有価証券報告書-第176期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/16 10:39
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Ⅲ 事業の状況
① 業績の概要
当連結会計年度のわが国経済は、中国やその他新興国経済の減速等に伴う海外景気の下振れ懸念があるものの、円高の是正や株価の上昇を背景として、企業収益が改善するとともに、個人消費が増加するなど、緩やかな回復の動きを見せました。
この間、当社グループにおきましては、中期経営計画に掲げる目標を達成すべく、阪急阪神ホールディングスグループのグループ経営機能を担う阪急阪神ホールディングス㈱の下、都市交通、不動産、エンタテイメント・コミュニケーションの3つのコア事業において、阪神グループと提携・協調して事業の競争力強化を図るとともに、他のコア事業の中核会社である、㈱阪急交通社、㈱阪急阪神エクスプレス、㈱阪急阪神ホテルズとも連携を強化し、グループ総合力の発揮に努めました。
この結果、営業収益は、書店事業を外部化した影響等により3,754億41百万円となり、前連結会計年度に比べ91億84百万円(△2.4%)減少しました。一方で、「梅田阪急ビル」において阪急百貨店うめだ本店が通期稼働したこと等により、営業利益は649億6百万円となり、前連結会計年度に比べ9億39百万円(1.5%)増加し、経常利益は514億26百万円となり、前連結会計年度に比べ23億39百万円(4.8%)増加しました。また、当期純利益は313億93百万円となり、前連結会計年度に比べ40億82百万円(14.9%)増加しました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、増減額及び増減率については、前年同期の実績値を変更後のセグメント区分に組み替え、算出しています。
報告セグメントの区分変更の詳細は、「Ⅵ 経理の状況 ① 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
<都市交通事業>鉄道事業につきましては、平成25年12月に京都縦貫自動車道の長岡京インターチェンジに隣接し、鉄道と高速バス・マイカーの交通結節点ともなる地に「西山天王山駅」を開業しました。また、お客様にわかりやすくご案内することを目指し、「三宮駅」を「神戸三宮駅」とするなど4つの駅名を変更するとともに、全駅で駅ナンバリングを導入しました。このほか、車内の静かさと省エネルギー性能を追求した新型車両1000系・1300系の営業運転を開始しました。
自動車事業につきましては、阪急バスが梅田エリア巡回バス「うめぐるバス(UMEGLE-BUS)」の運行を開始しました。また、阪急タクシーにおいて、「PiTaPa(ピタパ)」の取扱いや、乗車代金を「STACIAポイント」で直接お支払いいただける「ポイント払いサービス」を開始するなど、お客様の利便性向上を図りました。
流通事業につきましては、阪急梅田駅でのイベントショップを展開するなど、駅ナカの魅力向上に取り組みました。
これらの結果、営業収益は、平成25年4月1日付で書店事業を営む㈱ブックファーストを外部化したこと等により、1,910億96百万円となり、前連結会計年度に比べ165億67百万円(△8.0%)減少しましたが、営業利益は、「グランフロント大阪」の開業等により、鉄道事業が好調に推移したほか、消費税率引き上げに伴う定期券等の駆け込み需要が発生した影響等もあり、309億47百万円となり、前連結会計年度に比べ7億18百万円(2.4%)増加しました。
<不動産事業>不動産賃貸事業につきましては、平成25年4月にまちびらきを迎えた「グランフロント大阪」では、一年を通じて多くのお客様にご来場いただき、商業施設「ショップ&レストラン」において売上高の初年度目標を達成しました。また、平成26年3月に「阪急西宮ガーデンズ」の大規模なリニューアルを実施するなど、厳しい事業環境の中、グループ各社が保有する商業施設・オフィスビルの競争力の強化と稼働率の維持等に取り組みました。
不動産分譲事業につきましては、マンション分譲では、近畿圏において「ジオタワー天六」(大阪市北区)、「ジオ高槻ミューズEX」(大阪府高槻市)、「ジオグランデ夙川相生町」(兵庫県西宮市)等を、首都圏において「ジオ門前仲町 冬木」(東京都江東区)等を販売しました。また、宅地戸建分譲では、「阪急宝塚山手台 クレアス/ビューノ」(兵庫県宝塚市)、「彩都・箕面ガーデンテラス」(大阪府箕面市)等を販売しました。
また、平成25年4月に阪急リート投資法人が所有する「HEPファイブ」の持分の一部と「NU chayamachi」を取得することで、当社グループが主導的に商業施設のバリューアップを手掛け、梅田エリアをさらに活性化させること等を目的とした取組みを進めるとともに、同投資法人には「阪急西宮ガーデンズ」の持分の一部を譲渡しました。
これらの結果、「梅田阪急ビル」において、阪急百貨店うめだ本店が通期稼働したことに伴い賃貸収入が増加したこと等により、営業収益は1,523億34百万円となり、前連結会計年度に比べ76億45百万円(5.3%)増加し、営業利益は291億31百万円となり、前連結会計年度に比べ4億56百万円(1.6%)増加しました。
<エンタテインメント・コミュニケーション事業>ステージ事業につきましては、歌劇事業において、宝塚大劇場・東京宝塚劇場で上演した雪組トップスターお披露目公演「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」や、宝塚歌劇100周年の幕開けを飾る星組公演「眠らない男・ナポレオン-愛と栄光の涯(はて)に-」が好評を博したほか、8年ぶりとなる海外公演を台湾で実施し成功裏に終えました。また、宝塚大劇場では、平成26年に宝塚歌劇100周年を迎えるにあたり、正面ゲート等の美装工事を実施しました。演劇事業においては、大阪(梅田芸術劇場)及び東京(東急シアターオーブ等)で、宝塚歌劇団の歴代スターを起用した「DREAM, A DREAM」や、海外から著名な出演者を招聘した自主制作公演「4Stars」など、話題性のある多様な公演を催しました。
これらの結果、営業収益は343億29百万円となり、前連結会計年度に比べ8億76百万円(2.6%)増加し、営業利益は47億98百万円となり、前連結会計年度に比べ11百万円(0.2%)増加しました。
<その他>その他の事業につきましては、営業収益は22億6百万円となり、前連結会計年度に比べ2億93百万円(△11.7%)減少し、営業利益は13百万円となり、前連結会計年度に比べ32百万円増加しました。
② 生産、受注及び販売の状況
当社グループは都市交通事業、不動産事業及びエンタテインメント・コミュニケーション事業など多種多様な事業を営んでいるため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「① 業績の概要」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しています。
③ 対処すべき課題
当社グループは、阪急阪神ホールディングスグループのグループ経営機能を担う阪急阪神ホールディングス㈱の下、阪神グループと連携・協同して事業の競争力強化を図るとともに、他のコア事業の中核会社である、㈱阪急交通社、㈱阪急阪神エクスプレス、㈱阪急阪神ホテルズとも連携を強化し、阪急阪神ホールディングスグループにおける以下の方針に従い、中・長期的にグループ一体となって持続的な成長を図るべく、各事業の取組みを進めていきます。
阪急阪神ホールディングスグループにおきましては、平成27年度までを計画期間とする中期経営計画を策定し、同計画期間を「財務体質の改善を着実に図る期間」と位置付け、「連結有利子負債/EBITDA倍率7倍程度」の達成に向けて事業に取り組んできました。当連結会計年度におきましては、連結営業利益が918億円まで伸長し、連結有利子負債残高を1兆323億円まで圧縮した結果、「連結有利子負債/EBITDA倍率」は6.9倍となり、「連結有利子負債/EBITDA倍率7倍程度」という目標を達成することができました。
平成26年度につきましては、引き続き各事業の競争力強化や財務体質の改善に取り組んでいきますが、消費税率引上げによる消費マインドの悪化、「梅田1丁目1番地計画(大阪神ビルディング及び新阪急ビルの建替計画)」の進捗による減益等が見込まれることから、連結営業利益は860億円を見込んでいます。一方、投資額や投資時期等の精査を徹底することなどにより、連結有利子負債残高を9,700億円まで削減する計画としており、この結果、「連結有利子負債/EBITDA倍率」は6.7倍となり、平成27年度末における従来の計画数値の水準を1年前倒しで達成する見込みです。
※EBITDA…営業利益+減価償却費+のれん償却費
平成27年度以降につきましては、平成30年度までの期間を「中長期的な成長に向けた基盤整備の時期」と位置付け、「梅田地区をはじめとする沿線の価値向上」や「中長期的な成長に向けた新たなマーケット(首都圏・海外等)の開拓」に取り組んでいきます。また、財務面では、「将来を見据えた投資」「財務体質の継続的な強化」及び「株主還元」にバランスよく、かつ柔軟に資金を配分していきます。
以上を踏まえ、平成30年度までの期間においては、梅田1丁目1番地計画等、将来に向けた基盤整備を推進していく中でも、連結営業利益は800億円水準を維持するとともに、平成30年度末までに連結有利子負債残高を9,000億円未満に引き下げることを目指していきます。
加えて、社会貢献活動や環境に配慮した事業活動の推進、コンプライアンスの重視、リスクマネジメントの徹底等についてもグループを挙げて取り組み、企業の社会的責任を果たしていきます。
当社グループは、グループ経営理念に掲げる「『安心・快適』、そして『夢・感動』をお届けすることで、お客様の喜びを実現し、社会に貢献する」使命を果たすべく、お客様や地域社会などとの信頼関係を構築しながら、持続的な成長を図っていきます。
④ 事業等のリスク
当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 法的規制について
当社グループのうち、鉄道事業者においては、鉄道事業法の定めにより経営しようとする路線及び鉄道事業の種別毎に国土交通大臣の許可を受けなければならず(第3条)、さらに旅客の運賃及び料金の設定・変更は、国土交通大臣の認可を受けなければならない(第16条)こととされています。よって、これらの規制により、当社グループの鉄道事業の活動が制限される可能性があります。
(2) 大規模地域拠点開発について
当社グループは阪急沿線の深耕をめざし、グループ内の事業用資産について、一層の有効活用を図り、資産効率を高めていくための取り組みとして、「梅田1丁目1番地計画(大阪神ビルディング及び新阪急ビル建替計画)」や国際文化公園都市「彩都」など大規模な地域拠点開発を推進しています。これらは、いずれも当社グループのこれからの成長の鍵を握る重要な拠点として、今後も引き続き着実な開発に鋭意努めていきますが、急激な事業環境変化(地価動向、都市計画や事業計画の変更等)により、当社グループの経営成績及び財政状態等が影響を受ける可能性があります。
(3) 有利子負債について
当連結会計年度末における連結有利子負債残高は7,548億43百万円となっています。
今後、金利水準が急激に上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等が影響を受ける可能性があります。
(4) 関係会社について
当社は、北神急行電鉄㈱(連結子会社)が利用者の利便性を確保するため、神戸高速鉄道㈱(持分法適用関連会社)に鉄道施設を譲渡し、第2種鉄道事業者として鉄道営業を存続するという計画に合意しました。この合意に基づいて当社は、平成14年度に神戸高速鉄道㈱に対し鉄道施設購入に必要な資金の一部を融資し、当該譲渡が実行されました。同融資については平成17年4月1日付での会社分割により当社が承継しています。
また、平成19年9月に、神戸電鉄㈱が北神急行電鉄㈱に対する再建支援の施策を一時中断しました。これに伴い上記の計画の枠組を維持するため、当社は北神急行電鉄㈱に対し追加融資を実施しました。
今後も、第2種鉄道事業を営む北神急行電鉄㈱において円滑な運営が行えるよう協力していきますが、計画の変更等があった場合には、当社グループが影響を受ける可能性があります。
(5) 保有資産の時価下落について
当社グループが保有するたな卸資産、有形・無形固定資産及び投資有価証券等の時価が、今後著しく下落した場合には、減損損失または評価損等を計上することにより、当社グループの経営成績及び財政状態等が影響を受ける可能性があります。
(6) 自然災害等について
当社グループは、都市交通事業、不動産事業及びエンタテインメント・コミュニケーション事業など多種多様な事業を営んでおり、事業遂行上必要な鉄道施設、賃貸ビルや店舗等の様々な営業施設を多数保有しています。地震等の自然災害をはじめとする大規模災害が発生した場合には、営業施設への被害等により、当社グループの経営成績及び財政状態等が影響を受ける可能性があります。
⑤ 経営上の重要な契約等
該当事項はありません。
⑥ 研究開発活動
特記事項はありません。
⑦ 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりです。
(1) 経営成績の分析
当社グループは、中期経営計画に掲げる目標を達成すべく、阪急阪神ホールディングスグループのグループ経営機能を担う阪急阪神ホールディングス㈱の下、都市交通、不動産、エンタテイメント・コミュニケーションの3つのコア事業において、阪神グループと提携・協調して事業の競争力強化を図るとともに、他のコア事業の中核会社である、㈱阪急交通社、㈱阪急阪神エクスプレス、㈱阪急阪神ホテルズとも連携を強化し、グループ総合力の発揮に努めました。
この結果、営業収益は、書店事業を外部化した影響等により3,754億41百万円となり、前連結会計年度に比べ91億84百万円(△2.4%)減少しました。一方で、「梅田阪急ビル」において阪急百貨店うめだ本店が通期稼働したこと等により、営業利益は649億6百万円となり、前連結会計年度に比べ9億39百万円(1.5%)増加し、経常利益は514億26百万円となり、前連結会計年度に比べ23億39百万円(4.8%)増加しました。また、当期純利益は313億93百万円となり、前連結会計年度に比べ40億82百万円(14.9%)増加しました。
なお、セグメント別の経営成績の分析については、「① 業績の概要」に記載のとおりです。
(2) 財政状態の分析
(ⅰ) 自己資本
当連結会計年度末の自己資本は2,491億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ178億76百万円増加しました。これは、当期純利益を計上したこと等により、利益剰余金が増加したこと等によるものです。
(ⅱ) 資金調達の状況
当連結会計年度末の連結有利子負債残高は、7,548億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ651億20百万円減少しました。これは営業活動によるキャッシュ・フロー等で圧縮したこと等によるものです。
(注)連結キャッシュ・フロー計算書の記載を省略しているため、キャッシュ・フローの状況の分析についても記載を省略しています。