有価証券報告書-第77期(2025/04/01-2026/03/31)
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績の状況
① 売上高
売上高は、前連結会計年度比2.6%増加し、681億9百万円となりました。主な増加要因は、原材料市況の影響により商品単価が上昇したことによるものです。業界別の販売量につきましては、海外向けならびに官需向けを中心に航空・宇宙業界向けの販売量が増加した一方、半導体製造装置業界向けの販売量は当連結会計年度後半に持ち直しの動きが見られたものの、当連結会計年度前半の需要低迷により通期では減少いたしました。
当連結会計年度におけるわが国経済は、円安基調の継続や地政学的リスクの長期化を背景とした原材料・エネルギー価格の高騰に加え、物価上昇による個人消費の持ち直しの遅れ、米国における通商政策の動向、中東地域をめぐる情勢などから、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの業績に影響が大きい半導体製造装置業界については、生成AI向け需要は引き続き拡大の動きが見られたものの、中国市場向け需要の回復が限定的であったことに加え、スマートフォンやパソコン向けの需要低迷の継続、EV需要の減速など生成AI関連以外の分野における需要回復の遅れもあり、当連結会計年度前半においては市況の低迷が続いておりました。しかしながら、生成AI向けを中心とした先端半導体のさらなる需要の高まり、生成AI関連以外の分野における在庫の正常化もあり、当連結会計年度後半以降、半導体向けの設備投資の動きが活発化し、需要の回復が顕著となりました。
その他、航空・宇宙業界は、民間機需要の持続的回復や防衛関連を中心に官需向けも好調に推移しております。また、工作機械業界においても半導体業界の積極投資の流れから外需向けを中心に回復の動きが見られ、内需向けも自動化・省力化投資を背景に持ち直しの動きが見られました。
このような状況のなか、当社グループは、品質・サービスの改善などにより受注率向上への取り組みに注力したほか、アルミニウムおよびステンレスの薄板の拡販強化、滋賀工場におけるファイバーレーザー加工機の導入による新規需要の取り込み、成長領域として捉えている航空・宇宙業界および自動車業界を中心に新規顧客の開拓、休眠顧客の再稼働に取り組んでまいりました。更に「白銅ネットサービス」の取扱アイテム数を2026年3月末時点で270,200アイテムまで拡充したほか、「DATAで見積り・注文」および「描いて見積り・注文」などの新機能の追加によりウォータージェット加工品、レーザー加工品の即時見積り・注文を可能にするなど、利便性の更なる向上に努めてまいりました。
製造面においては2026年1月に埼玉第二工場を新設し、半導体関連需要の拡大、航空・宇宙業界などの成長領域への拡販を踏まえた生産体制の強化を図ってまいりました。
連結子会社については、株式会社AQRにおいて売上高が商品単価の上昇等により前連結会計年度比で増加したほか、海外では上海白銅精密材料有限公司ならびにHakudo(Thailand)Co., Ltd.においても、前連結会計年度比で売上高が増加しました。一方、米国のWest Coast Aluminum & Stainless, LLCにおいては、前連結会計年度比で売上高が減少しました。
以上、顧客満足度の向上および事業領域拡大等の施策を着実に実行した結果、売上高は前連結会計年度比で増加となりました。
② 営業利益
営業利益は、前連結会計年度比3.7%減少し、28億7千2百万円となりました。
半導体製造装置業界向けの需要低迷により粗利益率の高い標準在庫品の販売量が減少したこと、工場の新設、増床に伴う支払地代家賃の増加など製造原価の固定費率上昇がありましたが、売上高の増加等により売上総利益は増加しました。一方で、運賃単価の上昇、広告宣伝活動の強化による費用増加、従業員のオフィス環境整備に伴う本社事務所の増床などにより販管費が増加したため営業利益は減少しました。なお、前連結会計年度の棚卸資産影響額は3億7千8百万円の差益でしたが、当期末の棚卸資産影響額は、4億1千1百万円の差益となりました。
棚卸資産影響額を除いた営業利益は、前連結会計年度比で5.5%減少し、24億6千1百万円となりました。
③ 経常利益
経常利益は、営業利益の減少により前連結会計年度比0.8%減少し、31億9千万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比4.1%減少し、21億4千6百万円となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりとなります。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
| セグメント | 売上高 | 営業利益 又は 営業損失(△) | 経常利益 又は 経常損失(△) | 親会社株主に帰属する 当期純利益 又は 親会社株主に帰属する 当期純損失(△) |
| 日本 | 59,371百万円 | 2,812百万円 | 3,088百万円 | 2,083百万円 |
| 北米 | 5,087百万円 | △97百万円 | △84百万円 | △86百万円 |
| 中国 | 1,926百万円 | △0百万円 | 28百万円 | 22百万円 |
| その他 | 1,723百万円 | 157百万円 | 157百万円 | 126百万円 |
(2)財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、475億6千4百万円と、対前連結会計年度末比で28億1千9百万円増加しました。
流動資産は、369億2千5百万円と、対前連結会計年度末比で18億9千6百万円増加しました。増加額内訳は、現金及び預金21億9千6百万円等です。減少額内訳は、受取手形及び売掛金3億7千2百万円等です。
固定資産は、106億3千8百万円と、対前連結会計年度末比で9億2千2百万円増加しました。増加額内訳は、投資有価証券の増加6億3千9百万円、投資その他の資産のうちその他に計上された、当社の連結子会社であるHakudo USA Inc.の長期貸付金の増加2億1千1百万円、当社の本社事務所および工場の増床に伴う差入保証金の増加1億4千1百万円、また有形固定資産の増加1億1千3百万円等です。減少額内訳は、無形固定資産1億2千3百万円です。
(負債)
負債合計は、220億9千8百万円と、対前連結会計年度末比で11億8百万円増加しました。
流動負債は、219億5千9百万円と、対前連結会計年度末比で10億3千9百万円増加しました。増加額内訳は、買掛金10億1千万円、流動負債その他に計上された、未払消費税2億9百万円、未払金1億4千万円、未払費用1億1千5百万円、また未払法人税等1億9百万円等です。減少額内訳は、電子記録債務6億2千万円等です。
固定負債は、1億3千9百万円と、対前連結会計年度末比で微増となりました。
(純資産)
純資産は、254億6千5百万円と、対前連結会計年度末比で17億1千万円増加しました。増加額内訳は、利益剰余金13億7千5百万円、為替換算調整勘定2億7千5百万円、その他有価証券評価差額金2億7千2百万円です。減少額内訳は、連結子会社であるWest Coast Aluminum & Stainless, LLCの出資持分追加取得による資本剰余金の減少2億1千2百万円です。
自己資本比率は、前連結会計年度末の53.1%から53.5%となりました。
(3)当期のキャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)残高は、前連結会計年度末に比べ、21億9千6百万円増加し、76億7千万円となりました。その内訳は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、44億9千3百万円の資金の増加(前年同期は17億8千2百万円の資金の増加)となりました。
増加額内訳は、税金等調整前当期純利益31億9千万円、減価償却費11億1千4百万円、売上債権の減少4億3千1百万円、仕入債務の増加3億4千8百万円、その他の流動負債の増加1億4千6百万円、未払費用の増加1億1千1百万円等です。減少額内訳は、法人税等の支払額9億8千9百万円等です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、13億7千3百万円の資金の減少(前年同期は8億9千3百万円の資金の減少)となりました。
減少額内訳は、有形固定資産の取得による支出7億8千8百万円、貸付けによる支出2億9百万円、その他の支出1億8千6百万円、投資有価証券の取得による支出1億4千3百万円、無形固定資産の取得による支出1億1百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、10億5千4百万円の資金の減少(前年同期は11億2千7百万円の資金の減少)となりました。
減少額内訳は、配当金の支払7億7千1百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出2億1千2百万円等です。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
該当事項はありません。
② 商品仕入実績
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 品目 | 日本 | 北米 | 中国 | その他 | 合計 | 対前期増減率 (%) |
| アルミ(千円) | 29,511,652 | 1,809,623 | 848,294 | 172,445 | 32,342,016 | △1.4% |
| 伸銅(千円) | 7,844,852 | - | 10,732 | 323,317 | 8,178,902 | 11.1% |
| ステンレス(千円) | 4,838,539 | 2,545,496 | 24,925 | 185,600 | 7,594,562 | △8.8% |
| その他(千円) | 2,012,487 | 153,179 | 397,504 | 15,372 | 2,578,543 | △18.2% |
| 合計(千円) | 44,207,531 | 4,508,299 | 1,281,456 | 696,736 | 50,694,024 | △1.8% |
③ 受注実績
該当事項はありません。
④ 販売実績
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 品目 | 日本 | 北米 | 中国 | その他 | 合計 | 対前期増減率 (%) |
| アルミ(千円) | 38,242,786 | 1,956,051 | 1,118,092 | 516,171 | 41,833,101 | 2.5% |
| 伸銅(千円) | 9,424,985 | - | 85,282 | 751,380 | 10,261,648 | 8.0% |
| ステンレス(千円) | 8,952,058 | 2,945,300 | 205,216 | 432,591 | 12,535,166 | △0.5% |
| その他(千円) | 2,751,814 | 186,435 | 518,398 | 23,024 | 3,479,672 | △0.3% |
| 合計(千円) | 59,371,644 | 5,087,787 | 1,926,989 | 1,723,167 | 68,109,588 | 2.6% |
(注)1. セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先はありません。
3. 外部顧客への売上高は自社(当社グループ)の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 売上高
ダントツの品質、ダントツのスピード、ダントツのサービス、納得してご購入頂ける価格の実現を目指すことで顧客満足度の向上を図っております。当連結会計年度は、海外向けならびに官需向けを中心に航空・宇宙業界向けの販売量が増加した一方、半導体製造装置業界向けの販売量は当連結会計年度後半に持ち直しの動きが見られたものの、当連結会計年度前半の需要低迷により通期では減少いたしました。また、原材料市況の影響により商品単価が上昇したことなどにより、売上高は前連結会計年度比2.6%増加し、681億9百万円となりました。
② 売上原価および売上総利益
売上高の増加に伴う仕入高の増加等により、売上原価は前連結会計年度比で3.0%増加し、575億円となりました。
この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度比で0.3%増加し、106億9百万円となりました。
③ 販売費及び一般管理費および営業損益
運賃単価の上昇、広告宣伝活動の強化による費用増加、従業員のオフィス環境整備に伴う本社事務所の増床等により、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比で1.9%増加し、77億3千7百万円となりました。
この結果、当連結会計年度における営業利益は、半導体製造装置業界向けの需要低迷により粗利益率の高い標準在庫品の販売量が減少したこと、工場の新設、増床に伴う支払地代家賃の増加など製造原価の固定費率が上昇したこと等により、前連結会計年度比3.7%減少し、28億7千2百万円となりました。
④ 営業外損益、経常損益および親会社株主に帰属する当期純損益
受取配当金等の営業外収益は、前連結会計年度比32.9%増加し3億4千1百万円となりました。不動産賃貸費用等の営業外費用は、前連結会計年度比7.8%減少し、2千4百万円となりました。
この結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度比で0.8%減少し、31億9千万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比で4.1%減少し、21億4千6百万円となりました。
⑤ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び・検討内容
(日本)
業績に影響が大きい半導体製造装置業界向け需要は、当連結会計年度後半に持ち直しの動きが見られたものの、当連結会計年度前半の需要低迷の影響により、通期では減少いたしました。一方、航空・宇宙業界向け需要は、海外向けならびに官需向けを中心に堅調に推移いたしました。売上高は593億7千1百万円(対前期2.5%増)、営業利益は28億1千2百万円(対前期10.1%減)、セグメント資産は458億4百万円(対前期6.2%増)となりました。
(北米)
アメリカ合衆国での新規顧客開拓や新規事業の準備など、新たな海外事業の拡大にも積極的に取り組んでまいりました。売上高は50億8千7百万円(対前期0.2%減)、営業損失は9千7百万円(対前期1億8千8百万円改善)、セグメント資産は42億1千5百万円(対前期49.9%増)となりました。
(中国)
品質向上と原価低減に努め、また代理店開拓や加工品拡販に注力した結果、売上高は19億2千6百万円(対前期9.9%増)、営業損失は0.7百万円(対前期1千2百万円改善)、セグメント資産は21億6千5百万円(対前期16.7%増)となりました。
(その他)
その他事業においても、業績向上に努め、売上高は17億2千3百万円(対前期4.6%増)、営業利益は1億5千7百万円(対前期2.8%増)、セグメント資産は14億2千4百万円(対前期35.6%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係わる情報
① キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、第一部 企業情報 第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)当期のキャッシュ・フローの概況をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売および在庫のための商品購入ならびに商品の加工費用のほか、販売費及び一般管理費等であります。販売費及び一般管理費の主なものは、人件費、運賃、業務委託費等であります。
③ 財務政策
当社グループは現在、運転資金については短期借入金により、設備資金については内部留保により調達することを基本としております。また、当社においては、取引銀行3行と貸出コミットメント契約を締結し、機動的な資金調達を行っております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際して、特に以下の項目が当社グループの財政状態および経営成績にとって重要であり、かつ経営判断および見積りに影響を及ぼすものと考えております。
① 債権の回収可能性
当社グループの債権のうち、損失が合理的に予想される債権に対しては、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。貸倒引当金の見積りをより適切に行うため、取引先について、財政状況、与信状況などを勘案して個々について検証することとしております。
② 有価証券および投資有価証券の評価
投資有価証券(「その他有価証券」)は、市場価格のない株式等以外のものと市場価格のない株式等に分類し、市場価格のない株式等以外のものは当連結会計年度末の市場価格に基づく時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定)により評価しております。また、市場価格のない株式等は1株当たり純資産額と取得価額とを比較して1株当たり純資産額が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討することとしております。
③ 在庫商品の評価
当社グループの在庫商品は、総平均法に基づく原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用し、グルーピングした商品毎に当連結会計年度末の再調達原価と取得原価を比較して評価損を計上しております。
また、長期滞留の在庫商品に対しては販売可能性を判定して評価損を計上しております。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、非鉄金属素材の販売を中核の事業としていることから、非鉄金属の市況の動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。当連結会計年度末において、電気銅建値・アルミニウム地金は前連結会計年度末比で上昇しました。なお、ステンレス鋼板は前連結会計年度比で下落しました。
また、当社の主要販売分野が半導体製造装置業界および液晶製造装置業界、工作機械業界等であることから、各業界の設備投資の動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。
景気の先行きについては、物価上昇の継続や為替相場の変動、地政学的リスクの長期化に加え、米国における通商政策の動向などにより、先行き不透明な状況が続くと見込まれます。一方で、半導体製造装置業界においては生成AI関連を中心とした設備投資の拡大が期待されるほか、航空・宇宙業界においても民間機需要や防衛関連需要を背景に堅調な推移が見込まれます。当社グループは、差別化商品をはじめとする標準在庫品の品揃えの充実、加工事業の強化、新規顧客の開拓および「白銅ネットサービス」の機能拡充による顧客利便性の向上に取り組むとともに、生産体制の強化により、売上高の向上に努めてまいります。