有価証券報告書-第151期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 15:00
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192項目
(業績等の概要)
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、各種政策の効果もあり緩やかな回復基調で推移いたしましたが、冬季に発生した新型コロナウイルス感染症が世界経済に与える影響は大きく、社会活動や企業活動に制限がかかるなど、厳しい状況が継続いたしました。 このような経済情勢の中、当社および連結子会社は、将来の大きな飛躍に向け、既存事業・プロジェクトを強化するとともに、当社の強みを生かすことのできる新規領域にも積極的に進出することにより、持続的な成長を目指すことを方針に据え、2018年度を初年度とする中期3か年経営計画「Make the Sustainable Growth」を推進しております。
なお、当社は2019年9月に商号を「東急株式会社」に変更、10月には鉄軌道事業を分割し、東急電鉄㈱として営業を開始いたしました。当社は、引き続き各事業を取り巻く環境の変化へ一層のスピード感を持って対応し、新たな付加価値の創造による事業拡大を図ることで、成長戦略を推進してまいります。
当連結会計年度の営業収益は、渋谷スクランブルスクエアや南町田グランベリーパークの開業に伴い、当社不動産賃貸業が堅調に推移したことなどにより、1兆1,642億4千3百万円(前年同期比0.6%増)となりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費需要の減少を受け、交通事業で外出の自粛等による利用者の減少のほか、ホテル・リゾート事業ではホテルの稼働率が大きく減少したことなどにより、営業利益は687億6千万円(同16.1%減)、経常利益は709億2千5百万円(同13.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、423億8千6百万円(同26.7%減)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであり、各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含んで記載しております。なお、各セグメントの営業利益又は営業損失をセグメント利益又は損失としております。
また、当連結会計年度より、各報告セグメントにおける営業費について区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。
(交通事業)
東急電鉄㈱においては、事故の未然防止や早期復旧体制の強化による安全・安定輸送の確保、ダイヤ改正やオフピーク促進施策の実施、新型車両導入などによる混雑緩和および利便性・快適性の向上に努めております。
2020年3月、ホームドア・センサー付固定式ホーム柵の整備率100%(※)を達成し、その結果、ホーム転落件数は大幅に減少いたしました。また、車両内のセキュリティ向上のため、LED蛍光灯一体型防犯カメラ「IoTube(アイ・オー・チューブ)」等の車内防犯カメラを、2020年7月を目途に東急電鉄㈱所属の全車両に順次導入してまいります。
※ 世田谷線・こどもの国線を除く
当社および東急電鉄㈱の鉄軌道業における輸送人員は、前連結会計年度に比べて、継続した沿線人口の増加等により定期は0.5%増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うお客様の利用減少に伴い定期外で1.2%減少し、全体では0.2%の減少となりました。
連結子会社の輸送人員は、伊豆急行㈱で3.1%減少いたしました。
バス業では、東急バス㈱の輸送人員が1.5%減少いたしました。
交通事業全体の営業収益は2,136億4千7百万円(同0.0%増)、当社および東急電鉄㈱の鉄軌道業における経費の増加等により、営業利益は270億1千8百万円(同23.2%減)となりました。
(当社および東急電鉄㈱の鉄軌道業の営業成績)
種別単位第150期第151期
2018.4.1~2019.3.312019.4.1~2020.3.31
営業日数365366
営業キロ程キロ104.9104.9
客車走行キロ千キロ151,463152,342
輸送人員定期外千人470,648464,980
定期千人718,668722,283
千人1,189,3161,187,263
旅客運輸収入定期外百万円76,82775,862
定期百万円64,55864,916
百万円141,385140,778
運輸雑収百万円15,02116,011
収入合計百万円156,406156,789
一日平均収入百万円429428
乗車効率%51.250.8

(注) 乗車効率の算出方法乗車効率=輸送人員×平均乗車キロ× 100
客車走行キロ平均定員

(不動産事業)
当社は、重点施策の一つとして「世界のSHIBUYAへ」を掲げており、新しいビジネスやカルチャーを世界に発信し続ける、「エンタテイメントシティSHIBUYA」の実現を目指し、駅周辺における大規模な再開発プロジェクトを関係者と協力して推進しております。
2019年11月、渋谷エリアで最も高い約230m、地上47階建ての大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」を開業いたしました。全213店からなる商業施設や、大学と企業の連携など、領域横断の取り組みにより新たな価値を創造する共創施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」、オフィスのほか、日本最大級の屋上展望空間を有する展望施設「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」を備え、来館者数は開業3か月で600万人を突破いたしました。
また、東急沿線が「選ばれる沿線」であり続けるために、魅力ある新たな沿線の拠点を創出し、街の活性化とさらなる沿線価値向上を目指すとともに、沿線の皆さまのさらなる利便性・快適性向上に取り組んでおります。
2019年11月、町田市と当社が連携し取り組んできた「南町田グランベリーパーク」のまちびらきを実施し、開業後2週間を待たずして来館者数100万人を突破いたしました。商業施設、公園、駅を一体的に整備し、自然とにぎわいが融合した新しい暮らしの拠点として、新たなまちの魅力を創り出してまいります。
不動産事業では、当社の不動産賃貸業における、渋谷スクランブルスクエアや南町田グランベリーパークの新規開業による増収があり、営業収益は2,101億7千5百万円(同3.3%増)、新規物件の開業費用の増加はあるものの、前年開業した渋谷ストリームの通年稼働などもあり、営業利益は290億円(同2.2%増)となりました。
(生活サービス事業)
当社は、生活サービス事業を街の生活基盤として沿線価値の向上に寄与するものと位置づけるとともに、収益力の向上に取り組んでまいりました。同事業は、魅力ある施設づくりに加えて、お客さまの期待を上回る商品やサービスの提供に努めるとともに、交通事業、不動産事業をはじめとする各事業との相乗効果を発揮するため、グループ間連携をさらに促進しております。
リテール事業においては、マーケットの変化に対応するため構造改革を推進するとともに、お客さまのニーズの多様化などに対応した新業態開発を進めております。
百貨店業の㈱東急百貨店においては、渋谷再開発に伴い、85年にわたりご愛顧いただいた「東横店」の営業を終了、これに先立ち「渋谷スクランブルスクエア」などに、食料品や化粧品、雑貨などを取り扱う複数の新業態店舗をオープンいたしました。
チェーンストア業の㈱東急ストアにおいては、2019年11月、二子玉川駅改札内に出店した小型新業態店舗が好調に推移し、今後も業態開発により出店可能な領域を拡大してまいります。
ショッピングセンター業の㈱SHIBUYA109エンタテイメントにおいては、「SHIBUYA109」が、2019年4月に開業40周年を迎えるのを機に、店舗を改装し、過去最高の来館者数を記録いたしました。
映像事業の㈱東急レクリエーションにおいては、商業施設「グランベリーパーク」のオープンにあわせて「109シネマズグランベリーパーク」を開業いたしました。最新鋭の上映システムを整備するなど、劇場設備の充実とサービス強化に取り組んでおります。
電力小売事業の㈱東急パワーサプライにおいては、でんきとガスの合計お申込み件数が2020年3月末現在、約35.4万件となり、2018年度と比較して約10.8万件増加いたしました。 当社は、2019年6月、渋谷に拠点を置くIT企業4社と渋谷区教育委員会の6者で、渋谷区立小中学校のプログラミング教育支援プロジェクトを発足いたしました。
生活サービス事業では、映像事業の㈱東急レクリエーションにおいて、ヒット作に恵まれた映画興行が好調に推移したことや、電力小売事業の㈱東急パワーサプライにおいて顧客獲得が進捗したこと等により、営業収益は7,079億9千5百万円(同0.7%増)となりましたが、百貨店業の㈱東急百貨店等において、消費税増税の影響や、台風・水害・新型コロナウイルス感染症拡大による営業時間短縮や消費マインドの冷え込みの影響等により、営業利益は134億1千1百万円(同7.8%減)となりました。
(ホテル・リゾート事業)
㈱東急ホテルズにおいては、多様化する宿泊需要に合わせた新規出店や、ブランド力向上などによる競争力強化を進めており、2019年11月には「大阪エクセルホテル東急」を開業いたしました。
ホテル・リゾート事業では、ホテル業の㈱東急ホテルズにおいて、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い利用が減少したことなどにより、営業収益は961億2千5百万円(同3.8%減)、営業損失は14億9千5百万円(前年同期は32億1千3百万円の営業利益)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は575億2千4百万円となり、前連結会計年度に比べて242億2千2百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益657億6千4百万円に減価償却費854億4千8百万円、法人税等の支払額258億2千9百万円などを調整し、1,553億2百万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、売上債権の入金額が増加したこと等により、168億6千7百万円の収入増となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出2,002億3千万円などがあり、1,906億4千1百万円の支出となりました。前連結会計年度に比べ、固定資産の取得による支出が減少したこと等により、344億5千6百万円の支出減となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金や社債の発行による資金調達等により、596億3千4百万円の収入となりました。
(3)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、当社や連結子会社である東急電鉄㈱における有形固定資産の取得等により、2兆5,371億9千6百万円(前期末比1,243億2千万円増)となりました。
負債は、有利子負債(※)が、1兆1,510億1千万円(同845億8千8百万円増)となったこと等により、1兆7,275億8千1百万円(同1,108億7千万円増)となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、8,096億1千4百万円(同134億5千万円増)となりました。
※ 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (1)業績」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、中期3か年経営計画及び年度当初に掲げた重点施策が順調に進捗いたしました。
2019年9月には、当社の商号を「東急株式会社」とし、10月には当社鉄道事業(軌道事業を含む)を東急電鉄㈱に会社分割により継承し、営業を開始しております。
また、東横線・田園都市線・大井町線の全64駅にホームドア設置を完了させ、既にホームドアを設置済の目黒線、センサー付固定式ホーム柵を設置済の池上線・東急多摩川線とあわせて、大手民鉄で初めてホームドア・センサー付固定式ホーム柵の設置100%(世田谷線・こどもの国線を除く)を実現いたしました。お客さまの安全を守るとともに、線路転落等の輸送障害を低減させ、安定運行にも大きな効果を発揮しております。
不動産事業では2019年11月に「渋谷スクランブルスクエア」、「南町田グランベリーパーク」など、大規模開発プロジェクトが無事に開業を迎えました。
渋谷スクランブルスクエア開業にともない、アーバン・コアの整備など渋谷駅周辺の回遊性・利便性が格段に向上しました。加えて、渋谷の旺盛なオフィス床需要に対して、大規模ハイグレードオフィスを供給しました。これにより、来街者が増加し、渋谷駅の利用者も大幅に増加しております。
南町田グランベリーパークは、「生活遊園地」というコンセプトのもと、町田市と連携し、商業施設、公園を一体開発した、郊外型開発プロジェクトです。駅直結という立地に加え、車でのアクセスも便利なことから、従来のコア商圏である10km圏内に加え、20km圏内を戦略的ターゲットとし、広域のお客様に足を運んでいただいており、鉄道事業においても他社線との接続駅において、お乗換えいただくお客様が増加しております。今後、新型コロナウイルス感染症の影響等により、ライフスタイルや働き方の変容が見込まれる中、このような沿線の郊外型の取り組みが注目される可能性が高いと感じております。
一方、業績数値においては、一昨年に開業した渋谷ストリームの通期稼働や、渋谷スクランブルスクエア、南町田グランベリーパークの開業等により第3四半期までは概ね順調に推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、鉄道事業やホテル事業で大きな影響を受け、中期3か年経営計画及び年度当初に掲げた目標に対して、各経営指標とも計画を下回る結果となりました。なお、新型コロナウイルス感染症拡大が当期業績に与えた影響は、ホテル・リゾート事業で約45億円、交通事業で約40億円など、合計で約100億円の減益と推定しております。
なお、当社グループの経営成績に対して、外部環境変化や社会課題が重要な影響を与えると考えており、保有する幅広い経営資源を活用しながら、これらがもたらすリスクと機会に適切に対応する必要があります。
当社グループの利益の大半を生み出す東急線沿線の人口動態は、前中期3か年経営計画では2020年に人口のピークを迎えるという前提でしたが、最新のデータでは2035年まで人口増加が続くと想定しており、渋谷・二子玉川・たまプラーザなど、当社の街づくりの成果と捉えております。一方、多くのエリアで高齢化の進行、生産年齢人口の減少が見られ、多摩田園都市でも老齢人口比率が急速に上昇するなど、今後、少子高齢化が一層進むことを踏まえると、沿線住民の流動性の活性化が課題と認識しております。加えて、働き方改革の機運の高まりなどにも注目する必要があります。
また、顧客属性・生活スタイルの変化、ECの隆盛と情報セキュリティリスクの拡大やビッグデータ利活用の拡大による「消費行動や顧客接点の変化」、東京オリンピック・パラリンピックの開催とインフラ整備、インバウンドの増加やデジタルテクノロジーの進化による「新たな事業機会の出現」、アジア市場の急成長、国際都市間競争の激化や東京の国際競争力に関する不透明性による「グローバルレベルでの競争激化」、気候変動による影響の拡大、世界的な資源・エネルギーの逼迫や自然災害やテロの脅威の拡大などによる「環境問題や大規模災害の脅威の拡大」など、当社を取り巻く事業環境はかつてないほどのスピードとスケールで大きく変化しており、スピード感を持った対応が必要であると認識しております。
こうした激しい世の中の変化に対応し、持続的な成長を続ける企業でありたいという想いを込め、2018年度を初年度とする中期3か年経営計画を策定いたしました。加えて、2019年9月には、鉄軌道事業の分社化をはじめとした「グループ経営体制の高度化」にスピード感をもって取り組むとともに、「東急が描く未来」と「向かうべき方向」を明確に示すべく、2030年までの経営スタンスおよびエリア戦略・事業戦略などを取りまとめた長期経営構想を策定しました。中期3か年経営計画および長期経営構想の詳細につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び会社の対処すべき課題」をご参照ください。

(2)資本の財源及び資金の流動性
当社グループでは、2018年度を初年度とする中期3か年経営計画(以下「本計画」)のもと、持続的成長を果たすことを目的にキャッシュ・フローおよび投資計画に関する考え方を設けております。
本計画においては、渋谷・南町田の大規模開発が開業を迎えるため、成長投資が活発化します。キャッシュ・フローの観点では成長投資により一時的にキャッシュアウトが先行しますが、今後これらの成長投資を確実にリターンに反映させ、キャッシュ創出力の大幅な向上につなげていきます。創出されたキャッシュは、財務健全性の確保を前提として、「株主価値向上に資する成長投資」「安全対策などの持続可能性向上に関する投資」「株主還元」の3つにバランスよく配分していくとともに、「従業員に対する配分」にも従来以上に意識して取り組みます。
2018~2020年度の3か年合計投資額(設備投資及び投融資)は5,200億円を見込み、そのうち成長投資は2,600億円です。内訳は、渋谷スクランブルスクエアや渋谷ストリームなどの渋谷再開発に1,200億円、南町田グランベリーパークなどの沿線開発に800億円、不動産賃貸事業における稼働物件の取得などの戦略案件に600億円であります。また、既存事業投資は合計で2,600億円を計画しており、全体の6割超にあたる鉄軌道投資に1,600億円配分しております。そのうち安全投資に960億円を配分するなど、安定輸送・快適性向上に万全を尽くしてまいります。
鉄軌道事業に代表されるように公共性の極めて高い社会インフラを担っている当社グループにとって、平時だけでなく有事においても事業を継続することは使命であるため、財務健全性の確保は極めて重要と考えています。
当連結会計年度末における有利子負債残高は1兆1,510億円、有利子負債/東急EBITDA倍率は6.5倍、自己資本比率は29.8%、デット・エクイティレシオは1.5倍と、バランスシートの観点からは一定の財務健全性は確保できています。
中期3か年経営計画の進捗状況としましては、2019年度に渋谷再開発を中心とした投資がピークを迎えたこともあり、概ね目標水準に近い投資を着実に実行しており、将来の持続的成長に向けた取り組みは順調であります 。

なお、経営計画の最終年度である2020年度には、渋谷開発などの大型開発案件が収益貢献を始めることもあり、従来は有利子負債/東急EBITDA倍率は5.3倍へ改善を見込んでおりましたが、新型コロナウイルス感染症の収束や新しい生活様式による行動変容を見極める必要があります。全ての事業においてこれまでの事業環境を前提として運営するのではなく、変化に応じた見直しを進めるとともに、経費・設備投資は抑制・選別をして実施してまいります。特に鉄道事業は、新型コロナウイルス感染症の収束時期に業績が大きく影響をうけるため、安全投資等を除く設備投資の一部凍結を視野に入れながら、キャッシュ・フローの創出を意識した経営を推進いたします。また、成長投資についても、事業環境を見極めたうえで、個別の案件ごとに選択的に実施してまいります。
資金面においては、2019年度までに大規模投資が一巡したことに加え、経費や設備投資の抑制により、有利子負債の大幅な増加は回避し、安定的なキャッシュポジション維持を目指してまいります
なお、大規模災害等の不測の事態に備えて、危機対応型コミットメントラインを1,200億円設定しております。また、機動的な資金調達手段を確保することを目的に、2020年4月にコマーシャル・ペーパーの発行限度枠を1,500億円に増額するなど、緊急時の流動性を確保しております。
※1 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計
※2 設備投資・投融資の金額については、投資計画の進捗説明を主眼とし一部組替を行っており、「キャッシュ・フロー計算書」とは数値が異なります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、創業以来、事業を通じて社会課題の解決に取り組み、時代の変化に適合しながら、国や都市・地域の発展とともに着実に成長してまいりました。今後も、社会環境の変化に対応しながらサステナブルな成長を目指すべく、2019年9月2日に「長期経営構想」を策定したほか、2018年度を始期とする中期3か年経営計画を推進しております。
これらに基づき、当社および連結子会社では、交通、不動産、生活サービス、ホテル・リゾートの各セグメントにおいて多様な事業展開を行っており、持続的な成長の実現に向けて、エリア戦略や事業戦略を定め、設備投資・投融資等、継続的な投資を実施しております。したがって、当社および連結子会社においては、固定資産を中心とした資産ポートフォリオの管理、とりわけ減損損失の判定や、大規模開発等と関連する費用の見積りが、重要な会計上の見積りに該当いたします。
減損損失の判定にあたっては、事業や物件ごとに資産のグルーピングを行い、収益性や市場性、用途変更や除売却等の意思決定の有無等により兆候判定を行っております。また減損損失の認識・測定においては、将来キャッシュ・フローを直近の実績や事業計画等の意思決定に基づいて合理的に見積りを行うほか、不動産等の時価のある資産については必要に応じ鑑定等の外部評価に基づく適正な価額を用い、投資額や帳簿価額の回収可否について判定を行っております。
また、大規模開発等と関連する費用の見積りに関しては、工事業者から受領した見積り、当社および連結子会社における過去の実績等に市場環境を加味するなどし、見積りの蓋然性・信頼性を社内で十分に検討したうえで適切に行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに与える影響に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記情報 (追加情報)(会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方)」に記載をしております。

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