有価証券報告書-第9期(平成27年3月1日-平成28年2月29日)

【提出】
2016/05/30 15:22
【資料】
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【項目】
121項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
当連結会計年度は、幅広い顧客層に支持される魅力的な店づくりと生産性の高い店舗運営体制の構築を目指す「新百貨店モデル」の確立に向けた取り組みとして、松坂屋名古屋店、大丸札幌店などの重点店舗の大型改装を実施いたしました。また、堅調な富裕層マーケット、拡大を続ける訪日外国人マーケットへの対応も併せて強化してまいりました。
パルコ事業では、ICT(情報通信技術)の活用や店舗改装の推進、また都市部での新たな商業拠点の拡大による収益力向上に向け、昨年3月に福岡パルコ本館を増床し、名古屋「PARCO midi」を開業いたしました。さらに、今年2月には新たに札幌ゼロゲートを開業いたしました。
また、マルチリテイラーとしての発展に向け、昨年4月には株式会社千趣会と資本業務提携契約を締結し、同社を持分法適用関連会社化いたしました。両社のグループ資産、ノウハウを活用し、相互販売、商品開発などに取り組んでおります。
店舗を核に地域とともに発展するビジネスモデルの構築(アーバンドミナント戦略)に向けては、銀座六丁目10地区市街地再開発、松坂屋上野店南館建替え計画に加え、大丸心斎橋店本館建替え計画、宇田川町15地区開発(渋谷パルコ建替え計画)などを推進しております。
オムニチャネル・リテイリングの推進では、「クリック&コレクト」「スナップダイアリー」などのサービスとともに、千趣会との提携によるシナジー創出に取り組んでまいりました。
この結果、連結売上高は増収、連結営業利益、連結経常利益、連結当期純利益の各利益段階でも増益となりました。
② 連結売上高
連結売上高は、卸売事業で前年実績を下回ったものの、百貨店事業、パルコ事業、クレジット事業およびその他事業で前年実績を上回り、前連結会計年度に比べ140億35百万円増の1兆1,635億64百万円となりました。
③ 連結営業利益
連結営業利益は、前連結会計年度に比べ58億71百万円増の480億38百万円となりました。
④ 連結経常利益
連結経常利益は、前連結会計年度に比べ74億30百万円増の479億10百万円となりました。
⑤ 連結当期純利益
連結当期純利益は、前連結会計年度に比べ63億46百万円増の263億13百万円となりました。
⑥ キャッシュ・フローに関する分析
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財政状況を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めております。
また、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資、投融資資金は、主に手許資金と営業活動によるキャッシュ・フローに加え、社債の発行及び金融機関からの借入などにより調達しております。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は367億99百万円の収入となりました。一方、「投資活動によるキャッシュ・フロー」は397億41百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、長短借入金の返済などにより10億41百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ39億85百万円減の281億47百万円となりました。
今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。
⑦ 財政状態に関する分析
財政状態につきましては、資産効率、資金効率向上の観点からグループ保有資産の有効活用に努めるとともに、グループ資金一元管理を推進するなど財務体質強化への取り組みを進めた結果、資産合計は前連結会計年度に比べ6億51百万円増の1兆191億46百万円となりました。一方、負債合計は5,785億52百万円、純資産合計は、4,405億94百万円となりました。
これらの結果、総資産営業利益率(ROA)は、4.7%、自己資本比率は、37.6%となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループは持株会社体制の下、大丸、松坂屋、パルコの店舗ネットワークや顧客基盤などの経営資源を最適かつ有効活用するとともに、時代の変化に的確に対応し、顧客満足の最大化と効率経営の徹底を通じ、百貨店事業、パルコ事業をはじめ既存事業各社の競争力と収益力の向上をはかってまいります。
加えて、より成長性のある分野に資源配分を行っていくなど、競争力と収益力に優れた事業群でバランス良く構成されるマルチリテイラーとしての発展を通じ、ビジョンとして掲げる「百貨店事業を核とした、質・量ともに日本を代表する小売業界のリーディングカンパニーの地位確立」に挑戦してまいります。
当社グループは、「2014~2016年度 中期経営計画」をスタートさせております。
厳しい経営環境のなか、競争に勝ち残り、ビジョンとして掲げる小売業界のリーディングカンパニーとしての地位確立に向け、新百貨店モデルの確立に向けた取り組みをさらに推し進めるとともに、パルコやスタイリングライフ・ホールディングス、フォーレストを加えたマルチリテイラーとしての取り組みを強化することにより、お客様の幅広いニーズにお応えし、グループの競争力・収益力を抜本的に強化します。これにより、企業価値を向上させるとともに、2017年以降の成長の原資を稼ぎ出します。
加えて、今後、当社グループの経営資源を活用することにより中長期的に成長が見込まれる分野として、店舗を核に地域とともに成長するビジネスモデル(アーバンドミナント戦略)の基盤構築と、オムニチャネル・リテイリングの推進に取り組みます。
また、M&Aや外部との事業提携にも積極的に取り組み、マルチリテイラーとしての事業の幅の拡大をはかってまいります。
なお、これらの戦略を実行するにあたっては、人材重視、ダイバーシティ尊重のマネジメントを推進し、創造と挑戦を尊ぶ企業文化を醸成します。加えて、グループの拡大、人材の多様化が進む中、コンプライアンス経営とCSR経営を徹底します。