有価証券報告書-第115期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響で急速に悪化した後、一旦持ち直しの動きが見られたものの、2021年1月に緊急事態宣言が再発出されるなど、年度末にかけて再び不透明感が強まる状況となりました。
このような状況下、当社グループは「健康と環境」をテーマに様々な事業活動を展開し、特に新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた製品やサービスの提供に注力してまいりました。生活関連事業及び産業関連事業においては、全国の官公庁向けに医療用防護服、ガウン、手袋、フェイスシールド等の供給をしつつ、当社製品の安定供給に向け医薬品原料や衛生雑貨の原材料の確保にも努めました。医薬事業においては、マスク、消毒液等の供給に努めるとともに、富士検査センターを設置し新型コロナウイルスPCR検査サービスを開始しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,116億6千5百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益136億4千7百万円(前年同期比156.8%増)、経常利益140億2千4百万円(前年同期比250.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益52億1千7百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失10億2千8百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
a. 生活関連事業
釣具部門では、新型コロナウイルス感染症の影響で外食や旅行が制限される中、人ごみを避けて楽しめる釣りがブームとなり、釣具に対する需要が急激に拡大しました。それにより、釣具部材及び完成品の売上はともに伸長しました。
ファッション雑貨部門では、OEM事業や商品の代理販売からの脱却を目指した業務改革に取り組みました。履物関連ではアクティブシニアの健康に寄与する自社オリジナル商品の開発、介護関連では介護従事者に貢献できる雑貨用品や機能性シューズの開発、ペット関連ではペット向けサプリ、犬用サポーターや犬用運動用具などの商品開発を進めました。また、多様な商品の販売を可能とすべくECサイトの全面リニューアルを行いました。
テキスタイル部門では、新型コロナウイルス感染症の影響で、カジュアル素材を中心とした得意先への販売が、非常に厳しい結果となりました。一方、マスク需要による定番的なアイテムやガーゼ生地等の荷動きが安定し、切り売り用のプリント素材やユニフォーム用途の素材については比較的順調に推移しました。
アパレル部門では、外出自粛、店舗休業要請、インバウンド需要の消失等により、当初は売上の確保に非常に苦戦しましたが、家中需要の拡大によりカットソー商品や生活雑貨の販売が好調に推移しました。また、医療用防護服、使い捨て手袋、フェイスシールド等の衛生材の取扱いを上期から開始し、各地の官公庁等に納品することができました。
ユニフォーム部門では、新型コロナウイルス感染拡大の影響による企業業績の悪化により企業向けユニフォーム案件が激減し、厳しい状況で推移しましたが、防護服については新規大口取引先から上期より継続して受注することができました。また、医療用ガウン及びグローブについても各地の官公庁へ納品することができました。
キャラクター部門では、巣ごもり需要で手芸品市場が拡大し、ウォルトディズニー、サンリオ等のキャラクターを使用したプリント生地の販売が堅調に推移しました。また「鬼滅の刃」の人気により、そのキャラクター雑貨販売が大幅に増えました。
小売部門では、“Vivienne Westwood”ブランドを運営する㈱インコントロは、新型コロナウイルス感染症による店舗閉鎖で当初は売上が大きく減少しましたが、その後はインポート事業で前年を上回る売上をあげることができました。“TENERITA”ブランドを運営するテネリータ㈱は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で店舗における販売が非常に厳しい状況でしたが、家中需要の拡大もありECサイトを通じた比較的高額なタオルやルームウェア、ナイトウェア等の販売が大幅に伸長しました。なお、“franche lippée”ブランドを運営する㈱クリエイションは、新しいビジネスモデルへの再構築に取り組んでいましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け売上が低迷し、今後の事業継続が見通せない状況となったため、2020年9月末で解散しました。
以上の結果、生活関連事業の業績は、売上高399億9千9百万円(前年同期比5.8%減)、営業利益35億4千7百万円(前年同期比208.0%増)となりました。
b. 産業関連事業
機械部門では、新型コロナウイルス感染症の影響から国内製薬業界向けで設備計画の見直しや延期などがあり販売は低調に推移しました。引き続き非接触型認証システムを取り入れたデータインティグリティシステムの取扱いを進めてまいります。
船舶インフラ部門では、インド向け新造タグボート3隻を輸出しました。タグボートの需要は引き続き旺盛なため継続的な受注を目指しております。海外子会社経由の「ばら積み船(ケープサイズ)」の傭船ビジネスに関しても荷動きは堅調であり、信用リスクを見極めつつ新規案件の獲得を目指しております。
産業資材部門では、石材、タイル、ガラスなどの輸出入及び国内販売は、コロナ禍における世界的なコンテナ不足の影響もあり厳しい状況となりましたが、国内ゼネコン向け鉄筋、生コンクリートなどの販売が順調に進みました。新規事業として進めてきた解体現場への解体用桁資材レンタルは、来期より本格的な導入となり利益面での貢献が期待できる状況となりました。
化学品部門では、化学品原料・化粧品原料の輸出が、新型コロナウイルス感染症の影響による需要の落ち込み、コンテナ船の運賃上昇・コンテナ船不足などにより低調に推移しました。活性炭分野は、環境対策、水処理などの需要が堅調でしたが、工場稼働の停止や、コンテナ船不足などの影響を受けました。リチウム分野は、世界的な市場価格の下落、需要の落ち込みが続きましたが、EV需要に回復の兆しが見えてきました。引き続き次世代電池である全固体リチウム二次電池向け新規リチウム化合物の開発を進めております。
なお、連結対象の興和江守グループの業績は、上期は新型コロナウイルス感染症の影響もあり減収となりましたが、下期は自動車関連産業の回復により前年を上回る結果となり、通期では前年並みの売上となりました。
以上の結果、産業関連事業の業績は、売上高1,710億5百万円(前年同期比11.9%減)、営業利益34億9千7百万円(前年同期比25.2%減)となりました。
c. 医薬事業
医療用医薬品部門は、新型コロナウイルス感染症による受診抑制や医療機関の訪問規制などの影響で厳しい環境が続く中、当社主力品は堅調に推移しました。高脂血症治療剤「パルモディア錠」は、医療機関での採用が順調に伸長しております。2型糖尿病治療剤「デベルザ錠」及び販売承継した「アプルウェイ錠」については、「アプルウェイ錠」採用先を最優先に稼働しました。
OTC医薬品部門は、インバウンド需要の消滅やリモートワークの浸透による取引先店舗への来客数減少が目立つ中、新発売した「バンテリンコーワα」、「キューピーコーワαZEROドリンク」が好調に推移しました。ウイルス関連商材では、コルゲンコーワうがいぐすり、コーワ消毒液の他、手指の消毒による手荒れの急増により、ケラチナミンコーワクリーム類も大きく伸長しました。雑貨品は、バンテリンコーワサポーターが引き続き好調を維持しております。
海外展開におきましては、主力の医療用医薬品「リバロ錠」は、米国を始め、中南米、アジア地域への輸出、欧州・中東地域への原薬の輸出が堅調に推移しました。引き続き、アジア・欧州・中東・北アフリカ、中南米の未上市国における「リバロ錠」の申請、上市に取り組むとともに、「リバロ錠」及び他製品に関するグローバルな展開に向け取組みを進めております。新型コロナウイルス感染症の影響は、アジア地域において医療機関の訪問規制、営業活動の自粛、患者の受診控え等による一時的な現地売上の減少を招きましたが、各国でSNS等のITツールを駆使した販促活動を展開した結果、売上は回復傾向にあります。OTC医薬品・ヘルスケア品については、主要市場であるアジア地域において、引き続き興和ブランドの浸透を図りました。中国、韓国、台湾では、現地子会社を中心に、医薬品及びヘルスケア品を販売しております。また、新規市場の香港では、バンテリンサポーターと三次元マスクを主力ブランドとして、市場の開拓を行いました。ASEAN地域においては、バンテリンサポーターをシンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシアの5か国で販売しております。三次元マスクは、シンガポール、タイに加え、マレーシア市場に参入し、展開国は3か国になりました。
医療機器部門については、国内外ともに新型コロナウイルス感染症の影響を受け、器械、眼内レンズともに営業活動に大きな影響を受けましたが、新モデルとして発売したレーザーフレアーメーター及び新アルゴリズムを搭載した視野計の売上が好調に推移しました。また、感染症対策事業の一環として、富士事業所内にPCR検査センターを設置し稼働を始めるとともに、東京・名古屋・大阪にも同規模の検査所を開設する準備を進めております。
以上の結果、医薬事業の業績は、売上高1,658億2千1百万円(前年同期比13.9%増)、営業利益131億5千4百万円(前年同期比1412.0%増)となりました。
d. 環境・省エネ事業
環境・省エネ事業では、省人化のための製造設備需要が堅調で、産業用光学機器の販売は順調に推移しました。観光双眼鏡分野においては、新型コロナウイルス感染症の影響で利用数が低迷する中、いわゆる「アフターコロナ」の観光需要を見据え、双眼鏡の設置数を増やすべく稼働しました。レンズを製造する自社工場においては、レンズ生産用自動化ロボットを導入し自社製品の製造工程の効率化・省力化を進めました。
以上の結果、環境・省エネ事業の業績は、売上高79億9千7百万円(前年同期比3.4%増)、営業利益3億3千5百万円(前年同期は営業損失1億2千8百万円)となりました。
e. 不動産事業
不動産事業では、一戸建て等の販売部門は、春先から初夏にかけて展示場の一時閉鎖や感染症対策として事前予約制にした影響から成約件数が減少となりましたが、その後商況は回復し通期では前年並みの売上となりました。また、賃貸マンションの運営はコロナ禍においても順調に推移しましたが、オフィスビルでは、テナントの業績の落ち込みや働き方の変化により空室率が上昇してきており、賃料相場は下げに転じつつあります。テナントの退去や減床、賃料の減額要請なども出始めており、来期に向け不透明感が増しております。
以上の結果、不動産事業の業績は、売上高123億7千1百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益16億6百万円(前年同期比36.6%減)となりました。
f. ホテル事業
ホテル事業では、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。海外渡航制限、外出自粛要請により、訪日外国人客数及び国内旅行宿泊者数が大幅に減少し、宴会、婚礼、飲食等も激減となり大幅な減収となりました。なお、ホテルナゴヤキャッスルは2020年9月末に営業を休止し、ラグジュアリークラスホテルとして2024年度の開業を目指し計画を進めております。
以上の結果、ホテル事業の業績は、売上高36億4千7百万円(前年同期比72.5%減)、営業損失49億4千万円(前年同期は営業損失11億2千6百万円)となりました。
g. 食品事業
食品事業では、事業の柱である植物由来原料について新型コロナウイルス感染症の影響で荷渡しに懸念が生じましたが、製造業の生産低下が一服するとともに荷渡しも活発化し売上を確保できました。「ベジリッチ」ブランドの工場野菜では、販売をECサイトにも拡大しつつ、工場稼働率向上と原価低減を目指しております。米国ハワイ州におけるアワビ養殖事業は、設備改修を進め原価低減の効果が表れ始めましたが、新型コロナウイルス感染症による旅行者の激減により、販売面で非常に苦戦しました。
以上の結果、食品事業の業績は、売上高40億9千6百万円(前年同期比14.3%減)、営業損失9億7千9百万円(前年同期は営業損失7億7千8百万円)となりました。
h. その他の事業
保険代理店業及びリース事業では、グループ内取引を中心に販促に努め、安定した収益を確保しています。
以上の結果、その他の事業の業績は、売上高67億2千5百万円(前年同期比167.2%増)、営業損失8千9百万円(前期同期は営業利益6千8百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末より93億5百万円増加し、675億9千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は93億1千5百万円となり、前年同期と比べ1億8千万円増加しました。これは主に、仕入債務の増減額が増加したこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は70億7千3百万円となり、前年同期と比べ29億2千2百万円減少しました。これは主に、固定資産の売却による収入が増加したこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は69億1千1百万円(前年同期は、47億2千万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が増加したこと等によります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ313億8千1百万円増加し、5,224億9千9百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動資産は、現金及び預金の増加等により前連結会計年度末に比べ145億2千3百万円増加し、2,477億5千9百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の増加等により前連結会計年度末に比べ168億5千8百万円増加し、2,747億3千9百万円となりました。
総負債につきましては、前連結会計年度末に比べ106億4千4百万円増加し、3,890億7千7百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動負債は、短期借入金の減少等により前連結会計年度末に比べ55億2千7百万円減少し、2,512億7千6百万円となりました。固定負債は、長期借入金の増加等により前連結会計年度末に比べ161億7千1百万円増加し、1,378億1百万円となりました。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)につきましては△35億1千7百万円となり、流動比率は98.6%となっております。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ207億3千7百万円増加し、1,334億2千1百万円となりました。この主な要因は、その他有価証券評価差額金の増加等によるものです。自己資本比率につきましては、24.2%となっております。
経営成績の分析
売上高は、4,116億6千5百万円となり、前年同期に比べ2.6%の減収となりました。
売上総利益は、前年同期比0.5%減の1,359億1千8百万円となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費が販売促進費の減少等により前年同期比6.9%減の1,222億7千1百万円となったことから、前年同期比156.8%増の136億4千7百万円となりました。
経常利益は、支払利息の減少等により前年同期比250.6%増の140億2千4百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、固定資産売却益、減損損失等の特別損益の計上及び法人税等の負担額の計上の結果、52億1千7百万円の利益(前年同期は10億2千8百万円の損失)となりました。
なお、各セグメント別の内容については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金需要としての商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用と設備資金需要としての工場等における建物、機械装置等設備投資によるものであります。
また、当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響で急速に悪化した後、一旦持ち直しの動きが見られたものの、2021年1月に緊急事態宣言が再発出されるなど、年度末にかけて再び不透明感が強まる状況となりました。
このような状況下、当社グループは「健康と環境」をテーマに様々な事業活動を展開し、特に新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた製品やサービスの提供に注力してまいりました。生活関連事業及び産業関連事業においては、全国の官公庁向けに医療用防護服、ガウン、手袋、フェイスシールド等の供給をしつつ、当社製品の安定供給に向け医薬品原料や衛生雑貨の原材料の確保にも努めました。医薬事業においては、マスク、消毒液等の供給に努めるとともに、富士検査センターを設置し新型コロナウイルスPCR検査サービスを開始しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,116億6千5百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益136億4千7百万円(前年同期比156.8%増)、経常利益140億2千4百万円(前年同期比250.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益52億1千7百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失10億2千8百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
a. 生活関連事業
釣具部門では、新型コロナウイルス感染症の影響で外食や旅行が制限される中、人ごみを避けて楽しめる釣りがブームとなり、釣具に対する需要が急激に拡大しました。それにより、釣具部材及び完成品の売上はともに伸長しました。
ファッション雑貨部門では、OEM事業や商品の代理販売からの脱却を目指した業務改革に取り組みました。履物関連ではアクティブシニアの健康に寄与する自社オリジナル商品の開発、介護関連では介護従事者に貢献できる雑貨用品や機能性シューズの開発、ペット関連ではペット向けサプリ、犬用サポーターや犬用運動用具などの商品開発を進めました。また、多様な商品の販売を可能とすべくECサイトの全面リニューアルを行いました。
テキスタイル部門では、新型コロナウイルス感染症の影響で、カジュアル素材を中心とした得意先への販売が、非常に厳しい結果となりました。一方、マスク需要による定番的なアイテムやガーゼ生地等の荷動きが安定し、切り売り用のプリント素材やユニフォーム用途の素材については比較的順調に推移しました。
アパレル部門では、外出自粛、店舗休業要請、インバウンド需要の消失等により、当初は売上の確保に非常に苦戦しましたが、家中需要の拡大によりカットソー商品や生活雑貨の販売が好調に推移しました。また、医療用防護服、使い捨て手袋、フェイスシールド等の衛生材の取扱いを上期から開始し、各地の官公庁等に納品することができました。
ユニフォーム部門では、新型コロナウイルス感染拡大の影響による企業業績の悪化により企業向けユニフォーム案件が激減し、厳しい状況で推移しましたが、防護服については新規大口取引先から上期より継続して受注することができました。また、医療用ガウン及びグローブについても各地の官公庁へ納品することができました。
キャラクター部門では、巣ごもり需要で手芸品市場が拡大し、ウォルトディズニー、サンリオ等のキャラクターを使用したプリント生地の販売が堅調に推移しました。また「鬼滅の刃」の人気により、そのキャラクター雑貨販売が大幅に増えました。
小売部門では、“Vivienne Westwood”ブランドを運営する㈱インコントロは、新型コロナウイルス感染症による店舗閉鎖で当初は売上が大きく減少しましたが、その後はインポート事業で前年を上回る売上をあげることができました。“TENERITA”ブランドを運営するテネリータ㈱は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で店舗における販売が非常に厳しい状況でしたが、家中需要の拡大もありECサイトを通じた比較的高額なタオルやルームウェア、ナイトウェア等の販売が大幅に伸長しました。なお、“franche lippée”ブランドを運営する㈱クリエイションは、新しいビジネスモデルへの再構築に取り組んでいましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け売上が低迷し、今後の事業継続が見通せない状況となったため、2020年9月末で解散しました。
以上の結果、生活関連事業の業績は、売上高399億9千9百万円(前年同期比5.8%減)、営業利益35億4千7百万円(前年同期比208.0%増)となりました。
b. 産業関連事業
機械部門では、新型コロナウイルス感染症の影響から国内製薬業界向けで設備計画の見直しや延期などがあり販売は低調に推移しました。引き続き非接触型認証システムを取り入れたデータインティグリティシステムの取扱いを進めてまいります。
船舶インフラ部門では、インド向け新造タグボート3隻を輸出しました。タグボートの需要は引き続き旺盛なため継続的な受注を目指しております。海外子会社経由の「ばら積み船(ケープサイズ)」の傭船ビジネスに関しても荷動きは堅調であり、信用リスクを見極めつつ新規案件の獲得を目指しております。
産業資材部門では、石材、タイル、ガラスなどの輸出入及び国内販売は、コロナ禍における世界的なコンテナ不足の影響もあり厳しい状況となりましたが、国内ゼネコン向け鉄筋、生コンクリートなどの販売が順調に進みました。新規事業として進めてきた解体現場への解体用桁資材レンタルは、来期より本格的な導入となり利益面での貢献が期待できる状況となりました。
化学品部門では、化学品原料・化粧品原料の輸出が、新型コロナウイルス感染症の影響による需要の落ち込み、コンテナ船の運賃上昇・コンテナ船不足などにより低調に推移しました。活性炭分野は、環境対策、水処理などの需要が堅調でしたが、工場稼働の停止や、コンテナ船不足などの影響を受けました。リチウム分野は、世界的な市場価格の下落、需要の落ち込みが続きましたが、EV需要に回復の兆しが見えてきました。引き続き次世代電池である全固体リチウム二次電池向け新規リチウム化合物の開発を進めております。
なお、連結対象の興和江守グループの業績は、上期は新型コロナウイルス感染症の影響もあり減収となりましたが、下期は自動車関連産業の回復により前年を上回る結果となり、通期では前年並みの売上となりました。
以上の結果、産業関連事業の業績は、売上高1,710億5百万円(前年同期比11.9%減)、営業利益34億9千7百万円(前年同期比25.2%減)となりました。
c. 医薬事業
医療用医薬品部門は、新型コロナウイルス感染症による受診抑制や医療機関の訪問規制などの影響で厳しい環境が続く中、当社主力品は堅調に推移しました。高脂血症治療剤「パルモディア錠」は、医療機関での採用が順調に伸長しております。2型糖尿病治療剤「デベルザ錠」及び販売承継した「アプルウェイ錠」については、「アプルウェイ錠」採用先を最優先に稼働しました。
OTC医薬品部門は、インバウンド需要の消滅やリモートワークの浸透による取引先店舗への来客数減少が目立つ中、新発売した「バンテリンコーワα」、「キューピーコーワαZEROドリンク」が好調に推移しました。ウイルス関連商材では、コルゲンコーワうがいぐすり、コーワ消毒液の他、手指の消毒による手荒れの急増により、ケラチナミンコーワクリーム類も大きく伸長しました。雑貨品は、バンテリンコーワサポーターが引き続き好調を維持しております。
海外展開におきましては、主力の医療用医薬品「リバロ錠」は、米国を始め、中南米、アジア地域への輸出、欧州・中東地域への原薬の輸出が堅調に推移しました。引き続き、アジア・欧州・中東・北アフリカ、中南米の未上市国における「リバロ錠」の申請、上市に取り組むとともに、「リバロ錠」及び他製品に関するグローバルな展開に向け取組みを進めております。新型コロナウイルス感染症の影響は、アジア地域において医療機関の訪問規制、営業活動の自粛、患者の受診控え等による一時的な現地売上の減少を招きましたが、各国でSNS等のITツールを駆使した販促活動を展開した結果、売上は回復傾向にあります。OTC医薬品・ヘルスケア品については、主要市場であるアジア地域において、引き続き興和ブランドの浸透を図りました。中国、韓国、台湾では、現地子会社を中心に、医薬品及びヘルスケア品を販売しております。また、新規市場の香港では、バンテリンサポーターと三次元マスクを主力ブランドとして、市場の開拓を行いました。ASEAN地域においては、バンテリンサポーターをシンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシアの5か国で販売しております。三次元マスクは、シンガポール、タイに加え、マレーシア市場に参入し、展開国は3か国になりました。
医療機器部門については、国内外ともに新型コロナウイルス感染症の影響を受け、器械、眼内レンズともに営業活動に大きな影響を受けましたが、新モデルとして発売したレーザーフレアーメーター及び新アルゴリズムを搭載した視野計の売上が好調に推移しました。また、感染症対策事業の一環として、富士事業所内にPCR検査センターを設置し稼働を始めるとともに、東京・名古屋・大阪にも同規模の検査所を開設する準備を進めております。
以上の結果、医薬事業の業績は、売上高1,658億2千1百万円(前年同期比13.9%増)、営業利益131億5千4百万円(前年同期比1412.0%増)となりました。
d. 環境・省エネ事業
環境・省エネ事業では、省人化のための製造設備需要が堅調で、産業用光学機器の販売は順調に推移しました。観光双眼鏡分野においては、新型コロナウイルス感染症の影響で利用数が低迷する中、いわゆる「アフターコロナ」の観光需要を見据え、双眼鏡の設置数を増やすべく稼働しました。レンズを製造する自社工場においては、レンズ生産用自動化ロボットを導入し自社製品の製造工程の効率化・省力化を進めました。
以上の結果、環境・省エネ事業の業績は、売上高79億9千7百万円(前年同期比3.4%増)、営業利益3億3千5百万円(前年同期は営業損失1億2千8百万円)となりました。
e. 不動産事業
不動産事業では、一戸建て等の販売部門は、春先から初夏にかけて展示場の一時閉鎖や感染症対策として事前予約制にした影響から成約件数が減少となりましたが、その後商況は回復し通期では前年並みの売上となりました。また、賃貸マンションの運営はコロナ禍においても順調に推移しましたが、オフィスビルでは、テナントの業績の落ち込みや働き方の変化により空室率が上昇してきており、賃料相場は下げに転じつつあります。テナントの退去や減床、賃料の減額要請なども出始めており、来期に向け不透明感が増しております。
以上の結果、不動産事業の業績は、売上高123億7千1百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益16億6百万円(前年同期比36.6%減)となりました。
f. ホテル事業
ホテル事業では、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。海外渡航制限、外出自粛要請により、訪日外国人客数及び国内旅行宿泊者数が大幅に減少し、宴会、婚礼、飲食等も激減となり大幅な減収となりました。なお、ホテルナゴヤキャッスルは2020年9月末に営業を休止し、ラグジュアリークラスホテルとして2024年度の開業を目指し計画を進めております。
以上の結果、ホテル事業の業績は、売上高36億4千7百万円(前年同期比72.5%減)、営業損失49億4千万円(前年同期は営業損失11億2千6百万円)となりました。
g. 食品事業
食品事業では、事業の柱である植物由来原料について新型コロナウイルス感染症の影響で荷渡しに懸念が生じましたが、製造業の生産低下が一服するとともに荷渡しも活発化し売上を確保できました。「ベジリッチ」ブランドの工場野菜では、販売をECサイトにも拡大しつつ、工場稼働率向上と原価低減を目指しております。米国ハワイ州におけるアワビ養殖事業は、設備改修を進め原価低減の効果が表れ始めましたが、新型コロナウイルス感染症による旅行者の激減により、販売面で非常に苦戦しました。
以上の結果、食品事業の業績は、売上高40億9千6百万円(前年同期比14.3%減)、営業損失9億7千9百万円(前年同期は営業損失7億7千8百万円)となりました。
h. その他の事業
保険代理店業及びリース事業では、グループ内取引を中心に販促に努め、安定した収益を確保しています。
以上の結果、その他の事業の業績は、売上高67億2千5百万円(前年同期比167.2%増)、営業損失8千9百万円(前期同期は営業利益6千8百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末より93億5百万円増加し、675億9千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は93億1千5百万円となり、前年同期と比べ1億8千万円増加しました。これは主に、仕入債務の増減額が増加したこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は70億7千3百万円となり、前年同期と比べ29億2千2百万円減少しました。これは主に、固定資産の売却による収入が増加したこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は69億1千1百万円(前年同期は、47億2千万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が増加したこと等によります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
医薬事業 (百万円) | 133,765 | 122.3 |
環境・省エネ事業 (百万円) | 5,861 | 110.4 |
食品事業 (百万円) | 426 | - |
合計 (百万円) | 140,053 | 122.1 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
生活関連事業 (百万円) | 39,999 | 94.2 |
産業関連事業 (百万円) | 171,005 | 88.1 |
医薬事業 (百万円) | 165,821 | 113.9 |
環境・省エネ事業 (百万円) | 7,997 | 103.4 |
不動産事業 (百万円) | 12,371 | 100.9 |
ホテル事業 (百万円) | 3,647 | 27.5 |
食品事業 (百万円) | 4,096 | 85.7 |
報告セグメント計(百万円) | 404,939 | 96.4 |
その他の事業 (百万円) | 6,725 | 267.2 |
合計 (百万円) | 411,665 | 97.4 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ313億8千1百万円増加し、5,224億9千9百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動資産は、現金及び預金の増加等により前連結会計年度末に比べ145億2千3百万円増加し、2,477億5千9百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の増加等により前連結会計年度末に比べ168億5千8百万円増加し、2,747億3千9百万円となりました。
総負債につきましては、前連結会計年度末に比べ106億4千4百万円増加し、3,890億7千7百万円となりました。その内訳は次のとおりです。
流動負債は、短期借入金の減少等により前連結会計年度末に比べ55億2千7百万円減少し、2,512億7千6百万円となりました。固定負債は、長期借入金の増加等により前連結会計年度末に比べ161億7千1百万円増加し、1,378億1百万円となりました。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)につきましては△35億1千7百万円となり、流動比率は98.6%となっております。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ207億3千7百万円増加し、1,334億2千1百万円となりました。この主な要因は、その他有価証券評価差額金の増加等によるものです。自己資本比率につきましては、24.2%となっております。
経営成績の分析
売上高は、4,116億6千5百万円となり、前年同期に比べ2.6%の減収となりました。
売上総利益は、前年同期比0.5%減の1,359億1千8百万円となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費が販売促進費の減少等により前年同期比6.9%減の1,222億7千1百万円となったことから、前年同期比156.8%増の136億4千7百万円となりました。
経常利益は、支払利息の減少等により前年同期比250.6%増の140億2千4百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、固定資産売却益、減損損失等の特別損益の計上及び法人税等の負担額の計上の結果、52億1千7百万円の利益(前年同期は10億2千8百万円の損失)となりました。
なお、各セグメント別の内容については、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金需要としての商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用と設備資金需要としての工場等における建物、機械装置等設備投資によるものであります。
また、当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。