有価証券報告書-第154期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 15:00
【資料】
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【項目】
139項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、平成17年に「名鉄グループ経営ビジョン」を制定しました。この経営ビジョンでは、地域価値の向上に努め、永く社会に貢献することを使命とし、豊かな生活を実現する事業を通じて地域から愛される「信頼のトップブランド」を目指すことを経営理念としております。この経営理念のもと「お客さま満足を高める全社体制の確立」、「競争に打ち勝つ経営力強化と新しい事業への挑戦」、「一人ひとりの資質向上とチャレンジできる風土づくり」及び「社会的責任の完遂」の4つを経営方針としております。
(2) 目標とする経営指標・中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
当社グループは、今後さらに加速する人口減少、少子高齢化時代においても、持続的な成長を目指すため、2030年に向けた新たな名鉄グループ長期ビジョン「VISION2030~未来への挑戦~」及び「長期経営戦略」を定めました。その上で、これら長期戦略に基づく最初の3か年計画として、平成30年度を初年度とする名鉄グループ中期経営計画「BUILD UP 2020」を併せて策定しました。
「BUILD UP 2020」では、『2030年に向けて新たな魅力や価値を創造し、持続的に成長していく企業グループとなるため、「積極的な成長投資による事業基盤の拡大・収益力の強化」を図る』を基本方針とし、次の6つの重点テーマに取組んでまいります。
[重点テーマ]
① 名駅再開発の事業着手に向けた計画の推進
周辺地権者や行政などとの協議・調整、再開発ビルの事業計画、交通結節点としての交通施設整備計画の検討に引続き取組みます。
② 名古屋都心部における積極的な不動産事業の展開
リニア中央新幹線の開業やライフスタイルの変化に伴う都心居住者の増加を視野に入れ、名古屋都心部での不動産開発などに注力します。
③ 魅力ある沿線・地域づくりの推進
当社グループが展開する各事業の原点である「安全・安心」の強化・推進に加え、駅及び駅周辺開発の推進などを図り、日本一住みやすいまち、訪れたいエリア創りを進めます。
④ 成長事業への積極的な投資と収益力の向上
観光・インバウンド事業や生活サポート事業の展開強化、新たなビジネス領域への果敢なチャレンジにより、収益力の向上を目指します。
⑤ グループ事業のさらなる収益力強化
収益性の向上に資する設備投資の実施や事業構造の見直しなどにより、利益率の改善を図り、グループ事業の収益力を強化します。
⑥ イノベーションを生み出す組織風土づくり及び生産性向上に向けた取組みの推進
多様な人材が働きやすい職場・環境づくりを推進するとともに、生産性向上に向けた技術活用・設備投資を実施します。
また、目標とする経営指標につきましては、中期経営計画最終年度にあたる平成32年度の連結経営数値目標として、営業利益及びEBITDA(営業利益+減価償却費)を設定するとともに、参考指標として、ROE(純利益/自己資本)、ROA(営業利益/総資産)、純有利子負債(※)/EBITDA倍率、及び株主資本比率をそれぞれ設定しております。
※純有利子負債:有利子負債-現預金・短期有価証券
当社グループは、一丸となって本中期経営計画「BUILD UP 2020」を推進し、今後も永く社会に貢献し、地域から愛される企業集団として存続するべく、更なる業績の向上に全力を傾注してまいります。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
当社グループは、公共交通機関としての鉄道事業を中心に、交通、運送、不動産、レジャー、流通等の各事業を通して、長年にわたり地域の生活基盤の一端を担ってきております。
また、これらの事業活動を通して得られたお客様との信頼関係をさらに発展させるべく、平成17年12月には当社グループの目指すべき将来像を明示した「名鉄グループ経営ビジョン」を策定しました。この中で当社グループの使命を「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」と定め、「私たち名鉄グループは、豊かな生活を実現する事業を通じて、地域から愛される『信頼のトップブランド』をめざします」とする経営理念を掲げております。
当社では、「名鉄グループ経営ビジョン」に沿った諸施策を着実に実施することが、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものと考えておりますが、これを実現するためには、グループ各社が長期的視点に立って安定的な経営を維持し、かつ、一体となって相乗効果を発揮していくことが必要不可欠であります。
以上の観点から、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社グループの使命及び経営理念をふまえ、グループ全体の企業価値ひいては株主共同の利益を持続的に確保・向上していくことに十分な理解を有することが必要であると考えております。
近年、顕在化している株式の大量買付けに関しては、それが会社の企業価値の向上ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買付け提案についての判断は、最終的には個々の株主の皆様のご意思に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、株式の大量買付けの中には、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するもの、株主の皆様や当社取締役会が株式の大量買付けの条件等について検討し、意見を形成するための十分な時間や情報を提供しないものの存在も想定されます。また、短期の利益を優先し、当社グループの保有資産を切り売りするなど、当社グループの経営基盤を破壊するもの、当社の公益事業者としての役割や鉄道事業の安全の確保に悪影響を及ぼすものなどの存在も否定できません。
当社では、いわゆる「買収防衛策」を当有価証券報告書提出日現在で定めてはおりませんが、株主の皆様から負託を受けた経営者の責務として、このような当社の企業価値を毀損し、ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある株式の大量買付けに対しては、法令・定款に照らし適切な措置を講じてまいります。
なお、買収防衛策の導入については、重要な経営課題の一つとして認識しており、今後も継続して検討を行ってまいります。