有価証券報告書-第14期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首より、国際財務報告基準(IFRS)を適用している在外連結子会社においてIFRS第17号「保険契約」を適用しており、前連結会計年度に係る経営成績等は当該会計基準を遡及適用した後の数値となっております。また、連結主要指標における前連結会計年度に係る対前年増減率は記載しておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、米国において、雇用者数の増加や個人消費の拡大等を背景に景気は堅調に推移しましたが、欧州では物価高の影響等により景気に弱さが見られました。また、わが国経済は、原材料価格の高騰等の影響を受けつつも、経済活動の再開による内需の回復等により、景気は緩やかに回復してまいりました。
このような中、当社は、2022年度から2025年度の4か年を対象とする中期経営計画の2年目を迎え、CSV×DX※1を通じて保険の新たな価値創造に挑戦するとともに、特色ある基盤を強化し、これまで磨き上げてきた当社の「先進性」「多様性」「地域密着」のさらなる進展と、サステナビリティの推進に取り組みました。また、企業保険分野における保険料調整行為の発生を踏まえ、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(以下「独占禁止法」といいます。)の遵守などのコンプライアンスの徹底やガバナンスの強化を重要課題と位置付けて取り組みました。
令和6年能登半島地震(以下「能登半島地震」といいます。)につきまして、当社は被災されたお客さまへ早期に安心を提供するため、対策本部や現地立会拠点を設置し、多数の社員・鑑定人の動員によって調査を行うなど、迅速な保険金のお支払に向けた各種の取り組みを進めました。
コンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化
当社は、企業保険分野における保険料調整行為に関して、2023年12月、金融庁より保険業法に基づく業務改善命令を受け、経営責任の明確化のための役員報酬の減額を含む業務改善計画を策定し、2024年2月、金融庁に提出しました。
また、特定の企業を契約者とする保険契約に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、2023年12月、公正取引委員会による立入検査を受けました。
当社は、これらの事態を厳粛に受け止め、社会やお客さまからの信頼を回復すべく、当社の7つのValue※2である「お客さま第一」「誠実」「チームワーク」「革新」「プロフェッショナリズム」「地域密着」「情熱」を再確認し、さらにコンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化を図ってまいります。かかる事態を二度と発生させないよう独占禁止法をはじめとする法令遵守の徹底に向け、全役職員が一丸となって以下のとおり取り組んでまいります。
<再発防止に向けた主な取組>
中期経営計画(2022-2025)取組
当社では、MS&ADインシュアランスグループの中期経営計画を踏まえ、2022年度から2025年度の4か年の中期経営計画に取り組んでおります。
グループが掲げるミッション・ビジョン・バリュー及びグループの目指す姿を踏まえ、「CSV×DX」を推進し、基本戦略(先進性・多様性・地域密着の進展、サステナビリティへの取り組み強化、既存事業の進展)、グループシナジー発揮(1プラットフォーム戦略の推進等)、経営基盤の強化に取り組むことにより、当社が目指す姿として掲げる「CSV×DXを通じて、お客さま・地域・社会の未来を支えつづける」企業を実現してまいります。

当期における主な取組みの経過及び成果等は、以下のとおりであります。
(部門横断プロジェクト)
当社では、急激な環境変化に対し、組織の垣根を超え迅速・柔軟に対応するため、「テレマティクス・モビリティサービス」「地方創生」「デジタル変革」「プラットフォーム」「データビジネス」「未来戦略創造」の6つの部門横断プロジェクトに取り組みました。
なお、「テレマティクス・モビリティサービス」「デジタル変革」「プラットフォーム」の3つのプロジェクトにつきましては、取組みが社内に定着し執行局面に移行したため、2024年3月を以て解消しました。
テレマティクス・モビリティサービスプロジェクトにつきましては、CSV×DXを具現化する商品・サービスの開発・推進を国内外で進めております。
国内のテレマティクス自動車保険※5の保有台数は190万台を超え、1月にはスマートフォンで利用できる「タフ・見守るクルマの保険NexT」をナビタイムジャパン社と共同で開発しました。また、テレマティクス自動車保険で収集した走行データを活用し、地域の交通・安全対策やCO2排出量の削減などの社会・地域課題の解決につなげる「SAFE TOWN DRIVE~走るほどに、安心な町づくり~」の取組みも進めております。
国外においても、テレマティクス自動車保険のパイオニアとして、米国・欧州・中国・東南アジア・オセアニアを中心に事業拡大を進めており、米国子会社MOTER Technologies,Inc.社ではコネクティッドカーデータを活用した保険・サービスに対応するソフトウェアの開発を行い、FROST&SULLIVAN社※6からEnabling Technology Leadership Award※7を受賞しました。
また、「CASE※8」や「MaaS※9」等のモビリティサービスに対しても、さまざまなアライアンス先との共同検討を通して、新商品・サービスの検討を進めております。特に、自動運転の分野では、全国での自動運転レベル4の社会実装に向けた実証実験の拡大に対し、群馬大学発の自動運転スタートアップである日本モビリティ社との協業により各地で参画を進めております。また、米国のシャトルバス向け自動運転システムのトップランナーであるMay Mobility社との資本業務提携も開始しました。
引き続き、産学官民での協業を通じて得た知見・ノウハウを基に、安全・安心・便利なモビリティ社会の実現に貢献するべく、CSV×DXの理念に沿った新たな保険やサービスの開発・提供に取り組んでまいります。
地方創生プロジェクトにつきましては、各地域の地方創生取組の支援を継続して実施し、500の地方公共団体と連携協定を締結しました(2024年1月現在)。2023年度は、SDGsを起点とした地域密着のビジネスモデルの深化を方針として掲げ、CSV×DX・地方創生SDGsを理解・実践できる社員・代理店の人財育成と、CSV×DXをベースに地方公共団体が抱える多様な地域課題の解決に向けた取組みを推進しました。
その結果、本取組に共鳴・共感する代理店とのCSV×DXを活かした支援メニュー(SDGs、カーボンニュートラル、テレマティクス等)の活用が進み、地域課題解決の取組みが進展しました。
今後も、これまで培ったCSV×DX・地方創生SDGs取組を通じて、お客さま本位の業務運営を体現し、地域課題解決を支援してまいります。
デジタル変革プロジェクトにつきましては、社員一人ひとりが主体となる取組みが重要であることに着目し、2021年度から全社員が利用可能なRPA(Power Automate※10)の導入と社員のデジタルリテラシー向上を進め、第一線の効率化取組に本格的に着手しました。具体的には、各職場の業務デジタル化をけん引するデジタルリーダー人財を877人育成し、3,215人の社員がRPAの活用により16,577の定型業務を自動化しました(2024年1月末現在)。
これら取組みにより、デジタルインフラの整備とデジタルの利活用による業務品質向上、ビジネススタイル変革は着実に進み、さらには社員のデジタルへの取組意識の高まりやリテラシー向上など全社一体でデジタル変革に取り組む企業風土を構築しました。
引き続き、これまでの既存業務の自動化・品質向上・効率化とデジタル人財育成を進めていくとともに、お客さま・社会からの信頼回復に向けたお客さま目線でのデジタル化取組の強化や、生成AIの幅広い活用を通じた社員一人ひとりの生産性向上を進めてまいります。
プラットフォームプロジェクトにつきましては、世界最大のECプラットフォーマー※11の一つであるAmazonを含むさまざまなプラットフォーマーと新たなパートナーシップを結び、保険販売やR&Dに取り組みました。
R&Dにおいては、CSV×DXを推進し、企業・スタートアップ・大学と連携して社会・地域の課題解決に資する取組みを進めました。具体的な取組みとしては、自然災害や交通事故の未然防止につながるサービスの開発を目指し、雹災予測サービスの開発に向けた実証実験の実施や、ヘルスケア領域では運転寿命の延伸を目的に健康データと走行データの相関関係の検証などの取組みを進めました。
これらの取組みを通じて獲得した知見を早期にサービス化しお客さまへ提供していくとともに、今後も最新の技術動向やトレンドを機敏に捉え、お客さまの安全・安心に貢献するサービスの開発及びこれらの事業を収益源として確立させるべく取り組んでまいります。
データビジネスプロジェクトにつきましては、社内外のさまざまなデータを活用し、保険外事業の創出・拡大に向け取り組んでおります。
2023年度は、交通安全EBPM※12支援サービス及び路面状況把握システムの商用提供を開始するなど、テレマティクス自動車保険契約の走行ビッグデータを活用した可視化・分析サービスの展開をさらに拡充・加速しました。
特に、保育施設にて散歩などの園外活動の際に使用する経路や目的地の選定における安全計画立案の義務化に際し、保育施設周辺の自動車交通量及び通行する自動車の急減速発生率をマップに可視化して、提供する新たなサービスについては、2023年8月末時点で 1,800 超の施設にて活用されるなど好評いただきました。このような活動を通じて「第17回キッズデザイン賞」を受賞しました。
加えて、能登半島地震の被災地復興支援を目的に、テレマティクス自動車保険により取得した自動車走行データを活用して、災害救助法適用地域における道路復旧をサポートする「路面状況把握システム(災害復旧支援プラン)」を構築するなど、テレマティクスデータの自然災害の復興支援への活用にも取り組みました。
今後も、本プロジェクトを通じて獲得した成果や知見、パートナーとのネットワークをさらに拡充させ、CSV×DXの社会実装ならびに付加価値の高いデジタルソリューションの開発・ビジネスモデルの早期確立に取り組んでまいります。
未来戦略創造プロジェクトにつきましては、2022年秋に当社出資先のオックスフォード大学のAIベンチャーであるMind Foundry社との間で共同研究所「Aioi R&D Lab Limited」を設立し、同研究所をハブにCSV×DX取組をグローバルで進めております。
具体的な取組みとしては、損害保険業界全体で取り組むべき重要課題の一つである保険金の不正請求対策として、「AIを活用した不正検知システム」を開発し運用を開始しました。また、近年、世界中で大きな社会問題となっているインフラの老朽化対策の一つとして、橋梁の点検業務効率化・高度化を目指し、裾野市と共同で「AIを活用した橋梁点検サポートツール」の開発を開始しました。
Aioi R&D Lab Limited設立以降、日英におけるさまざまな取組みが評価され、在日英国商業会議所主催の British Business Awards 2023※13で「UK-JP Partnership賞※14」を保険業界として初めて受賞しました。
今後もMind Foundry社のAI開発力やオックスフォード大学の著名な教授陣からのアドバイスを活かし、プロジェクトを通じて、「社会課題の解決」「保険の新たな価値創造」の実現に向け取り組んでまいります。
(国内保険事業)
当社は、CSV×DXに資する商品・サービスを開発・提供するとともに、自然災害発生時の損害調査を迅速かつ的確に進めるべく、デジタル技術の活用を一層推進しました。
また、当期に大手中古車販売店より不正な自動車修理費の請求が相次いだ事案につきまして、当社では、被害にあわれたお客さまへの対応を最優先するため、独自に調査を実施し算出した修理費に基づき、保険適用に関する意向の再確認を順次進めました。
<主な取組内容>
(海外保険事業)
当社では、とりわけトヨタリテール事業※15の持続的成長、事業投資による成長加速に取り組みました。
2023年度は、ハワイ・マウイ島における火災、グアムにおける台風の被害に加え、トヨタリテール事業における欧州での自動車盗難の増加やインフレの影響を受け、収益は前年を下回ったことから、事業環境の変化を踏まえ、収益性の低い事業からの撤退を含めた選択と集中により収益性改善を図る方針とし、事業計画を見直しました。
※1 CSV(Creating Shared Value)×DX(Digital Transformation)とは…CSV(社会との共通価値の創造)に、DX(デジタルトランスフォーメーション)を掛け合わせることによって、お客さま・地域・社会とともによりよい未来を実現することで、持続的成長と企業価値向上を実現する取組み
※2 7つのValueとは…グループのValue「お客さま第一」「誠実」「チームワーク」「革新」「プロフェッショナリズム」の5つに、「地域密着」「情熱」を当社独自のValueとして設定
※3 グループのビジョンとは…当社のビジョンが「すべてのお客さまに高品質の商品・サービスをお届けし、一人ひとりのお客さまからの確かな信頼を基に発展する企業を創造します」であるのに対し、グループのビジョンは「持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造します」
※4 3線管理態勢とは…第一線(現業部門)、第二線(管理部門)、第三線(内部監査部門)からなる3つのディフェンスラインにリスク管理に係るそれぞれの役割を担わせ、内部統制を実行していく考え方
※5 テレマティクス自動車保険とは…カーナビゲーションやGPS等と移動体通信システムを利用して、さまざまな情報やサービスを提供する自動車保険。当社においては、個人向けの「タフ・つながるクルマの保険」、「タフ・見守るクルマの保険プラス(ドラレコ型)」、「タフ・見守るクルマの保険NexT」、「タフ・見守るクルマの保険プラスS」の4商品及び法人向けにも同様の商品を販売している
※6 FROST&SULLIVAN社とは…グローバルに市場調査・コンサルティングを手掛ける企業
※7 Enabling Technology Leadership Awardとは…先進技術を活用し、商品・サービスや顧客体験の向上への寄与が認められた企業に授与される賞
※8 CASEとは…「Connected(コネクテッド)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared & Service(シェアリング)」、「Electric(電動化)」の4つの単語の頭文字をつなげた造語
※9 MaaSとは…Mobility as a Serviceの略語で交通インフラにおいて「移動」をサービスとして提供すること
※10 PowerAutomateとは…頻繁に使用するアプリやサービスとの間に自動化されたワークフローを作成し、ファイルの同期、通知の受信、データの収集等を行うことができるMicrosoft社が提供するサービス
※11 プラットフォーマーとは…オンライン上でサービスを提供し、多くの顧客を抱える事業者として当社内で独自に定義
※12 EBPMとは…Evidence-Based Policy Making(証拠に基づく政策立案)の略。政府にて推進されており、政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータの活用が求められている
※13 British Business Awards 2023とは…在日英国商業会議所主催のイベントで、卓越性、革新性、多様性、起業家精神、日本でのビジネスへの貢献度で評価され、日英でのより良い関係構築に寄与する取組みとして受賞者を決定する
※14 UK-JP Partnership賞とは…過去1年間で最も日英の経済や商業関係の強化に貢献した合弁事業、提携、又はその他のパートナーシップを持つ事業体に贈られる賞
※15 トヨタリテール事業とは…トヨタ車等の自動車販売や金融等のサービス提供に付随した自動車保険や延長保証などの保険の引受やサービスを提供する事業
このような中、当連結会計年度の経営成績は次のとおりとなりました。
経常収益は、保険引受収益が1兆5,797億円、資産運用収益が1,795億円、その他経常収益が165億円となった結果、
1兆7,758億円となりました。一方、経常費用は、保険引受費用が1兆4,135億円、資産運用費用が555億円、営業費及び一般管理費が2,245億円、その他経常費用が85億円となった結果、1兆7,022億円となりました。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ73億円増加し、735億円となりました。経常利益に特別損益、法人税及び住民税等などを加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ95億円増加し、512億円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
イ 国内損害保険事業(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社)
経常収益は、保険引受収益が1兆4,766億円、資産運用収益が1,758億円、その他経常収益が77億円となった結果、1兆6,602億円となりました。一方、経常費用は、保険引受費用が1兆3,321億円、資産運用費用が552億円、営業費及び一般管理費が1,915億円、その他経常費用が22億円となった結果、1兆5,811億円となりました。
以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ123億円増加し、790億円となりました。経常利益に特別損益、法人税及び住民税などを加減した当期純利益は、前事業年度に比べ128億円増加し、560億円となりました。
ロ 海外事業(海外保険子会社)
海外保険子会社セグメントについては、正味収入保険料は前連結会計年度に比べ93億円増加し、1,031億円となりました。
経常損益は前連結会計年度に比べ59億円減少し、49億円の損失となりました。出資持分考慮後の当期純損益(セグメント損益)は前連結会計年度に比べ33億円減少し、40億円の損失となりました。
当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。
総資産は前連結会計年度末に比べ4,098億円増加し、4兆2,454億円となりました。
当社の連結ソルベンシー・マージン比率は、前連結会計年度末に比べ46.1ポイント低下し、799.1%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ216億円増加し、400億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ834億円減少し、235億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ228億円増加し、△128億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より575億円増加し、3,363億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
損害保険業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、予測、見込み、見通し、方針、予定等の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には不確実性が内在しており、将来生じる実際の結果とは大きく異なる可能性があります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
[連結主要指標]
正味収入保険料は、当社において火災保険で減収したものの、自動車保険で増収し、海外事業においても増収したことにより、前連結会計年度に比べ428億円増加し、1兆4,726億円となりました。
経常利益は、当社において資産運用損益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ73億円増加し、735億円となりました。
経常利益に特別損益、法人税及び住民税等などを加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ95億円増加し、512億円となりました。
保険種目別の状況は次のとおりであります。
a 元受正味保険料(含む収入積立保険料)
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
2.元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものであります。(積立型保険の積立保険料を含む。)
b 正味収入保険料
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
c 正味支払保険金
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
運用資産及び有価証券の状況は次のとおりであります。
a 運用資産
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
b 有価証券
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
イ 国内損害保険事業(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社)
当社(単体)の経営成績は次のとおりとなりました。
[当社(単体)の主要指標]
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.正味損害率=(正味支払保険金+損害調査費)÷正味収入保険料
3.正味事業費率=(諸手数料及び集金費+保険引受に係る営業費及び一般管理費)÷正味収入保険料
保険引受の概況は次のとおりであります。
正味収入保険料は、火災保険で減収したものの、自動車保険で増収したことなどにより前事業年度に比べ334億円増加し、1兆3,689億円となりました。一方、正味支払保険金は、火災保険で減少したものの、自動車保険で増加したことなどにより前事業年度に比べ175億円増加し、8,268億円となりました。以上により、正味損害率は66.4%と、前事業年度に比べ0.2ポイント低下しました。また、正味収入保険料が増加したことなどにより、正味事業費率は34.2%と、前事業年度に比べ0.4ポイント低下しました。
これらに収入積立保険料、満期返戻金、支払備金繰入額、責任準備金戻入額などを加減した保険引受損益は、自動車事故による発生保険金(正味支払保険金と支払備金繰入額の合計)が増加したことなどにより、前事業年度に比べ338億円減少し、331億円の損失となりました。
資産運用の概況は次のとおりであります。
利息及び配当金収入が前事業年度に比べ100億円増加し736億円となり、また、有価証券売却益が前事業年度に比べ643億円増加し1,143億円となったことなどから、積立型保険の満期返戻金などに充当する運用益を控除した残額の資産運用収益は、前事業年度に比べ753億円増加し、1,758億円となりました。一方、資産運用費用は、有価証券売却損が増加したことなどにより前事業年度に比べ280億円増加し、552億円となりました。
これらの結果、経常利益は前事業年度に比べ123億円増加し、790億円となりました。当期純利益は前事業年度に比べ128億円増加し、560億円となりました。
保険種目別の状況は次のとおりであります。
a 元受正味保険料(含む収入積立保険料)
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものであります。(積立型保険の積立保険料を含む。)
b 正味収入保険料
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
c 正味支払保険金
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.正味損害率は正味支払保険金に損害調査費を加えて算出しております。
運用資産、有価証券、利回り及び海外投融資の状況は次のとおりであります。
a 運用資産
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
b 有価証券
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
c 利回り
運用資産利回り(インカム利回り)
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.収入金額は、損益計算書における「利息及び配当金収入」に、「金銭の信託運用益」のうち利息及び配当金収入相当額を含めた金額であります。
3.平均運用額は原則として各月末残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。
資産運用利回り(実現利回り)
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.資産運用損益(実現ベース)は、損益計算書における「資産運用収益」及び「積立保険料等運用益」の合計額から「資産運用費用」を控除した金額であります。
3.平均運用額(取得原価ベース)は原則として各月末残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。
4.資産運用利回り(実現利回り)にその他有価証券の評価差額等を加味した時価ベースの利回り(時価総合利回り)は以下のとおりであります。
なお、資産運用損益等(時価ベース)は、資産運用損益(実現ベース)にその他有価証券及び金銭の信託(その他有価証券に準じて処理をする運用目的・満期保有目的以外のものに限る。)に係る評価差額(税効果控除前の金額による。)の当期増減額を加減算した金額であります。
また、平均運用額(時価ベース)は、平均運用額(取得原価ベース)にその他有価証券及び金銭の信託(その他有価証券に準じて処理をする運用目的・満期保有目的以外のものに限る。)に係る前期末評価差額(税効果控除前の金額による。)を加減算した金額であります。
d 海外投融資
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.金銭の信託として運用しているものを含めて表示しております。
3.「海外投融資利回り」のうち「運用資産利回り(インカム利回り)」は、海外投融資に係る資産について、「c 利回り 運用資産利回り(インカム利回り)」と同様の方法により算出したものであります。
4.「海外投融資利回り」のうち「資産運用利回り(実現利回り)」は、海外投融資に係る資産について、「c 利回り 資産運用利回り(実現利回り)」と同様の方法により算出したものであります。
なお、海外投融資に係る時価総合利回りは前事業年度△2.04%、当事業年度11.61%であります。
5.前事業年度の外貨建「その他」の主なものは、外国投資信託186,661百万円であり、円貨建「その他」の主なものは、外国投資信託43,208百万円であります。
当事業年度の外貨建「その他」の主なものは、外国投資信託286,438百万円であり、円貨建「その他」の主なものは、外国投資信託35,878百万円であります。
ロ 海外事業(海外保険子会社)
海外事業につきましては、とりわけトヨタリテール事業の持続的成長、事業投資による成長加速に取り組みました。ハワイ・マウイ島における火災、グアムにおける台風の被害に加え、トヨタリテール事業における欧州での自動車盗難の増加やインフレの影響を受け、収益は前年を下回ったことから、事業環境の変化を踏まえ、収益性の低い事業からの撤退を含めた選択と集中により収益性改善を図る方針とし、事業計画を見直しました。
海外保険子会社セグメントの経営成績は次のとおりとなりました。
[海外保険子会社の主要指標]
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.セグメント損益は出資持分考慮後の当期純損益に相当する金額であります。
正味収入保険料は、前連結会計年度に比べ93億円増加し、1,031億円となりました。
経常損益は前連結会計年度に比べ59億円減少し、49億円の損失となりました。出資持分考慮後の当期純損益(セグメント損益)は前連結会計年度に比べ33億円減少し、40億円の損失となりました。
当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。
総資産は前連結会計年度末に比べ4,098億円増加し、4兆2,454億円となりました。主な総資産の内訳は、有価証券が2兆8,718億円(前連結会計年度末比3,496億円増加)、現金及び預貯金が3,745億円(同513億円増加)であります。
当社のソルベンシー・マージン比率の状況は、以下のとおりであります。
保険会社は、保険金支払等に備えて準備金を積み立てておりますが、巨大災害の発生や、資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。この「通常の予測を超える危険」を示す「リスクの合計額」(以下の各表の(B))に対する「資本金・準備金等の支払余力」(すなわちソルベンシー・マージン総額:以下の各表の(A))の割合を示す指標として、保険業法等に基づき計算されたものが、「ソルベンシー・マージン比率」(以下の各表の(C))であります。
ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつでありますが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされております。
イ 単体ソルベンシー・マージン比率
(注)「単体ソルベンシー・マージン比率」とは、保険業法施行規則第86条及び第87条並びに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出された比率であります。
ロ 連結ソルベンシー・マージン比率
(注)「連結ソルベンシー・マージン比率」とは、保険業法施行規則第86条の2及び第88条並びに平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出された比率であります。
巨大災害リスク相当額の増加を主因に、当事業年度末の単体ソルベンシー・マージン比率は前事業年度末に比べて50.5ポイント低下し、780.3%となり、当連結会計年度末の連結ソルベンシー・マージン比率は前連結会計年度末に比べて46.1ポイント低下し、799.1%となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、保険料の収入額が増加したことなどにより前連結会計年度に比べ216億円増加し、400億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、債券貸借取引受入担保金による収入が減少したことなどにより前連結会計年度に比べ834億円減少し、235億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に社債の償還による支出が増加したことの反動などにより前連結会計年度に比べ228億円増加し、△128億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より575億円増加し、3,363億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性に係る情報は次のとおりであります。
長期的な投資資金等に対しては、主に営業活動から得た資金及び内部留保による自己資金を活用するほか、社債の発行による外部からの資金調達を行っております。
また、資金の流動性につきましては、大規模自然災害時に保険金の支払や市場の混乱等により資金繰りが悪化する場合に備え、流動性資産を十分に保有するとともに、資金の流出入の動向を踏まえて資産・負債両面から流動性についての評価を行い、適切な資金繰りを行っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準及び諸法令に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とする項目があります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から実際の結果とは異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、次の事項を会計上の重要な見積りと考えております。
イ 時価の算定方法
資産・負債の一部は時価をもって貸借対照表価額としており、時価の算定は市場価格等に基づいております。一部のデリバティブ取引において市場価格がない場合には、将来キャッシュ・フローの現在価値や取引対象の市場価格、契約期間等の構成要素に基づく合理的な見積りによって算出された価格を時価としております。
ロ 有価証券の減損
保有している有価証券については、市場の価格変動等のリスクを負っており、価値の下落が著しくかつ一時的でないと判断した場合に減損処理を行っております。将来において市場価格が下落した場合等には減損処理が必要となる可能性があります。
ハ 固定資産の減損
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように、減損処理を行っております。資産又は資産グループの回収可能価額は、正味売却価額(資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される価額)と使用価値(資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値)のいずれか高い金額であることから、固定資産の減損損失の金額は合理的な仮定及び予測に基づく将来キャッシュ・フローの見積りに依存しております。したがって、固定資産の使用方法を変更した場合又は不動産取引相場や賃料相場等が変動した場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
ニ 繰延税金資産
繰延税金資産は将来の課税所得の見積り等を踏まえ、回収可能性に問題がないと判断した金額を計上することとしております。ただし、将来の市場環境や経営成績が著しく変化し、将来の課税所得の見積りに大きな変化が生じた場合や、税制改正により税率の変更が生じた場合等には、繰延税金資産の金額が変動する可能性があります。
ホ 貸倒引当金
貸倒引当金は、債権の貸倒れによる損失に備え、回収不能見込額を計上しております。このため、将来、貸付先等の債務者の財政状態が変化した場合等には、貸倒引当金の必要額も変動する可能性があります。
ヘ 支払備金
支払備金は、保険契約に基づいて支払義務が発生した保険金等のうち、まだ支出として計上していないものについては、個別の損害ごとの見積額を、また、まだ支払事由の発生の報告を受けていないが保険契約に規定する支払事由が既に発生したと認められるものについては、過去のデータに基づき算定した見積額を計上しております。これらの見積りは、当連結会計年度末時点における情報に基づいて行っておりますが、損害調査の進展、将来においてインフレや為替の影響、さらには裁判の判例などの動向等により支払備金の必要額が変動する可能性があります。
ト 責任準備金等
責任準備金等は、保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため積み立てているものであります。当初想定した環境や条件が変化した場合等には、責任準備金等の必要額が変動する可能性があります。
チ 退職給付債務等
退職給付債務及び退職給付費用は、割引率等数理計算上の前提条件や年金資産の期待運用収益率等の見込数値である基礎率に基づいて算出されております。このため、見込数値が実際と異なった場合、あるいは前提条件が変更された場合には、将来の退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。
なお、上記のうち「ヘ 支払備金」については、関連する事項を「第5 経理の状況」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
④ 目標とする経営指標等の分析等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標に関し、正味収入保険料は、火災保険で減収したものの、自動車保険で増収したことなどにより、1兆3,689億円と前事業年度に比べ、2.5%の増加となりました。正味損害率は、火災保険で減少したものの、自動車保険の支払が増加したことなどにより、66.4%と前事業年度に比べ、0.2ポイントの低下となりました。正味事業費率は、正味収入保険料が増加したことなどにより、34.2%と前事業年度に比べ、0.4ポイントの低下となりました。
⑤ 問題認識と今後の方針について
問題認識と今後の方針は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しているとおりであります。
当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首より、国際財務報告基準(IFRS)を適用している在外連結子会社においてIFRS第17号「保険契約」を適用しており、前連結会計年度に係る経営成績等は当該会計基準を遡及適用した後の数値となっております。また、連結主要指標における前連結会計年度に係る対前年増減率は記載しておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、米国において、雇用者数の増加や個人消費の拡大等を背景に景気は堅調に推移しましたが、欧州では物価高の影響等により景気に弱さが見られました。また、わが国経済は、原材料価格の高騰等の影響を受けつつも、経済活動の再開による内需の回復等により、景気は緩やかに回復してまいりました。
このような中、当社は、2022年度から2025年度の4か年を対象とする中期経営計画の2年目を迎え、CSV×DX※1を通じて保険の新たな価値創造に挑戦するとともに、特色ある基盤を強化し、これまで磨き上げてきた当社の「先進性」「多様性」「地域密着」のさらなる進展と、サステナビリティの推進に取り組みました。また、企業保険分野における保険料調整行為の発生を踏まえ、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(以下「独占禁止法」といいます。)の遵守などのコンプライアンスの徹底やガバナンスの強化を重要課題と位置付けて取り組みました。
令和6年能登半島地震(以下「能登半島地震」といいます。)につきまして、当社は被災されたお客さまへ早期に安心を提供するため、対策本部や現地立会拠点を設置し、多数の社員・鑑定人の動員によって調査を行うなど、迅速な保険金のお支払に向けた各種の取り組みを進めました。
コンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化
当社は、企業保険分野における保険料調整行為に関して、2023年12月、金融庁より保険業法に基づく業務改善命令を受け、経営責任の明確化のための役員報酬の減額を含む業務改善計画を策定し、2024年2月、金融庁に提出しました。
また、特定の企業を契約者とする保険契約に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、2023年12月、公正取引委員会による立入検査を受けました。
当社は、これらの事態を厳粛に受け止め、社会やお客さまからの信頼を回復すべく、当社の7つのValue※2である「お客さま第一」「誠実」「チームワーク」「革新」「プロフェッショナリズム」「地域密着」「情熱」を再確認し、さらにコンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化を図ってまいります。かかる事態を二度と発生させないよう独占禁止法をはじめとする法令遵守の徹底に向け、全役職員が一丸となって以下のとおり取り組んでまいります。
<再発防止に向けた主な取組>
・経営トップメッセージの発信等による、グループのミッション・ビジョン※3・バリューと「お客さま第一の業務運営」の再浸透 ・社内で認識された重要な情報や疑問が経営・本社部門に迅速に伝わる仕組みの構築 ・同業他社に対するメールのモニタリングなど3線管理態勢※4における第一線である営業部門への注意喚起の実施 ・リスクの予兆検知やコンプライアンス部の第二線としての明確化など第二線の機能強化 ・リスク予兆の検知や経営に提言する態勢の構築などを通じた第三線である内部監査部門の機能強化 ・独占禁止法を踏まえた社員の行動ルールの明確化やマニュアルの策定 ・お客さま第一の業務運営を通じて収益性を確保することの重要性を高める方向での営業部門の評価基準の見直し |
中期経営計画(2022-2025)取組
当社では、MS&ADインシュアランスグループの中期経営計画を踏まえ、2022年度から2025年度の4か年の中期経営計画に取り組んでおります。
グループが掲げるミッション・ビジョン・バリュー及びグループの目指す姿を踏まえ、「CSV×DX」を推進し、基本戦略(先進性・多様性・地域密着の進展、サステナビリティへの取り組み強化、既存事業の進展)、グループシナジー発揮(1プラットフォーム戦略の推進等)、経営基盤の強化に取り組むことにより、当社が目指す姿として掲げる「CSV×DXを通じて、お客さま・地域・社会の未来を支えつづける」企業を実現してまいります。

当期における主な取組みの経過及び成果等は、以下のとおりであります。
(部門横断プロジェクト)
当社では、急激な環境変化に対し、組織の垣根を超え迅速・柔軟に対応するため、「テレマティクス・モビリティサービス」「地方創生」「デジタル変革」「プラットフォーム」「データビジネス」「未来戦略創造」の6つの部門横断プロジェクトに取り組みました。
なお、「テレマティクス・モビリティサービス」「デジタル変革」「プラットフォーム」の3つのプロジェクトにつきましては、取組みが社内に定着し執行局面に移行したため、2024年3月を以て解消しました。
テレマティクス・モビリティサービスプロジェクトにつきましては、CSV×DXを具現化する商品・サービスの開発・推進を国内外で進めております。
国内のテレマティクス自動車保険※5の保有台数は190万台を超え、1月にはスマートフォンで利用できる「タフ・見守るクルマの保険NexT」をナビタイムジャパン社と共同で開発しました。また、テレマティクス自動車保険で収集した走行データを活用し、地域の交通・安全対策やCO2排出量の削減などの社会・地域課題の解決につなげる「SAFE TOWN DRIVE~走るほどに、安心な町づくり~」の取組みも進めております。
国外においても、テレマティクス自動車保険のパイオニアとして、米国・欧州・中国・東南アジア・オセアニアを中心に事業拡大を進めており、米国子会社MOTER Technologies,Inc.社ではコネクティッドカーデータを活用した保険・サービスに対応するソフトウェアの開発を行い、FROST&SULLIVAN社※6からEnabling Technology Leadership Award※7を受賞しました。
また、「CASE※8」や「MaaS※9」等のモビリティサービスに対しても、さまざまなアライアンス先との共同検討を通して、新商品・サービスの検討を進めております。特に、自動運転の分野では、全国での自動運転レベル4の社会実装に向けた実証実験の拡大に対し、群馬大学発の自動運転スタートアップである日本モビリティ社との協業により各地で参画を進めております。また、米国のシャトルバス向け自動運転システムのトップランナーであるMay Mobility社との資本業務提携も開始しました。
引き続き、産学官民での協業を通じて得た知見・ノウハウを基に、安全・安心・便利なモビリティ社会の実現に貢献するべく、CSV×DXの理念に沿った新たな保険やサービスの開発・提供に取り組んでまいります。
地方創生プロジェクトにつきましては、各地域の地方創生取組の支援を継続して実施し、500の地方公共団体と連携協定を締結しました(2024年1月現在)。2023年度は、SDGsを起点とした地域密着のビジネスモデルの深化を方針として掲げ、CSV×DX・地方創生SDGsを理解・実践できる社員・代理店の人財育成と、CSV×DXをベースに地方公共団体が抱える多様な地域課題の解決に向けた取組みを推進しました。
その結果、本取組に共鳴・共感する代理店とのCSV×DXを活かした支援メニュー(SDGs、カーボンニュートラル、テレマティクス等)の活用が進み、地域課題解決の取組みが進展しました。
今後も、これまで培ったCSV×DX・地方創生SDGs取組を通じて、お客さま本位の業務運営を体現し、地域課題解決を支援してまいります。
デジタル変革プロジェクトにつきましては、社員一人ひとりが主体となる取組みが重要であることに着目し、2021年度から全社員が利用可能なRPA(Power Automate※10)の導入と社員のデジタルリテラシー向上を進め、第一線の効率化取組に本格的に着手しました。具体的には、各職場の業務デジタル化をけん引するデジタルリーダー人財を877人育成し、3,215人の社員がRPAの活用により16,577の定型業務を自動化しました(2024年1月末現在)。
これら取組みにより、デジタルインフラの整備とデジタルの利活用による業務品質向上、ビジネススタイル変革は着実に進み、さらには社員のデジタルへの取組意識の高まりやリテラシー向上など全社一体でデジタル変革に取り組む企業風土を構築しました。
引き続き、これまでの既存業務の自動化・品質向上・効率化とデジタル人財育成を進めていくとともに、お客さま・社会からの信頼回復に向けたお客さま目線でのデジタル化取組の強化や、生成AIの幅広い活用を通じた社員一人ひとりの生産性向上を進めてまいります。
プラットフォームプロジェクトにつきましては、世界最大のECプラットフォーマー※11の一つであるAmazonを含むさまざまなプラットフォーマーと新たなパートナーシップを結び、保険販売やR&Dに取り組みました。
R&Dにおいては、CSV×DXを推進し、企業・スタートアップ・大学と連携して社会・地域の課題解決に資する取組みを進めました。具体的な取組みとしては、自然災害や交通事故の未然防止につながるサービスの開発を目指し、雹災予測サービスの開発に向けた実証実験の実施や、ヘルスケア領域では運転寿命の延伸を目的に健康データと走行データの相関関係の検証などの取組みを進めました。
これらの取組みを通じて獲得した知見を早期にサービス化しお客さまへ提供していくとともに、今後も最新の技術動向やトレンドを機敏に捉え、お客さまの安全・安心に貢献するサービスの開発及びこれらの事業を収益源として確立させるべく取り組んでまいります。
データビジネスプロジェクトにつきましては、社内外のさまざまなデータを活用し、保険外事業の創出・拡大に向け取り組んでおります。
2023年度は、交通安全EBPM※12支援サービス及び路面状況把握システムの商用提供を開始するなど、テレマティクス自動車保険契約の走行ビッグデータを活用した可視化・分析サービスの展開をさらに拡充・加速しました。
特に、保育施設にて散歩などの園外活動の際に使用する経路や目的地の選定における安全計画立案の義務化に際し、保育施設周辺の自動車交通量及び通行する自動車の急減速発生率をマップに可視化して、提供する新たなサービスについては、2023年8月末時点で 1,800 超の施設にて活用されるなど好評いただきました。このような活動を通じて「第17回キッズデザイン賞」を受賞しました。
加えて、能登半島地震の被災地復興支援を目的に、テレマティクス自動車保険により取得した自動車走行データを活用して、災害救助法適用地域における道路復旧をサポートする「路面状況把握システム(災害復旧支援プラン)」を構築するなど、テレマティクスデータの自然災害の復興支援への活用にも取り組みました。
今後も、本プロジェクトを通じて獲得した成果や知見、パートナーとのネットワークをさらに拡充させ、CSV×DXの社会実装ならびに付加価値の高いデジタルソリューションの開発・ビジネスモデルの早期確立に取り組んでまいります。
未来戦略創造プロジェクトにつきましては、2022年秋に当社出資先のオックスフォード大学のAIベンチャーであるMind Foundry社との間で共同研究所「Aioi R&D Lab Limited」を設立し、同研究所をハブにCSV×DX取組をグローバルで進めております。
具体的な取組みとしては、損害保険業界全体で取り組むべき重要課題の一つである保険金の不正請求対策として、「AIを活用した不正検知システム」を開発し運用を開始しました。また、近年、世界中で大きな社会問題となっているインフラの老朽化対策の一つとして、橋梁の点検業務効率化・高度化を目指し、裾野市と共同で「AIを活用した橋梁点検サポートツール」の開発を開始しました。
Aioi R&D Lab Limited設立以降、日英におけるさまざまな取組みが評価され、在日英国商業会議所主催の British Business Awards 2023※13で「UK-JP Partnership賞※14」を保険業界として初めて受賞しました。
今後もMind Foundry社のAI開発力やオックスフォード大学の著名な教授陣からのアドバイスを活かし、プロジェクトを通じて、「社会課題の解決」「保険の新たな価値創造」の実現に向け取り組んでまいります。
(国内保険事業)
当社は、CSV×DXに資する商品・サービスを開発・提供するとともに、自然災害発生時の損害調査を迅速かつ的確に進めるべく、デジタル技術の活用を一層推進しました。
また、当期に大手中古車販売店より不正な自動車修理費の請求が相次いだ事案につきまして、当社では、被害にあわれたお客さまへの対応を最優先するため、独自に調査を実施し算出した修理費に基づき、保険適用に関する意向の再確認を順次進めました。
<主な取組内容>
CSV×DXに資する 商品・サービスの開発・提供 | 株式会社ナビタイムジャパンのカーナビアプリを用いることで、車載機器等の準備をせずにスマートフォンから走行データを取得。走行データを分析し、安全運転の度合いを保険料に反映するテレマティクス自動車保険「タフ・見守るクルマの保険NexT」の販売を開始しました。 |
不正請求の対策強化 | 自動車修理費の不正請求撲滅に向け、AIを活用した不正検知システムを開発。これにより、自動車修理工場ごとの修理費請求の傾向などを把握し、損害調査体制を強化しました。 |
提携修理工場の品質基準の見直しと点検強化など、修理工場の紹介に関する運営を見直しました。 | |
本社管理部門による保険金支払部門のモニタリングを強化しました。 |
(海外保険事業)
当社では、とりわけトヨタリテール事業※15の持続的成長、事業投資による成長加速に取り組みました。
2023年度は、ハワイ・マウイ島における火災、グアムにおける台風の被害に加え、トヨタリテール事業における欧州での自動車盗難の増加やインフレの影響を受け、収益は前年を下回ったことから、事業環境の変化を踏まえ、収益性の低い事業からの撤退を含めた選択と集中により収益性改善を図る方針とし、事業計画を見直しました。
※1 CSV(Creating Shared Value)×DX(Digital Transformation)とは…CSV(社会との共通価値の創造)に、DX(デジタルトランスフォーメーション)を掛け合わせることによって、お客さま・地域・社会とともによりよい未来を実現することで、持続的成長と企業価値向上を実現する取組み
※2 7つのValueとは…グループのValue「お客さま第一」「誠実」「チームワーク」「革新」「プロフェッショナリズム」の5つに、「地域密着」「情熱」を当社独自のValueとして設定
※3 グループのビジョンとは…当社のビジョンが「すべてのお客さまに高品質の商品・サービスをお届けし、一人ひとりのお客さまからの確かな信頼を基に発展する企業を創造します」であるのに対し、グループのビジョンは「持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造します」
※4 3線管理態勢とは…第一線(現業部門)、第二線(管理部門)、第三線(内部監査部門)からなる3つのディフェンスラインにリスク管理に係るそれぞれの役割を担わせ、内部統制を実行していく考え方
※5 テレマティクス自動車保険とは…カーナビゲーションやGPS等と移動体通信システムを利用して、さまざまな情報やサービスを提供する自動車保険。当社においては、個人向けの「タフ・つながるクルマの保険」、「タフ・見守るクルマの保険プラス(ドラレコ型)」、「タフ・見守るクルマの保険NexT」、「タフ・見守るクルマの保険プラスS」の4商品及び法人向けにも同様の商品を販売している
※6 FROST&SULLIVAN社とは…グローバルに市場調査・コンサルティングを手掛ける企業
※7 Enabling Technology Leadership Awardとは…先進技術を活用し、商品・サービスや顧客体験の向上への寄与が認められた企業に授与される賞
※8 CASEとは…「Connected(コネクテッド)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared & Service(シェアリング)」、「Electric(電動化)」の4つの単語の頭文字をつなげた造語
※9 MaaSとは…Mobility as a Serviceの略語で交通インフラにおいて「移動」をサービスとして提供すること
※10 PowerAutomateとは…頻繁に使用するアプリやサービスとの間に自動化されたワークフローを作成し、ファイルの同期、通知の受信、データの収集等を行うことができるMicrosoft社が提供するサービス
※11 プラットフォーマーとは…オンライン上でサービスを提供し、多くの顧客を抱える事業者として当社内で独自に定義
※12 EBPMとは…Evidence-Based Policy Making(証拠に基づく政策立案)の略。政府にて推進されており、政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータの活用が求められている
※13 British Business Awards 2023とは…在日英国商業会議所主催のイベントで、卓越性、革新性、多様性、起業家精神、日本でのビジネスへの貢献度で評価され、日英でのより良い関係構築に寄与する取組みとして受賞者を決定する
※14 UK-JP Partnership賞とは…過去1年間で最も日英の経済や商業関係の強化に貢献した合弁事業、提携、又はその他のパートナーシップを持つ事業体に贈られる賞
※15 トヨタリテール事業とは…トヨタ車等の自動車販売や金融等のサービス提供に付随した自動車保険や延長保証などの保険の引受やサービスを提供する事業
このような中、当連結会計年度の経営成績は次のとおりとなりました。
経常収益は、保険引受収益が1兆5,797億円、資産運用収益が1,795億円、その他経常収益が165億円となった結果、
1兆7,758億円となりました。一方、経常費用は、保険引受費用が1兆4,135億円、資産運用費用が555億円、営業費及び一般管理費が2,245億円、その他経常費用が85億円となった結果、1兆7,022億円となりました。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ73億円増加し、735億円となりました。経常利益に特別損益、法人税及び住民税等などを加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ95億円増加し、512億円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
イ 国内損害保険事業(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社)
経常収益は、保険引受収益が1兆4,766億円、資産運用収益が1,758億円、その他経常収益が77億円となった結果、1兆6,602億円となりました。一方、経常費用は、保険引受費用が1兆3,321億円、資産運用費用が552億円、営業費及び一般管理費が1,915億円、その他経常費用が22億円となった結果、1兆5,811億円となりました。
以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ123億円増加し、790億円となりました。経常利益に特別損益、法人税及び住民税などを加減した当期純利益は、前事業年度に比べ128億円増加し、560億円となりました。
ロ 海外事業(海外保険子会社)
海外保険子会社セグメントについては、正味収入保険料は前連結会計年度に比べ93億円増加し、1,031億円となりました。
経常損益は前連結会計年度に比べ59億円減少し、49億円の損失となりました。出資持分考慮後の当期純損益(セグメント損益)は前連結会計年度に比べ33億円減少し、40億円の損失となりました。
当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。
総資産は前連結会計年度末に比べ4,098億円増加し、4兆2,454億円となりました。
当社の連結ソルベンシー・マージン比率は、前連結会計年度末に比べ46.1ポイント低下し、799.1%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ216億円増加し、400億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ834億円減少し、235億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ228億円増加し、△128億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より575億円増加し、3,363億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
損害保険業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、予測、見込み、見通し、方針、予定等の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には不確実性が内在しており、将来生じる実際の結果とは大きく異なる可能性があります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
[連結主要指標]
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 比較増減 | 増減率 | ||
正味収入保険料 | (百万円) | 1,429,766 | 1,472,650 | 42,883 | 3.0% |
経常利益 | (百万円) | 66,185 | 73,523 | 7,338 | 11.1% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | (百万円) | 41,770 | 51,293 | 9,522 | 22.8% |
正味収入保険料は、当社において火災保険で減収したものの、自動車保険で増収し、海外事業においても増収したことにより、前連結会計年度に比べ428億円増加し、1兆4,726億円となりました。
経常利益は、当社において資産運用損益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ73億円増加し、735億円となりました。
経常利益に特別損益、法人税及び住民税等などを加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ95億円増加し、512億円となりました。
保険種目別の状況は次のとおりであります。
a 元受正味保険料(含む収入積立保険料)
区分 | 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 対前年増減(△)率 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 対前年増減(△)率 (%) | |
火災 | 292,525 | 19.4 | - | 273,810 | 18.0 | △6.4 |
海上 | 380 | 0.0 | - | 403 | 0.0 | 5.9 |
傷害 | 77,224 | 5.1 | - | 75,331 | 5.0 | △2.5 |
自動車 | 806,447 | 53.5 | - | 847,123 | 55.7 | 5.0 |
自動車損害賠償責任 | 146,631 | 9.8 | - | 129,087 | 8.5 | △12.0 |
その他 | 183,736 | 12.2 | - | 193,858 | 12.8 | 5.5 |
合計 | 1,506,946 | 100.0 | - | 1,519,615 | 100.0 | 0.8 |
(うち収入積立保険料) | (9,962) | (0.7) | (-) | (8,293) | (0.5) | (△16.8) |
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
2.元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものであります。(積立型保険の積立保険料を含む。)
b 正味収入保険料
区分 | 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 対前年増減(△)率 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 対前年増減(△)率 (%) | |
火災 | 225,009 | 15.7 | - | 207,366 | 14.1 | △7.8 |
海上 | 7,930 | 0.6 | - | 5,157 | 0.4 | △35.0 |
傷害 | 60,761 | 4.2 | - | 60,785 | 4.1 | 0.0 |
自動車 | 847,226 | 59.3 | - | 901,693 | 61.2 | 6.4 |
自動車損害賠償責任 | 133,306 | 9.3 | - | 124,982 | 8.5 | △6.2 |
その他 | 155,533 | 10.9 | - | 172,664 | 11.7 | 11.0 |
合計 | 1,429,766 | 100.0 | - | 1,472,650 | 100.0 | 3.0 |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
c 正味支払保険金
区分 | 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 対前年増減(△)率 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 対前年増減(△)率 (%) | |
火災 | 178,843 | 20.9 | - | 161,694 | 18.3 | △9.6 |
海上 | 6,872 | 0.8 | - | 4,810 | 0.5 | △30.0 |
傷害 | 31,153 | 3.6 | - | 30,035 | 3.4 | △3.6 |
自動車 | 460,444 | 53.9 | - | 514,724 | 58.1 | 11.8 |
自動車損害賠償責任 | 83,775 | 9.8 | - | 88,109 | 9.9 | 5.2 |
その他 | 93,747 | 11.0 | - | 86,835 | 9.8 | △7.4 |
合計 | 854,836 | 100.0 | - | 886,210 | 100.0 | 3.7 |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
運用資産及び有価証券の状況は次のとおりであります。
a 運用資産
区分 | 前連結会計年度 (2023年3月31日) | 当連結会計年度 (2024年3月31日) | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | |
預貯金 | 323,203 | 8.4 | 374,557 | 8.8 |
金銭の信託 | 3,050 | 0.1 | 3,419 | 0.1 |
有価証券 | 2,522,127 | 65.8 | 2,871,805 | 67.6 |
貸付金 | 253,915 | 6.6 | 269,267 | 6.3 |
土地・建物 | 165,559 | 4.3 | 161,974 | 3.9 |
運用資産計 | 3,267,856 | 85.2 | 3,681,024 | 86.7 |
総資産 | 3,835,618 | 100.0 | 4,245,430 | 100.0 |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
b 有価証券
区分 | 前連結会計年度 (2023年3月31日) | 当連結会計年度 (2024年3月31日) | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | |
国債 | 407,935 | 16.2 | 378,531 | 13.2 |
地方債 | 23,768 | 0.9 | 12,549 | 0.4 |
社債 | 254,975 | 10.1 | 220,379 | 7.7 |
株式 | 863,460 | 34.2 | 1,090,430 | 38.0 |
外国証券 | 871,879 | 34.6 | 1,059,384 | 36.9 |
その他の証券 | 100,107 | 4.0 | 110,531 | 3.8 |
合計 | 2,522,127 | 100.0 | 2,871,805 | 100.0 |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
イ 国内損害保険事業(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社)
当社(単体)の経営成績は次のとおりとなりました。
[当社(単体)の主要指標]
前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 比較増減 | 増減率 | ||
正味収入保険料 | (百万円) | 1,335,557 | 1,368,988 | 33,431 | 2.5% |
正味損害率 | (%) | 66.6 | 66.4 | △0.2 | - |
正味事業費率 | (%) | 34.6 | 34.2 | △0.4 | - |
保険引受利益又は 保険引受損失(△) | (百万円) | 679 | △33,195 | △33,874 | △4,982.1% |
経常利益 | (百万円) | 66,757 | 79,064 | 12,307 | 18.4% |
当期純利益 | (百万円) | 43,195 | 56,081 | 12,886 | 29.8% |
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.正味損害率=(正味支払保険金+損害調査費)÷正味収入保険料
3.正味事業費率=(諸手数料及び集金費+保険引受に係る営業費及び一般管理費)÷正味収入保険料
保険引受の概況は次のとおりであります。
正味収入保険料は、火災保険で減収したものの、自動車保険で増収したことなどにより前事業年度に比べ334億円増加し、1兆3,689億円となりました。一方、正味支払保険金は、火災保険で減少したものの、自動車保険で増加したことなどにより前事業年度に比べ175億円増加し、8,268億円となりました。以上により、正味損害率は66.4%と、前事業年度に比べ0.2ポイント低下しました。また、正味収入保険料が増加したことなどにより、正味事業費率は34.2%と、前事業年度に比べ0.4ポイント低下しました。
これらに収入積立保険料、満期返戻金、支払備金繰入額、責任準備金戻入額などを加減した保険引受損益は、自動車事故による発生保険金(正味支払保険金と支払備金繰入額の合計)が増加したことなどにより、前事業年度に比べ338億円減少し、331億円の損失となりました。
資産運用の概況は次のとおりであります。
利息及び配当金収入が前事業年度に比べ100億円増加し736億円となり、また、有価証券売却益が前事業年度に比べ643億円増加し1,143億円となったことなどから、積立型保険の満期返戻金などに充当する運用益を控除した残額の資産運用収益は、前事業年度に比べ753億円増加し、1,758億円となりました。一方、資産運用費用は、有価証券売却損が増加したことなどにより前事業年度に比べ280億円増加し、552億円となりました。
これらの結果、経常利益は前事業年度に比べ123億円増加し、790億円となりました。当期純利益は前事業年度に比べ128億円増加し、560億円となりました。
保険種目別の状況は次のとおりであります。
a 元受正味保険料(含む収入積立保険料)
区分 | 前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 対前年増減 (△)率(%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 対前年増減 (△)率(%) | |
火災 | 289,953 | 20.8 | 11.0 | 269,934 | 19.7 | △6.9 |
海上 | - | - | - | - | - | - |
傷害 | 77,048 | 5.5 | △1.2 | 75,235 | 5.5 | △2.4 |
自動車 | 710,812 | 50.9 | 0.4 | 719,197 | 52.5 | 1.2 |
自動車損害賠償責任 | 146,631 | 10.5 | 2.3 | 129,087 | 9.4 | △12.0 |
その他 | 170,941 | 12.3 | 1.6 | 177,129 | 12.9 | 3.6 |
合計 | 1,395,388 | 100.0 | 2.7 | 1,370,583 | 100.0 | △1.8 |
(うち収入積立保険料) | (9,962) | (0.7) | (△28.6) | (8,293) | (0.6) | (△16.8) |
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものであります。(積立型保険の積立保険料を含む。)
b 正味収入保険料
区分 | 前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 対前年増減 (△)率(%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 対前年増減 (△)率(%) | |
火災 | 224,684 | 16.8 | 12.6 | 207,372 | 15.2 | △7.7 |
海上 | 7,847 | 0.6 | 15.2 | 5,147 | 0.4 | △34.4 |
傷害 | 60,615 | 4.5 | 2.0 | 60,725 | 4.4 | 0.2 |
自動車 | 765,208 | 57.3 | 2.3 | 812,260 | 59.3 | 6.1 |
自動車損害賠償責任 | 133,306 | 10.0 | △1.6 | 124,982 | 9.1 | △6.2 |
その他 | 143,895 | 10.8 | 1.4 | 158,499 | 11.6 | 10.1 |
合計 | 1,335,557 | 100.0 | 3.4 | 1,368,988 | 100.0 | 2.5 |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
c 正味支払保険金
区分 | 前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
金額 (百万円) | 対前年増減 (△)率(%) | 正味損害率 (%) | 金額 (百万円) | 対前年増減 (△)率(%) | 正味損害率 (%) | |
火災 | 178,407 | 27.4 | 83.4 | 160,804 | △9.9 | 81.4 |
海上 | 6,852 | 78.2 | 87.8 | 4,757 | △30.6 | 93.2 |
傷害 | 31,118 | 18.1 | 56.8 | 29,992 | △3.6 | 55.1 |
自動車 | 417,598 | 15.7 | 61.6 | 459,047 | 9.9 | 63.4 |
自動車損害賠償責任 | 83,775 | △6.6 | 69.6 | 88,109 | 5.2 | 78.0 |
その他 | 91,562 | 24.7 | 67.3 | 84,110 | △8.1 | 56.3 |
合計 | 809,314 | 16.6 | 66.6 | 826,822 | 2.2 | 66.4 |
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.正味損害率は正味支払保険金に損害調査費を加えて算出しております。
運用資産、有価証券、利回り及び海外投融資の状況は次のとおりであります。
a 運用資産
区分 | 前事業年度 (2023年3月31日) | 当事業年度 (2024年3月31日) | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | |
預貯金 | 232,701 | 6.2 | 277,424 | 6.7 |
金銭の信託 | 3,050 | 0.1 | 3,419 | 0.1 |
有価証券 | 2,536,311 | 67.9 | 2,873,118 | 69.9 |
貸付金 | 260,537 | 7.0 | 269,267 | 6.6 |
土地・建物 | 165,225 | 4.4 | 161,332 | 3.9 |
運用資産計 | 3,197,827 | 85.6 | 3,584,561 | 87.2 |
総資産 | 3,733,689 | 100.0 | 4,111,688 | 100.0 |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
b 有価証券
区分 | 前事業年度 (2023年3月31日) | 当事業年度 (2024年3月31日) | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | |
国債 | 407,935 | 16.1 | 378,531 | 13.2 |
地方債 | 23,768 | 0.9 | 12,549 | 0.4 |
社債 | 254,975 | 10.1 | 220,379 | 7.7 |
株式 | 863,841 | 34.1 | 1,091,267 | 38.0 |
外国証券 | 885,682 | 34.9 | 1,059,859 | 36.9 |
その他の証券 | 100,107 | 3.9 | 110,531 | 3.8 |
合計 | 2,536,311 | 100.0 | 2,873,118 | 100.0 |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
c 利回り
運用資産利回り(インカム利回り)
区分 | 前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
収入金額 (百万円) | 平均運用額 (百万円) | 年利回り (%) | 収入金額 (百万円) | 平均運用額 (百万円) | 年利回り (%) | |
預貯金 | 93 | 212,080 | 0.04 | 221 | 288,486 | 0.08 |
金銭の信託 | 0 | 2,535 | 0.00 | 0 | 2,535 | 0.00 |
有価証券 | 56,127 | 2,030,208 | 2.76 | 64,458 | 1,959,359 | 3.29 |
貸付金 | 2,393 | 251,897 | 0.95 | 3,157 | 273,353 | 1.16 |
土地・建物 | 4,477 | 167,405 | 2.67 | 4,672 | 165,642 | 2.82 |
小計 | 63,091 | 2,664,126 | 2.37 | 72,510 | 2,689,377 | 2.70 |
その他 | 545 | - | - | 1,132 | - | - |
合計 | 63,636 | - | - | 73,643 | - | - |
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.収入金額は、損益計算書における「利息及び配当金収入」に、「金銭の信託運用益」のうち利息及び配当金収入相当額を含めた金額であります。
3.平均運用額は原則として各月末残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。
資産運用利回り(実現利回り)
区分 | 前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
資産運用損益(実現ベース) (百万円) | 平均運用額 (取得原価ベース) (百万円) | 年利回り (%) | 資産運用損益(実現ベース) (百万円) | 平均運用額 (取得原価ベース) (百万円) | 年利回り (%) | |
預貯金 | 614 | 212,080 | 0.29 | 1,833 | 288,486 | 0.64 |
金銭の信託 | 0 | 2,535 | 0.00 | 0 | 2,535 | 0.00 |
有価証券 | 89,859 | 2,030,208 | 4.43 | 144,155 | 1,959,359 | 7.36 |
貸付金 | 2,396 | 251,897 | 0.95 | 3,160 | 273,353 | 1.16 |
土地・建物 | 4,477 | 167,405 | 2.67 | 4,672 | 165,642 | 2.82 |
金融派生商品 | △10,786 | - | - | △19,947 | - | - |
その他 | 742 | - | - | 1,522 | - | - |
合計 | 87,304 | 2,664,126 | 3.28 | 135,396 | 2,689,377 | 5.03 |
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.資産運用損益(実現ベース)は、損益計算書における「資産運用収益」及び「積立保険料等運用益」の合計額から「資産運用費用」を控除した金額であります。
3.平均運用額(取得原価ベース)は原則として各月末残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。
4.資産運用利回り(実現利回り)にその他有価証券の評価差額等を加味した時価ベースの利回り(時価総合利回り)は以下のとおりであります。
なお、資産運用損益等(時価ベース)は、資産運用損益(実現ベース)にその他有価証券及び金銭の信託(その他有価証券に準じて処理をする運用目的・満期保有目的以外のものに限る。)に係る評価差額(税効果控除前の金額による。)の当期増減額を加減算した金額であります。
また、平均運用額(時価ベース)は、平均運用額(取得原価ベース)にその他有価証券及び金銭の信託(その他有価証券に準じて処理をする運用目的・満期保有目的以外のものに限る。)に係る前期末評価差額(税効果控除前の金額による。)を加減算した金額であります。
区分 | 前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
資産運用損益等 (時価ベース) (百万円) | 平均運用額 (時価ベース) (百万円) | 年利回り (%) | 資産運用損益等 (時価ベース) (百万円) | 平均運用額 (時価ベース) (百万円) | 年利回り (%) | |
預貯金 | 614 | 212,080 | 0.29 | 1,833 | 288,486 | 0.64 |
金銭の信託 | 229 | 2,821 | 8.13 | 368 | 3,050 | 12.07 |
有価証券 | 38,683 | 2,612,104 | 1.48 | 476,970 | 2,490,079 | 19.15 |
貸付金 | 2,396 | 251,897 | 0.95 | 3,160 | 273,353 | 1.16 |
土地・建物 | 4,477 | 167,405 | 2.67 | 4,672 | 165,642 | 2.82 |
金融派生商品 | △10,786 | - | - | △ 19,947 | - | - |
その他 | 742 | - | - | 1,522 | - | - |
合計 | 36,357 | 3,246,308 | 1.12 | 468,579 | 3,220,612 | 14.55 |
d 海外投融資
区分 | 前事業年度 (2023年3月31日) | 当事業年度 (2024年3月31日) | ||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | |
外貨建 | ||||
外国公社債 | 545,615 | 60.0 | 602,097 | 55.8 |
外国株式 | 92,939 | 10.2 | 118,931 | 11.0 |
その他 | 224,734 | 24.7 | 321,835 | 29.8 |
計 | 863,290 | 94.9 | 1,042,864 | 96.6 |
円貨建 | ||||
外国公社債 | 1,576 | 0.2 | 1,201 | 0.1 |
その他 | 44,458 | 4.9 | 35,878 | 3.3 |
計 | 46,034 | 5.1 | 37,079 | 3.4 |
合計 | 909,324 | 100.0 | 1,079,944 | 100.0 |
海外投融資利回り 運用資産利回り(インカム利回り)(%) 資産運用利回り(実現利回り) (%) | 2.42 2.35 | 2.92 2.38 |
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.金銭の信託として運用しているものを含めて表示しております。
3.「海外投融資利回り」のうち「運用資産利回り(インカム利回り)」は、海外投融資に係る資産について、「c 利回り 運用資産利回り(インカム利回り)」と同様の方法により算出したものであります。
4.「海外投融資利回り」のうち「資産運用利回り(実現利回り)」は、海外投融資に係る資産について、「c 利回り 資産運用利回り(実現利回り)」と同様の方法により算出したものであります。
なお、海外投融資に係る時価総合利回りは前事業年度△2.04%、当事業年度11.61%であります。
5.前事業年度の外貨建「その他」の主なものは、外国投資信託186,661百万円であり、円貨建「その他」の主なものは、外国投資信託43,208百万円であります。
当事業年度の外貨建「その他」の主なものは、外国投資信託286,438百万円であり、円貨建「その他」の主なものは、外国投資信託35,878百万円であります。
ロ 海外事業(海外保険子会社)
海外事業につきましては、とりわけトヨタリテール事業の持続的成長、事業投資による成長加速に取り組みました。ハワイ・マウイ島における火災、グアムにおける台風の被害に加え、トヨタリテール事業における欧州での自動車盗難の増加やインフレの影響を受け、収益は前年を下回ったことから、事業環境の変化を踏まえ、収益性の低い事業からの撤退を含めた選択と集中により収益性改善を図る方針とし、事業計画を見直しました。
海外保険子会社セグメントの経営成績は次のとおりとなりました。
[海外保険子会社の主要指標]
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 比較増減 | 増減率 | ||
正味収入保険料 | (百万円) | 93,726 | 103,106 | 9,380 | 10.0% |
経常利益又は経常損失(△) | (百万円) | 996 | △4,937 | △5,934 | △595.6% |
セグメント利益 又は損失(△) | (百万円) | △761 | △4,071 | △3,310 | - |
(注)1.諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2.セグメント損益は出資持分考慮後の当期純損益に相当する金額であります。
正味収入保険料は、前連結会計年度に比べ93億円増加し、1,031億円となりました。
経常損益は前連結会計年度に比べ59億円減少し、49億円の損失となりました。出資持分考慮後の当期純損益(セグメント損益)は前連結会計年度に比べ33億円減少し、40億円の損失となりました。
当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。
総資産は前連結会計年度末に比べ4,098億円増加し、4兆2,454億円となりました。主な総資産の内訳は、有価証券が2兆8,718億円(前連結会計年度末比3,496億円増加)、現金及び預貯金が3,745億円(同513億円増加)であります。
当社のソルベンシー・マージン比率の状況は、以下のとおりであります。
保険会社は、保険金支払等に備えて準備金を積み立てておりますが、巨大災害の発生や、資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。この「通常の予測を超える危険」を示す「リスクの合計額」(以下の各表の(B))に対する「資本金・準備金等の支払余力」(すなわちソルベンシー・マージン総額:以下の各表の(A))の割合を示す指標として、保険業法等に基づき計算されたものが、「ソルベンシー・マージン比率」(以下の各表の(C))であります。
ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつでありますが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされております。
イ 単体ソルベンシー・マージン比率
前事業年度 (2023年3月31日) (百万円) | 当事業年度 (2024年3月31日) (百万円) | ||||
(A) | ソルベンシー・マージン総額 | 1,327,493 | 1,572,188 | ||
(B) | リスクの合計額 | 319,545 | 402,936 | ||
(C) | ソルベンシー・マージン比率 [(A)/{(B)×1/2}]×100 | 830.8 | % | 780.3 | % |
(注)「単体ソルベンシー・マージン比率」とは、保険業法施行規則第86条及び第87条並びに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出された比率であります。
ロ 連結ソルベンシー・マージン比率
前連結会計年度 (2023年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (2024年3月31日) (百万円) | ||
(A) | ソルベンシー・マージン総額 | 1,321,962 | 1,562,960 |
(B) | リスクの合計額 | 312,785 | 391,143 |
(C) | ソルベンシー・マージン比率 [(A)/{(B)×1/2}]×100 | 845.2% | 799.1% |
(注)「連結ソルベンシー・マージン比率」とは、保険業法施行規則第86条の2及び第88条並びに平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出された比率であります。
巨大災害リスク相当額の増加を主因に、当事業年度末の単体ソルベンシー・マージン比率は前事業年度末に比べて50.5ポイント低下し、780.3%となり、当連結会計年度末の連結ソルベンシー・マージン比率は前連結会計年度末に比べて46.1ポイント低下し、799.1%となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 比較増減 | ||
営業活動によるキャッシュ・フロー | (百万円) | 18,390 | 40,041 | 21,650 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | (百万円) | 106,981 | 23,553 | △83,427 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | (百万円) | △35,715 | △12,822 | 22,892 |
現金及び現金同等物の期末残高 | (百万円) | 278,724 | 336,317 | 57,593 |
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、保険料の収入額が増加したことなどにより前連結会計年度に比べ216億円増加し、400億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、債券貸借取引受入担保金による収入が減少したことなどにより前連結会計年度に比べ834億円減少し、235億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に社債の償還による支出が増加したことの反動などにより前連結会計年度に比べ228億円増加し、△128億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より575億円増加し、3,363億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性に係る情報は次のとおりであります。
長期的な投資資金等に対しては、主に営業活動から得た資金及び内部留保による自己資金を活用するほか、社債の発行による外部からの資金調達を行っております。
また、資金の流動性につきましては、大規模自然災害時に保険金の支払や市場の混乱等により資金繰りが悪化する場合に備え、流動性資産を十分に保有するとともに、資金の流出入の動向を踏まえて資産・負債両面から流動性についての評価を行い、適切な資金繰りを行っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準及び諸法令に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とする項目があります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から実際の結果とは異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、次の事項を会計上の重要な見積りと考えております。
イ 時価の算定方法
資産・負債の一部は時価をもって貸借対照表価額としており、時価の算定は市場価格等に基づいております。一部のデリバティブ取引において市場価格がない場合には、将来キャッシュ・フローの現在価値や取引対象の市場価格、契約期間等の構成要素に基づく合理的な見積りによって算出された価格を時価としております。
ロ 有価証券の減損
保有している有価証券については、市場の価格変動等のリスクを負っており、価値の下落が著しくかつ一時的でないと判断した場合に減損処理を行っております。将来において市場価格が下落した場合等には減損処理が必要となる可能性があります。
ハ 固定資産の減損
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように、減損処理を行っております。資産又は資産グループの回収可能価額は、正味売却価額(資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される価額)と使用価値(資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値)のいずれか高い金額であることから、固定資産の減損損失の金額は合理的な仮定及び予測に基づく将来キャッシュ・フローの見積りに依存しております。したがって、固定資産の使用方法を変更した場合又は不動産取引相場や賃料相場等が変動した場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
ニ 繰延税金資産
繰延税金資産は将来の課税所得の見積り等を踏まえ、回収可能性に問題がないと判断した金額を計上することとしております。ただし、将来の市場環境や経営成績が著しく変化し、将来の課税所得の見積りに大きな変化が生じた場合や、税制改正により税率の変更が生じた場合等には、繰延税金資産の金額が変動する可能性があります。
ホ 貸倒引当金
貸倒引当金は、債権の貸倒れによる損失に備え、回収不能見込額を計上しております。このため、将来、貸付先等の債務者の財政状態が変化した場合等には、貸倒引当金の必要額も変動する可能性があります。
ヘ 支払備金
支払備金は、保険契約に基づいて支払義務が発生した保険金等のうち、まだ支出として計上していないものについては、個別の損害ごとの見積額を、また、まだ支払事由の発生の報告を受けていないが保険契約に規定する支払事由が既に発生したと認められるものについては、過去のデータに基づき算定した見積額を計上しております。これらの見積りは、当連結会計年度末時点における情報に基づいて行っておりますが、損害調査の進展、将来においてインフレや為替の影響、さらには裁判の判例などの動向等により支払備金の必要額が変動する可能性があります。
ト 責任準備金等
責任準備金等は、保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため積み立てているものであります。当初想定した環境や条件が変化した場合等には、責任準備金等の必要額が変動する可能性があります。
チ 退職給付債務等
退職給付債務及び退職給付費用は、割引率等数理計算上の前提条件や年金資産の期待運用収益率等の見込数値である基礎率に基づいて算出されております。このため、見込数値が実際と異なった場合、あるいは前提条件が変更された場合には、将来の退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。
なお、上記のうち「ヘ 支払備金」については、関連する事項を「第5 経理の状況」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
④ 目標とする経営指標等の分析等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標に関し、正味収入保険料は、火災保険で減収したものの、自動車保険で増収したことなどにより、1兆3,689億円と前事業年度に比べ、2.5%の増加となりました。正味損害率は、火災保険で減少したものの、自動車保険の支払が増加したことなどにより、66.4%と前事業年度に比べ、0.2ポイントの低下となりました。正味事業費率は、正味収入保険料が増加したことなどにより、34.2%と前事業年度に比べ、0.4ポイントの低下となりました。
⑤ 問題認識と今後の方針について
問題認識と今後の方針は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しているとおりであります。