有価証券報告書-第75期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

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2020/03/27 10:19
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業収益を背景に、雇用情勢や所得環境の改善が続き、緩やかな回復傾向で推移いたしました。一方で、通商問題を巡る緊張、英国のEU離脱問題等の海外経済の動向や消費増税後の消費者マインドの動向など、依然として不透明な状態が続いております。
小売業界におきましては、消費者の商品やサービスに対する目は依然厳しく、また、消費行動の多様化及びプラットフォーム・ビジネスの拡大による競争激化も重なり、当社グループを取り巻く経営環境は引き続き厳しいものと認識しております。
このような経営環境の中、当連結会計年度の売上高は、通信販売事業事業規模を適正化したことや、株式会社ベルネージュダイレクト及び株式会社モバコレの連結範囲除外の影響により、891億50百万円(前期比21.3%減)となりました。
利益面に関しましては、通信販売事業における在庫削減及び人件費適正化をはじめとした全般的なコスト削減など事業構造改革の取り組みにより、営業利益は7億72百万円(前期は40億63百万円の営業損失)、持分法による投資利益の計上もあり経常利益は14億18百万円(前期は42億77百万円の経常損失)となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益及び投資有価証券売却益の計上などにより81億82百万円(前期は60億27百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「保険・クレジット事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
[通信販売事業]
カタログ及びインターネットを中心とする通信販売事業の当連結会計年度の売上高は613億円(前期比29.1%減)、営業損失は8億5百万円(前期は56億33百万円の営業損失)となりました。
同連結会計期間においては、事業構造改革に取り組み、発注オペレーションの改善による在庫水準の適正化や、粗利率の改善に向けての取引先との協業強化、現地法人の運営適正化を実施してまいりました。
また、株式会社ベルネージュダイレクト及び株式会社モバコレの連結範囲除外に加え、販売チャネル戦略・販促施策の見直し及びMD(マーチャンダイジング)改革により、事業規模の適正化を行った一方、再成長に向けて、ベルメゾンのブランドスローガン「愛、のち、アイデア。」を新たに策定し、「愛からはじまるアイデア」の想いを込めて「#7秒ハグ」のTV CM、WEB CMを実施するなど、集客力の強化にも取り組んでまいりました。引き続き構造改革を推し進め、会員基盤の維持・再構築と商品力・提案力の強化を図ってまいります。
[ブライダル事業]
ハウスウエディングを中心とするブライダル事業の当連結会計年度の売上高は206億76百万円(前期比6.7%増)となりました。営業利益は9億71百万円(前期比3.3%減)となりました。
2019年1月に「ザ・ベイスイート桜島テラス」(鹿児島県)をオープンし、ゲストハウス数は25店舗となり、売上高は堅調に推移しておりますが、利益面では新店のオープン及び「迎賓館」(大阪府)における施設のリニューアル工事に伴う費用の先行発生等により減益となりました。リニューアル後におきましては堅調に推移しており、引き続きドミナント戦略に基づき地方中堅都市を中心とした新規出店及び周辺事業の拡大を図ってまいります。
[法人事業]
法人向けの商品・サービスを提供する法人事業の当連結会計年度の売上高は47億57百万円(前期比7.8%減)となりました。営業利益は3億58百万円(前期比5.6%増)となりました。
非効率事業の見直しを実施したことにより減収となりましたが、構造改革による販売費及び一般管理費率の低減等により増益となりました。
[保険・クレジット事業]
ベルメゾン会員を中心に保険選びのサポートやポイント率の高いクレジットカードをご紹介する保険・クレジット事業の当連結会計年度の売上高は、5億74百万円(前年同期比8.5%減)となりました。営業利益は3億7百万円(前年同期比19.9%増)となりました。
[その他]
子育て支援事業、化粧品の製造販売事業等を行うその他事業の当連結会計年度の売上高は18億41百万円(前期比7.3%増)となりました。利益面は子育て支援事業における新園開園に伴う費用の先行発生等により営業損失は60百万円(前期は31百万円の営業損失)となりました。子育て支援事業におきましては、2019年4月に「えがおの森保育園・あさくさ」(東京都台東区)及び「えがおの森保育園・あさがや」(東京都杉並区)を開園、また付加価値を追求した周辺事業として「学童保育事業」を大阪市にて運営開始し、施設数は11園となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は227億13百万円となり、前連結会計年度末と比較して55億66百万円の増加となりました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、29億11百万円の収入(前期は19億50百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益80億11百万円であり、主なマイナス要因は、固定資産除売却損益55億32百万円であります。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、86億85百万円の収入(前期は31億96百万円の収入)となりました。主なプラス要因は、有形固定資産の売却による収入85億29百万円であり、主なマイナス要因は、有形固定資産の取得による支出16億90百万円であります。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、60億27百万円の支出(前期は14億14百万円の支出)となりました。主なマイナス要因は、新株予約権付社債の償還による支出43億40百万円、長期借入金の返済による支出13億98百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため記載を省略しております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
通信販売事業31,310△32.1
ブライダル事業1,461+5.2
法人事業232+1.3
保険・クレジット事業--
報告セグメント計33,004△30.8
その他41△14.3
合計33,046△30.8

(注)1.金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
通信販売事業61,300△29.1
ブライダル事業20,676+6.7
法人事業4,757△7.8
保険・クレジット事業574△8.5
報告セグメント計87,309△21.8
その他1,841+7.3
合計89,150△21.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.数量については、品目が多岐にわたるため、表示を省略しております。
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しており、経営成績又は財政状態に重要な影響を及ぼす見積り・判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる要因を考慮して行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在することから、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
a.売上高
売上高につきましては、891億50百万円(前期比21.3%減)となりました。売上高をセグメントごとに分析すると、通信販売事業は613億円(前期比29.1%減)、ブライダル事業は206億76百万円(前期比6.7%増)、法人事業は47億57百万円(前期比7.8%減)、保険・クレジット事業は5億74百万円(前期比8.5%減)、その他の事業は18億41百万円(前期比7.3%増)となりました。
b.売上原価
売上原価は439億69百万円となり、前連結会計年度と比較して210億50百万円減少(前期比32.4%減)となりました。仕入原価率の大幅改善及び在庫の評価損や償却の減少により売上原価率は前連結会計年度の57.4%から49.3%へ改善いたしました。
c.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は444億8百万円となり、前連結会計年度と比較して79億80百万円減少(前期比15.2%減)となりました。
これは、株式会社ベルネージュダイレクト及び株式会社モバコレを連結の範囲から除外したことや、全般的なコスト見直しによる各費用の削減によるものであります。
d.営業利益
以上により、営業利益は7億72百万円(前期は40億63百万円の営業損失)となりました。
e.営業外損益及び経常利益
営業外収益は、持分法による投資利益4億21百万円(前期は-百万円)、債務勘定整理益2億55百万円(前期比5.7%減)、受取配当金35百万円(前期比42.3%減)及び受取利息23百万円(前期比19.7%減)等を計上したことにより、9億19百万円(前期比57.9%増)となりました。
営業外費用は、支払利息1億26百万円(前期比12.6%減)及び支払手数料38百万円(前期比92.5%減)等を計上したことにより、2億73百万円(前期比65.7%減)となりました。
以上により、経常利益は14億18百万円(前期は42億77百万円の経常損失)となりました。
f.特別損益、税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、固定資産売却益56億23百万円(前期は25百万円)、投資有価証券売却益9億36百万円(前期比80.8%増)、補助金収入3億36百万円(前期比625.7%増)及び関係会社株式売却益3億36百万円(前期は-百万円)を計上したことにより、72億32百万円(前期は5億90百万円)となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損3億11百万円(前期比571.8%増)及び事業構造改革費用1億65百万円(前期比88.6%減)等を計上したことにより、6億39百万円(前期比72.5%減)となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は80億11百万円(前期は税金等調整前当期純損失60億16百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は81億82百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失60億27百万円)となりました。
③ 当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて22億85百万円減少し、736億64百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ19億98百万円増加し、422億93百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が16億77百万円、商品及び製品が10億91百万円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が55億62百万円増加したことが主な要因であります。また固定資産は、有形固定資産が37億17百万円、無形固定資産が38百万円、投資その他の資産が5億27百万円それぞれ減少したことにより前連結会計年度末に比べ42億83百万円減少し、313億70百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ86億74百万円減少し、200億94百万円となりました。これは、1年内償還予定の新株予約権付社債が43億40百万円、未払金が16億24百万円、買掛金が13億41百万円それぞれ減少したことが主な要因であります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ12億48百万円減少し、110億78百万円となりました。これは、長期借入金が12億40百万円減少したことが主な要因であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ76億37百万円増加し、424億90百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益81億82百万円を計上したことが主な要因であります。この結果、自己資本比率は57.7%となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
④ 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入原価や運賃・販売促進費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は10,724百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は22,713百万円となっております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、通信販売事業における早期の業績回復及び安定化を実現するためには更なる抜本的な事業構造改革が必要と判断し、2018年12月期から2020年12月期までの3期を計画期間とする中期経営計画を見直し、2019年12月期から2021年12月期までの3期に変更いたしました。同計画において連結売上高920億円以上、連結営業利益40億円以上を最終期である2021年12月期に達成すべき数値目標として定めております。
通信販売事業における在庫縮減及び人件費適正化等の主要なコスト関連施策はすでに完了しており、2019年度には、オペレーション改革として機会損失低減と余剰在庫抑制の両立を実現するための在庫適正化ルールを策定、運用を実施し、その効果が発現してきております。また、粗利率の改善を目的としたオペレーション改革も引き続き進めることにより収益基盤の強化を図ります。さらに、これらの事業構造改革に加え、再成長に向けた施策として、新たなマーケティング戦略による販売力強化を進めてまいります。これらの取組みを着実に実行することにより、強固な収益基盤の構築と再成長を実現し、目標営業利益の達成及び企業価値の向上を図ってまいります。
(参考)2019年12月期実績
・連結売上高 89,150百万円、連結営業利益 772百万円
⑥ 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策
当社グループは「2 事業等のリスク(14)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に対処すべく、以下の対応策を実施しております。
早期の業績回復を実現するため、2019年度より始まり2021年度を最終年度とする中期経営計画に基づき、通信販売事業を中心に事業構造改革を進めております。
計画初年度である当連結会計年度においては、機会損失低減と余剰在庫抑制の両立を実現するための在庫適正化ルールの策定・運用を実施する等、通信販売事業のオペレーション改革に注力してまいりました。この結果、構造的に評価損の発生が抑えられ、粗利率が改善しております。また、大阪及び東京本社の移転並びに組織再編等の資産・組織のスリム化を推進することにより、固定費の削減も進めてまいりました。
さらに、再成長に向けて、カタログ起点での集客モデルの再構築として、マーケティング施策の検討・実行単位を「商品軸」から「顧客軸」にシフトし、お客様のニーズに即して複数ジャンルの商品を掲載したジャンル横断カタログによるアプローチを開始しております。また、ベルメゾンのブランドスローガン「愛、のち、アイデア。」を新たに策定し、「愛からはじまるアイデア」の想いを込めて「#7秒ハグ」のTV CM、WEB CMを実施するなど、集客力の強化にも取り組んでおります。
このような取組みの結果、当連結会計年度においては、当初業績予想を上回る連結営業利益を計上しております。今後も、各種の改善施策を確実に実行することにより、強固な収益基盤の構築と再成長を実現し、業績回復及び安定化に努めてまいります。