半期報告書-第116期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2021/12/10 11:32
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(1)経営成績等の状況の概要
当中間連結会計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの影響を受けた前年度から回復基調にあるものの、断続的な緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の影響により、外食・宿泊・娯楽などの対面型サービスを中心に弱い動きとなり、経済の下支えとなる個人消費の低迷も影響し、景気は依然として停滞傾向にあります。
このような状況下、当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止に寄与するため、引き続き、マスク、防護服、うがい薬、消毒液等の供給に事業部門の枠を越えて全力で取り組むとともに、生活様式の変化や社会的課題に対応するビジネスモデルの構築、実践に努めてまいりました。生活関連事業及び産業関連事業においては、海外への渡航制限が続くなか、サプライチェーンの安定化、WEBやSNSを活用しての事業展開、さらにはアウトドア関連にも積極的に取り組みました。関連する小売部門においては、店舗休業、インバウンド売上の減少というマイナス材料がありましたが、インポート雑貨品やイエナカ需要により、収益性が改善しました。医薬事業においては、製品の安定供給と適切な情報提供に努めました。
以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高2,183億6千5百万円(前年同期比11.3%増)、営業利益49億2千1百万円(前年同期比2.3%増)、経常利益51億1千5百万円(前年同期比7.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益33億5百万円(前年同期比70.1%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。なお、本年6月にワタベウェディング㈱をグループ傘下に収めたことに伴う今後の事業展開を踏まえ、当中間連結会計期間より、従来のホテル事業をホスピタリティ事業と名称変更しております。
a. 生活関連事業
釣具部門は、外出制限が続くなか、「釣り」が新しい生活様式に適応したアウトドアアクティビティとして認識され、需要が大幅に拡大したため、売上、成約共に堅調に推移しました。
ファッション(雑貨)部門では、履物関連で、アクティブシニア向け自社商品の開発が進み、今後は、ECサイトとの連携により、足回りから健康に寄与する商品開発と、営業、販売を展開してまいります。介護関連では、介護従事者に貢献できるフェイスカバーの販売を開始しました。ペット関連は、自社オリジナルブランドを立ち上げ、サプリメント、フード、サポーター等の商品開発を進めました。EC関連では、「ハピネスダイレクト」のWEBサイトの全面リニューアルを行い、機能面の向上を図りました。引き続きサイトコンテンツを充実させ、既存顧客とのコミュニケーションと、効果的な宣伝による会員数の増加を図ってまいります。
テキスタイル部門は、百貨店やセレクトショップを中心に、カジュアル素材を中心とした国内得意先や海外への販売は厳しい結果となりましたが、サステナブル素材、ユニフォーム用途やプリント用の定番アイテム等が好調に推移しました。今後も、時流に適合したオリジナル素材の開発、WEBやSNSを活用した、日本製テキスタイルの販売強化と衛材商品等の不織布の販売や開発にも注力してまいります。
アパレル部門は、好調を維持しているアウトドア、スポーツ関連や生活雑貨への転換を進め、アウトドアブランドのアパレル商品の売上は大きく伸長しました。東京オリンピック・パラリンピックの影響もあり、スポーツ用品店向けの商品の実績も伸びております。
ユニフォーム部門では、国内企業の業績悪化もあり売上が大きく減少しましたが、防護服、シューズカバー、N95マスク等を感染対策キットとして販売を開始しました。
キャラクター部門では、アニメ「鬼滅の刃」「呪術廻戦」のキャラクター商品が好調でしたが、ホームセンターにおけるディズニーキャラクターのインテリア商品は苦戦しました。
小売部門では、“Vivienne Westwood”ブランドを運営する㈱インコントロは、緊急事態宣言による店舗の休業、インバウンド売上の低迷とマイナス材料はありましたが、アクセサリーや革小物等のインポート雑貨品が好調に推移しました。
“TENERITA”ブランドを運営するテネリータ㈱は、イエナカ需要により、店舗及びEC販路において売上が前年から大幅に伸長し、特にナイトウェアやルームウェアの販売が好調に推移しました。
以上の結果、生活関連事業の業績は、売上高194億1千3百万円(前年同期比4.2%増)、営業利益8億2千万円(前年同期比13.7%減)となりました。
b. 産業関連事業
機械部門では、製薬業界向けは、薬価引き下げによる成長鈍化などの影響もあり、設備投資に慎重な傾向が顕著となりました。今後は、脱炭素社会に向けた取り組みに着目するとともに、機械設備の販売に留まらずメンテナンスや消耗品供給を含めたビジネス構築を進めてまいります。
船舶インフラ部門では、インド向けタグボート2隻を輸出したものの、新型コロナウイルスの影響により、新規商談は困難な状況が続きました。今後は、環境に配慮したアンモニア燃料タグボートや、水素、アンモニア、バイオ燃料といったクリーンエネルギー関連ビジネスの早期実現に取り組んでまいります。
産業資材部門では、内外の設備投資の持ち直しを受け、大手ゼネコン向け事業に関しては、堅調に推移していくと思われる一方で、資材価格の高騰、人件費の上昇による調達コストの上昇が憂慮されます。また、輸入石材、タイル類のビジネスは、コンテナ運賃の高騰、円安が痛手となりました。
化学品部門は、リチウム事業においては、中国市場を中心に急速な需要回復が見られ、相場上昇により、サプライヤー優位の市況となっていくものと思われます。その他の化学品原料、医薬品原料にも需要の高まりが見られますが、コンテナ不足、海上運賃の高騰が顕著であり、サプライヤーの複数化や提携等、サプライチェーンの安定化と、環境、人権への配慮に努めてまいります。
なお、連結対象の興和江守グループの業績は、建設・設備需要の停滞で塗料部門が低調であったものの、その他の関連業界は概ね活況な稼働状況であり、全体では増収となりました。
以上の結果、産業関連事業の業績は、売上高1,020億4千5百万円(前年同期比29.4%増)、営業利益25億6千5百万円(前年同期比35.9%増)となりました。
c. 医薬事業
医療用医薬品部門は、病院への訪問規制が続き、情報提供活動が非対面型に変化するなか、当社主力品は堅調に推移しました。高脂血症治療剤「パルモディア錠」は、順調に採用軒数を伸ばしております。2型糖尿病治療剤「デベルザ錠」「アプルウェイ錠」については、今後もSGLT2阻害剤市場は更に拡大することが予想されるため、SGLT2阻害剤のハイポテンシャル先の育成に注力しました。眼科領域「グラナテック点眼液」については、後発品により緑内障治療剤の市場縮小が続くなか、売上は伸長しております。
OTC医薬品・ヘルスケア品部門では、新発売の「キューピーコーワゴールドαプレミアム」を始めとして、既存ブランドの「ザ・ガードコーワ整腸錠」「キューピーコーワiドリンク」「バンテリンコーワパットEX」、雑貨品の「三次元マスク」やリニューアル発売した「バンテリンコーワ高通気サポーター」などにより、売上は伸長しました。
海外展開では、主力の「リバロ錠」は、米国では堅調に推移したものの、中南米、欧州への原薬の輸出が後発品の影響を大きく受け苦戦いたしました。引き続き、未上市国における「リバロ錠」の申請、上市、「リバロ錠」及び他製品に関するグローバルな展開に向け邁進してまいります。新型コロナウイルスの影響は、アジア地域において医療機関の訪問規制等により、一時的な売上の減少を招きましたが、その他地域においては、堅調に推移しました。
また、OTC医薬品、ヘルスケア品につきましては、主要市場であるアジア地域において、興和ブランドの浸透を図っております。中国、韓国、台湾では、現地子会社を通じて販売、新規市場の香港では、バンテリンサポーターと三次元マスクを主力ブランドとして市場の開拓を行いました。ASEAN地域においては、バンテリンサポーターをシンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシアの5か国で販売、三次元マスクは、シンガポール、タイ、マレーシアに加え、ベトナム市場に参入し、展開国は4か国になりました。
医療機器部門については、国内外ともに新型コロナウイルスの影響を大きく受け減収となりましたが、眼内レンズについては、ワクチン接種が進むなかで白内障手術件数も回復傾向にあるなど、市場環境は好転しつつあります。
以上の結果、医薬事業の業績は、売上高773億5千2百万円(前年同期比8.6%減)、営業利益37億9千7百万円(前年同期比33.7%減)となりました。
d. 環境・省エネ事業
環境・省エネ事業は、光学機器分野は、製造設備の省人化、無人化への関心が高まっており、産業用ビジョンユニットの販売が好調に推移しました。また、コンシューマー向け機器は、欧米を中心にアウトドア需要が活発であり、新製品の99mmスコープを中心に販売が拡大しております。
以上の結果、環境・省エネ事業の業績は、売上高50億3千万円(前年同期比30.9%増)、営業利益3億2千2百万円(前年同期比123.4%増)となりました。
e. 不動産事業
不動産事業は、賃貸事業において新型コロナウイルスの影響による業績の落ち込みや働き方の変化を背景に、事業用物件の空室率の上昇傾向と賃料相場の下げ基調が続いており、この状況はしばらく継続するものと予想されます。一方、居住用物件は継続して高い稼働率を維持しております。住宅販売事業においては、マンション・戸建てとも堅調に推移し、前年を上回る売上高となりました。
以上の結果、不動産事業の業績は、売上高50億6千9百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益6億6千万円(前年同期比13.4%増)となりました。
f. ホスピタリティ事業
ホスピタリティ事業は、ホテル関連は、緊急事態宣言に伴う休業や営業時間の短縮、酒類販売の自粛等が売上に大きく影響しました。このような状況下、事業の経営・所有・運営の役割を明確にすることによる体制強化を目的とした組織再編を実施しました。また、本年6月に国内外の挙式サービス事業を展開するワタベウェディング㈱をグループ傘下に収め、婚礼事業を中心に協業を開始いたしました。今後は、両社の事業運営に係るノウハウ等を相互に提供していくことで、事業の発展を図ってまいります。さらには、ホテルナゴヤキャッスル跡地において2024年度開業を目指し建替計画も進行しており、ライフスタイルの多様化に対応したラグジュアリークラスのホテル事業に取り組んでまいります。
以上の結果、ホスピタリティ事業の業績は、売上高13億9千万円(前年同期比22.9%減)、営業損失18億5百万円(前年同期は28億9千6百万円の営業損失)となりました。
g. 食品事業
食品事業の柱である植物由来原料は、新型コロナウイルスの影響で荷渡しに懸念が生じましたが、一定の売上を確保することができました。「ベジリッチ」ブランドの工場野菜では、栽培品目の見直しが進み、バジルを中心とした西洋ハーブへの転換を進めております。米国ハワイ州におけるアワビ養殖事業は、販売面で厳しい状況が長く続いているものの、観光需要が回復の兆しを見せるなか、スーパーマーケットへの新規出店などで時機を窺うとともに、米国本土への販売を試みております。
以上の結果、食品事業の業績は、売上高27億2千1百万円(前年同期比34.2%増)、営業損失4億8千6百万円(前年同期は4億2千9百万円の営業損失)となりました。
h. その他の事業
保険代理店業及びリース事業では、グループ内取引を中心に販促に努め、安定した収益を確保しております。
その他の事業の業績は、売上高は53億4千万円(前年同期比274.9%増)、営業損失1千万円(前年同期は7千5百万円の営業損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前中間連結会計期間に比べ107億1百万円減少し、当中間連結会計期間末には608億5百万円(前年同期比15.0%減)となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、75億2千万円(前年同期は33億2千5百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権が増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、22億4百万円(前年同期比64.1%減)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が増加したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、23億8千3百万円(前年同期比85.3%減)となりました。これは主に、長期借入による収入が減少したこと等によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当中間連結会計期間における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当中間連結会計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
前年同期比(%)
医薬事業 (百万円)64,339102.2
環境・省エネ事業 (百万円)3,774133.8
食品事業 (百万円)22652.8
報告セグメント計 (百万円)68,340103.3
合計 (百万円)68,340103.3

(注)金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループは、主として見込み生産を行っているため、受注実績を記載しておりません。
c.販売実績
当中間連結会計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当中間連結会計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
前年同期比(%)
生活関連事業 (百万円)19,413104.2
産業関連事業 (百万円)102,045129.4
医薬事業 (百万円)77,35291.4
環境・省エネ事業 (百万円)5,030130.9
不動産事業 (百万円)5,069100.3
ホスピタリティ事業 (百万円)1,39077.1
食品事業 (百万円)2,721134.2
報告セグメント計 (百万円)213,024109.3
その他 (百万円)5,340374.9
合計 (百万円)218,365111.3

なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 中間連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ397億8千3百万円増加し、5,622億8千3百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動資産は、受取手形及び売掛金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ153億円増加し、2,630億6千万円となりました。
固定資産は、投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ244億8千3百万円増加し、2,992億2千3百万円となりました。
また、当中間連結会計期間末の総負債は、前連結会計年度末に比べ305億8千3百万円増加し、4,196億6千1百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動負債は、短期借入金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ251億1千5百万円増加し、2,763億9千1百万円となりました。
固定負債は、リース債務が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ54億6千7百万円増加し、1,432億6千9百万円となりました。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)は、△133億3千1百万円(前連結会計年度末は△35億1千7百万円)であり、流動比率は95.2%(前連結会計年度末は98.6%)となっております。
純資産は、前連結会計年度末に比べ92億円増加し、1,426億2千2百万円となりました。この主な要因は、その他有価証券評価差額金が増加したこと等によるもので、自己資本比率は24.1%(前連結会計年度末は24.2%)となり、1株当たり純資産額は4,274円10銭(前連結会計年度末は4,146円59銭)となりました。
経営成績の分析
当中間連結会計期間の業績は、売上高は2,183億6千5百万円(前年同期比11.3%増)となりました。
また、販売費及び一般管理費を609億8千万円(前年同期比3.3%減)計上しましたが、この内容は人件費が224億5千1百万円(前年同期比0.2%増)、販売費134億3百万円(前年同期比0.6%増)、諸経費251億2千5百万円(前年同期比8.0%減)であり、この結果、営業利益は49億2千1百万円(前年同期比2.3%増)となりました。
営業外収益は、受取配当金6億7千2百万円等により13億3千4百万円(前年同期比17.0%減)となりました。また営業外費用は、支払利息7億7千1百万円等により11億4千万円(前年同期比30.5%減)となりました。この結果、経常利益は51億1千5百万円(前年同期比7.1%増)となりました。
ここから、特別利益と特別損失を加減し、税金等調整前中間純利益は52億3百万円(前年同期比17.1%増)となりました。
法人税等の税金費用16億8千2百万円と非支配株主に帰属する中間純利益2億1千5百万円を控除した親会社株主に帰属する中間純利益は33億5百万円(前年同期比70.1%増)となりました。
なお、各セグメント別の内容については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金需要としての商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用と設備資金需要としての工場等における建物、機械装置等設備投資によるものであります。
また、当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた方針
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。