有価証券報告書-第46期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 11:19
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【項目】
139項目
経営成績等の状況の概要
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善し緩やかな回復基調で推移してまいりましたが、海外経済の不確実性に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、急速に先行きの不透明感が高まりました。
また、衣料品小売業界におきましては、10月以降の気温が高く推移したことによる秋冬物衣料品の販売不振、消費税率の引き上げによる節約志向の高まりなどにより、厳しい状況で推移いたしました。
このような環境の下、当社グループにおきましては前期に引き続き「健康」をキーワードに事業を展開するなど他社との差別化戦略を行いました。具体的には「ストレス対策スーツ」やファイテン株式会社と共同開発した「ファイテンシリーズ商品」、株式会社タニタとコラボレーションしたスーツなどの商品がお客様からご好評いただきました。さらに、当社グループで展開中の完全ノーアイロン「i Shirt ( アイシャツ) 」が販売開始から、累計販売枚数500万枚を突破いたしました。このほかSDGsへの取り組みとして海洋プラスチックごみの削減に貢献できる「ECO i-Shirt(エコアイシャツ)」(包装用プラスチック資材を廃止し、素材には再生ポリエステル100%生地を採用)を開発し、オンラインモールにて販売を始めました。同商品は2019年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。
SDGsへの取り組みは商品面だけでなく、当社グループの店舗にてプラスチック原料のショッピングバッグを順次廃止するなど、今後も環境に配慮した取り組みを積極的に推進してまいります。
また、「はるやま」の店舗において、「クリーニング」や「リフレッシュカプセル」などライフスタイルに関連する、様々なサービスを提供する「ほっとひと息ステーション」を順次拡大しております。
店舗数に関しましては、グループ全体で11店舗新規出店した一方で、15店舗を閉店したこと、また連結子会社(株式会社BASE)の事業譲渡に伴い6店舗減少した結果、当連結会計年度末の総店舗数は464店舗となりました。
なお、当社グループは衣料品販売事業以外に広告代理業等を営んでおりますが、重要性が乏しいため記載を省略しております。
また、当連結会計年度末の資産につきましては、主に現金及び預金が5億5千4百万円増加した一方で、未収入金が9億1千1百万円減少したことや未収還付法人税が8千2百万円減少したこと等の理由により、流動資産が5億1千9百万円減少いたしました。加えて新規出店の抑制により有形固定資産が3億1百万円減少したことなどで固定資産は2億5千6百万円減少しました。その結果、総資産は前連結会計年度末に比べて7億7千5百万円減少し、602億7千5百万円となりました。
負債につきましては、借入金が3億8千7百万円増加した一方で、未払法人税等が2億8百万円減少したことや未払金が1億8千2百万円減少したこと等の理由により、前連結会計年度末に比べて8億3千9百万円減少し、234億7千7百万円となりました。純資産につきましては、2億5千2百万円の期末配当を実施しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が4億2百万円あったことなどから、前連結会計年度末に比べ6千3百万円増加し、367億9千7百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度におきましては、暖冬による秋冬物衣料品の販売不振や消費税率引き上げの影響を受けつつも、「健康」をキーワードに事業を展開するなど他社との差別化戦略により1月から2月中旬にかけては堅調な売上推移をみせておりました。しかしながら、当社グループにおける事業の性質上、売上高構成比の高い2月下旬以降のフレッシャーズ商戦期において、新型コロナウイルスが感染拡大したことにより、3月の既存店(臨時休業店舗を含む)における売上高前年比が75.6%になりました。さらに、連結子会社2社の株式譲渡、事業譲渡を行ったことによる売上高の減少もあり、売上高505億8千2百万円(前年同期比8.9%減)となりました。利益面は、経費の効率化などを積極的に行い、営業利益3億7千6百万円(前年同期比79.4%減)、経常利益6億3千9百万円(前年同期比70.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4億2百万円(前年同連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失2億4千8百万円)の結果となり、黒字転換を果たすことが出来ました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ5億6千4百万円増加し、121億6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は15億8千7百万円(前年同期比66.6%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を3億1千1百万円計上したこと、減価償却費の計上が11億7千6百万円あったこと、売上債権の減少額が9億4千2百万円あった一方で、たな卸資産の増加額が2億7百万円あったこと、法人税等の支払額が6億4千万円あったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は10億1百万円(前年同期比40.2%増)となりました。これは主に新規出店・既存店の改装等による有形固定資産の取得及び差入保証金の差入による支出が9億8千4百万円あった一方で、差入保証金の回収による収入が2億3百万円あったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2千1百万円(前年同期比59.0%減)となりました。これは主に長期借入による収入が23億5千万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が19億5千1百万円あったことに加え、ファイナンス・リース債務の返済による支出が7千9百万円、配当金の支払額が2億5千2百万円あったことなどによるものであります。
③販売及び仕入の実績
a.販売実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
重衣料23,229,14393.2
[スーツ・礼服・コート]
中衣料4,516,26889.9
[ジャケット・スラックス]
軽衣料21,759,62988.6
[ワイシャツ・ネクタイ・カジュアル・小物・その他]
補修加工賃収入1,077,531104.3
衣料品販売事業(千円)50,582,57391.1
合計(千円)50,582,57391.1

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.仕入実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
重衣料8,347,95296.0
[スーツ・礼服・コート]
中衣料2,124,67993.1
[ジャケット・スラックス]
軽衣料10,119,53588.9
[ワイシャツ・ネクタイ・カジュアル・小物・その他]
衣料品販売事業(千円)20,592,16792.1
合計(千円)20,592,16792.1

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、暖冬による秋冬物衣料品の販売不振や消費税率引き上げの影響を受けつつも、「健康」をキーワードに事業を展開するなど他社との差別化戦略により1月から2月中旬にかけては堅調な売上推移をみせておりました。しかしながら、当社グループにおける事業の性質上、売上高構成比の高い2月下旬以降のフレッシャーズ商戦期において、新型コロナウイルスが感染拡大したことにより、3月の既存店(臨時休業店舗を含む)における売上高前年比が75.6%になりました。さらに、連結子会社2社の株式譲渡、事業譲渡を行ったことによる売上高の減少もあり、売上高505億8千2百万円(前年同期比8.9%減)となりました。
営業利益・経常利益につきましては、広告宣伝や新規出店の効率化などを積極的に行い、営業利益3億7千6百万円(前年同期比79.4%減)、経常利益6億3千9百万円(前年同期比70.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4億2百万円(前年同連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失2億4千8百万円)の結果となり、黒字転換を果たすことが出来ました。上記の結果により売上高経常利益率は1.3%であり目標の10%に届いておりませんが、物流改善による売上総利益率の改善に加え、広告宣伝や出店の効率化をさらに推進することにより販売費および一般管理費を抑制し、売上高経常利益率の向上に努めてまいります。
当連結会計年度末の資産につきましては、主に現金及び預金が5億5千4百万円増加した一方で、未収入金が9億1千1百万円減少したことや未収還付法人税が8千2百万円減少したこと等の理由により、流動資産が5億1千9百万円減少いたしました。加えて新規出店の抑制により有形固定資産が3億1百万円減少したことなどで固定資産は2億5千6百万円減少しました。その結果、総資産は前連結会計年度末に比べて7億7千5百万円減少し、602億7千5百万円となりました。
負債につきましては、借入金が3億8千7百万円増加した一方で、未払法人税等が2億8百万円減少したことや未払金が1億8千2百万円減少したこと等の理由により、前連結会計年度末に比べて8億3千9百万円減少し、234億7千7百万円となりました。純資産につきましては、2億5千2百万円の期末配当を実施しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が4億2百万円あったことなどから、前連結会計年度末に比べ6千3百万円増加し、367億9千7百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れのほか販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は6,782百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は12,106百万円となっております。
③重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、採用する会計方針は、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。特に以下の事項については経営者の会計上の見積りの判断が経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。
当社グループでは、繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損会計や等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。新型コロナウイルスの感染拡大による当社グループ事業への影響は、不確実性が大きい要素ではありますが、半年程度で概ね回復する仮定に基づき、会計上の見積りを行っております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として営業店舗、賃貸資産及び遊休資産という個別物件単位で資産のグルーピングを行っており、収益性の低下または土地の著しい時価の下落等により当該資産又は資産グループから得られる割引後将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。