有価証券報告書-第150期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(業績等の概要)
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外の貿易問題や政治情勢の不確実性の影響などにより先行きは不透明な状況で推移したものの、雇用・所得環境の改善により個人消費の持ち直しの動きが続き、企業収益が堅調に推移するなど、景気は緩やかな回復が継続しました。
このような経済情勢の中、当社および連結子会社は、将来の大きな飛躍に向け、既存事業・プロジェクトを強化するとともに、当社の強みを生かすことのできる新規領域にも積極的に進出することにより、持続的な成長を目指すことを方針に据え、2018年度を初年度とする中期3か年経営計画「Make the Sustainable Growth」を推進しております。
当連結会計年度の営業収益は、当社の不動産賃貸事業の増収等があり、1兆1,574億4千万円(前年同期比1.7%増)、ホテル・リゾート事業における一部店舗の改装や上期の自然災害による影響等により、営業利益は819億7千1百万円(同1.1%減)となりました。経常利益は819億7百万円(同2.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の固定資産売却益計上の反動等により、578億2千4百万円(同17.5%減)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであり、各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含んで記載しております。なお、各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。
(交通事業)
当社は、安全・安定輸送を実現するため、事故の未然防止や早期復旧体制の強化を進め、事業環境の変化に対応した鉄道事業の強靭化を進めております。ホーム上の安全対策につきましては、2019年度の整備完了を目指して、東横線・田園都市線・大井町線全64駅にホームドア整備を進めております。2018年度は田園都市線渋谷駅など12駅でホームドアの供用を開始し、ホームドア(センサー付固定式ホーム柵を含む)の整備率は約81%となりました。その結果、人身傷害件数は2014年度に比べ約3分の1に減少するなど、安全・安定輸送の確保に大きく寄与いたしました。また、トンネルなどの鉄道構造物や鉄道電気設備の保守管理の品質や障害発生時の対応力の向上を目指して、レーザー計測器、AI(人工知能)などの新たなテクノロジーを活用した実証実験にも取り組んでおります。
混雑緩和・遅延低減や快適性向上の取り組みとして、田園都市線・大井町線に新型車両2020系・6020系の導入を進めたほか、2019年3月には田園都市線をはじめ5路線でダイヤ改正を行いました。また、田園都市線池尻大橋駅から渋谷駅間を含む電車定期券で東急バスにもご乗車いただける「バスも!」キャンペーンを継続して実施することで、ピーク時間帯の混雑緩和を図りました。また、大井町線においては、帰宅時の着席ニーズに答える取り組みとして、平日夜の有料座席指定サービス「Q SEAT」を開始いたしました。
当社の鉄軌道業における輸送人員は、前連結会計年度に比べて、沿線人口の増加等により定期で1.2%増加、定期外で0.5%増加し、全体で0.9%の増加となりました。
連結子会社の輸送人員は、伊豆急行㈱で2.7%減少いたしました。
バス業では、東急バス㈱の輸送人員が1.0%増加いたしました。
交通事業全体の営業収益は2,136億2百万円(同1.0%増)、当社の鉄軌道業における増収等により、営業利益は290億8千5百万円(同0.3%増)となりました。
(当社の鉄軌道業の営業成績)
(不動産事業)
当社は、重点施策の一つとして「世界のSHIBUYAへ」を掲げており、新しいビジネスやカルチャーを世界に発信し続ける、「エンタテイメントシティSHIBUYA」の実現を目指し、駅周辺における大規模な再開発プロジェクトを関係者と協力して推進しております。
2018年9月に旧東横線渋谷駅のホームおよび線路跡地に、大規模複合施設「渋谷ストリーム(SHIBUYA STREAM)」を開業し、全てのオフィス区画についてグーグル合同会社の日本における本社機能の入居が決定しております。また、渋谷から代官山間の旧東横線線路跡地において、認定こども園、ホテル、オフィス、店舗からなる複合施設「渋谷ブリッジ(SHIBUYA BRIDGE)」を開業いたしました。両施設の開業により渋谷駅から代官山にかけての渋谷駅南側エリアの回遊性を高めることで、更なる街の賑わいの創出を目指し、隣接する渋谷川の再生や遊歩道の整備を官民連携により実施いたしました。
2019年11月開業予定の「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」においては、大規模な商業施設や、新規事業などを生み出すことを目的とした産業交流施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」のほか、オフィス
については全フロアの入居テナントが内定するなど、順調に計画を進めております。本施設の最上部には日本最大級の広さを有する展望施設「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」を備え、渋谷の新たな名所となることを目指しております。
また、東急沿線が「選ばれる沿線」であり続けるために、魅力ある新たな沿線の拠点を創出し、街の活性化とさらなる沿線価値向上を目指すとともに、沿線の皆さまのさらなる利便性・快適性向上に取り組んでおります。
2019年11月のまちびらきに向け、町田市と当社が連携し取り組んでいる「南町田グランベリーパーク」の整備においては、商業施設、公園、駅の一体的な整備を進め、環境に配慮した「新しい暮らしの拠点」となることを目指しております。本施設の開業にあわせ、駅に降り立った瞬間に新しいまちに来たことを実感できるような駅空間を目指し、田園都市線南町田駅のリニューアル工事を進めております。また、現在土休日のみの急行停車を平日にも拡大し、全日急行停車駅とすることで、まち全体の更なる利便性の向上に取り組んでまいります。
不動産事業全体の営業収益は、渋谷ストリームの開業等による当社の不動産賃貸事業の増収等があり、営業収益は2,033億6千3百万円(同11.4%増)、前年度の当社不動産販売業における利益率が高い物件販売の反動等により、営業利益は319億8千1百万円(同1.2%減)となりました。
(生活サービス事業)
当社は、生活サービス事業を街の生活基盤として沿線価値の向上に寄与するものと位置づけるとともに、収益力の向上に取り組んでまいりました。同事業は、魅力ある施設づくりに加えて、お客さまの期待を上回る商品やサービスの提供に努めるとともに、交通事業、不動産事業をはじめとする各事業との相乗効果を発揮するため、グループ間連携をさらに促進しております。
リテール事業においては、グループとしての総合力を発揮できる体制を構築するため、サービスの連携推進など構造改革に取り組んでおります。
百貨店業の ㈱東急百貨店においては、2018年11月に食料品専門店「レ・シ・ピ青葉台」を「青葉台東急フードショー」にリニューアルし、一部の売場においては、幅広いお客さまのニーズに対応した品揃え強化を目指し、㈱東急ストアと共同で売場づくりを行うなど、グループ内における連携した取り組みを推進いたしました。また、東急百貨店札幌店においては、子育て世代のお客さまにもご利用しやすい施設を目指し、こども向けのプレイスペースを設けるなどリニューアルを行いました。その結果、店舗売上は好調に推移しております。
チェーンストア業の㈱東急ストアにおいては、2018年9月に渋谷への来街者や周辺オフィスで働く方に向けた新業態店舗「Precce Shibuya DELIMARKET」を「渋谷ストリーム」にオープンするなど、お客さまのニーズの多様化に対応した店舗づくりを進めてまいりました。
ホーム・コンビニエンスサービス「東急ベル」においては、2019年1月より、沿線ならではのライフスタイルを提案するインターネット通販サービス「SALUS ONLINE MARKET」などをオープンいたしました。
電力小売事業の㈱東急パワーサプライにおいては、電力小売サービス「東急でんき」に都市ガスサービスを加えた「東急でんき&ガス」の提供を2018年10月より開始いたしました。2019年3月末現在、でんきとガスのお申込み件数は合わせて約25万件となり、2017年度と比べて約11万件増加いたしました。
セキュリティ事業の東急セキュリティ㈱においては、緊急時駆けつけサービス「東急セキュリティレスQ」を2019年4月より開始したほか、ケーブルテレビ事業のイッツ・コミュニケーションズ㈱においては、ネットワークインフラの更新により快適な通信環境を提供するなど、沿線の皆様を中心に、より豊かで快適な暮らしの実現に向けた各種サービスの拡充に取り組んでおります。
また、民間学童保育事業の㈱東急キッズベースキャンプにおいては、小学生をお預かりする学童保育に加えて、土曜保育の実施など、多様な働き方に対応した保育園「KBCほいくえん」を大井町、祐天寺、駒沢、南町田に4園開園し、子育てしやすい環境づくりに積極的に取り組んでまいりました。
生活サービス事業全体の営業収益は、電力小売事業の㈱東急パワーサプライにおいて顧客獲得が進捗したこと等により、営業収益は7,031億8千3百万円(同0.4%増)、営業利益は171億3千9百万円(同7.1%増)となりました。
(ホテル・リゾート事業)
直営ホテル35店舗を展開する㈱東急ホテルズにおいて、拡大するインバウンド宿泊需要などにより客室部門を中心に堅調に推移した一方、自然災害や店舗の改装などの影響により、減収減益となりました。
2018年5月に新浦安・湾岸エリアに「東京ベイ東急ホテル」を開業したほか、2018年6月には「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」、2018年9月には「渋谷ストリームエクセルホテル東急」を開業いたしました。2019年以降も「大阪エクセルホテル東急」、「横浜東急REIホテル(仮称)」、「富士山三島東急ホテル」の開業を予定しております。
ホテル・リゾート事業全体の営業収益は、ホテル業の㈱東急ホテルズにおいて、既存店は販売単価が増加したことに加え、高稼働を維持したものの、閉鎖・改装店や自然災害等の影響により、営業収益は999億2千5百万円(同4.0%減)、営業利益は30億8千万円(同39.6%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は333億2百万円となり、前連結会計年度に比べて50億2千万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益831億6千2百万円に減価償却費786億1千3百万円、法人税等の支払額274億7千9百万円などを調整し、1,384億3千5百万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、法人税等の支払額が増加したことなどにより、141億2千2百万円の収入減となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出2,276億6千7百万円などがあり、2,250億9千8百万円の支出となりました。前連結会計年度に比べ、固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、797億1千9百万円の支出増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金や社債の発行による資金調達などにより、821億1千5百万円の収入となりました。
(3)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、当社の設備投資による有形固定資産の増加等により、2兆4,128億7千6百万円(前期末比1,458億7千8百万円増)となりました。
負債は、有利子負債(※)が、1兆664億2千2百万円(同966億2千8百万円増)となったこと等により、1兆6,167億1千1百万円(同1,038億6千8百万円増)となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、7,961億6千4百万円(同420億1千万円増)となりました。
※ 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (1)業績」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、当社沿線の事業環境(人口動態)、外部環境の変化等があります。
当社グループの利益の大半を生み出す東急線沿線の人口動態は、前中期3か年経営計画では2020年に人口のピークを迎えるという前提でしたが、最新のデータでは2035年まで人口増加が続くと想定しており、渋谷・二子玉川・たまプラーザなど、当社の街づくりの成果と捉えております。一方、多くのエリアで高齢化の進行、生産年齢人口の減少が見られ、今後、少子高齢化が一層進むことを踏まえると、沿線住民の流動性の活性化が課題と認識しております。加えて、長期的視点から海外含む沿線外での収益源確保も一層重要になると考えております。
また、外部環境として、人口動態の変化等に伴う深刻な人手不足、ECの隆盛などによる消費行動や顧客接点の変化、テクノロジーの進展による新たな事業機会の出現、グローバルレベルでの競争激化など、当社を取り巻く事業環境はかつてないほどのスピードとスケールで大きく変化しており、スピード感を持った対応が必要であると認識しております。
こうした激しい世の中の変化に対応し、持続的な成長を続ける企業でありたいという想いを込め、2018年度を初年度とする中期3か年経営計画を策定いたしました。本計画では“Make the Sustainable Growth”(持続可能な成長をめざして)というスローガンを定め、サステナブルな「街づくり」「企業づくり」「人づくり」の、「3つのサステナブル」の基本方針のもと、次の100年に向けて、既存事業や沿線外拠点を強化するとともに、当社の強みを活かすことのできる新規領域にも積極的に進出することで、激しい時代の変化の中でも、持続的な成長を続ける企業集団を目指します。中期3か年経営計画の詳細につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度は、交通事業においては田園都市線や大井町線を中心に新型車両導入や増発を推進し、不動産事業では2018年9月に「渋谷ストリーム」を開業、ホテル・リゾート事業ではホテルの新規開業(3店)やリニューアルを実施し競争力を強化するなど、経営計画で掲げた重点施策が順調に進捗いたしました。業績では、対計画で、交通事業における燃料調整費単価上昇による動力費の増加や、ホテル業での自然災害の影響などの減益要因があったものの、不動産賃貸業における「渋谷ストリーム」の開業費の圧縮などにより増益となり、各経営指標とも計画を上回る進捗となりました。

(3)資本の財源及び資金の流動性
当社グループでは持続的成長を果たすことを目的に投資計画を立案しており、資金使途のうち主なものは設備投資・投融資(以下「投資」という。)であります。2018年度を初年度とする中期3か年経営計画においては、成長投資に2,600億円、既存事業投資に2,600億円、合計5,200億円の投資を計画しており、成長投資の内訳は、渋谷再開発に1,200億円、沿線開発に800億円、戦略案件に600億円であります。また、既存事業投資の内訳は、鉄軌道投資に1,600億円、うち960億円を安全投資として計画しており、安定輸送・快適性向上に万全を尽くしてまいります。渋谷再開発に係る成長投資では、当連結会計年度で既に6割程度の投資を終えるなど、順調な進捗であります。
また、資金につきましては、企業活動から得られる営業キャッシュ・フローに加え、社債の発行や金融機関からの借入により、中期3か年経営計画期間中に1,200億円の調達を想定しております 。
中期3か年経営計画では設備投資の実施に伴い有利子負債の増加を見込んでおり、有利子負債/東急EBITDA倍率は2018年度、19年度末は一時的に6倍台となりますが、渋谷開発などの大型開発案件が収益貢献を始める2020年度には5.3倍へ改善を見込んでおりました。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は1兆664億円、増益などにより有利子負債/東急EBITDA倍率は6.0倍となり、19年度末は計画値を上回る5.7倍を見込んでおります。
※1 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計
※2 設備投資・投融資の金額については、投資計画の進捗説明を主眼とし一部組替を行っており、「キャッシュ・フロー計算書」とは数値が異なります。
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外の貿易問題や政治情勢の不確実性の影響などにより先行きは不透明な状況で推移したものの、雇用・所得環境の改善により個人消費の持ち直しの動きが続き、企業収益が堅調に推移するなど、景気は緩やかな回復が継続しました。
このような経済情勢の中、当社および連結子会社は、将来の大きな飛躍に向け、既存事業・プロジェクトを強化するとともに、当社の強みを生かすことのできる新規領域にも積極的に進出することにより、持続的な成長を目指すことを方針に据え、2018年度を初年度とする中期3か年経営計画「Make the Sustainable Growth」を推進しております。
当連結会計年度の営業収益は、当社の不動産賃貸事業の増収等があり、1兆1,574億4千万円(前年同期比1.7%増)、ホテル・リゾート事業における一部店舗の改装や上期の自然災害による影響等により、営業利益は819億7千1百万円(同1.1%減)となりました。経常利益は819億7百万円(同2.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の固定資産売却益計上の反動等により、578億2千4百万円(同17.5%減)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであり、各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含んで記載しております。なお、各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。
(交通事業)
当社は、安全・安定輸送を実現するため、事故の未然防止や早期復旧体制の強化を進め、事業環境の変化に対応した鉄道事業の強靭化を進めております。ホーム上の安全対策につきましては、2019年度の整備完了を目指して、東横線・田園都市線・大井町線全64駅にホームドア整備を進めております。2018年度は田園都市線渋谷駅など12駅でホームドアの供用を開始し、ホームドア(センサー付固定式ホーム柵を含む)の整備率は約81%となりました。その結果、人身傷害件数は2014年度に比べ約3分の1に減少するなど、安全・安定輸送の確保に大きく寄与いたしました。また、トンネルなどの鉄道構造物や鉄道電気設備の保守管理の品質や障害発生時の対応力の向上を目指して、レーザー計測器、AI(人工知能)などの新たなテクノロジーを活用した実証実験にも取り組んでおります。
混雑緩和・遅延低減や快適性向上の取り組みとして、田園都市線・大井町線に新型車両2020系・6020系の導入を進めたほか、2019年3月には田園都市線をはじめ5路線でダイヤ改正を行いました。また、田園都市線池尻大橋駅から渋谷駅間を含む電車定期券で東急バスにもご乗車いただける「バスも!」キャンペーンを継続して実施することで、ピーク時間帯の混雑緩和を図りました。また、大井町線においては、帰宅時の着席ニーズに答える取り組みとして、平日夜の有料座席指定サービス「Q SEAT」を開始いたしました。
当社の鉄軌道業における輸送人員は、前連結会計年度に比べて、沿線人口の増加等により定期で1.2%増加、定期外で0.5%増加し、全体で0.9%の増加となりました。
連結子会社の輸送人員は、伊豆急行㈱で2.7%減少いたしました。
バス業では、東急バス㈱の輸送人員が1.0%増加いたしました。
交通事業全体の営業収益は2,136億2百万円(同1.0%増)、当社の鉄軌道業における増収等により、営業利益は290億8千5百万円(同0.3%増)となりました。
(当社の鉄軌道業の営業成績)
| 種別 | 単位 | 第149期 | 第150期 | |
| 2017.4.1~2018.3.31 | 2018.4.1~2019.3.31 | |||
| 営業日数 | 日 | 365 | 365 | |
| 営業キロ程 | キロ | 104.9 | 104.9 | |
| 客車走行キロ | 千キロ | 149,150 | 151,463 | |
| 輸送人員 | 定期外 | 千人 | 468,163 | 470,648 |
| 定期 | 千人 | 710,496 | 718,668 | |
| 計 | 千人 | 1,178,659 | 1,189,316 | |
| 旅客運輸収入 | 定期外 | 百万円 | 76,383 | 76,827 |
| 定期 | 百万円 | 63,856 | 64,558 | |
| 計 | 百万円 | 140,239 | 141,385 | |
| 運輸雑収 | 百万円 | 14,614 | 15,021 | |
| 収入合計 | 百万円 | 154,853 | 156,406 | |
| 一日平均収入 | 百万円 | 424 | 429 | |
| 乗車効率 | % | 51.6 | 51.2 | |
| (注) 乗車効率の算出方法 | 乗車効率 | = | 輸送人員 | × | 平均乗車キロ | × 100 |
| 客車走行キロ | 平均定員 |
(不動産事業)
当社は、重点施策の一つとして「世界のSHIBUYAへ」を掲げており、新しいビジネスやカルチャーを世界に発信し続ける、「エンタテイメントシティSHIBUYA」の実現を目指し、駅周辺における大規模な再開発プロジェクトを関係者と協力して推進しております。
2018年9月に旧東横線渋谷駅のホームおよび線路跡地に、大規模複合施設「渋谷ストリーム(SHIBUYA STREAM)」を開業し、全てのオフィス区画についてグーグル合同会社の日本における本社機能の入居が決定しております。また、渋谷から代官山間の旧東横線線路跡地において、認定こども園、ホテル、オフィス、店舗からなる複合施設「渋谷ブリッジ(SHIBUYA BRIDGE)」を開業いたしました。両施設の開業により渋谷駅から代官山にかけての渋谷駅南側エリアの回遊性を高めることで、更なる街の賑わいの創出を目指し、隣接する渋谷川の再生や遊歩道の整備を官民連携により実施いたしました。
2019年11月開業予定の「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」においては、大規模な商業施設や、新規事業などを生み出すことを目的とした産業交流施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」のほか、オフィス
については全フロアの入居テナントが内定するなど、順調に計画を進めております。本施設の最上部には日本最大級の広さを有する展望施設「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」を備え、渋谷の新たな名所となることを目指しております。
また、東急沿線が「選ばれる沿線」であり続けるために、魅力ある新たな沿線の拠点を創出し、街の活性化とさらなる沿線価値向上を目指すとともに、沿線の皆さまのさらなる利便性・快適性向上に取り組んでおります。
2019年11月のまちびらきに向け、町田市と当社が連携し取り組んでいる「南町田グランベリーパーク」の整備においては、商業施設、公園、駅の一体的な整備を進め、環境に配慮した「新しい暮らしの拠点」となることを目指しております。本施設の開業にあわせ、駅に降り立った瞬間に新しいまちに来たことを実感できるような駅空間を目指し、田園都市線南町田駅のリニューアル工事を進めております。また、現在土休日のみの急行停車を平日にも拡大し、全日急行停車駅とすることで、まち全体の更なる利便性の向上に取り組んでまいります。
不動産事業全体の営業収益は、渋谷ストリームの開業等による当社の不動産賃貸事業の増収等があり、営業収益は2,033億6千3百万円(同11.4%増)、前年度の当社不動産販売業における利益率が高い物件販売の反動等により、営業利益は319億8千1百万円(同1.2%減)となりました。
(生活サービス事業)
当社は、生活サービス事業を街の生活基盤として沿線価値の向上に寄与するものと位置づけるとともに、収益力の向上に取り組んでまいりました。同事業は、魅力ある施設づくりに加えて、お客さまの期待を上回る商品やサービスの提供に努めるとともに、交通事業、不動産事業をはじめとする各事業との相乗効果を発揮するため、グループ間連携をさらに促進しております。
リテール事業においては、グループとしての総合力を発揮できる体制を構築するため、サービスの連携推進など構造改革に取り組んでおります。
百貨店業の ㈱東急百貨店においては、2018年11月に食料品専門店「レ・シ・ピ青葉台」を「青葉台東急フードショー」にリニューアルし、一部の売場においては、幅広いお客さまのニーズに対応した品揃え強化を目指し、㈱東急ストアと共同で売場づくりを行うなど、グループ内における連携した取り組みを推進いたしました。また、東急百貨店札幌店においては、子育て世代のお客さまにもご利用しやすい施設を目指し、こども向けのプレイスペースを設けるなどリニューアルを行いました。その結果、店舗売上は好調に推移しております。
チェーンストア業の㈱東急ストアにおいては、2018年9月に渋谷への来街者や周辺オフィスで働く方に向けた新業態店舗「Precce Shibuya DELIMARKET」を「渋谷ストリーム」にオープンするなど、お客さまのニーズの多様化に対応した店舗づくりを進めてまいりました。
ホーム・コンビニエンスサービス「東急ベル」においては、2019年1月より、沿線ならではのライフスタイルを提案するインターネット通販サービス「SALUS ONLINE MARKET」などをオープンいたしました。
電力小売事業の㈱東急パワーサプライにおいては、電力小売サービス「東急でんき」に都市ガスサービスを加えた「東急でんき&ガス」の提供を2018年10月より開始いたしました。2019年3月末現在、でんきとガスのお申込み件数は合わせて約25万件となり、2017年度と比べて約11万件増加いたしました。
セキュリティ事業の東急セキュリティ㈱においては、緊急時駆けつけサービス「東急セキュリティレスQ」を2019年4月より開始したほか、ケーブルテレビ事業のイッツ・コミュニケーションズ㈱においては、ネットワークインフラの更新により快適な通信環境を提供するなど、沿線の皆様を中心に、より豊かで快適な暮らしの実現に向けた各種サービスの拡充に取り組んでおります。
また、民間学童保育事業の㈱東急キッズベースキャンプにおいては、小学生をお預かりする学童保育に加えて、土曜保育の実施など、多様な働き方に対応した保育園「KBCほいくえん」を大井町、祐天寺、駒沢、南町田に4園開園し、子育てしやすい環境づくりに積極的に取り組んでまいりました。
生活サービス事業全体の営業収益は、電力小売事業の㈱東急パワーサプライにおいて顧客獲得が進捗したこと等により、営業収益は7,031億8千3百万円(同0.4%増)、営業利益は171億3千9百万円(同7.1%増)となりました。
(ホテル・リゾート事業)
直営ホテル35店舗を展開する㈱東急ホテルズにおいて、拡大するインバウンド宿泊需要などにより客室部門を中心に堅調に推移した一方、自然災害や店舗の改装などの影響により、減収減益となりました。
2018年5月に新浦安・湾岸エリアに「東京ベイ東急ホテル」を開業したほか、2018年6月には「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」、2018年9月には「渋谷ストリームエクセルホテル東急」を開業いたしました。2019年以降も「大阪エクセルホテル東急」、「横浜東急REIホテル(仮称)」、「富士山三島東急ホテル」の開業を予定しております。
ホテル・リゾート事業全体の営業収益は、ホテル業の㈱東急ホテルズにおいて、既存店は販売単価が増加したことに加え、高稼働を維持したものの、閉鎖・改装店や自然災害等の影響により、営業収益は999億2千5百万円(同4.0%減)、営業利益は30億8千万円(同39.6%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は333億2百万円となり、前連結会計年度に比べて50億2千万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益831億6千2百万円に減価償却費786億1千3百万円、法人税等の支払額274億7千9百万円などを調整し、1,384億3千5百万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、法人税等の支払額が増加したことなどにより、141億2千2百万円の収入減となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出2,276億6千7百万円などがあり、2,250億9千8百万円の支出となりました。前連結会計年度に比べ、固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、797億1千9百万円の支出増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金や社債の発行による資金調達などにより、821億1千5百万円の収入となりました。
(3)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、当社の設備投資による有形固定資産の増加等により、2兆4,128億7千6百万円(前期末比1,458億7千8百万円増)となりました。
負債は、有利子負債(※)が、1兆664億2千2百万円(同966億2千8百万円増)となったこと等により、1兆6,167億1千1百万円(同1,038億6千8百万円増)となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、7,961億6千4百万円(同420億1千万円増)となりました。
※ 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (1)業績」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、当社沿線の事業環境(人口動態)、外部環境の変化等があります。
当社グループの利益の大半を生み出す東急線沿線の人口動態は、前中期3か年経営計画では2020年に人口のピークを迎えるという前提でしたが、最新のデータでは2035年まで人口増加が続くと想定しており、渋谷・二子玉川・たまプラーザなど、当社の街づくりの成果と捉えております。一方、多くのエリアで高齢化の進行、生産年齢人口の減少が見られ、今後、少子高齢化が一層進むことを踏まえると、沿線住民の流動性の活性化が課題と認識しております。加えて、長期的視点から海外含む沿線外での収益源確保も一層重要になると考えております。
また、外部環境として、人口動態の変化等に伴う深刻な人手不足、ECの隆盛などによる消費行動や顧客接点の変化、テクノロジーの進展による新たな事業機会の出現、グローバルレベルでの競争激化など、当社を取り巻く事業環境はかつてないほどのスピードとスケールで大きく変化しており、スピード感を持った対応が必要であると認識しております。
こうした激しい世の中の変化に対応し、持続的な成長を続ける企業でありたいという想いを込め、2018年度を初年度とする中期3か年経営計画を策定いたしました。本計画では“Make the Sustainable Growth”(持続可能な成長をめざして)というスローガンを定め、サステナブルな「街づくり」「企業づくり」「人づくり」の、「3つのサステナブル」の基本方針のもと、次の100年に向けて、既存事業や沿線外拠点を強化するとともに、当社の強みを活かすことのできる新規領域にも積極的に進出することで、激しい時代の変化の中でも、持続的な成長を続ける企業集団を目指します。中期3か年経営計画の詳細につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度は、交通事業においては田園都市線や大井町線を中心に新型車両導入や増発を推進し、不動産事業では2018年9月に「渋谷ストリーム」を開業、ホテル・リゾート事業ではホテルの新規開業(3店)やリニューアルを実施し競争力を強化するなど、経営計画で掲げた重点施策が順調に進捗いたしました。業績では、対計画で、交通事業における燃料調整費単価上昇による動力費の増加や、ホテル業での自然災害の影響などの減益要因があったものの、不動産賃貸業における「渋谷ストリーム」の開業費の圧縮などにより増益となり、各経営指標とも計画を上回る進捗となりました。

(3)資本の財源及び資金の流動性
当社グループでは持続的成長を果たすことを目的に投資計画を立案しており、資金使途のうち主なものは設備投資・投融資(以下「投資」という。)であります。2018年度を初年度とする中期3か年経営計画においては、成長投資に2,600億円、既存事業投資に2,600億円、合計5,200億円の投資を計画しており、成長投資の内訳は、渋谷再開発に1,200億円、沿線開発に800億円、戦略案件に600億円であります。また、既存事業投資の内訳は、鉄軌道投資に1,600億円、うち960億円を安全投資として計画しており、安定輸送・快適性向上に万全を尽くしてまいります。渋谷再開発に係る成長投資では、当連結会計年度で既に6割程度の投資を終えるなど、順調な進捗であります。
また、資金につきましては、企業活動から得られる営業キャッシュ・フローに加え、社債の発行や金融機関からの借入により、中期3か年経営計画期間中に1,200億円の調達を想定しております 。
中期3か年経営計画では設備投資の実施に伴い有利子負債の増加を見込んでおり、有利子負債/東急EBITDA倍率は2018年度、19年度末は一時的に6倍台となりますが、渋谷開発などの大型開発案件が収益貢献を始める2020年度には5.3倍へ改善を見込んでおりました。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は1兆664億円、増益などにより有利子負債/東急EBITDA倍率は6.0倍となり、19年度末は計画値を上回る5.7倍を見込んでおります。
※1 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計
※2 設備投資・投融資の金額については、投資計画の進捗説明を主眼とし一部組替を行っており、「キャッシュ・フロー計算書」とは数値が異なります。