有価証券報告書-第16期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当社は、当連結会計年度よりIFRS会計基準を適用しており、前連結会計年度の財務数値についてもIFRS会計基
準に組替えて比較分析を行っております。財務数値に係るIFRS会計基準と日本基準との差異については、「第5
経理の状況 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「43.IFRS会計基準への移行に関する開示」に記載しており
ます。当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」とい
う。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、経営成績等のうち、国内損害保険事業の保険収益、保険サー
ビス費用、再保険損益及び保険サービス損益には地震保険(家計地震)及び自動車損害賠償責任保険は含んでおり
ません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、物価動向の変化等を背景に米国や欧州を中心として個人消費が増加するなど、多くの地域において緩やかに持ち直す一方、中東情勢を始めとする地政学リスクの高まりや米国の政策動向の影響等により、先行きに不透明感が残る状況となりました。また、わが国経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に、物価上昇を伴いながらも個人消費や設備投資に持ち直しの動きがみられる中、金利の上昇が段階的に進められ、一部に弱さが残るものの、引き続き緩やかな回復基調をたどりました。
2022年度からスタートした中期経営計画(2022-2025)の最終年度を迎えた当期においては、「CSV×DX(注1)を通じて、お客さま・地域・社会の未来を支え続ける」ことを目指し、基本戦略として先進性・多様性・地域密着の進展、サステナビリティへの取組み強化に取り組むとともに、既存事業においてもグループに貢献する利益水準の確保に向けてCSV×DXの推進に取り組みました。
また、企業保険分野における保険料調整行為や保険会社間の情報漏えい行為等の反省を踏まえ、従来の事業のあり方を見直し、「お客さま第一の業務運営」「ガバナンスの強化」「コンプライアンス」を基礎とし、CSV×DXによる提供価値を一層高め届けることで、「信頼回復・信頼拡大」「当社の成長・企業価値向上」の実現に向けて取り組みました。
中期経営計画(2022-2025)基本戦略の取組み
コンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化
当社は、企業保険分野における保険料調整行為、保険代理店及び保険代理店への出向社員に起因する保険会社間の情報漏えい行為に関して、業務改善計画に基づき、継続して再発防止に取り組みました。
引き続き、かかる事態に至ったことを厳粛に受け止め、社会やお客さまからの信頼を回復すべく、コンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。
当期における主な取組みの経過及び成果は、以下のとおりです。
(国内保険事業)
当社は、保険本来の提供価値とリスクソリューション力の向上により、お客さまのニーズに応え、同時に、気候変動などの社会課題の解決に貢献する商品・サービスの開発・提供を進めました。
また、社会・地域課題の解決がお客さまの新たな安心につながるテレマティクス自動車保険の提供価値を、共感・共鳴ストーリー「SAFE TOWN DRIVE(注3)」とともにお客さまに届け、国内の保有台数は218万台を超えました。
加えて、インフレの影響等を踏まえた保険料率改定、アンダーライティングの高度化を含めたリスクコンサルティングとそれを実現する人財育成に取り組みました。
当社は、お客さま・社会からの信頼回復に向けて、お客さま第一の業務運営を実践するため、社員・代理店ともに法令等遵守態勢、顧客保護等管理態勢、情報管理態勢等の強化を図りました。さらに、研修等を通じてコンプライアンス・マインドの醸成、不祥事件等の未然防止を図るとともに、保険募集及び保険金支払いにおける品質向上取組を推進しました。
また、2027年4月に合併する三井住友海上火災保険株式会社とともに、相互の効果的な取組みや施策を融合させた新たな業務改善計画を策定し、お客さま第一の業務運営の基盤となる健全な競争環境や企業文化、強固なガバナンスの構築等に向けた取組みを強化しました。
<主な取組内容>
(海外保険事業)
当社では、中期経営計画第2ステージで掲げた「選択と集中」に基づき、各地域で収益性を重視したアンダーライティングの強化など、収支改善の取組みが進展しました。とりわけ、トヨタリテール事業(注4)におけるアンダーライティング強化等により収支改善の取組みが進展し、現地法人において税引前利益が前期を上回る結果となりました。
(部門横断プロジェクト)
当社では、急激な環境変化に対し、組織の垣根を越え迅速・柔軟に対応するため、「お客さまに向き合う変革」「地方創生」「DX事業化」「未来戦略創造」の4つの部門横断プロジェクトに取り組みました。
お客さまに向き合う変革プロジェクトにつきましては、営業・損害サービスの現場と本社が一体となり、お客さま本位を実践する態勢への変革に向け取り組みました。
営業部門では、社員がよりお客さまに向き合い、課題解決や価値提供につながる活動に注力できるよう、マネジメントの変革や営業態勢の変革に取り組みました。マネジメントについては、トップライン目標を中心とした短期的な結果重視から、お客さまへの提供価値につながるプロセスを重視したマネジメントへの変革を進めました。具体的には、部支店経営計画を軸に各部支店が中長期的に目指す姿に向けた取組計画を立てる運用へ変更し、成果につながるプロセスをより重視したマネジメントを実践しています。加えて、お客さまに向き合う時間を確保するため効率的かつ効果的な会議運営などを推進しました。営業態勢については、社員がよりお客さまに向き合える態勢の構築を目指し、従来の1対1の代理店担当制からリモートを積極活用したチーム対応制への移行を進めました。これらの取組みを通じ、社内業務時間は減少し、当社が目指す「CSV×DX」に関連する活動は前年同期比で倍増するなど、お客さま・社会の課題解決や価値提供につながる活動が進展しました。
損害サービス部門では、適切・迅速な保険金のお支払いに必要な人財育成やお客さまに向き合える態勢の更なる強化として業務効率化による時間創出に取り組みました。従来の業務効率化に加え、新たなツールとして、LINEを使った事故対応・保険金請求サービス(LINEシステム)やレンタカーの配車依頼や請求書の受領等をデジタル化するeレンタカーシステムを導入致しました。お客さまに迅速に保険金をお届けする取組みにより、解決率(注5)は、2026年3月末時点で前年度を上回りました。これにより、「お客さまに最も選ばれる損害サービス」の提供が進展しています。
本プロジェクトは、変革に向けた取組みが定着し道筋が明確になったことから、部門横断プロジェクトの位置づけを発展的に解消しますが、今後も、CSV×DXによる提供価値を一層高め届けることで選ばれ続ける会社を目指し、取り組んでまいります。
地方創生プロジェクトにつきましては、各地域の地方創生取組の支援を継続して実施し、地方自治体との連携協定数は累計で587となりました(2026年3月現在)。2025年度は、「地方創生プロジェクトの取組みを通じて、CSV×DXストーリーを語り、当社の強み・特色である先進性・多様性・地域密着をお客さまに届けきる」「社会・地域・企業の課題解決取組(プロセス)を通じた、信頼回復と収益拡大を同時実現する当社独自のビジネスモデルの確立を目指す」を方針として掲げ、地域独自のSAFE TOWN DRIVE・地域独自のSAFE TOWN(注6)を取組みの柱としてプロジェクトを推進しました。
その結果、全リテール支店が策定した年間計画に基づいた取組みにより、自治体・警察等と連携した地域独自のネットワークの組成による「点→線→面」の運営体制が確立され、地域課題解決に向けた共同取組を通じて様々な成果を創出しました。(課題解決取組数累計6,600回超)
引き続き、SAFE TOWNの取組みを柱に、「地域密着」の具現化に向けたCSV×DXの取組みを全社で推進し、地域に応じた課題解決と保険商品・サービスの提供を通じて、当社ファンを拡大してまいります。
DX事業化プロジェクトでは、将来の業界変革を見据え、保険シナジーを最大限に発揮できる事業を基軸に、社会課題解決に資する新規事業の創出を取組目的としています。今年度は、当社ならではのテレマティクスデータを活用した「SAFE TOWN DRIVEの深化・発展による顧客拡大」と社内外の知見を融合した「新たな価値創造による提供価値拡大」の2軸で取組みを推進しました。
「SAFE TOWN DRIVEの深化・発展による顧客拡大」の取組みとしては、走行データや運転行動を分析し、交通量や急減速の発生率を可視化した「テレマティクス交通安全マップ」の機能改良や渋滞対策・交通空白地域の分析メニューなど、インフラ関連事業者等の新規のお客さまとのお取引に直結する新ソリューション創出に向けた実証を推進しました。また、営業部門においてもテレマティクスデータに基づく各種ソリューションの活用が進展し、お客さまに対し、保険にとどまらない課題起点の提案活動を推進し、保険収益の獲得につなげています。
さらに、経済成長に伴い交通課題が顕在化しているウズベキスタン共和国において事業化の検討も進めています。本年度は、独立行政法人国際協力機構(JICA)及び現地企業と連携した交通安全に関する実証実験を実施し、走行データ活用の有効性を確認し、事業化に向けた基盤を構築しました。今後は現地政府との官民連携の枠組みのもと、事業化に向けた具体的な検討を進め、国内で培った取組みを日本発のモデルとして海外展開することを目指します。
「新たな価値創造による提供価値拡大」の取組みとしては、MIRAI-LABO株式会社と資本業務提携を締結し、交通分野にとどまらず、カーボンニュートラル社会の実現を見据え、同社とともに新しい価値を創造することに挑戦しています。具体的には当社のデータ分析知見と同社のバッテリー診断・再生技術を融合し、中古EVバッテリーの診断・再生・二次流通を循環させるサーキュラーエコノミーの構築に取り組んでいます。その他にも、他業界の企業・有望なスタートアップ・技術やノウハウを持つ大学などとのオープンイノベーションを通じ、防災強化や資源循環、企業の安全・レジリエンス向上に寄与する取組みを展開し、保険シナジーの発揮を軸に据えながら、社会課題解決への貢献を着実に拡大しています。
本プロジェクトは、今後も変容する社会課題への対応と持続的な収益貢献の同時実現を目指します。そのためにもパートナーとの連携をより強化し、引き続き新たなビジネスモデルの構築に取り組んでまいります。
未来戦略創造プロジェクトにつきましては、2022年秋に当社出資先のオックスフォード大学のAI ベンチャーであるMind Foundry社との間で共同研究所「Aioi R&D Lab-Oxford」を設立し、同研究所をハブにCSV×DX取組をグローバルで進めてまいりましたが、急速な技術革新と社会環境の変化に対応するための研究開発体制強化を目的として、2025年11月30日付で、Aioi R&D Lab-OxfordがMind Foundry社のAI 開発コンサルティング事業を譲り受けることにつき合意し、従来以上に柔軟な体制で課題解決に向けたソリューションの開発を進めています。
具体的な取組みとしては、近年、気候変動や地政学リスク等で不確実性が常態化しているサプライチェーン対策として、当社はAioi R&D Lab-Oxford及び英国オックスフォード大学発のMacrocosm社と連携し、世界最先端のエージェント・ベース・モデリング技術(注7)を活用して、国内の自然災害によるサプライチェーンの混乱が日本企業約150万社の生産量や在庫などに及ぼす影響を定量的にシミュレーションできる「サプライチェーン・ショック・モデル」を開発しています。また、安全運転に対する意識をお客さまに持ち続けていただくことで事故削減に貢献すべく、Aioi R&D Lab-Oxford及びArchaic社とともに、車両の走行データを基に生成AIが安全運転に向けたアドバイスをドライバーごとに作成する「運転アドバイスプラットフォーム」を開発しました。
さらに、Aioi R&D Lab-Oxfordと当社がインフラ老朽化の未然防止に向け、共同開発した「AIを活用した橋梁点検サポートツール」が、Charlton media group主催の「Insurance Asia Awards(注8)2025」で、安全・安心な社会の実現を目指した先進的な取組みであると評価を受け「DomesticGeneral Insurer of the Year–Japan(注9)」「Digital Transformation Initiative of the Year–Japan(注10)」の2部門での受賞を果たしました。なお、「Domestic General Insurer of the Year–Japan」部門の受賞は2年連続となります。
今後も多様なパートナーと共に課題を発見し、解決に繋げるコンサルティング提案活動を進め、企画からソリューション実装・販売の循環を生み出すとともに、これまでの研究開発で得られた技術・開発モデルを社会・ビジネスへ実装するための提案活動も強化します。そして、各ベンチャー企業のノウハウや知見、及びオックスフォード大学の著名な教授陣からのアドバイスを活かし、プロジェクトを通じて、「社会課題の解決」「保険の新たな価値創造」の実現に向け取り組んでまいります。
(注1)CSV(Creating Shared Value)×DX(Digital Transformation)
CSV(社会との共通価値の創造)に、DX(デジタルトランスフォーメーション)を掛け合わせることによって、生産性と競争力の向上を
図り、持続的成長と企業価値向上を実現する取組み。
(注2)テレマティクス
「テレコミュニケーション」と「インフォマティクス」を組み合わせた造語で、カーナビゲーションやGPS等と移動体通信システムを利
用して、さまざまな情報やサービスを提供する仕組み。
(注3)SAFE TOWN DRIVE
テレマティクス技術をはじめとした、交通安全に資するさまざまな商品・サービスの活用を通じて地域・社会の安全を高め、その安心で
快適な地域・社会がお客さまを守る「安心の循環」により、事故のない快適なモビリティ社会を目指す取組み。
(注4)トヨタリテール事業
トヨタ自動車株式会社およびその金融子会社であるトヨタファイナンシャルサービス株式会社と連携し、トヨタ車ユーザーへの安全・安
心の提供および利便性向上を目指した金融・保険一体となった保険サービス。
(注5)解決率
2025年度に保険金手続きが完了した件数(2024 年度以前に受付した事故への手続き件数も含む)/2025 年度に受付した事故件数。
(注6)SAFE TOWN
あらゆるステークホルダーとともに、地域ごとの特性や課題を踏まえ、交通課題や防災・減災など、地域に応じた多様な課題の解決を目
指す取組み。
(注7)エージェント・ベース・モデリング技術
経済などの複雑なシステムを研究するためのコンピュータシミュレーション手法。個々の「エージェント」(人や企業、政府など)を設
定し、それらの行動や相互作用を時間の経過に沿ってシミュレートすることで、ネットワーク全体の振る舞いを可視化することが可能と
なる。
(注8)Insurance Asia Awards
大手ビジネスメディアグループ「Charlton media group」主催のイベントで、アジア太平洋地域で権威のある保険業界アワードであり、保険会社や再保険会社、ブローカーにおいて、優れた商品・サービス・取組みを表彰対象としている。
(注9)Domestic General Insurer of the Year–Japan
日本国内の保険会社において、直面した課題を解決するために革新的な取組みを行った企業に贈られる賞。
(注10)Digital Transformation Initiative of the Year–Japan
日本国内の保険会社においてデジタルを活用した革新性や保険業へのインパクト、社会の変化に対応するダイナミズムの点で優れたプロ
ジェクトに贈られる賞。
このような中、当連結会計年度の経営成績は次のとおりとなりました。
保険サービス損益は、保険収益が1兆7,591億円、保険サービス費用が1兆5,674億円、再保険損益が△1,008億円となった結果、908億円となりました。また金融損益は、投資損益が1,399億円、保険金融損益が△309億円となったことから、1,090億円となりました。これらの損益にその他の収益・費用や持分法による投資損益等を加減算した税引前利益は1,659億円となり、法人所得税費用418億円を加減算した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ601億円増加し、1,243億円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
イ 国内損害保険事業(あいおいニッセイ同和損保)
保険サービス損益は、保険収益が1兆4,451億円、保険サービス費用が1兆2,642億円、再保険損益が△908億円となった結果、901億円となりました。また金融損益は、投資損益が1,189億円、保険金融損益が△290億円となったことから、898億円となりました。これらの損益にその他の収益・費用等を加減算した税引前利益は1,541億円となり、法人所得税費用351億円を加減算した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ513億円増加し、1,189億円となりました。
ロ 海外事業(海外子会社・関連会社)
保険サービス損益は、保険収益が2,155億円、保険サービス費用が2,060億円、再保険損益が△85億円となった結果、10億円となりました。また金融損益は、投資損益が71億円、保険金融損益が△18億円となったことから、52億円となりました。これらの損益にその他の収益・費用や持分法による投資損益等を加減算した税引前利益は72億円となり、法人所得税費用64億円を加減算した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ31億円増加し、6億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ198億円増加し、700億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ293億円増加し、625億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ531億円増加し、△1,286億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より287億円増加し、2,833億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
損害保険業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、予測、見込み、見通し、方針、予定等の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には不確実性が内在しており、将来生じる実際の結果とは大きく異なる可能性があります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
[連結主要指標]
(単位:百万円)
保険収益は、国内損害保険事業において自動車保険や火災保険で増収したことなどにより、前連結会計年度に比べ683億円増加し、1兆7,591億円となりました。
保険サービス損益は、国内外の自然災害による発生保険金が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ446億円増加し、908億円となりました。
金融損益は、国内損害保険事業における金融市場の変動の影響などにより、前連結会計年度に比べ600億円増加し、1,090億円となりました。
これらの結果、税引前利益に法人所得税費用を加減算した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ601億円増加し、1,243億円となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
イ 国内損害保険事業(あいおいニッセイ同和損保)
当社の経営成績は次のとおりとなりました。
[当社の主要指標]
(単位:百万円)
(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2 一定の要件を満たすファンド(SE:Structured Entity)を連結しております。
保険収益は、自動車保険や火災保険で増収したことなどにより、前連結会計年度に比べ565億円増加し、1兆4,451億円となりました。
保険サービス損益は、国内外の自然災害による発生保険金が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ338億円増加し、901億円となりました。
金融損益は、投資損益が増加したことにより、前連結会計年度に比べ454億円増加し、898億円となりました。
これらの結果、税引前利益は前連結会計年度に比べ638億円増加し、1,541億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ513億円増加し、1,189億円となりました。
ロ 海外事業(海外子会社・関連会社)
海外事業セグメントの経営成績は次のとおりとなりました。
[海外事業の主要指標]
(単位:百万円)
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
保険収益は、前連結会計年度に比べ147億円増加し、2,155億円となりました。保険サービス損益は、前連結会計年度に比べ85億円増加し、10億円となりました。金融損益は、前連結会計年度に比べ7億円増加し、52億円となりました。
これらの結果、税引前利益は前連結会計年度に比べ78億円増加し、72億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ31億円増加し、6億円となりました。
当社の当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。
(単位:百万円)
当社のソルベンシー・マージン比率の状況は、以下のとおりであります。
保険会社は、自然災害や市場の急変など、発生頻度は低いものの大きな損失が生じうるリスクに備え、十分な資本を保有しておく必要があります。そうした「通常の予測を超えるリスク」に対して、どれだけ支払余力(=ソルベンシー・マージン)を持っているか表したものがソルベンシー・マージン比率であります。
ソルベンシー・マージン比率は、行政当局である金融庁が保険会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつであります。
この比率が100%以上あれば、その保険会社は必要な備えができているため一定の健全性が確保されていると評価されますが、100%を下回った場合には、早期是正措置により、金融庁長官によって早期に経営の健全性の回復を図るための措置がとられます。
2026年3月期決算から、この比率を資産・負債の経済価値に基づいて評価する制度が導入されました。これにより、帳簿上の数字ではなく、実際の市場価値、リスク及び将来に関する保険会社の見積りを反映した健全性の評価が可能になりました。
当社のソルベンシー・マージン比率(2026年3月末基準)は、保険業法等に基づき2026年10月末までに開示します。
なお、早期是正措置の発動基準(100%)を上回る見込みであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ198億円増加し、700億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却・償還による収入が増加したことなどにより前連結会計年度に比べ293億円増加し、625億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出が減少したことなどにより前連結会計年度に比べ531億円増加し、△1,286億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より287億円増加し、2,833億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性に係る情報は次のとおりであります。
成長投資をはじめとする長期的な投資資金等に対しては、主に営業活動と投資活動から得た資金及び内部留保による自己資金を活用するほか、社債の発行による外部からの資金調達を行っております。
また、資金の流動性につきましては、大規模自然災害時に保険金の支払や市場の混乱等により資金繰りが悪化する場合に備え、流動性資産を十分に保有するとともに、資金の流出入の動向を踏まえて資産・負債両面から流動性についての評価を行い、適切な資金繰りを行っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定に基づき、IFRS会計基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 見積り及び判断の利用、3.重要性がある会計方針」に記載しております。
④ 目標とする経営指標等の分析等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標に関し、正味収入保険料は、火災保険や自動車保険で増収したことなどにより、1兆4,711億円と前事業年度に比べ、2.9%の増加となりました。正味損害率は、火災保険の支払が減少したことや正味収入保険料が増加したことなどにより、64.5%と前事業年度に比べ、2.1ポイントの低下となりました。正味事業費率は、正味収入保険料が増加したことなどにより、32.6%と前事業年度に比べ、1.1ポイントの低下となりました。
⑤ 問題認識と今後の方針について
問題認識と今後の方針は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しているとおりであります。
(3) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下、「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
① 要約連結貸借対照表(日本基準)
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
要約連結包括利益計算書
③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
該当事項はありません。
(4) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRS会計基準により作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 43.IFRS会計基準への移行に関する開示」に記載のとおりであります。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(投資有価証券(資本性金融商品))
日本基準において「その他有価証券」に分類された株式については、売却損益及び減損損失を純損益として認識しております。IFRS会計基準において「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融資産」の選択を行った株式については、公正価値の変動額をその他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素として認識し、認識を中止した時点で利益剰余金に振り替えております。この影響により、IFRS会計基準の投資損益は、日本基準のこれに相当する項目に比べて、165,525百万円減少しております。また、日本基準においては、非上場株式は原則として取得原価で測定しておりますが、IFRS会計基準においては公正価値により測定しております。この影響により、IFRS会計基準では日本基準に比べて、その他の包括利益(税効果調整後)が19,605百万円増加しております。
(保険契約及び再保険契約)
日本基準及びIFRS会計基準における測定方法及び表示方法は、次のとおりであります。
分類及び測定
日本基準においては保険業法における保険契約準備金を負債として計上しておりましたが、IFRS会計基準においては原則として保険契約及び再保険契約を履行キャッシュ・フロー(見積将来キャッシュ・フロー(貨幣の時間価値及び関連する金融リスクを反映するように調整)及び非金融リスクに係るリスク調整で構成される)ならびに契約上のサービス・マージン(Contractual Service Margin(CSM))の合計額で測定し、資産又は負債として計上しております。なお、一部の保険契約及び再保険契約については、保険料配分アプローチ(Premium Allocation Approach(以下、「PAA」という。))を適用して測定し、資産又は負債として計上しております。日本基準及びIFRS会計基準における測定方法は、PAAを適用して測定する契約に係る残存カバーに係る資産及び負債については概ね類似しておりますが、同契約に係る発生保険金に係る資産及び負債ならびにPAAを適用せずに測定する契約に係る資産及び負債については、主に次の差異があります。
・日本基準においては、原則として割引計算を行っておりませんでしたが、IFRS会計基準においては、見積将来キャッシュ・フローに貨幣の時間価値を反映させて測定しております。
・日本基準においては、明示的にはリスク調整を考慮しておりませんでしたが、IFRS会計基準においては、見積将来キャッシュ・フローに非金融リスクに係るリスク調整を反映させて測定しております。
・日本基準においては、原則として契約締結時点における見積りの前提に基づいておりましたが、IFRS会計基準においては、見積将来キャッシュ・フローは期末日現在における見積りに基づいて測定しております。
・日本基準においては、原則として保険契約に係る費用は発生時に認識しておりましたが、IFRS会計基準においては、保険獲得キャッシュ・フロー及び維持費については見積将来キャッシュ・フローの測定に含めております。
この影響により、IFRS会計基準の保険契約資産、保険契約負債、再保険契約資産及び再保険契約負債の純額(負債)は、日本基準のこれらに相当する項目の純額(負債)に比べて、491,178百万円減少しております。
保険収益の表示
日本基準においては保険契約者から収受した時点で認識する収入保険料と保険契約準備金の一部である責任準備金等の増減(費用として表示される「責任準備金等繰入額」又は収益として表示される「責任準備金等戻入額」)とに区分して表示しておりましたが、IFRS会計基準においては「保険収益」として表示しております。
保険サービス費用の表示
日本基準においては保険契約者に支払った時点で認識する支払保険金、保険契約準備金の一部である支払備金の増減(費用として表示される「支払備金繰入額」又は収益として表示される「支払備金戻入額」)などに区分して表示しておりましたが、IFRS会計基準においては「保険サービス費用」として表示しております。また、IFRS会計基準においては、不利な契約に係る損益についても「保険サービス費用」に含めております。
当社は、当連結会計年度よりIFRS会計基準を適用しており、前連結会計年度の財務数値についてもIFRS会計基
準に組替えて比較分析を行っております。財務数値に係るIFRS会計基準と日本基準との差異については、「第5
経理の状況 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「43.IFRS会計基準への移行に関する開示」に記載しており
ます。当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」とい
う。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、経営成績等のうち、国内損害保険事業の保険収益、保険サー
ビス費用、再保険損益及び保険サービス損益には地震保険(家計地震)及び自動車損害賠償責任保険は含んでおり
ません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、物価動向の変化等を背景に米国や欧州を中心として個人消費が増加するなど、多くの地域において緩やかに持ち直す一方、中東情勢を始めとする地政学リスクの高まりや米国の政策動向の影響等により、先行きに不透明感が残る状況となりました。また、わが国経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に、物価上昇を伴いながらも個人消費や設備投資に持ち直しの動きがみられる中、金利の上昇が段階的に進められ、一部に弱さが残るものの、引き続き緩やかな回復基調をたどりました。
2022年度からスタートした中期経営計画(2022-2025)の最終年度を迎えた当期においては、「CSV×DX(注1)を通じて、お客さま・地域・社会の未来を支え続ける」ことを目指し、基本戦略として先進性・多様性・地域密着の進展、サステナビリティへの取組み強化に取り組むとともに、既存事業においてもグループに貢献する利益水準の確保に向けてCSV×DXの推進に取り組みました。
また、企業保険分野における保険料調整行為や保険会社間の情報漏えい行為等の反省を踏まえ、従来の事業のあり方を見直し、「お客さま第一の業務運営」「ガバナンスの強化」「コンプライアンス」を基礎とし、CSV×DXによる提供価値を一層高め届けることで、「信頼回復・信頼拡大」「当社の成長・企業価値向上」の実現に向けて取り組みました。
中期経営計画(2022-2025)基本戦略の取組み
| 先進性・多様性・地域密着の進展 | 最先端かつ独自の戦略を展開するとともに、お客さま・地域・社会・アライアンス先とのつながりを拡大させ、本業を通じてお客さまとともに社会・地域課題を解決することを目指し、以下の取組みを進めました。 取組内容 ・テレマティクス(注2)を軸としたコネクティッド戦略の拡大 ・データ利活用の高度化 ・最先端技術を活用した新たな価値創造 ・新たに隆起するマーケットへの対応 ・新たなアイデアの創出と挑戦 ・アライアンス・シナジーの追求 ・地域に寄り添う組織体制 ・社会・地域課題の解決と持続的成長 ・脱炭素取組による地方創生の加速 |
コンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化
当社は、企業保険分野における保険料調整行為、保険代理店及び保険代理店への出向社員に起因する保険会社間の情報漏えい行為に関して、業務改善計画に基づき、継続して再発防止に取り組みました。
引き続き、かかる事態に至ったことを厳粛に受け止め、社会やお客さまからの信頼を回復すべく、コンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。
当期における主な取組みの経過及び成果は、以下のとおりです。
(国内保険事業)
当社は、保険本来の提供価値とリスクソリューション力の向上により、お客さまのニーズに応え、同時に、気候変動などの社会課題の解決に貢献する商品・サービスの開発・提供を進めました。
また、社会・地域課題の解決がお客さまの新たな安心につながるテレマティクス自動車保険の提供価値を、共感・共鳴ストーリー「SAFE TOWN DRIVE(注3)」とともにお客さまに届け、国内の保有台数は218万台を超えました。
加えて、インフレの影響等を踏まえた保険料率改定、アンダーライティングの高度化を含めたリスクコンサルティングとそれを実現する人財育成に取り組みました。
当社は、お客さま・社会からの信頼回復に向けて、お客さま第一の業務運営を実践するため、社員・代理店ともに法令等遵守態勢、顧客保護等管理態勢、情報管理態勢等の強化を図りました。さらに、研修等を通じてコンプライアンス・マインドの醸成、不祥事件等の未然防止を図るとともに、保険募集及び保険金支払いにおける品質向上取組を推進しました。
また、2027年4月に合併する三井住友海上火災保険株式会社とともに、相互の効果的な取組みや施策を融合させた新たな業務改善計画を策定し、お客さま第一の業務運営の基盤となる健全な競争環境や企業文化、強固なガバナンスの構築等に向けた取組みを強化しました。
<主な取組内容>
| 降雹アラートサービス | 通信機能付きドライブレコーダーやカーナビゲーション機能と連動し、車両位置情報と降雹の予測情報を組み合わせ、車両走行中などにアラートを発するサービスの提供を開始しました。 |
| 個人向け地震パラメトリック保険 | 被保険者が居住する地域(市区町村)で観測された地震の震度に応じて、個別の損害の有無を確認することなく、契約時に定めた保険金額をお支払いする「震度連動型地震諸費用保険(地震パラメトリック保険)」の販売を開始しました。 |
(海外保険事業)
当社では、中期経営計画第2ステージで掲げた「選択と集中」に基づき、各地域で収益性を重視したアンダーライティングの強化など、収支改善の取組みが進展しました。とりわけ、トヨタリテール事業(注4)におけるアンダーライティング強化等により収支改善の取組みが進展し、現地法人において税引前利益が前期を上回る結果となりました。
(部門横断プロジェクト)
当社では、急激な環境変化に対し、組織の垣根を越え迅速・柔軟に対応するため、「お客さまに向き合う変革」「地方創生」「DX事業化」「未来戦略創造」の4つの部門横断プロジェクトに取り組みました。
お客さまに向き合う変革プロジェクトにつきましては、営業・損害サービスの現場と本社が一体となり、お客さま本位を実践する態勢への変革に向け取り組みました。
営業部門では、社員がよりお客さまに向き合い、課題解決や価値提供につながる活動に注力できるよう、マネジメントの変革や営業態勢の変革に取り組みました。マネジメントについては、トップライン目標を中心とした短期的な結果重視から、お客さまへの提供価値につながるプロセスを重視したマネジメントへの変革を進めました。具体的には、部支店経営計画を軸に各部支店が中長期的に目指す姿に向けた取組計画を立てる運用へ変更し、成果につながるプロセスをより重視したマネジメントを実践しています。加えて、お客さまに向き合う時間を確保するため効率的かつ効果的な会議運営などを推進しました。営業態勢については、社員がよりお客さまに向き合える態勢の構築を目指し、従来の1対1の代理店担当制からリモートを積極活用したチーム対応制への移行を進めました。これらの取組みを通じ、社内業務時間は減少し、当社が目指す「CSV×DX」に関連する活動は前年同期比で倍増するなど、お客さま・社会の課題解決や価値提供につながる活動が進展しました。
損害サービス部門では、適切・迅速な保険金のお支払いに必要な人財育成やお客さまに向き合える態勢の更なる強化として業務効率化による時間創出に取り組みました。従来の業務効率化に加え、新たなツールとして、LINEを使った事故対応・保険金請求サービス(LINEシステム)やレンタカーの配車依頼や請求書の受領等をデジタル化するeレンタカーシステムを導入致しました。お客さまに迅速に保険金をお届けする取組みにより、解決率(注5)は、2026年3月末時点で前年度を上回りました。これにより、「お客さまに最も選ばれる損害サービス」の提供が進展しています。
本プロジェクトは、変革に向けた取組みが定着し道筋が明確になったことから、部門横断プロジェクトの位置づけを発展的に解消しますが、今後も、CSV×DXによる提供価値を一層高め届けることで選ばれ続ける会社を目指し、取り組んでまいります。
地方創生プロジェクトにつきましては、各地域の地方創生取組の支援を継続して実施し、地方自治体との連携協定数は累計で587となりました(2026年3月現在)。2025年度は、「地方創生プロジェクトの取組みを通じて、CSV×DXストーリーを語り、当社の強み・特色である先進性・多様性・地域密着をお客さまに届けきる」「社会・地域・企業の課題解決取組(プロセス)を通じた、信頼回復と収益拡大を同時実現する当社独自のビジネスモデルの確立を目指す」を方針として掲げ、地域独自のSAFE TOWN DRIVE・地域独自のSAFE TOWN(注6)を取組みの柱としてプロジェクトを推進しました。
その結果、全リテール支店が策定した年間計画に基づいた取組みにより、自治体・警察等と連携した地域独自のネットワークの組成による「点→線→面」の運営体制が確立され、地域課題解決に向けた共同取組を通じて様々な成果を創出しました。(課題解決取組数累計6,600回超)
引き続き、SAFE TOWNの取組みを柱に、「地域密着」の具現化に向けたCSV×DXの取組みを全社で推進し、地域に応じた課題解決と保険商品・サービスの提供を通じて、当社ファンを拡大してまいります。
DX事業化プロジェクトでは、将来の業界変革を見据え、保険シナジーを最大限に発揮できる事業を基軸に、社会課題解決に資する新規事業の創出を取組目的としています。今年度は、当社ならではのテレマティクスデータを活用した「SAFE TOWN DRIVEの深化・発展による顧客拡大」と社内外の知見を融合した「新たな価値創造による提供価値拡大」の2軸で取組みを推進しました。
「SAFE TOWN DRIVEの深化・発展による顧客拡大」の取組みとしては、走行データや運転行動を分析し、交通量や急減速の発生率を可視化した「テレマティクス交通安全マップ」の機能改良や渋滞対策・交通空白地域の分析メニューなど、インフラ関連事業者等の新規のお客さまとのお取引に直結する新ソリューション創出に向けた実証を推進しました。また、営業部門においてもテレマティクスデータに基づく各種ソリューションの活用が進展し、お客さまに対し、保険にとどまらない課題起点の提案活動を推進し、保険収益の獲得につなげています。
さらに、経済成長に伴い交通課題が顕在化しているウズベキスタン共和国において事業化の検討も進めています。本年度は、独立行政法人国際協力機構(JICA)及び現地企業と連携した交通安全に関する実証実験を実施し、走行データ活用の有効性を確認し、事業化に向けた基盤を構築しました。今後は現地政府との官民連携の枠組みのもと、事業化に向けた具体的な検討を進め、国内で培った取組みを日本発のモデルとして海外展開することを目指します。
「新たな価値創造による提供価値拡大」の取組みとしては、MIRAI-LABO株式会社と資本業務提携を締結し、交通分野にとどまらず、カーボンニュートラル社会の実現を見据え、同社とともに新しい価値を創造することに挑戦しています。具体的には当社のデータ分析知見と同社のバッテリー診断・再生技術を融合し、中古EVバッテリーの診断・再生・二次流通を循環させるサーキュラーエコノミーの構築に取り組んでいます。その他にも、他業界の企業・有望なスタートアップ・技術やノウハウを持つ大学などとのオープンイノベーションを通じ、防災強化や資源循環、企業の安全・レジリエンス向上に寄与する取組みを展開し、保険シナジーの発揮を軸に据えながら、社会課題解決への貢献を着実に拡大しています。
本プロジェクトは、今後も変容する社会課題への対応と持続的な収益貢献の同時実現を目指します。そのためにもパートナーとの連携をより強化し、引き続き新たなビジネスモデルの構築に取り組んでまいります。
未来戦略創造プロジェクトにつきましては、2022年秋に当社出資先のオックスフォード大学のAI ベンチャーであるMind Foundry社との間で共同研究所「Aioi R&D Lab-Oxford」を設立し、同研究所をハブにCSV×DX取組をグローバルで進めてまいりましたが、急速な技術革新と社会環境の変化に対応するための研究開発体制強化を目的として、2025年11月30日付で、Aioi R&D Lab-OxfordがMind Foundry社のAI 開発コンサルティング事業を譲り受けることにつき合意し、従来以上に柔軟な体制で課題解決に向けたソリューションの開発を進めています。
具体的な取組みとしては、近年、気候変動や地政学リスク等で不確実性が常態化しているサプライチェーン対策として、当社はAioi R&D Lab-Oxford及び英国オックスフォード大学発のMacrocosm社と連携し、世界最先端のエージェント・ベース・モデリング技術(注7)を活用して、国内の自然災害によるサプライチェーンの混乱が日本企業約150万社の生産量や在庫などに及ぼす影響を定量的にシミュレーションできる「サプライチェーン・ショック・モデル」を開発しています。また、安全運転に対する意識をお客さまに持ち続けていただくことで事故削減に貢献すべく、Aioi R&D Lab-Oxford及びArchaic社とともに、車両の走行データを基に生成AIが安全運転に向けたアドバイスをドライバーごとに作成する「運転アドバイスプラットフォーム」を開発しました。
さらに、Aioi R&D Lab-Oxfordと当社がインフラ老朽化の未然防止に向け、共同開発した「AIを活用した橋梁点検サポートツール」が、Charlton media group主催の「Insurance Asia Awards(注8)2025」で、安全・安心な社会の実現を目指した先進的な取組みであると評価を受け「DomesticGeneral Insurer of the Year–Japan(注9)」「Digital Transformation Initiative of the Year–Japan(注10)」の2部門での受賞を果たしました。なお、「Domestic General Insurer of the Year–Japan」部門の受賞は2年連続となります。
今後も多様なパートナーと共に課題を発見し、解決に繋げるコンサルティング提案活動を進め、企画からソリューション実装・販売の循環を生み出すとともに、これまでの研究開発で得られた技術・開発モデルを社会・ビジネスへ実装するための提案活動も強化します。そして、各ベンチャー企業のノウハウや知見、及びオックスフォード大学の著名な教授陣からのアドバイスを活かし、プロジェクトを通じて、「社会課題の解決」「保険の新たな価値創造」の実現に向け取り組んでまいります。
(注1)CSV(Creating Shared Value)×DX(Digital Transformation)
CSV(社会との共通価値の創造)に、DX(デジタルトランスフォーメーション)を掛け合わせることによって、生産性と競争力の向上を
図り、持続的成長と企業価値向上を実現する取組み。
(注2)テレマティクス
「テレコミュニケーション」と「インフォマティクス」を組み合わせた造語で、カーナビゲーションやGPS等と移動体通信システムを利
用して、さまざまな情報やサービスを提供する仕組み。
(注3)SAFE TOWN DRIVE
テレマティクス技術をはじめとした、交通安全に資するさまざまな商品・サービスの活用を通じて地域・社会の安全を高め、その安心で
快適な地域・社会がお客さまを守る「安心の循環」により、事故のない快適なモビリティ社会を目指す取組み。
(注4)トヨタリテール事業
トヨタ自動車株式会社およびその金融子会社であるトヨタファイナンシャルサービス株式会社と連携し、トヨタ車ユーザーへの安全・安
心の提供および利便性向上を目指した金融・保険一体となった保険サービス。
(注5)解決率
2025年度に保険金手続きが完了した件数(2024 年度以前に受付した事故への手続き件数も含む)/2025 年度に受付した事故件数。
(注6)SAFE TOWN
あらゆるステークホルダーとともに、地域ごとの特性や課題を踏まえ、交通課題や防災・減災など、地域に応じた多様な課題の解決を目
指す取組み。
(注7)エージェント・ベース・モデリング技術
経済などの複雑なシステムを研究するためのコンピュータシミュレーション手法。個々の「エージェント」(人や企業、政府など)を設
定し、それらの行動や相互作用を時間の経過に沿ってシミュレートすることで、ネットワーク全体の振る舞いを可視化することが可能と
なる。
(注8)Insurance Asia Awards
大手ビジネスメディアグループ「Charlton media group」主催のイベントで、アジア太平洋地域で権威のある保険業界アワードであり、保険会社や再保険会社、ブローカーにおいて、優れた商品・サービス・取組みを表彰対象としている。
(注9)Domestic General Insurer of the Year–Japan
日本国内の保険会社において、直面した課題を解決するために革新的な取組みを行った企業に贈られる賞。
(注10)Digital Transformation Initiative of the Year–Japan
日本国内の保険会社においてデジタルを活用した革新性や保険業へのインパクト、社会の変化に対応するダイナミズムの点で優れたプロ
ジェクトに贈られる賞。
このような中、当連結会計年度の経営成績は次のとおりとなりました。
保険サービス損益は、保険収益が1兆7,591億円、保険サービス費用が1兆5,674億円、再保険損益が△1,008億円となった結果、908億円となりました。また金融損益は、投資損益が1,399億円、保険金融損益が△309億円となったことから、1,090億円となりました。これらの損益にその他の収益・費用や持分法による投資損益等を加減算した税引前利益は1,659億円となり、法人所得税費用418億円を加減算した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ601億円増加し、1,243億円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
イ 国内損害保険事業(あいおいニッセイ同和損保)
保険サービス損益は、保険収益が1兆4,451億円、保険サービス費用が1兆2,642億円、再保険損益が△908億円となった結果、901億円となりました。また金融損益は、投資損益が1,189億円、保険金融損益が△290億円となったことから、898億円となりました。これらの損益にその他の収益・費用等を加減算した税引前利益は1,541億円となり、法人所得税費用351億円を加減算した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ513億円増加し、1,189億円となりました。
ロ 海外事業(海外子会社・関連会社)
保険サービス損益は、保険収益が2,155億円、保険サービス費用が2,060億円、再保険損益が△85億円となった結果、10億円となりました。また金融損益は、投資損益が71億円、保険金融損益が△18億円となったことから、52億円となりました。これらの損益にその他の収益・費用や持分法による投資損益等を加減算した税引前利益は72億円となり、法人所得税費用64億円を加減算した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ31億円増加し、6億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ198億円増加し、700億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ293億円増加し、625億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ531億円増加し、△1,286億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より287億円増加し、2,833億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
損害保険業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、予測、見込み、見通し、方針、予定等の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には不確実性が内在しており、将来生じる実際の結果とは大きく異なる可能性があります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
[連結主要指標]
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 比較増減 | 増減率 | ||
| 保険収益 | 1,690,830 | 1,759,139 | 68,309 | 4.0% | |
| 保険サービス損益 | 46,244 | 90,856 | 44,611 | 96.5% | |
| 金融損益 | 48,940 | 109,023 | 60,082 | 122.8% | |
| その他の損益 | △6,296 | △33,950 | △27,653 | - | |
| 税引前利益 | 88,888 | 165,929 | 77,040 | 86.7% | |
| 親会社の所有者に帰属する 当期利益 | 64,283 | 124,389 | 60,105 | 93.5% |
保険収益は、国内損害保険事業において自動車保険や火災保険で増収したことなどにより、前連結会計年度に比べ683億円増加し、1兆7,591億円となりました。
保険サービス損益は、国内外の自然災害による発生保険金が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ446億円増加し、908億円となりました。
金融損益は、国内損害保険事業における金融市場の変動の影響などにより、前連結会計年度に比べ600億円増加し、1,090億円となりました。
これらの結果、税引前利益に法人所得税費用を加減算した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ601億円増加し、1,243億円となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
イ 国内損害保険事業(あいおいニッセイ同和損保)
当社の経営成績は次のとおりとなりました。
[当社の主要指標]
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 比較増減 | 増減率 | |
| 保険収益 | 1,388,611 | 1,445,154 | 56,542 | 4.1% |
| 保険サービス損益 | 56,214 | 90,106 | 33,891 | 60.3% |
| 金融損益 | 44,395 | 89,868 | 45,472 | 102.4% |
| その他の損益 | △8,674 | △25,708 | △17,033 | - |
| 税引前利益 | 90,328 | 154,180 | 63,852 | 70.7% |
| 親会社の所有者に帰属する 当期利益 | 67,632 | 118,983 | 51,350 | 75.9% |
(注)1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2 一定の要件を満たすファンド(SE:Structured Entity)を連結しております。
保険収益は、自動車保険や火災保険で増収したことなどにより、前連結会計年度に比べ565億円増加し、1兆4,451億円となりました。
保険サービス損益は、国内外の自然災害による発生保険金が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ338億円増加し、901億円となりました。
金融損益は、投資損益が増加したことにより、前連結会計年度に比べ454億円増加し、898億円となりました。
これらの結果、税引前利益は前連結会計年度に比べ638億円増加し、1,541億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ513億円増加し、1,189億円となりました。
ロ 海外事業(海外子会社・関連会社)
海外事業セグメントの経営成績は次のとおりとなりました。
[海外事業の主要指標]
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 比較増減 | 増減率 | ||
| 保険収益 | 200,818 | 215,568 | 14,750 | 7.3% | |
| 保険サービス損益 | △7,483 | 1,018 | 8,501 | - | |
| 金融損益 | 4,532 | 5,270 | 737 | 16.3% | |
| その他の損益 | 2,357 | 938 | △1,419 | △60.2% | |
| 税引前利益 | △593 | 7,226 | 7,820 | - | |
| 親会社の所有者に帰属する 当期利益 | △2,527 | 639 | 3,167 | - |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
保険収益は、前連結会計年度に比べ147億円増加し、2,155億円となりました。保険サービス損益は、前連結会計年度に比べ85億円増加し、10億円となりました。金融損益は、前連結会計年度に比べ7億円増加し、52億円となりました。
これらの結果、税引前利益は前連結会計年度に比べ78億円増加し、72億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ31億円増加し、6億円となりました。
当社の当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2025年3月31日) | 当連結会計年度 (2026年3月31日) | 比較増減 | 増減率 | ||
| 総資産 | 3,855,017 | 4,219,680 | 364,662 | 9.5% | |
| 主な総資産の内訳 | |||||
| 投資有価証券 | 2,590,111 | 2,891,091 | 300,980 | 11.6% | |
| 現金及び現金同等物 | 254,643 | 283,392 | 28,749 | 11.3% | |
| 貸付金 | 269,464 | 262,191 | △7,272 | △2.7% | |
当社のソルベンシー・マージン比率の状況は、以下のとおりであります。
保険会社は、自然災害や市場の急変など、発生頻度は低いものの大きな損失が生じうるリスクに備え、十分な資本を保有しておく必要があります。そうした「通常の予測を超えるリスク」に対して、どれだけ支払余力(=ソルベンシー・マージン)を持っているか表したものがソルベンシー・マージン比率であります。
ソルベンシー・マージン比率は、行政当局である金融庁が保険会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつであります。
この比率が100%以上あれば、その保険会社は必要な備えができているため一定の健全性が確保されていると評価されますが、100%を下回った場合には、早期是正措置により、金融庁長官によって早期に経営の健全性の回復を図るための措置がとられます。
2026年3月期決算から、この比率を資産・負債の経済価値に基づいて評価する制度が導入されました。これにより、帳簿上の数字ではなく、実際の市場価値、リスク及び将来に関する保険会社の見積りを反映した健全性の評価が可能になりました。
当社のソルベンシー・マージン比率(2026年3月末基準)は、保険業法等に基づき2026年10月末までに開示します。
なお、早期是正措置の発動基準(100%)を上回る見込みであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 比較増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 50,191 | 70,069 | 19,877 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 33,189 | 62,525 | 29,336 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △181,844 | △128,665 | 53,178 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 254,643 | 283,392 | 28,749 |
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ198億円増加し、700億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却・償還による収入が増加したことなどにより前連結会計年度に比べ293億円増加し、625億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出が減少したことなどにより前連結会計年度に比べ531億円増加し、△1,286億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より287億円増加し、2,833億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性に係る情報は次のとおりであります。
成長投資をはじめとする長期的な投資資金等に対しては、主に営業活動と投資活動から得た資金及び内部留保による自己資金を活用するほか、社債の発行による外部からの資金調達を行っております。
また、資金の流動性につきましては、大規模自然災害時に保険金の支払や市場の混乱等により資金繰りが悪化する場合に備え、流動性資産を十分に保有するとともに、資金の流出入の動向を踏まえて資産・負債両面から流動性についての評価を行い、適切な資金繰りを行っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定に基づき、IFRS会計基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 見積り及び判断の利用、3.重要性がある会計方針」に記載しております。
④ 目標とする経営指標等の分析等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標に関し、正味収入保険料は、火災保険や自動車保険で増収したことなどにより、1兆4,711億円と前事業年度に比べ、2.9%の増加となりました。正味損害率は、火災保険の支払が減少したことや正味収入保険料が増加したことなどにより、64.5%と前事業年度に比べ、2.1ポイントの低下となりました。正味事業費率は、正味収入保険料が増加したことなどにより、32.6%と前事業年度に比べ、1.1ポイントの低下となりました。
⑤ 問題認識と今後の方針について
問題認識と今後の方針は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しているとおりであります。
(3) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下、「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
① 要約連結貸借対照表(日本基準)
| (単位:百万円) |
| 前連結会計年度 (2025年3月31日) | 当連結会計年度 (2026年3月31日) | |
| 資産の部 | ||
| 現金及び預貯金 | 289,319 | 345,763 |
| 金銭の信託 | 3,580 | 26,484 |
| 有価証券 | 2,567,197 | 2,810,806 |
| 貸付金 | 270,163 | 263,000 |
| 有形固定資産 | 174,721 | 174,619 |
| 無形固定資産 | 76,880 | 76,986 |
| その他資産 | 406,067 | 404,602 |
| 退職給付に係る資産 | 30,654 | 56,700 |
| 繰延税金資産 | 31,772 | 5,203 |
| 支払承諾見返 | 7,000 | - |
| 貸倒引当金 | △ 4,964 | △ 3,124 |
| 資産の部合計 | 3,852,392 | 4,161,043 |
| 負債の部 | ||
| 保険契約準備金 | 2,549,662 | 2,557,741 |
| 社債 | 25,000 | 25,000 |
| その他負債 | 324,075 | 342,199 |
| 退職給付に係る負債 | 44,143 | 39,283 |
| 賞与引当金 | 8,795 | 10,790 |
| 株式給付引当金 | 349 | 728 |
| 関係会社清算損失引当金 | - | 7,872 |
| 特別法上の準備金 | 39,611 | 41,397 |
| 繰延税金負債 | - | 38,012 |
| 支払承諾 | 7,000 | - |
| 負債の部合計 | 2,998,636 | 3,063,026 |
| 純資産の部 | ||
| 株主資本 | 394,452 | 459,473 |
| その他の包括利益累計額 | 458,523 | 637,601 |
| 非支配株主持分 | 779 | 942 |
| 純資産の部合計 | 853,756 | 1,098,017 |
| 負債及び純資産の部合計 | 3,852,392 | 4,161,043 |
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
| (単位:百万円) |
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | |
| 経常収益 | 1,855,147 | 1,954,769 |
| 保険引受収益 | 1,646,499 | 1,667,919 |
| 資産運用収益 | 192,036 | 262,059 |
| その他経常収益 | 16,611 | 24,790 |
| 経常費用 | 1,717,709 | 1,695,627 |
| 保険引受費用 | 1,414,301 | 1,385,647 |
| 資産運用費用 | 49,963 | 51,545 |
| 営業費及び一般管理費 | 240,731 | 243,214 |
| その他経常費用 | 12,713 | 15,220 |
| 経常利益 | 137,438 | 259,142 |
| 特別利益 | 2,733 | 1,070 |
| 特別損失 | 9,440 | 38,239 |
| 税金等調整前当期純利益 | 130,731 | 221,973 |
| 法人税等合計 | 26,450 | 56,049 |
| 当期純利益 | 104,281 | 165,923 |
| 非支配株主に帰属する当期純利益 | 194 | 106 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 104,086 | 165,816 |
要約連結包括利益計算書
| (単位:百万円) |
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | |
| 当期純利益 | 104,281 | 165,923 |
| その他の包括利益 | △ 165,351 | 179,132 |
| 包括利益 | △ 61,070 | 345,056 |
| (内訳) | ||
| 親会社株主に係る包括利益 | △ 61,321 | 344,894 |
| 非支配株主に係る包括利益 | 250 | 162 |
③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
| (単位:百万円) |
| 株主資本 | その他の包括利益 累計額 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
| 当期首残高 | 395,883 | 623,931 | 515 | 1,020,329 |
| 当期変動額 | △ 1,430 | △ 165,407 | 264 | △ 166,573 |
| 当期末残高 | 394,452 | 458,523 | 779 | 853,756 |
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
| (単位:百万円) |
| 株主資本 | その他の包括利益 累計額 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
| 当期首残高 | 394,452 | 458,523 | 779 | 853,756 |
| 当期変動額 | 65,021 | 179,077 | 162 | 244,260 |
| 当期末残高 | 459,473 | 637,601 | 942 | 1,098,017 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
| (単位:百万円) |
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 42,880 | 102,262 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 39,657 | 53,871 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △ 178,692 | △ 126,517 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | 5,443 | 3,933 |
| 現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | △ 90,711 | 33,551 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 336,317 | 245,606 |
| 吸収分割に伴う現金及び現金同等物の増加額 | - | 2,109 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 245,606 | 281,266 |
⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
該当事項はありません。
(4) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRS会計基準により作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 43.IFRS会計基準への移行に関する開示」に記載のとおりであります。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(投資有価証券(資本性金融商品))
日本基準において「その他有価証券」に分類された株式については、売却損益及び減損損失を純損益として認識しております。IFRS会計基準において「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融資産」の選択を行った株式については、公正価値の変動額をその他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素として認識し、認識を中止した時点で利益剰余金に振り替えております。この影響により、IFRS会計基準の投資損益は、日本基準のこれに相当する項目に比べて、165,525百万円減少しております。また、日本基準においては、非上場株式は原則として取得原価で測定しておりますが、IFRS会計基準においては公正価値により測定しております。この影響により、IFRS会計基準では日本基準に比べて、その他の包括利益(税効果調整後)が19,605百万円増加しております。
(保険契約及び再保険契約)
日本基準及びIFRS会計基準における測定方法及び表示方法は、次のとおりであります。
分類及び測定
日本基準においては保険業法における保険契約準備金を負債として計上しておりましたが、IFRS会計基準においては原則として保険契約及び再保険契約を履行キャッシュ・フロー(見積将来キャッシュ・フロー(貨幣の時間価値及び関連する金融リスクを反映するように調整)及び非金融リスクに係るリスク調整で構成される)ならびに契約上のサービス・マージン(Contractual Service Margin(CSM))の合計額で測定し、資産又は負債として計上しております。なお、一部の保険契約及び再保険契約については、保険料配分アプローチ(Premium Allocation Approach(以下、「PAA」という。))を適用して測定し、資産又は負債として計上しております。日本基準及びIFRS会計基準における測定方法は、PAAを適用して測定する契約に係る残存カバーに係る資産及び負債については概ね類似しておりますが、同契約に係る発生保険金に係る資産及び負債ならびにPAAを適用せずに測定する契約に係る資産及び負債については、主に次の差異があります。
・日本基準においては、原則として割引計算を行っておりませんでしたが、IFRS会計基準においては、見積将来キャッシュ・フローに貨幣の時間価値を反映させて測定しております。
・日本基準においては、明示的にはリスク調整を考慮しておりませんでしたが、IFRS会計基準においては、見積将来キャッシュ・フローに非金融リスクに係るリスク調整を反映させて測定しております。
・日本基準においては、原則として契約締結時点における見積りの前提に基づいておりましたが、IFRS会計基準においては、見積将来キャッシュ・フローは期末日現在における見積りに基づいて測定しております。
・日本基準においては、原則として保険契約に係る費用は発生時に認識しておりましたが、IFRS会計基準においては、保険獲得キャッシュ・フロー及び維持費については見積将来キャッシュ・フローの測定に含めております。
この影響により、IFRS会計基準の保険契約資産、保険契約負債、再保険契約資産及び再保険契約負債の純額(負債)は、日本基準のこれらに相当する項目の純額(負債)に比べて、491,178百万円減少しております。
保険収益の表示
日本基準においては保険契約者から収受した時点で認識する収入保険料と保険契約準備金の一部である責任準備金等の増減(費用として表示される「責任準備金等繰入額」又は収益として表示される「責任準備金等戻入額」)とに区分して表示しておりましたが、IFRS会計基準においては「保険収益」として表示しております。
保険サービス費用の表示
日本基準においては保険契約者に支払った時点で認識する支払保険金、保険契約準備金の一部である支払備金の増減(費用として表示される「支払備金繰入額」又は収益として表示される「支払備金戻入額」)などに区分して表示しておりましたが、IFRS会計基準においては「保険サービス費用」として表示しております。また、IFRS会計基準においては、不利な契約に係る損益についても「保険サービス費用」に含めております。