有価証券報告書-第112期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/29 10:02
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、米国の保護主義による貿易摩擦、円高への懸念はあるものの、堅調な海外経済を背景に輸出が回復するとともに、設備投資が増加し、企業業績も国内外で好調に推移しました。
このような状況下、当社グループは、生活関連事業及び産業関連事業においては、新商材の開発、販路の拡大、海外での生産体制の強化等に努め、順調に売上を伸ばすことができました。医薬事業では、主力品「リバロ錠」が米国向け輸出で引き続き堅調に推移し、欧州、アジアを含めた全世界への「リバロ錠」の輸出総額は増加しました。国内における医療用医薬品では、医療費抑制を目的とした後発医薬品の使用推進に加え、薬価改定もあり厳しい状況が続いておりますが、OTC医薬品では新製品の売上が好調で前期を大きく上回る結果となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,343億2千9百万円(前年同期比22.9%増)、営業利益63億3千1百万円(前年同期比20.3%減)、経常利益47億1千5百万円(前年同期比35.7%減)、親会社株主に帰属する当期純損失11億6千4百万円(前年同期は25億4千4百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
a. 生活関連事業
雑貨・釣具部門では、釣具関連は釣竿用部品の従来の販路に加え、中国内の釣竿工場向けも増加し、好調に推移しました。また中国製ルアーの日本向け輸入や、釣竿資材のアジア向け輸出も伸長しました。ファッション雑貨は、履物、生活雑貨に加え、服飾雑貨への展開を図りましたが、厳しい状況が続いております。販路を絞り、業務を効率化するとともに新規商材の開発に取り組んでおります。
テキスタイル部門では、差別化素材の提案に注力してきましたが、価格への転嫁ができず利益の低下を招きました。市場は新商材を求めており、新素材の開発に努め、利益の確保を図ってまいります。
アパレル部門では、レディース、子供服ともトレンドを捉えた商品を開発し、売上が好調に推移しました。百貨店アパレルの不振、海外生産地でのコストアップ等厳しい環境が続いておりますが、企画提案力を向上させ、生産背景の安定化、クイック生産を更に推し進め、成長ブランドとの取組を強化し、売上拡大を図っております。
ユニフォーム部門では、建設、工場現場向けのユニフォームの受注が増加しました。ワーキングウェアを取り巻く環境は東京オリンピックを控えての建築ブームを背景に、引き続き良好に推移するものと予測しております。生産背景においても中国からベトナムへの生産地シフトも進めており、コストを抑えた生産体制の強化に取り組んでおります。
キャラクター部門では、キャラクターを配した衣料品、雑貨を販売し、特にディズニーキャラクターを中心に雑貨販売は堅調でした。サンリオキャラクターは若干の苦戦となりましたが、2018年はミッキーマウスの生誕90周年にあたり各種イベントが予定されており、引き続きディズニーキャラクターによる商品展開に注力してまいります。
小売部門では、㈱インコントロはブランドの再構築を図り、基幹ブランドである“Vivienne Westwood”に経営資源を集中する構造改革を行ったことにより収益力がアップし、増益となりました。“franche lippée”ブランドを運営する㈱クリエイションは、直営店売上では不採算店舗の退店も重なり前年割れとなりましたが、ウェブ販売は好調に推移しました。テネリータ㈱は、積極的に新規出店を図り、主力商品のオーガニックコットンのタオル製品を軸に、浴室関連商材、ルームウェア及びナイトウェアが好調に推移し、既存店舗と併せ、順調に売上が拡大しております。ウェブ販売も拡大しており、実店舗・ウェブ 両チャネルでの売上の拡大・収益性の改善を図ってまいります。
以上の結果、生活関連事業の業績は、売上高433億1千4百万円(前年同期比12.6%増)、営業利益5億7千万円(前年同期比257.1%増)となりました。
b. 産業関連事業
機械部門では、製薬メーカーの設備投資に支えられ包装機械等の販売は好調に推移しました。また、船舶(タグボート)販売、船舶リース料収入も堅調であり、増益となりました。
産業資材部門では、直流給電システムの販売拡大に取り組みましたが、成果を上げることができませんでした。今後は日本のゼネコン向けにベトナム製ガラスの輸入を進めつつ、中東、中国向け化学品、高級家具、石材の輸出の拡大に努めます。
化学品部門では、国内における医薬品原料は比較的堅調に推移しました。炭酸リチウムの輸入は自動車のEV化の進展に伴い、車載用リチウム二次電池向けの需要が拡大し、順調に推移しました。化学品の輸出は、アメリカの塗料コーティング市場への取組が功を奏し、安定した売上を達成しました。
食品部門では、主力であるヒマシ油販売は堅調に推移しましたが、投資先であるベトナム生産の練物品販売は低調でした。また、当期よりハワイでのアワビ養殖事業へ投資し、日本向けを中心に販路拡大を進めております。
石炭貿易部門では、石炭相場の回復にも支えられ前期を上回る売上となりました。また、新たにインド向けに太陽光発電設備の仲介貿易も行いました。
なお、当連結会計年度より江守グループが連結対象となり産業関連事業の売上高は大幅に伸長しております。
以上の結果、産業関連事業の業績は、売上高1,961億6千6百万円(前年同期比61.1%増)、営業利益38億4千8百万円(前年同期比50.5%増)となりました。
c. 医薬事業
医療用医薬品部門では、2型糖尿病治療剤「デベルザ錠」は、医師への学術活動に努め、シェアアップを図りました。また、同治療剤「スイニー錠」も引き続き大口先を中心に売上拡大に注力しました。高コレステロール血症治療剤「リバロ錠」は、後発品が市場シェアを伸ばす中で大規模臨床試験の結果を活用し、優位性をアピールしております。めまい治療剤「アデホスコーワ顆粒」は、めまいのリーディングカンパニーとしてブランド確立を目指した稼働に注力しました。また、眼科領域では緑内障・高眼圧症治療剤「グラナテック点眼液」、眼内レンズ「アバンシィ」が好調に推移しました。
OTC医薬品部門では、天候不順の影響を受けたウナコーワ類は低調でしたが、新発売した「キューピーコーワαドリンク」が好調に推移し、主力である「ザ・ガードコーワ整腸錠α3+」、キャベジン類、キューピーコーワゴールド類、バンテリン類も前期を上回る売上となり、OTC医薬品合計では前期を大きく上回る結果となりました。日用雑貨品では、マスク類が他社との競合もあり、シェアダウンを余儀なくされましたが、バンテリンサポーター類においてはドラッグストア市場でのシェアが順調に拡大を続けており、カイロ類、ウイルス当番も大きく伸長しました。
海外展開では、主力の医療用医薬品「リバロ錠」は、米国向け輸出が引き続き順調に推移し、中南米地域、アジア地域への輸出、欧州・中東への原薬の輸出は前期に比べ大幅に伸長しました。「リバロ錠」以外の製品を含む医療用医薬品の輸出も前期に比べ大きく伸長いたしました。また、グローバル戦略品として新規脂質異常症治療薬の開発をスタートし、米国現地子会社においては痛風・高尿酸血症治療薬の開発を進めています。OTC医薬品・ヘルスケア品については、アジアにおける興和ブランドの浸透を図っており、中国、韓国、台湾では医薬品及びヘルスケア品を販売しております。その他タイ・香港・シンガポール等においても販売を進めており、海外への輸出は、順調に伸長しています。
医療機器部門では、主力である大型眼底カメラの減少を補うべくポータブルスリットランプ、レーザーフレアメーター、視野計の売上増に取り組みましたが、カバーするに至りませんでした。
以上の結果、医薬事業の業績は、売上高1,427億6千5百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益20億3千5百万円(前年同期比65.4%減)となりました。
d. 環境・省エネ事業
環境・省エネ事業では、LED照明分野はLED照明器具の販売を柱とし、ドラッグストアを中心とした店舗照明、商業施設、工場、病院、倉庫等への販路の拡大に努め、東南アジア、北米、南米等海外への販売も開始しました。また、販路に合わせた製品のラインアップを拡充するとともに、コストメリットのある海外生産にも取り組んでいます。光学機器分野は、生産の自動化、効率化に対する設備投資需要が世界的に好調に推移し、FA用レンズが増進しました。また、セキュリティ機器として監視用ズームレンズの需要も拡大しており、国内外を含め、大きく伸長しました。アグリ事業分野は、植物工場野菜について、ドラッグストアに加えスーパーマーケットへの販路拡大を進めてきました。また、大手飲食チェーン店スムージー向け原材料等新たな販路の開拓を図っております。再生可能エネルギー分野は、当初の買取価格が確保されている既存の3箇所での太陽光発電所による売電事業を継続し、順調に稼動しております。
以上の結果、環境・省エネ事業の業績は、売上高107億2千9百万円(前年同期比31.0%増)、営業利益9百万円(前年同期は営業損失8億6千3百万円)となりました。
e. 不動産事業
不動産事業では、賃貸分野は需要が堅調に推移し、空室率は低下してきています。これに伴い賃料水準は回復してきており、順調に推移しました。住宅販売分野は、首都圏におけるワンルームマンション販売に注力し、収益を上げることができましたが、今後の用地確保が課題となっています。また、名古屋地区において中古マンション販売、戸建て事業を開始しています。
以上の結果、不動産事業の業績は、売上高99億8千万円(前年同期比23.4%減)、営業利益31億5千5百万円(前年同期比9.1%減)となりました。
f. 百貨店事業
百貨店事業は、業績改善に向けテナント経営化を進めましたが、取組が難航するとともに既存店舗の退店が相次ぎ、厳しい状況が継続しました。加えて建物の老朽化問題もあり、平成30年6月30日を以て、百貨店店舗の営業を終了することといたしました。
以上の結果、百貨店事業の業績は、売上高138億6千9百万円(前年同期比7.7%減)、営業損失7億3千5百万円(前年同期は営業損失8億2千8百万円)となりました。
g. ホテル事業
ホテル事業では、宿泊部門は訪日外国人客数が順調に推移し、平成29年4月開業の「レゴランド・ジャパン」関連の家族旅行需要も取り込み、好調に推移しましたが、宴会部門は法人宴会の縮小、婚礼の件数減少及び小規模化により前年割れとなりました。レストラン部門は名駅地区の新店ラッシュの影響を受け、ディナーを中心に来客数が減少し苦戦を強いられました。
以上の結果、ホテル事業の業績は、売上高153億5千5百万円(前年同期比6.2%減)、営業利益2億7百万円(前年同期比42.2%減)となりました。
h. その他の事業
保険代理店業及びリース事業では、グループ内取引を中心におおむね安定した収益を確保しております。
以上の結果、その他の事業の業績は、売上高21億4千8百万円(前年同期比10.5%減)、営業利益1千3百万円(前年同期比76.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末より103億5千4百万円増加し、502億1千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は144億1千万円となり、前年同期と比べ53億3千1百万円減少しました。これは主に、売上債権の増減額が増加したこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は3億5千2百万円となり、前年同期と比べ37億7千1百万円減少しました。これは主に、固定資産の売却による収入が増加したこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は42億1千5百万円となり、前年同期と比べ33億7千7百万円減少しました。これは主に、短期借入金の純増減額が増加したこと等によります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
医薬事業 (百万円)113,504101.9
環境・省エネ事業 (百万円)8,983129.1
合計 (百万円)122,487103.5

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
生活関連事業 (百万円)43,314112.6
産業関連事業 (百万円)196,166161.1
医薬事業 (百万円)142,765103.3
環境・省エネ事業 (百万円)10,729131.0
不動産事業 (百万円)9,98076.6
百貨店事業 (百万円)13,86992.3
ホテル事業 (百万円)15,35593.8
報告セグメント計(百万円)432,180123.1
その他の事業 (百万円)2,14889.5
合計 (百万円)434,329122.9

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、この連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用等に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは過去の実績や現在の状況に応じて合理的と考えられる方法によって行っておりますが、見積りには不確実性を伴うため実際の結果とは異なる場合があります。
②財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ455億1千8百万円増加し、4,987億4千4百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加等により前連結会計年度末に比べ331億2千7百万円増加し、2,336億8千4百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の増加等により前連結会計年度末に比べ123億9千1百万円増加し、2,650億6千万円となりました。
総負債につきましては、前連結会計年度末に比べ384億4千8百万円増加し、3,682億6千1百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動負債は、支払手形及び買掛金の増加等により前連結会計年度末に比べ325億5百万円増加し、2,269億1千6百万円となりました。固定負債は、繰延税金負債の増加等により前連結会計年度末に比べ59億4千2百万円増加し、1,413億4千4百万円となりました。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)につきましては67億6千7百万円となり、流動比率は103.0%となっております。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ70億7千万円増加し、1,304億8千3百万円となりました。この主な要因は、その他有価証券評価差額金の増加等によるものです。自己資本比率につきましては、24.7%となっております。
③経営成績の分析
売上高は、4,343億2千9百万円となり、前年同期に比べ22.9%の増収となりました。
売上総利益は、前年同期比7.6%増の1,361億9千2百万円となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費が研究開発費の増加等により前年同期比9.5%増の1,298億6千1百万円となったことから、前年同期比20.3%減の63億3千1百万円となりました。
経常利益は、為替差損の増加等の結果、前年同期比35.7%減の47億1千5百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、負ののれん発生益、減損損失、事業整理損等の特別損益の計上及び法人税等の負担額の計上の結果、11億6千4百万円の損失(前年同期は25億4千4百万円の利益)となりました。
なお、各セグメント別の内容については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
(3)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金需要としての商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用と設備資金需要としての工場等における建物、機械装置等設備投資によるものであります。
また、当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。