有価証券報告書-第113期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、米国の保護主義による貿易摩擦、ブレグジットに伴うEU加盟諸国の足並みの乱れなど不確実性の高まりが指摘される中、輸出が緩やかに増加するとともに、企業収益の高まりで設備投資が増加、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しが見られたものの、景気動向の局面変化も懸念されてきました。
このような状況下、当社グループは、生活関連事業及び産業関連事業においては、新商材の開発、販路の拡大、海外での生産体制の強化等に努め、順調に売上を伸ばすことができました。医薬事業では、米国、中南米、アジア地域向け輸出で「リバロ錠」が引き続き堅調に推移し、欧州・中東への原薬の輸出も順調に増加しました。OTC医薬品・ヘルスケア品では、アジアにおいて興和ブランドの浸透と市場の開拓を図り、輸出額は伸長いたしました。国内における医療用医薬品では、自社創製の新薬である高脂血症治療剤「パルモディア錠」を上市し、プロモーション活動を積極的に展開しました。OTC医薬品ではキューピーコーワドリンク類が好調に推移し、前年を大きく上回る結果となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,365億2千2百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益37億6千万円(前年同期比40.6%減)、経常利益33億6千1百万円(前年同期比28.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益19億5千6百万円(前年同期は11億6千4百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、2018年10月より産業関連事業の食品部門及び環境・省エネ事業のアグリ部門を統合し、食品事業を新設しております。
a. 生活関連事業
釣具部門では、日本市場は天候不順の影響により荷動きが鈍い状況が続きましたが、米国市場では好調に推移しました。釣竿工場向け釣具部品の供給及び中国製ルアーの輸入販売が好調で、部門としては堅調に伸長いたしました。
ファッション雑貨部門では、依然として厳しい状況が続いております。履物関連では従来の商流からアパレル向け商売への転換に、雑貨関連では取扱アイテムを増やす等の新規取組にそれぞれ注力いたしましたが、大きな成果には至っておりません。消費者への直販体制など新たなサプライチェーン構築を目指してまいります。
テキスタイル部門では、商品の差別化に取り組んできましたが、その効果は限定的であり、減収となりました。EC販売が拡大する中、素材の特性を充分に訴求することが出来ませんでした。今後も新しい発想で高付加価値商品の開発に努めてまいります。
アパレル部門では、記録的な暖冬の影響で第3四半期に苦戦するも優良ブランドとの取引拡大に積極的に取り組み、前年に比べ売上が好調に推移いたしました。アパレル業界を取り巻く環境は依然として厳しく、新規カテゴリーの商品開発と差別化されたサプライチェーンを構築し、収益拡大を図ってまいります。
ユニフォーム部門では、業界自体が堅調に推移したこともあり売上を拡大できました。旺盛な建設ラッシュ、サービス業の拡充によりユニフォーム需要は増えております。夏物では電動ファン付ウェアが市場に浸透し始め、来期に向けて更に販売の増加が見込まれ生産体制を整えております。
キャラクター部門では、ディズニーのミッキーマウスの生誕90周年企画の盛り上がりもあり、この夏公開になる映画「トイストーリー4」の企画商品が増えております。また、オリンピックのライセンス商品の生産を開始しており、来期から販売を開始してまいります。
小売部門では、㈱インコントロの基幹ブランドである“Vivienne Westwood”が好調に推移し増益となりました。“franche lippée”ブランドを運営する㈱クリエイションは、不採算店舗整理等のリストラ効果により大幅な経費削減となり、EC販売・20周年イベント等は好調に推移いたしましたが、既存店での売上は苦戦いたしました。引き続き経費削減と販売効率の改善に努めてまいります。テネリータ㈱は、新規店舗出店により16店舗となりました。主力商品のオーガニックコットンのタオル製品を軸にした浴室関連商材に加え、ルームウェア及びナイトウェアが好調に推移し、新規店舗及び既存店舗の売上は堅調に拡大しております。来期は、各販路で粗利率改善と粗利益の最大化を図ってまいります。
以上の結果、生活関連事業の業績は、売上高440億2千2百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益6億7千7百万円(前年同期比18.7%増)となりました。
b. 産業関連事業
機械部門では、工作機械業界向けは鋳物輸入を中心に順調に推移したものの、国内製薬業界での設備投資減少の影響を受け、前期比では減収減益となりましたが、インド向けタグボートについては、2022年迄の複数隻の大型契約を受注いたしました。今後は製薬業界での設備投資の落ち込みに対応すべく、AI、IoTを利用した協働ロボットなどを活用した生産効率化システムへの取り組みに努めてまいります。
産業資材部門では、国内需要の増加に伴う石材やタイルの輸入、衛生陶器メーカーの海外工場向け原料販売が進み、前期比で増収となりました。今回新たにエジプト向け食器製造設備を受注したことから、アフリカマーケットを開拓すべく陶器原料や顔料などの供給を目指してまいります。
化学品部門では、リチウムの取り扱いが大幅に増えるとともに、医薬品原料の輸入・国内販売及び化学品原料の輸出が堅調に進みました。活性炭分野でも、海外需要の伸びに支えられ三国間貿易が伸び、全体としては売上・利益ともに前期を上回りました。化学関連産業は各国規制も多岐にわたり、環境問題、貿易事情に大きく影響を受けることから、今後も引き続き市場での優位性を保つために、医薬品・化学品原料では供給元の多様化、活性炭分野では高付加価値品の拡大、リチウム関連では新たなリチウム化合物の製造など、新規案件に取り組んでまいります。
なお、連結対象の江守グループの業績も好調に推移しております。
以上の結果、産業関連事業の業績は、売上高2,018億9千2百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益48億1千8百万円(前年同期比25.2%増)となりました。
c. 医薬事業
医療用医薬品部門では、高脂血症治療剤「パルモディア錠」を2018年6月1日付で発売し、医療分野でのプロモーション活動を積極的に展開しております。2型糖尿病治療剤「デベルザ錠」は、発売以来順調に売上が伸長しております。今後も更に市場拡大が予想されるため、引き続き注力してまいります。同治療剤「スイニー錠」も大口先を中心に売上拡大に注力しました。高コレステロール血症治療剤「リバロ錠」は、大規模臨床試験の結果を活用し、優位性をアピールしております。また、眼科領域では緑内障・高眼圧症治療剤「グラナテック点眼液」、アレルギー性結膜炎治療剤「ゼペリン点眼液」、眼内レンズ「アバンシィ」が好調に推移しました。
OTC医薬品部門では、天候不順の影響を大きく受けたウナコーワ類、ケラチナミン類が苦戦しましたが、新発売した「キューピーコーワiドリンク」、一昨年発売の「キューピーコーワαドリンク」が順調に売上を伸ばし、キューピーコーワドリンク類としては、前年から大きく伸長させることができました。主力品であるキャベジン類、キューピーコーワゴールド類、バンテリン類も好調に推移し、OTC医薬品合計としても、前年を上回る売上となりました。飲料・雑貨品では、暖冬による影響でカイロ類が不振であったものの、花粉の大量飛散によりマスク類が前年を上回り、バンテリンサポーター類も順調に推移しました。更には、新発売の「カンゾコーワ」は、テレビCM効果もあり、当初の販売見込を大きく上回りました。
海外展開では、主力の医療用医薬品「リバロ錠」は、米国向け輸出が引き続き順調に推移しました。中南米、アジア地域への輸出、欧州・中東への原薬の輸出も順調に推移しており、「リバロ錠」以外の医療用医薬品の輸出総額も前年を上回る結果となりました。引き続き、アジア・欧州・中東・北アフリカ、中南米の未上市国における「リバロ錠」の申請、上市を行い医療用医薬品のグローバルな展開に向け邁進してまいります。OTC医薬品・ヘルスケア品については、主要市場であるアジアにおいて、興和ブランドの浸透を図っています。中国、韓国、台湾では医薬品及びヘルスケア品を販売していますが、香港で2018年5月よりバンテリンサポーター、7月よりキューピーコーワの発売を開始しました。ASEAN地域においては、タイ、シンガポールで新規市場を開拓し積極的に販売活動を行っており、ベトナム・マレーシアにおいても新たに商流を構築しました。中国・香港・ASEAN市場での成長により、OTC医薬品・ヘルスケア品の輸出総額は前年を上回る結果となりました。
医療機器部門では、国内は大型眼底カメラ、ポータブルスリットランプ、レーザーフレアーメーター、視野計の拡販に努めましたが、前年を上回ることができませんでした。海外は、主力の無散瞳眼底カメラの不振を補うため視野計やスリットランプに力を入れましたが、スリットランプの売上増は達成したものの視野計は伸ばすことができず前年を下回りました。来期は遅れていた新モデルの上市が2機種予定されており、準備を進めてまいります。
以上の結果、医薬事業の業績は、売上高1,421億5千7百万円(前年同期比0.4%減)、営業損失12億2千万円(前年同期は営業利益20億3千5百万円)となりました。
d. 環境・省エネ事業
環境・省エネ事業では、LED照明分野は多様なニーズに対応するため、社外メーカー品の取扱を広げ、ドラッグストア、各種商業施設、工場、病院の他、飲食店や学校関係等への販路開拓を進めました。光学機器分野は、生産工場のFA化、セキュリティ設備に対する投資需要を背景に堅調に推移いたしました。
以上の結果、環境・省エネ事業の業績は、売上高95億7百万円(前年同期比11.4%減)、営業損失6億5千6百万円(前年同期は営業利益9百万円)となりました。
e. 不動産事業
不動産事業では、賃貸分野において空室率の低下傾向が続いており、賃料の上昇はないものの順調に推移しました。また住宅販売分野は、首都圏でのワンルームマンション販売が好調で、計画を上回る引き渡しとなりました。戸建事業は課題であった首都圏での用地確保が順調に進み、来期以降の収益への貢献が期待できます。
以上の結果、不動産事業の業績は、売上高120億3百万円(前年同期比20.3%増)、営業利益34億円(前年同期比7.8%増)となりました。
f. 百貨店事業
百貨店事業は、業績改善に向けテナント経営化を進めましたが既存店舗の退店が相次ぎ、加えて建物の老朽化問題もあり、2018年6月30日を以て、百貨店店舗の営業を終了いたしました。
以上の結果、百貨店事業の業績は、売上高68億7千2百万円(前年同期比50.4%減)、営業損失1億5千7百万円(前年同期は営業損失7億3千5百万円)となりました。
g. ホテル事業
ホテル事業では、宿泊部門は訪日外国人客数が伸長したものの、名古屋駅周辺を中心とした新規参入ホテルとの競争で苦戦を強いられました。団体宿泊は増収となった一方で個人宿泊が減収となりました。宴会部門は一般宴会で大型催事を受注し、ディナーショーの販売も好調に推移しましたが、婚礼件数の減少及び披露宴の小規模化により減収となりました。レストラン部門はブッフェで集客を伸ばしましたが、全体では前年を下回る売上となりました。
以上の結果、ホテル事業の業績は、売上高150億8千1百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益4千3百万円(前年同期比78.9%減)となりました。
h. 食品事業
食品事業では、食品原料、加工食品の取り扱いを広げることに注力してきました。ベトナムでの水産練物製品等の製造販売の現地合弁事業は解消いたしましたが、米国ハワイでのアワビ養殖事業は、養殖技術の確立と販路拡大に努めています。アグリ事業は、「ベジリッチ」ブランドの展開を図ってきましたが、さらに採算性の向上のため生産品目の見直しにも取り組んでいます。
以上の結果、食品事業の業績は、売上高26億5千9百万円、営業損失2億2千3百万円となりました。
i. その他の事業
保険代理店業及びリース事業では、グループ内取引を中心におおむね安定した収益を確保しております。
以上の結果、その他の事業の業績は、売上高23億2千5百万円(前年同期比8.2%増)、営業損失4百万円(前期同期は営業利益1千3百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末より133億4百万円増加し、635億1千4百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は34億5千7百万円となり、前年同期と比べ109億5千3百万円減少しました。これは主に、仕入債務の増減額が減少したこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は57億7百万円となり、前年同期と比べ53億5千4百万円増加しました。これは主に、固定資産の売却による収入が減少したこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は164億6千6百万円(前年同期は、42億1千5百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が増加したこと等によります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、この連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用等に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは過去の実績や現在の状況に応じて合理的と考えられる方法によって行っておりますが、見積りには不確実性を伴うため実際の結果とは異なる場合があります。
②財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ60億7千5百万円増加し、5,034億6千8百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動資産は、現金及び預金の増加等により前連結会計年度末に比べ170億9千6百万円増加し、2,449億2百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少等により前連結会計年度末に比べ110億2千万円減少し、2,585億6千6百万円となりました。
総負債につきましては、前連結会計年度末に比べ146億3千7百万円増加し、3,815億4千7百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動負債は、短期借入金の増加等により前連結会計年度末に比べ107億5千1百万円増加し、2,376億1千2百万円となりました。固定負債は、長期借入金の増加等により前連結会計年度末に比べ38億8千5百万円増加し、1,439億3千4百万円となりました。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)につきましては72億8千9百万円となり、流動比率は103.0%となっております。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ85億6千1百万円減少し、1,219億2千1百万円となりました。この主な要因は、その他有価証券評価差額金の減少等によるものです。自己資本比率につきましては、22.7%となっております。
③経営成績の分析
売上高は、4,365億2千2百万円となり、前年同期に比べ0.5%の増収となりました。
売上総利益は、前年同期比0.1%増の1,362億9千4百万円となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費が研究開発費の増加等により前年同期比2.1%増の1,325億3千3百万円となったことから、前年同期比40.6%減の37億6千万円となりました。
経常利益は、支払利息の増加等の結果、前年同期比28.7%減の33億6千1百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、投資有価証券売却益、投資有価証券評価損等の特別損益の計上及び法人税等の負担額の計上の結果、19億5千6百万円の利益(前年同期は11億6千4百万円の損失)となりました。
なお、各セグメント別の内容については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
(3)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金需要としての商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用と設備資金需要としての工場等における建物、機械装置等設備投資によるものであります。
また、当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、米国の保護主義による貿易摩擦、ブレグジットに伴うEU加盟諸国の足並みの乱れなど不確実性の高まりが指摘される中、輸出が緩やかに増加するとともに、企業収益の高まりで設備投資が増加、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しが見られたものの、景気動向の局面変化も懸念されてきました。
このような状況下、当社グループは、生活関連事業及び産業関連事業においては、新商材の開発、販路の拡大、海外での生産体制の強化等に努め、順調に売上を伸ばすことができました。医薬事業では、米国、中南米、アジア地域向け輸出で「リバロ錠」が引き続き堅調に推移し、欧州・中東への原薬の輸出も順調に増加しました。OTC医薬品・ヘルスケア品では、アジアにおいて興和ブランドの浸透と市場の開拓を図り、輸出額は伸長いたしました。国内における医療用医薬品では、自社創製の新薬である高脂血症治療剤「パルモディア錠」を上市し、プロモーション活動を積極的に展開しました。OTC医薬品ではキューピーコーワドリンク類が好調に推移し、前年を大きく上回る結果となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,365億2千2百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益37億6千万円(前年同期比40.6%減)、経常利益33億6千1百万円(前年同期比28.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益19億5千6百万円(前年同期は11億6千4百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、2018年10月より産業関連事業の食品部門及び環境・省エネ事業のアグリ部門を統合し、食品事業を新設しております。
a. 生活関連事業
釣具部門では、日本市場は天候不順の影響により荷動きが鈍い状況が続きましたが、米国市場では好調に推移しました。釣竿工場向け釣具部品の供給及び中国製ルアーの輸入販売が好調で、部門としては堅調に伸長いたしました。
ファッション雑貨部門では、依然として厳しい状況が続いております。履物関連では従来の商流からアパレル向け商売への転換に、雑貨関連では取扱アイテムを増やす等の新規取組にそれぞれ注力いたしましたが、大きな成果には至っておりません。消費者への直販体制など新たなサプライチェーン構築を目指してまいります。
テキスタイル部門では、商品の差別化に取り組んできましたが、その効果は限定的であり、減収となりました。EC販売が拡大する中、素材の特性を充分に訴求することが出来ませんでした。今後も新しい発想で高付加価値商品の開発に努めてまいります。
アパレル部門では、記録的な暖冬の影響で第3四半期に苦戦するも優良ブランドとの取引拡大に積極的に取り組み、前年に比べ売上が好調に推移いたしました。アパレル業界を取り巻く環境は依然として厳しく、新規カテゴリーの商品開発と差別化されたサプライチェーンを構築し、収益拡大を図ってまいります。
ユニフォーム部門では、業界自体が堅調に推移したこともあり売上を拡大できました。旺盛な建設ラッシュ、サービス業の拡充によりユニフォーム需要は増えております。夏物では電動ファン付ウェアが市場に浸透し始め、来期に向けて更に販売の増加が見込まれ生産体制を整えております。
キャラクター部門では、ディズニーのミッキーマウスの生誕90周年企画の盛り上がりもあり、この夏公開になる映画「トイストーリー4」の企画商品が増えております。また、オリンピックのライセンス商品の生産を開始しており、来期から販売を開始してまいります。
小売部門では、㈱インコントロの基幹ブランドである“Vivienne Westwood”が好調に推移し増益となりました。“franche lippée”ブランドを運営する㈱クリエイションは、不採算店舗整理等のリストラ効果により大幅な経費削減となり、EC販売・20周年イベント等は好調に推移いたしましたが、既存店での売上は苦戦いたしました。引き続き経費削減と販売効率の改善に努めてまいります。テネリータ㈱は、新規店舗出店により16店舗となりました。主力商品のオーガニックコットンのタオル製品を軸にした浴室関連商材に加え、ルームウェア及びナイトウェアが好調に推移し、新規店舗及び既存店舗の売上は堅調に拡大しております。来期は、各販路で粗利率改善と粗利益の最大化を図ってまいります。
以上の結果、生活関連事業の業績は、売上高440億2千2百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益6億7千7百万円(前年同期比18.7%増)となりました。
b. 産業関連事業
機械部門では、工作機械業界向けは鋳物輸入を中心に順調に推移したものの、国内製薬業界での設備投資減少の影響を受け、前期比では減収減益となりましたが、インド向けタグボートについては、2022年迄の複数隻の大型契約を受注いたしました。今後は製薬業界での設備投資の落ち込みに対応すべく、AI、IoTを利用した協働ロボットなどを活用した生産効率化システムへの取り組みに努めてまいります。
産業資材部門では、国内需要の増加に伴う石材やタイルの輸入、衛生陶器メーカーの海外工場向け原料販売が進み、前期比で増収となりました。今回新たにエジプト向け食器製造設備を受注したことから、アフリカマーケットを開拓すべく陶器原料や顔料などの供給を目指してまいります。
化学品部門では、リチウムの取り扱いが大幅に増えるとともに、医薬品原料の輸入・国内販売及び化学品原料の輸出が堅調に進みました。活性炭分野でも、海外需要の伸びに支えられ三国間貿易が伸び、全体としては売上・利益ともに前期を上回りました。化学関連産業は各国規制も多岐にわたり、環境問題、貿易事情に大きく影響を受けることから、今後も引き続き市場での優位性を保つために、医薬品・化学品原料では供給元の多様化、活性炭分野では高付加価値品の拡大、リチウム関連では新たなリチウム化合物の製造など、新規案件に取り組んでまいります。
なお、連結対象の江守グループの業績も好調に推移しております。
以上の結果、産業関連事業の業績は、売上高2,018億9千2百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益48億1千8百万円(前年同期比25.2%増)となりました。
c. 医薬事業
医療用医薬品部門では、高脂血症治療剤「パルモディア錠」を2018年6月1日付で発売し、医療分野でのプロモーション活動を積極的に展開しております。2型糖尿病治療剤「デベルザ錠」は、発売以来順調に売上が伸長しております。今後も更に市場拡大が予想されるため、引き続き注力してまいります。同治療剤「スイニー錠」も大口先を中心に売上拡大に注力しました。高コレステロール血症治療剤「リバロ錠」は、大規模臨床試験の結果を活用し、優位性をアピールしております。また、眼科領域では緑内障・高眼圧症治療剤「グラナテック点眼液」、アレルギー性結膜炎治療剤「ゼペリン点眼液」、眼内レンズ「アバンシィ」が好調に推移しました。
OTC医薬品部門では、天候不順の影響を大きく受けたウナコーワ類、ケラチナミン類が苦戦しましたが、新発売した「キューピーコーワiドリンク」、一昨年発売の「キューピーコーワαドリンク」が順調に売上を伸ばし、キューピーコーワドリンク類としては、前年から大きく伸長させることができました。主力品であるキャベジン類、キューピーコーワゴールド類、バンテリン類も好調に推移し、OTC医薬品合計としても、前年を上回る売上となりました。飲料・雑貨品では、暖冬による影響でカイロ類が不振であったものの、花粉の大量飛散によりマスク類が前年を上回り、バンテリンサポーター類も順調に推移しました。更には、新発売の「カンゾコーワ」は、テレビCM効果もあり、当初の販売見込を大きく上回りました。
海外展開では、主力の医療用医薬品「リバロ錠」は、米国向け輸出が引き続き順調に推移しました。中南米、アジア地域への輸出、欧州・中東への原薬の輸出も順調に推移しており、「リバロ錠」以外の医療用医薬品の輸出総額も前年を上回る結果となりました。引き続き、アジア・欧州・中東・北アフリカ、中南米の未上市国における「リバロ錠」の申請、上市を行い医療用医薬品のグローバルな展開に向け邁進してまいります。OTC医薬品・ヘルスケア品については、主要市場であるアジアにおいて、興和ブランドの浸透を図っています。中国、韓国、台湾では医薬品及びヘルスケア品を販売していますが、香港で2018年5月よりバンテリンサポーター、7月よりキューピーコーワの発売を開始しました。ASEAN地域においては、タイ、シンガポールで新規市場を開拓し積極的に販売活動を行っており、ベトナム・マレーシアにおいても新たに商流を構築しました。中国・香港・ASEAN市場での成長により、OTC医薬品・ヘルスケア品の輸出総額は前年を上回る結果となりました。
医療機器部門では、国内は大型眼底カメラ、ポータブルスリットランプ、レーザーフレアーメーター、視野計の拡販に努めましたが、前年を上回ることができませんでした。海外は、主力の無散瞳眼底カメラの不振を補うため視野計やスリットランプに力を入れましたが、スリットランプの売上増は達成したものの視野計は伸ばすことができず前年を下回りました。来期は遅れていた新モデルの上市が2機種予定されており、準備を進めてまいります。
以上の結果、医薬事業の業績は、売上高1,421億5千7百万円(前年同期比0.4%減)、営業損失12億2千万円(前年同期は営業利益20億3千5百万円)となりました。
d. 環境・省エネ事業
環境・省エネ事業では、LED照明分野は多様なニーズに対応するため、社外メーカー品の取扱を広げ、ドラッグストア、各種商業施設、工場、病院の他、飲食店や学校関係等への販路開拓を進めました。光学機器分野は、生産工場のFA化、セキュリティ設備に対する投資需要を背景に堅調に推移いたしました。
以上の結果、環境・省エネ事業の業績は、売上高95億7百万円(前年同期比11.4%減)、営業損失6億5千6百万円(前年同期は営業利益9百万円)となりました。
e. 不動産事業
不動産事業では、賃貸分野において空室率の低下傾向が続いており、賃料の上昇はないものの順調に推移しました。また住宅販売分野は、首都圏でのワンルームマンション販売が好調で、計画を上回る引き渡しとなりました。戸建事業は課題であった首都圏での用地確保が順調に進み、来期以降の収益への貢献が期待できます。
以上の結果、不動産事業の業績は、売上高120億3百万円(前年同期比20.3%増)、営業利益34億円(前年同期比7.8%増)となりました。
f. 百貨店事業
百貨店事業は、業績改善に向けテナント経営化を進めましたが既存店舗の退店が相次ぎ、加えて建物の老朽化問題もあり、2018年6月30日を以て、百貨店店舗の営業を終了いたしました。
以上の結果、百貨店事業の業績は、売上高68億7千2百万円(前年同期比50.4%減)、営業損失1億5千7百万円(前年同期は営業損失7億3千5百万円)となりました。
g. ホテル事業
ホテル事業では、宿泊部門は訪日外国人客数が伸長したものの、名古屋駅周辺を中心とした新規参入ホテルとの競争で苦戦を強いられました。団体宿泊は増収となった一方で個人宿泊が減収となりました。宴会部門は一般宴会で大型催事を受注し、ディナーショーの販売も好調に推移しましたが、婚礼件数の減少及び披露宴の小規模化により減収となりました。レストラン部門はブッフェで集客を伸ばしましたが、全体では前年を下回る売上となりました。
以上の結果、ホテル事業の業績は、売上高150億8千1百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益4千3百万円(前年同期比78.9%減)となりました。
h. 食品事業
食品事業では、食品原料、加工食品の取り扱いを広げることに注力してきました。ベトナムでの水産練物製品等の製造販売の現地合弁事業は解消いたしましたが、米国ハワイでのアワビ養殖事業は、養殖技術の確立と販路拡大に努めています。アグリ事業は、「ベジリッチ」ブランドの展開を図ってきましたが、さらに採算性の向上のため生産品目の見直しにも取り組んでいます。
以上の結果、食品事業の業績は、売上高26億5千9百万円、営業損失2億2千3百万円となりました。
i. その他の事業
保険代理店業及びリース事業では、グループ内取引を中心におおむね安定した収益を確保しております。
以上の結果、その他の事業の業績は、売上高23億2千5百万円(前年同期比8.2%増)、営業損失4百万円(前期同期は営業利益1千3百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末より133億4百万円増加し、635億1千4百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は34億5千7百万円となり、前年同期と比べ109億5千3百万円減少しました。これは主に、仕入債務の増減額が減少したこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は57億7百万円となり、前年同期と比べ53億5千4百万円増加しました。これは主に、固定資産の売却による収入が減少したこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は164億6千6百万円(前年同期は、42億1千5百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が増加したこと等によります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
医薬事業 (百万円) | 111,888 | 98.6 |
環境・省エネ事業 (百万円) | 6,705 | 74.6 |
合計 (百万円) | 118,593 | 96.8 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
生活関連事業 (百万円) | 44,022 | 101.6 |
産業関連事業 (百万円) | 201,892 | 102.9 |
医薬事業 (百万円) | 142,157 | 99.6 |
環境・省エネ事業 (百万円) | 9,507 | 88.6 |
不動産事業 (百万円) | 12,003 | 120.3 |
百貨店事業 (百万円) | 6,872 | 49.6 |
ホテル事業 (百万円) | 15,081 | 98.2 |
食品事業 (百万円) | 2,659 | - |
報告セグメント計(百万円) | 434,196 | 100.5 |
その他の事業 (百万円) | 2,325 | 108.2 |
合計 (百万円) | 436,522 | 100.5 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、この連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用等に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは過去の実績や現在の状況に応じて合理的と考えられる方法によって行っておりますが、見積りには不確実性を伴うため実際の結果とは異なる場合があります。
②財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ60億7千5百万円増加し、5,034億6千8百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動資産は、現金及び預金の増加等により前連結会計年度末に比べ170億9千6百万円増加し、2,449億2百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少等により前連結会計年度末に比べ110億2千万円減少し、2,585億6千6百万円となりました。
総負債につきましては、前連結会計年度末に比べ146億3千7百万円増加し、3,815億4千7百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動負債は、短期借入金の増加等により前連結会計年度末に比べ107億5千1百万円増加し、2,376億1千2百万円となりました。固定負債は、長期借入金の増加等により前連結会計年度末に比べ38億8千5百万円増加し、1,439億3千4百万円となりました。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)につきましては72億8千9百万円となり、流動比率は103.0%となっております。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ85億6千1百万円減少し、1,219億2千1百万円となりました。この主な要因は、その他有価証券評価差額金の減少等によるものです。自己資本比率につきましては、22.7%となっております。
③経営成績の分析
売上高は、4,365億2千2百万円となり、前年同期に比べ0.5%の増収となりました。
売上総利益は、前年同期比0.1%増の1,362億9千4百万円となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費が研究開発費の増加等により前年同期比2.1%増の1,325億3千3百万円となったことから、前年同期比40.6%減の37億6千万円となりました。
経常利益は、支払利息の増加等の結果、前年同期比28.7%減の33億6千1百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、投資有価証券売却益、投資有価証券評価損等の特別損益の計上及び法人税等の負担額の計上の結果、19億5千6百万円の利益(前年同期は11億6千4百万円の損失)となりました。
なお、各セグメント別の内容については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
(3)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金需要としての商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用と設備資金需要としての工場等における建物、機械装置等設備投資によるものであります。
また、当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。