有価証券報告書-第152期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(業績等の概要)
(1)業績
当期における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い国内外の人々の移動や経済活動が制限されることにより、飲食や宿泊等のサービス需要が大きく落ち込み、企業収益も大幅に減少するなど、先行きが不透明な厳しい状況が継続いたしました。
当社グループを取り巻く環境においても、緊急事態宣言の発令などを受けた外出自粛の影響やテレワークを始めとした働き方の変化により、鉄道輸送人員が大幅に減少いたしました。また、百貨店業やホテル業などにおいても、店舗の営業時間短縮・休業やインバウンド需要の激減により、甚大な影響を受けました。
このような状況のなか、生活インフラサービスを提供する企業として、お客さまと従業員の安全・安心を確保するべく、感染対策を実施しながら事業を継続いたしました。一方で、新しいライフスタイルにあわせた事業の変革や固定費の削減等による損益分岐点の改善に着手し、事業の競争力強化に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の営業収益は、全事業において新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う消費需要の減少をうけ、9,359億2千7百万円(前年同期比19.6%減)、営業損失は316億5千8百万円(前年同期は687億6千万円の営業利益)、経常損失は268億2千4百万円(前年同期は709億2千5百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は、562億2千9百万円(前年同期は423億8千6百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであり、各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含んで記載しております。なお、各セグメントの営業利益又は営業損失をセグメント利益又は損失としております。
(交通事業)
東急電鉄㈱においては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受ける中、お客さまの働き方や行動様式はコロナ禍以前の状況には戻り切らないとの認識のもと、安全・安定輸送の責務を果たしながら、以前の利益水準を確保し、成長を続けるための「事業構造変革」に取り組んでおります。運行サービス体系の適正化や、ワンマン運転拡大の検討など、テクノロジーを活用した事業運営の高度化により、人の移動・交流、街とのつながりを生み出します。
東急電鉄㈱(前年同期は東急㈱および東急電鉄㈱の鉄軌道業の営業成績を表示)の鉄軌道業における輸送人員は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うお客さまの利用減少に伴い定期で33.7%減少、定期外で29.6%減少し、全体では32.1%の減少となりました。
連結子会社の輸送人員は、伊豆急行㈱で44.4%減少いたしました。
バス業では、東急バス㈱の輸送人員が28.6%減少いたしました。
交通事業全体の営業収益は1,519億7千2百万円(同28.9%減)、東急電鉄㈱において経費の削減に努めたものの、営業損失は260億1千4百万円(前年同期は270億1千8百万円の営業利益)となりました。
(当社および東急電鉄㈱の鉄軌道業の営業成績)
(不動産事業)
当社は世界を代表する都市「エンタテイメントシティSHIBUYA」の実現に向けて、2020年8月には、渋谷区と包括連携協定を締結し、渋谷をより国際競争力の高い都市にすることを目指しております。
2021年1月、当社および東急不動産㈱が中心となって推進する渋谷駅周辺開発が、アジアの不動産業界における権威ある賞の一つであるMIPIM Asia Awards 2020「Best Mixed-Use Development(最優秀多目的開発)」部門において、銅賞(BRONZE AWARD)を受賞いたしました。
また、安全性・利便性の向上を目的とした官民連携によるインフラ整備に取り組んでおり、2020年8月、浸水対策として渋谷駅東口雨水貯留施設の整備を完了いたしました。
駅、商業施設、都市公園が一体となった「南町田グランベリーパーク」は、2019年11月のまちびらき以降、全国でも例のない魅力的な暮らしの拠点空間として、新しい生活様式に変わりつつある状況においても賑わいを呈しており、沿線価値の向上に寄与しております。2020年10月には、第40回緑の都市賞「国土交通大臣賞」と第8回プラチナ大賞「新しい時代のまちづくり賞」を受賞いたしました。
池上エリアにおいては、大田区と連携し図書館を誘致するなど地域に根差したまちづくりを行っており、 2020年7月に新しくなった池上線池上駅の供用を開始、2021年3月には駅直結商業施設として「エトモ池上」を開業いたしました。
海外においては、2012年より都市開発を進めてきたベトナムのビンズン省において、高層分譲マンション第2弾となる「MIDORI PARK THE VIEW」が2020年4月に完売いたしました。引き続き、当社グループの街づくりノウハウを活かし都市の発展に貢献してまいります。
不動産事業では、東急ジオックス㈱での前年の大型受注の反動減等があり、営業収益は1,976億3千4百万円(同6.0%減)、当社の不動産賃貸業における緊急事態宣言発令に伴う施設休業影響等により、営業利益は289億7千8百万円(同0.1%減)となりました。
(生活サービス事業)
当社は、生活サービス事業を街の生活基盤として沿線価値の向上に寄与するものと位置づけるとともに、収益力の向上に取り組んでまいりました。同事業は、魅力ある施設づくりに加えて、お客さまの期待を上回る商品やサービスの提供に努めるとともに、交通事業、不動産事業をはじめとする各事業との相乗効果を発揮するため、グループ間連携をさらに促進しております。
リテール事業においては、マーケットの変化に対応するため構造改革を推進するとともに、お客さまのニーズの多様化などに対応した新業態開発を進めております。
顧客の生活や購買行動の変化を捉え、様々な顧客データを活用することで各種サービスの向上、効率化などを推進するため、楽天東急プランニング㈱を楽天㈱と共同で設立し、2020年9月より営業を開始いたしました。
また、東急線沿線において早期に高度な通信環境を整備すべく、2021年2月、住友商事㈱とともに、5G基地局シェアリングサービスを提供するSharing Design㈱を設立いたしました。通信の高度化に対応した新しいサービスの検討、導入を加速し、当社が掲げる、デジタル技術を積極的に活用したこれからの街づくり(CaaS構想)を実現してまいります。
生活サービス事業では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う出控えや緊急事態宣言発令に伴う各施設の休業・営業時間短縮の影響などにより、営業収益は6,035億9千8百万円(同14.7%減)、営業損失は38億6千7百万円(前年同期は134億1千1百万円の営業利益)となりました。
(ホテル・リゾート事業)
ホテル・リゾート事業では、ホテル業の㈱東急ホテルズにおいて、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、緊急事態宣言発令による大部分の店舗が休業したことに加え、営業再開後も大幅な利用減少により、稼働率は31.0%(前年同期比△45.6ポイント)となり、営業収益は378億7千1百万円(同60.6%減)、営業損失は312億2千4百万円(前年同期は14億9千5百万円の営業損失)となりました。
このような状況のなか、外部環境の変化に強いホテルチェーンへと進化するため、人件費、経費などの固定費削減により損益分岐点の低減を図るとともに、チェックインやレストランでの注文時におけるスマホ活用など、非接触型サービスの導入を通じた店舗運営の効率化を積極的に推進しております。
また、楽天ポイントサービスとの連携による国内需要の獲得や、シェアオフィス事業「NewWork」との連携による客室の活用、長期利用ニーズの取り込みなど、行動変容や市場環境変化に対応した新たな取り組みを、引き続き進めてまいります。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は452億9千7百万円となり、前連結会計年度に比べて122億2千6百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失557億1千5百万円に減価償却費883億8百万円、減損損失268億6百万円等を調整し、858億9千万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、税金等調整前当期純損失を計上したこと等により694億1千2百万円の収入減となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出1,132億2千9百万円等があり、1,151億9千5百万円の支出となりました。前連結会計年度に比べ、固定資産の取得による支出が減少したこと等により、754億4千5百万円の支出減となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金や社債の発行による資金調達等により、171億8千4百万円の収入となりました。
(3)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、受取手形及び売掛金の減少等により、2兆4,760億6千1百万円(前期末比611億3千4百万円減)となりました。
負債は、前受金の減少等により、1兆7,235億2千2百万円(同40億5千9百万円減)となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により、7,525億3千8百万円(同570億7千5百万円減)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (1)業績」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
2020年度は、2018年度を始期とする中期3か年経営計画「Make the Sustainable Growth」の最終年度となりました。定性面では、渋谷スクランブルスクエア東棟や南町田グランベリーパークなどの大規模開発プロジェクトの開業や、鉄道ホームドア等の100%設置等の重点施策が予定通り実施、完了いたしました。一方、鉄道・バスといった交通事業、ホテル業や百貨店業など、当社グループの主要な業種が新型コロナウイルス感染症の拡大による移動・交流人口の減少やワークスタイル・ライフスタイルの変容の影響を受け、数値計画については大きく未達となりました。昨年来、当社グループの業績に影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症は、未曽有の課題と捉えており、足元の業績にも甚大な影響を与えております。
新型コロナウイルス感染症拡大影響を受けた2020年は、営業収益は9,359億円、全セグメントで減収となり、合計では前年度から約20%減収となりました。営業損失は316億円、営業収益の大幅な減収を受けて固定費の圧縮に努めたほか、緊急的な措置として営業費用の徹底的な削減に取り組みましたが、減収の影響が大きく対前年度で大幅な減益となりました。セグメント別では、外出自粛やテレワーク等の影響を受けた交通セグメント、インバウンド需要の消失の影響等を受けたホテル・リゾートセグメントを中心に前年度から大きく減益となりましたが、不動産セグメントについては、当社不動産販売業における物件売却や費用削減等により概ね前年度並みとなっております。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業を中心に減損損失268億円の計上等があり、親会社株主に帰属する当期純損失は562億円となりました。
当社グループは、今般の新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う移動・交流人口の減少や、ワークスタイル・ライフスタイル変容の加速等を考慮すべき外部環境と捉え、事業環境変化へ適切に対応し、構造改革を推進することで今後の収益の復元に取り組んでまいります。収益の復元には、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展や、治療法の確立に伴う経済活動の正常化、これに伴う各事業の需要回復が不可欠であると考えておりますが、単に外部環境の回復を待つだけでなく、コロナ禍を新たな成長に向けた転換点と捉え、ピンチをチャンスに変えるべく取り組んでまいります。特に、コロナ禍以前から課題のあった事業を中心に構造改革等を進め、収益性の改善を図るとともに、2020年度に実施した緊急的な費用削減から固定費等の恒久的な削減を目的とする施策を行っていきます。
また、まちづくりが事業の根幹である当社グループの成長は、街のサステナビリティ向上とともにあると考えております。コロナ禍により在宅時間の拡大・都心通勤の減少など、ライフスタイルや社会の変化に対応するとともに、今後の変化を予測し、従前型の「住まいは郊外中心、オフィス商業は都心中心」という構造から、多様化・複層化するニーズを取り込む、「自律分散型都市構造」の考え方をベースとした事業へと転換し、当社グループの各事業の成長につなげる必要があると考えております。
自宅から最寄り駅という狭域においては、在宅時間・空間の質的向上に向けて、国内トップレベルの住宅や通信環境、家ナカソリューションなどの利便性を提供してまいります。そして、交通結節駅となる沿線拠点においては、職・住・遊の機能的配置などに取り組み、域内移動需要を喚起してまいります。これまで、二子玉川や南町田、たまプラーザで当社グループが行ってきた取り組みは、その先例とも言えます。そして、都市部においては、リアルでしか体験できない魅力の創出により、進んで足を運んでもらう仕組みが必要となるとともに、レジデンス機能の充実等、都市型ライフの提案などにも取り組んでまいります。
このような大きな事業環境変化を念頭に「『変革』~事業環境変化への対応による収益復元と進化」を基本方針とし、2021年度を始期とする中期3か年経営計画を策定いたしました。中期3か年経営計画の詳細につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中期3か年経営計画」をご参照ください。

(2)資本の財源及び資金の流動性
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループが展開する事業については大きな影響を受け、資金需要についても厳しい1年となりました。このような状況を鑑み、緊急的な措置として営業費用の徹底的な削減に取り組むとともに、設備投資に関しても安全に関するもの除いて一律に削減し、2019年度の2,002億円から1,132億円へと大きく減少させる等、資金の確保を図りました。このような取り組みを行い、2020年度末の有利子負債は11,821億円と概ね2019年度と同水準となりました。一方、有利子負債/東急EBITDA倍率については事業環境の悪化による営業利益及び東急EBITDAの減少が影響し、前中期3か年経営計画で目標とした5.3倍から大きく悪化し、15.8倍となりました。業績悪化に伴い、誠に遺憾ながら配当金も年間15円と前期から大きく減配といたしました。
また、2020年12月には、環境問題・社会課題双方の解決に貢献する事業の資金調達手段として、当社初となる「サステナビリティボンド」を発行いたしました。当社グループのサステナブル経営を象徴する社会課題、環境問題双方への取り組みの認知を高め、さらなる推進につなげることを目的に、調達した資金は新型車両の導入、鉄道関連インフラ整備(ホームドア等)、南町田グランベリーパーク、サテライトシェアオフィス(New Work)に要した支出のリファイナンスに充当しております。
当社グループでは、2021年度を初年度とする中期3か年経営計画(以下「本計画」)のもと、キャッシュ・フローおよび投資計画に関する考え方を設けております。
本計画においては着実な収益・利益の回復を図るとともに、有利子負債/東急EBITDA倍率も7倍台への回復を目指し、財務健全性を維持すべく取り組んでまいります。投資計画については、業績の動向に応じて一定の選別を行うものの、安全・維持更新投資、進行中の大規模プロジェクトや各事業の構造改革に関連する投資は着実に実施していくこととし、2021年度には1,277億円(うち、成長投資538億円、既存事業投資739億円)の設備投資を予定しております。資金調達については、中長期的な安定調達手段の確保とともに、固定比率上昇と調達年限長期化の推進による調達金利の上昇抑制、市場性調達の活用による調達コストの極小化に努めてまいります。また、株主還元については、安定配当を継続するとともに、中長期的には配当性向30%以上を目安とし、総還元性向も意識した株主還元を目指してまいります。2021年度については、この考え方に基づき、2020年度同様、年間15円の配当を予定しております。
※1 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計
※2 設備投資・投融資の金額については、投資計画の進捗説明を主眼とし一部組替を行っており、「キャッシュ・フロー計算書」とは数値が異なります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、創業以来、事業を通じて社会課題の解決に取り組み、時代の変化に適合しながら、国や都市・地域の発展とともに着実に成長してまいりました。今後も、社会環境の変化に対応しながらサステナブル経営を行うべく、2021年度を始期とする中期3か年経営計画を推進しております。
当社および連結子会社では、交通、不動産、生活サービス、ホテル・リゾートの各セグメントにおいて多様な事業展開を行っており、多額の固定資産を保有するとともに、設備投資・投融資等、継続的な投資を実施しております。したがって、当社および連結子会社においては、固定資産を中心とした資産ポートフォリオの管理、とりわけ減損損失の判定や、大規模開発等と関連する費用の見積りが、重要な会計上の見積りに該当いたします。
減損損失の判定にあたっては、事業や物件ごとに資産のグルーピングを行い、収益性や市場性、用途変更や除売却等の意思決定の有無等により兆候判定を行っております。また減損損失の認識・測定においては、将来キャッシュ・フローを直近の実績や事業計画等の意思決定に基づいて合理的に見積りを行うほか、不動産等の時価のある資産については必要に応じ鑑定等の外部評価に基づく適正な価額を用い、投資額や帳簿価額の回収可否について判定を行っております。
また、大規模開発等と関連する費用の見積りに関しては、工事業者から受領した見積り、当社および連結子会社における過去の実績等に市場環境を加味するなどし、見積りの蓋然性・信頼性を社内で十分に検討したうえで適切に行っております。
加えて、当社グループでは、当社および交通セグメントに属する連結子会社において、多額の繰延税金資産が計上されております。
繰延税金資産の回収可能性の判断については、緊急事態宣言の発令などを受けた外出自粛の影響やテレワークを始めとした働き方の変化による鉄道輸送人員の大幅な減少等に伴い、主として交通事業における繰延税金資産の回収可能性の判断に係る重要性が高まったことから、重要な会計上の見積りに該当いたします。
繰延税金資産の回収可能性は、将来の収益力に基づく課税所得及びタックス・プランニングに基づき判断をしております。課税所得の見積りは翌連結会計年度の予算および中期経営計画を基礎としております。
なお、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに与える影響に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 」に記載をしております。
(1)業績
当期における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い国内外の人々の移動や経済活動が制限されることにより、飲食や宿泊等のサービス需要が大きく落ち込み、企業収益も大幅に減少するなど、先行きが不透明な厳しい状況が継続いたしました。
当社グループを取り巻く環境においても、緊急事態宣言の発令などを受けた外出自粛の影響やテレワークを始めとした働き方の変化により、鉄道輸送人員が大幅に減少いたしました。また、百貨店業やホテル業などにおいても、店舗の営業時間短縮・休業やインバウンド需要の激減により、甚大な影響を受けました。
このような状況のなか、生活インフラサービスを提供する企業として、お客さまと従業員の安全・安心を確保するべく、感染対策を実施しながら事業を継続いたしました。一方で、新しいライフスタイルにあわせた事業の変革や固定費の削減等による損益分岐点の改善に着手し、事業の競争力強化に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の営業収益は、全事業において新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う消費需要の減少をうけ、9,359億2千7百万円(前年同期比19.6%減)、営業損失は316億5千8百万円(前年同期は687億6千万円の営業利益)、経常損失は268億2千4百万円(前年同期は709億2千5百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は、562億2千9百万円(前年同期は423億8千6百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであり、各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含んで記載しております。なお、各セグメントの営業利益又は営業損失をセグメント利益又は損失としております。
(交通事業)
東急電鉄㈱においては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受ける中、お客さまの働き方や行動様式はコロナ禍以前の状況には戻り切らないとの認識のもと、安全・安定輸送の責務を果たしながら、以前の利益水準を確保し、成長を続けるための「事業構造変革」に取り組んでおります。運行サービス体系の適正化や、ワンマン運転拡大の検討など、テクノロジーを活用した事業運営の高度化により、人の移動・交流、街とのつながりを生み出します。
東急電鉄㈱(前年同期は東急㈱および東急電鉄㈱の鉄軌道業の営業成績を表示)の鉄軌道業における輸送人員は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うお客さまの利用減少に伴い定期で33.7%減少、定期外で29.6%減少し、全体では32.1%の減少となりました。
連結子会社の輸送人員は、伊豆急行㈱で44.4%減少いたしました。
バス業では、東急バス㈱の輸送人員が28.6%減少いたしました。
交通事業全体の営業収益は1,519億7千2百万円(同28.9%減)、東急電鉄㈱において経費の削減に努めたものの、営業損失は260億1千4百万円(前年同期は270億1千8百万円の営業利益)となりました。
(当社および東急電鉄㈱の鉄軌道業の営業成績)
| 種別 | 単位 | 第151期 | 第152期 | |
| 2019.4.1~2020.3.31 | 2020.4.1~2021.3.31 | |||
| 営業日数 | 日 | 366 | 365 | |
| 営業キロ程 | キロ | 104.9 | 104.9 | |
| 客車走行キロ | 千キロ | 152,342 | 152,926 | |
| 輸送人員 | 定期外 | 千人 | 464,980 | 327,165 |
| 定期 | 千人 | 722,283 | 478,618 | |
| 計 | 千人 | 1,187,263 | 805,783 | |
| 旅客運輸収入 | 定期外 | 百万円 | 75,862 | 52,781 |
| 定期 | 百万円 | 64,916 | 44,497 | |
| 計 | 百万円 | 140,778 | 97,278 | |
| 運輸雑収 | 百万円 | 16,011 | 15,141 | |
| 収入合計 | 百万円 | 156,789 | 112,419 | |
| 一日平均収入 | 百万円 | 428 | 308 | |
| 乗車効率 | % | 50.8 | 33.1 | |
| (注) 乗車効率の算出方法 | 乗車効率 | = | 輸送人員 | × | 平均乗車キロ | × 100 |
| 客車走行キロ | 平均定員 |
(不動産事業)
当社は世界を代表する都市「エンタテイメントシティSHIBUYA」の実現に向けて、2020年8月には、渋谷区と包括連携協定を締結し、渋谷をより国際競争力の高い都市にすることを目指しております。
2021年1月、当社および東急不動産㈱が中心となって推進する渋谷駅周辺開発が、アジアの不動産業界における権威ある賞の一つであるMIPIM Asia Awards 2020「Best Mixed-Use Development(最優秀多目的開発)」部門において、銅賞(BRONZE AWARD)を受賞いたしました。
また、安全性・利便性の向上を目的とした官民連携によるインフラ整備に取り組んでおり、2020年8月、浸水対策として渋谷駅東口雨水貯留施設の整備を完了いたしました。
駅、商業施設、都市公園が一体となった「南町田グランベリーパーク」は、2019年11月のまちびらき以降、全国でも例のない魅力的な暮らしの拠点空間として、新しい生活様式に変わりつつある状況においても賑わいを呈しており、沿線価値の向上に寄与しております。2020年10月には、第40回緑の都市賞「国土交通大臣賞」と第8回プラチナ大賞「新しい時代のまちづくり賞」を受賞いたしました。
池上エリアにおいては、大田区と連携し図書館を誘致するなど地域に根差したまちづくりを行っており、 2020年7月に新しくなった池上線池上駅の供用を開始、2021年3月には駅直結商業施設として「エトモ池上」を開業いたしました。
海外においては、2012年より都市開発を進めてきたベトナムのビンズン省において、高層分譲マンション第2弾となる「MIDORI PARK THE VIEW」が2020年4月に完売いたしました。引き続き、当社グループの街づくりノウハウを活かし都市の発展に貢献してまいります。
不動産事業では、東急ジオックス㈱での前年の大型受注の反動減等があり、営業収益は1,976億3千4百万円(同6.0%減)、当社の不動産賃貸業における緊急事態宣言発令に伴う施設休業影響等により、営業利益は289億7千8百万円(同0.1%減)となりました。
(生活サービス事業)
当社は、生活サービス事業を街の生活基盤として沿線価値の向上に寄与するものと位置づけるとともに、収益力の向上に取り組んでまいりました。同事業は、魅力ある施設づくりに加えて、お客さまの期待を上回る商品やサービスの提供に努めるとともに、交通事業、不動産事業をはじめとする各事業との相乗効果を発揮するため、グループ間連携をさらに促進しております。
リテール事業においては、マーケットの変化に対応するため構造改革を推進するとともに、お客さまのニーズの多様化などに対応した新業態開発を進めております。
顧客の生活や購買行動の変化を捉え、様々な顧客データを活用することで各種サービスの向上、効率化などを推進するため、楽天東急プランニング㈱を楽天㈱と共同で設立し、2020年9月より営業を開始いたしました。
また、東急線沿線において早期に高度な通信環境を整備すべく、2021年2月、住友商事㈱とともに、5G基地局シェアリングサービスを提供するSharing Design㈱を設立いたしました。通信の高度化に対応した新しいサービスの検討、導入を加速し、当社が掲げる、デジタル技術を積極的に活用したこれからの街づくり(CaaS構想)を実現してまいります。
生活サービス事業では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う出控えや緊急事態宣言発令に伴う各施設の休業・営業時間短縮の影響などにより、営業収益は6,035億9千8百万円(同14.7%減)、営業損失は38億6千7百万円(前年同期は134億1千1百万円の営業利益)となりました。
(ホテル・リゾート事業)
ホテル・リゾート事業では、ホテル業の㈱東急ホテルズにおいて、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、緊急事態宣言発令による大部分の店舗が休業したことに加え、営業再開後も大幅な利用減少により、稼働率は31.0%(前年同期比△45.6ポイント)となり、営業収益は378億7千1百万円(同60.6%減)、営業損失は312億2千4百万円(前年同期は14億9千5百万円の営業損失)となりました。
このような状況のなか、外部環境の変化に強いホテルチェーンへと進化するため、人件費、経費などの固定費削減により損益分岐点の低減を図るとともに、チェックインやレストランでの注文時におけるスマホ活用など、非接触型サービスの導入を通じた店舗運営の効率化を積極的に推進しております。
また、楽天ポイントサービスとの連携による国内需要の獲得や、シェアオフィス事業「NewWork」との連携による客室の活用、長期利用ニーズの取り込みなど、行動変容や市場環境変化に対応した新たな取り組みを、引き続き進めてまいります。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は452億9千7百万円となり、前連結会計年度に比べて122億2千6百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失557億1千5百万円に減価償却費883億8百万円、減損損失268億6百万円等を調整し、858億9千万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、税金等調整前当期純損失を計上したこと等により694億1千2百万円の収入減となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出1,132億2千9百万円等があり、1,151億9千5百万円の支出となりました。前連結会計年度に比べ、固定資産の取得による支出が減少したこと等により、754億4千5百万円の支出減となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金や社債の発行による資金調達等により、171億8千4百万円の収入となりました。
(3)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、受取手形及び売掛金の減少等により、2兆4,760億6千1百万円(前期末比611億3千4百万円減)となりました。
負債は、前受金の減少等により、1兆7,235億2千2百万円(同40億5千9百万円減)となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により、7,525億3千8百万円(同570億7千5百万円減)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (1)業績」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
2020年度は、2018年度を始期とする中期3か年経営計画「Make the Sustainable Growth」の最終年度となりました。定性面では、渋谷スクランブルスクエア東棟や南町田グランベリーパークなどの大規模開発プロジェクトの開業や、鉄道ホームドア等の100%設置等の重点施策が予定通り実施、完了いたしました。一方、鉄道・バスといった交通事業、ホテル業や百貨店業など、当社グループの主要な業種が新型コロナウイルス感染症の拡大による移動・交流人口の減少やワークスタイル・ライフスタイルの変容の影響を受け、数値計画については大きく未達となりました。昨年来、当社グループの業績に影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症は、未曽有の課題と捉えており、足元の業績にも甚大な影響を与えております。
新型コロナウイルス感染症拡大影響を受けた2020年は、営業収益は9,359億円、全セグメントで減収となり、合計では前年度から約20%減収となりました。営業損失は316億円、営業収益の大幅な減収を受けて固定費の圧縮に努めたほか、緊急的な措置として営業費用の徹底的な削減に取り組みましたが、減収の影響が大きく対前年度で大幅な減益となりました。セグメント別では、外出自粛やテレワーク等の影響を受けた交通セグメント、インバウンド需要の消失の影響等を受けたホテル・リゾートセグメントを中心に前年度から大きく減益となりましたが、不動産セグメントについては、当社不動産販売業における物件売却や費用削減等により概ね前年度並みとなっております。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業を中心に減損損失268億円の計上等があり、親会社株主に帰属する当期純損失は562億円となりました。
当社グループは、今般の新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う移動・交流人口の減少や、ワークスタイル・ライフスタイル変容の加速等を考慮すべき外部環境と捉え、事業環境変化へ適切に対応し、構造改革を推進することで今後の収益の復元に取り組んでまいります。収益の復元には、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展や、治療法の確立に伴う経済活動の正常化、これに伴う各事業の需要回復が不可欠であると考えておりますが、単に外部環境の回復を待つだけでなく、コロナ禍を新たな成長に向けた転換点と捉え、ピンチをチャンスに変えるべく取り組んでまいります。特に、コロナ禍以前から課題のあった事業を中心に構造改革等を進め、収益性の改善を図るとともに、2020年度に実施した緊急的な費用削減から固定費等の恒久的な削減を目的とする施策を行っていきます。
また、まちづくりが事業の根幹である当社グループの成長は、街のサステナビリティ向上とともにあると考えております。コロナ禍により在宅時間の拡大・都心通勤の減少など、ライフスタイルや社会の変化に対応するとともに、今後の変化を予測し、従前型の「住まいは郊外中心、オフィス商業は都心中心」という構造から、多様化・複層化するニーズを取り込む、「自律分散型都市構造」の考え方をベースとした事業へと転換し、当社グループの各事業の成長につなげる必要があると考えております。
自宅から最寄り駅という狭域においては、在宅時間・空間の質的向上に向けて、国内トップレベルの住宅や通信環境、家ナカソリューションなどの利便性を提供してまいります。そして、交通結節駅となる沿線拠点においては、職・住・遊の機能的配置などに取り組み、域内移動需要を喚起してまいります。これまで、二子玉川や南町田、たまプラーザで当社グループが行ってきた取り組みは、その先例とも言えます。そして、都市部においては、リアルでしか体験できない魅力の創出により、進んで足を運んでもらう仕組みが必要となるとともに、レジデンス機能の充実等、都市型ライフの提案などにも取り組んでまいります。
このような大きな事業環境変化を念頭に「『変革』~事業環境変化への対応による収益復元と進化」を基本方針とし、2021年度を始期とする中期3か年経営計画を策定いたしました。中期3か年経営計画の詳細につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中期3か年経営計画」をご参照ください。

(2)資本の財源及び資金の流動性
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループが展開する事業については大きな影響を受け、資金需要についても厳しい1年となりました。このような状況を鑑み、緊急的な措置として営業費用の徹底的な削減に取り組むとともに、設備投資に関しても安全に関するもの除いて一律に削減し、2019年度の2,002億円から1,132億円へと大きく減少させる等、資金の確保を図りました。このような取り組みを行い、2020年度末の有利子負債は11,821億円と概ね2019年度と同水準となりました。一方、有利子負債/東急EBITDA倍率については事業環境の悪化による営業利益及び東急EBITDAの減少が影響し、前中期3か年経営計画で目標とした5.3倍から大きく悪化し、15.8倍となりました。業績悪化に伴い、誠に遺憾ながら配当金も年間15円と前期から大きく減配といたしました。
また、2020年12月には、環境問題・社会課題双方の解決に貢献する事業の資金調達手段として、当社初となる「サステナビリティボンド」を発行いたしました。当社グループのサステナブル経営を象徴する社会課題、環境問題双方への取り組みの認知を高め、さらなる推進につなげることを目的に、調達した資金は新型車両の導入、鉄道関連インフラ整備(ホームドア等)、南町田グランベリーパーク、サテライトシェアオフィス(New Work)に要した支出のリファイナンスに充当しております。
当社グループでは、2021年度を初年度とする中期3か年経営計画(以下「本計画」)のもと、キャッシュ・フローおよび投資計画に関する考え方を設けております。
本計画においては着実な収益・利益の回復を図るとともに、有利子負債/東急EBITDA倍率も7倍台への回復を目指し、財務健全性を維持すべく取り組んでまいります。投資計画については、業績の動向に応じて一定の選別を行うものの、安全・維持更新投資、進行中の大規模プロジェクトや各事業の構造改革に関連する投資は着実に実施していくこととし、2021年度には1,277億円(うち、成長投資538億円、既存事業投資739億円)の設備投資を予定しております。資金調達については、中長期的な安定調達手段の確保とともに、固定比率上昇と調達年限長期化の推進による調達金利の上昇抑制、市場性調達の活用による調達コストの極小化に努めてまいります。また、株主還元については、安定配当を継続するとともに、中長期的には配当性向30%以上を目安とし、総還元性向も意識した株主還元を目指してまいります。2021年度については、この考え方に基づき、2020年度同様、年間15円の配当を予定しております。
※1 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計
※2 設備投資・投融資の金額については、投資計画の進捗説明を主眼とし一部組替を行っており、「キャッシュ・フロー計算書」とは数値が異なります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、創業以来、事業を通じて社会課題の解決に取り組み、時代の変化に適合しながら、国や都市・地域の発展とともに着実に成長してまいりました。今後も、社会環境の変化に対応しながらサステナブル経営を行うべく、2021年度を始期とする中期3か年経営計画を推進しております。
当社および連結子会社では、交通、不動産、生活サービス、ホテル・リゾートの各セグメントにおいて多様な事業展開を行っており、多額の固定資産を保有するとともに、設備投資・投融資等、継続的な投資を実施しております。したがって、当社および連結子会社においては、固定資産を中心とした資産ポートフォリオの管理、とりわけ減損損失の判定や、大規模開発等と関連する費用の見積りが、重要な会計上の見積りに該当いたします。
減損損失の判定にあたっては、事業や物件ごとに資産のグルーピングを行い、収益性や市場性、用途変更や除売却等の意思決定の有無等により兆候判定を行っております。また減損損失の認識・測定においては、将来キャッシュ・フローを直近の実績や事業計画等の意思決定に基づいて合理的に見積りを行うほか、不動産等の時価のある資産については必要に応じ鑑定等の外部評価に基づく適正な価額を用い、投資額や帳簿価額の回収可否について判定を行っております。
また、大規模開発等と関連する費用の見積りに関しては、工事業者から受領した見積り、当社および連結子会社における過去の実績等に市場環境を加味するなどし、見積りの蓋然性・信頼性を社内で十分に検討したうえで適切に行っております。
加えて、当社グループでは、当社および交通セグメントに属する連結子会社において、多額の繰延税金資産が計上されております。
繰延税金資産の回収可能性の判断については、緊急事態宣言の発令などを受けた外出自粛の影響やテレワークを始めとした働き方の変化による鉄道輸送人員の大幅な減少等に伴い、主として交通事業における繰延税金資産の回収可能性の判断に係る重要性が高まったことから、重要な会計上の見積りに該当いたします。
繰延税金資産の回収可能性は、将来の収益力に基づく課税所得及びタックス・プランニングに基づき判断をしております。課税所得の見積りは翌連結会計年度の予算および中期経営計画を基礎としております。
なお、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに与える影響に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 」に記載をしております。