8.5%増)、セグメント利益(営業利益)は120億59百万円(前期比14.3%増)となりました。
<硝子関連事業>硝子関連事業におきましては、従来の商材のほか、グローバル化する顧客のニーズおよび新規需要の獲得にむけ学術営業活動を展開する一方、より安定性の高い品質が求められる注射製剤と充填工程に対応するための新しい商品と技術の開発を国内外において推し進めてまいりました。
国内部門につきましては、硝子生地管およびバイアル、プレフィルドシリンジを中心に堅調に売上を伸ばしました。GMP品質保証体制のさらなる充実を目的としたファーマパッケージング工場であるびわこ工場は新設備の本格稼働に伴い、高品質な医療用硝子容器の生産体制を整え、今後グローバルに展開する顧客ニーズに応えるべく事業展開しております。
海外部門につきましては、欧州、米国などの成熟市場においては、需要の拡大するシリンジ、各種バイアル等の高付加価値製品の販売拡大、またインド、ロシアなどの新興国市場においては硝子生地管およびアンプル、バイアル等の販売拡大により,それぞれで増収増益となりました。中国においては、政府当局の号令のもと、量より質へと市場が大きく変遷していく中で、高品質製品導入のための設備投資を行い、さらに昨年11月に既存3工場を統括する現地法人を上海に設立後、R&D拠点として技術開発部を新設し、高品質市場への参入を加速させております。
当事業につきましては、硝子容器に加えゴム栓、プラスチック容器など医療関連および医薬関連の両事業で培ってきた製品・技術との融合により、総合的なファーマパッケージング事業への変遷を以前より推進してまいりましたが、来期よりファーマパッケージング事業と正式に名称を改めます。製品開発の面では益々グローバル展開が加速する製薬会社の開発要求に応えるため、当社各拠点における製品仕様、サービスのグローバルスタンダード化を推進しており、今後も引き続き、ユーザー目線に沿った製品・サービスの提供を行い、事業拡大を行っていく上で、既存製品の品質向上、生産能力増強、新規製品の投入のための効果的な投資を国内外で積極的に行ってまいります。
その他の硝子関連商材については、魔法瓶用硝子では海外向け需要の低迷がありましたが、当部門全体の売上は堅調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は321億84百万円(前期比7.9%増)、セグメント損失(営業損失)は16億18百万円(前期は28億89百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
<その他事業>不動産賃貸による売上高が32百万円(前期比69.1%減)、セグメント利益(営業利益)は61百万円(前期比52.9%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当社グループは医療関連、医薬関連、硝子関連の各事業の積極的な営業活動による現金及び現金同等物の収入と市場からの資金調達等により得た収入で、将来の当社グループ発展へ重点を置いた積極的な手元資金の運用に努めてまいりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローが299億34百万円の収入超過(前期比7.0%増)、投資活動によるキャッシュ・フローが165億13百万円の支出超過(前期は297億13百万円の支出超過)、財務活動によるキャッシュ・フローが36億33百万円の支出超過(前期は265億98百万円の収入超過)となり、現金及び現金同等物の期末残高は137億78百万円増加の1,119億77百万円となりました。