有価証券報告書-第62期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 15:23
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、米国においては個人消費が持ち直して安定的な回復傾向が持続し、欧州においても持ち直しの動きが継続するなど、総じて回復基調が続きました。また、わが国経済においても、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動の影響が残るものの、政府、日銀による経済政策の効果もあって、円安や株価の上昇を背景に緩やかな景気回復基調で推移しました。
このような状況下で、当社グループは引き続き売上の拡大と、生産コストの低減に全力で取り組み、業績の向上に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は前期比8.1%増加の3,250億84百万円となりました。利益面におきましては、営業利益は前期比34.8%増加の165億71百万円、経常利益は為替差益等の増加により前期比65.0%増加の196億61百万円となりました。また、当期純利益は法人税等の減少もあり、前期比335.8%増加の124億70百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、第2四半期連結会計期間から、当社グループの組織管理体制の見直しに伴い、海外硝子部門においては、従来の医療関連事業から硝子関連事業へセグメントを変更しております。
<医療関連事業>国内販売におきましては、平成26年4月の診療報酬改定、薬価改定とともに、消費税増税前の特需の反動も重なり、市場環境は非常に厳しいものとなりました。そのような状況下でメディカル営業部門では、バスキュラー関連製品において、薬剤溶出型バルーンカテーテル「SeQuent® Please ドラッグ イルーティング バルーンカテーテル」が売上、利益ともに大きく伸長しました。しかしながら、心臓外科(CVS)関連製品においては、補助人工心臓の他社の新規上市、新規治験開始等の影響により、低調に推移しました。また、注射・輸液関連製品や経腸栄養関連製品、検査関連製品においては消費税増税前の特需の反動により、通期では売上、利益ともに低調に推移しました。透析関連製品では、HDFフィルターが好調に推移しましたが、透析器械においては、特需の反動が大きく、前年比でも大きく下回る結果となりました。他方、医薬営業部門では、後発医薬品促進策のもと、更なる市場の拡大が図られましたが、先発兼業系メーカー等の台頭により、国内市場を取り巻く競争環境は益々熾烈になってきております。このような状況の中、平成26年4月の薬価改定に伴って、卸への販売価格の改定を実施したため、品目単価ベースでは減少しましたが、診療報酬改定を伴う後発医薬品促進策の好影響と同年6月および12月の追補収載品目の新発売により、売上高は堅調に推移しました。また、当部門では調剤薬局ならびにDPC病院、処方元への販売促進を強化するとともに、メディカル営業部門とともに医薬品卸との連携を通じ、経口剤・外用剤のシェア拡大を図り、注射剤においても一層の情報提供活動に努めました。しかしながら、市場の大きい大型新規収載品目については30社を超える競合の参入が続いており、更にAG(オーソライズドジェネリック)の先行販売による市場占有がなされる環境になったことから、市場における価格競争は激化しており、売上・利益ともに大きな影響を受けました。
一方、海外販売におきましては、医療現場の要望に迅速に対応し販売を拡大するため、海外販売組織網の強化をはかり、直販活動を推進してまいりました。当期は、ドイツ、トルコ、スイス、イギリス、セルビア、南アフリカでも医療機器販売会社買収により直販体制の強化をはかりました。また、韓国市場への積極的な販売展開のため韓国販売代理店に資本参加、マレーシアにおいては販売会社を設立、アフリカへの本格的な進出のためケニアに事務所を開設、中国では廈門、青島、天津、貴州、石家庄にも駐在員事務所を開設し、販売拡大に努めました。また、外国為替市場においてもドル、ユーロともに円安で輸出採算の押し上げがあったことも追い風となり、前期より売上、利益ともに大幅に伸長しました。
また、海外新工場(インド・インドネシア・バングラデシュ・中国合肥)では生産体制の充実が進み、確立された品質システムのもとで安定的に生産拡大を実現して所在国および周辺地域を中心に販売を大幅に拡大しました。特にインドおよび中国合肥工場においてダイアライザの増産が順調に進み、販売増に寄与しました。またインド、インドネシア工場製シリンジについても売上増に大きく貢献しました。
この結果、当事業の売上高は2,377億77百万円(前期比7.4%増)、セグメント利益(営業利益)は238億12百万円(前期比16.5%増)となりました。
<医薬関連事業>医薬関連事業におきましては、従来の受託製造のほか、経口剤、外用剤の製剤設計からの開発受託、更にはバイアル、シリンジ、バッグといった包装容器から開発・供給できる特徴を活かした開発受託、ならびに付加価値の向上および差別化を目指したライフサイクルマネジメントの支援など、多様できめ細かな幅広い受託営業に努めてまいりました。また、バイオ医薬品ライン、経口剤および注射剤の高生理活性医薬品製造棟といった専用ラインでの受託製造の拡充に注力した結果、前年度末に出荷を開始した自社開発品のシリンジ製剤の寄与もあり、堅調な推移を示しました。
また、医薬品包装容器・医薬品調製・投与デバイスに関しましては、医薬・ワクチン用ゴム栓、キット製剤用容器はもとより、小容量バッグ、プレフィルドシリンジ(プラスチック・ガラス)用部材等、医療現場における多岐にわたるニーズに対して、当社独自もしくは各製薬メーカーとの共同開発により各々の医薬品に適した容器、システムを提供することで順調に推移しました。更に医療費抑制政策のもと、国内外の製薬メーカーとともに、将来のキット化(当社独自の医薬品+医療機器のコラボレーション)、自己注射システム化、剤形・投与経路変更を視野に入れた総合的な医薬品のライフサイクルマネジメントによる協力を行ってまいりました。
この結果、当事業の売上高は573億72百万円(前期比11.4%増)、セグメント利益(営業利益)は105億53百万円(前期比31.7%増)となりました。
<硝子関連事業>硝子関連事業におきましては、従来の医療用硝子容器のほか、グローバル化する顧客のニーズおよび新規需要の獲得にむけ営業活動を展開する一方、より安定性の高い品質が求められる注射製剤に対応するための高付加価値製品の開発とその環境整備を推し進めてまいりました。
国内硝子部門のうち、医療用硝子は当期、低アルカリ溶出のバイアルを医療、医薬業界に向けて営業活動するとともに、プレフィルドシリンジを中心に堅調に業績を伸ばしました。またGMP品質保証体制の更なる充実を目的とした医療用硝子容器の最新工場である「びわこ工場」の本格稼働にともない、医療用硝子容器および医療機器の生産販売体制を確立し、今後グローバルに展開する海外グループ会社の硝子製品の国内導入準備と最新設備導入による品質向上を進めております。その他の硝子関係では、魔法瓶用硝子の海外輸出は回復したものの、国内市場における需要の低迷により、当部門全体の売上高は前期に比べわずかに減少しました。
一方、海外硝子部門では、新興国を中心として高品質な医療容器を求める市場へと変化しつつある中、インド、中国ともにバイアル、アンプル販売が順調に推移しました。欧米においてはこれまでの投資効果が表れ、利益体質への変革が進んでおり、先端技術のプレフィルドシリンジが好調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は298億30百万円(前期比8.0%増)、セグメント損失(営業損失)は28億89百万円(前期比32.4%増)となりました。
<その他事業>不動産賃貸による売上高が1億4百万円(前期比61.7%減)、セグメント利益(営業利益)は1億31百万円(前期比39.3%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当社グループは医療関連、医薬関連、硝子関連の各事業の積極的な営業活動による現金及び現金同等物の収入と市場からの資金調達等により得た収入で、将来の当社グループ発展へ重点を置いた積極的な手元資金の運用に努めてまいりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローが279億81百万円の収入超過(前期比29.8%増)、投資活動によるキャッシュ・フローが297億13百万円の支出超過(前期比7.0%減)、財務活動によるキャッシュ・フローが265億98百万円の収入超過(前期は163億46百万円の支出超過)となり、現金及び現金同等物の期末残高は273億6百万円増加の981億99百万円となりました。