有価証券報告書-第58期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準を適用した後の数値となっています。詳細については、「第5経理の状況 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、一昨年より続く新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、世界中の人の往来を止め、経済市場に大きなダメージを与え続けております。日本国内でも同様に人流の抑制政策が主となり、厳しい経済環境が続いたまま2年間が経過しました。
観光業界におきましても、感染の世界的な拡大により海外インバウンドが消滅し、国内でも観光需要が大きく減少する状況となり、秋の感染減少時に一時的な回復の盛り上がりを見せたものの、旅行需要喚起策である全国的なGoToトラベルの実施もなく、おしなべて深刻な事態が続きました。
そうした中、当期の立山黒部アルペンルートは、富山側の立山~弥陀ヶ原間部分開通は行わず、4月15日に立山~信濃大町間の全線において営業を再開いたしました。当期も「立山黒部アルペンルート安全・安心ガイドライン」に基づき、新型コロナウイルス感染拡大防止に努めながら、11月30日まで営業いたしました。
その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ17,446千円増加し、11,090,099千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ837,810千円増加し、9,879,303千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ820,363千円減少し、1,210,795千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、営業収益が2,020,359千円と前連結会計年度に比べ760,416千円の増収、営業損失が1,469,074千円、経常損失が1,305,405千円、親会社株主に帰属する当期純損失は737,251千円となりました。セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(運輸事業)
営業の推移を概観いたしますと、全線開業50周年の節目であり、広く立山黒部の魅力を広く知っていただく好機でしたが、大都市圏を中心とした断続的な緊急事態宣言の発令により、国外はもとより県外からの誘致も難しく、地元・近隣からの誘致に頼らざるを得ない状況となりました。10月以降は感染減少により全国的に旅行が活発化しましたが、大都市圏からの旅行需要が大きく回復することはありませんでした。
この結果、当期の入り込み人員は、合計304千人(対前年132%、74千人増)となり、また、入り込み方面別では、富山入り込みが152千人(対前年147%)、大町入り込みが152千人(対前年121%)となりました。
国内旅客においては、富山県からご支援いただいた50周年記念の富山県民近隣県民向けキャンペーン自社商品を販売し、個人旅客(マイクロツーリズム)の誘致に努めました。また、本年度より運用開始した新運輸システム(名称:ARIS[アリス]21)により、予約WEBきっぷの拡充、混雑状況の事前周知、自動発券機による迅速な引き換え、待ち時間の解消等、立山来訪の安心感や快適さの向上を図り、お客様より好評を得ました。
団体旅客につきましては、10月まで全国的な感染拡大が続き、旅行会社のツアー中止やキャンセルが相次ぐこととなり、実績が伸び悩む中、学生旅行においては遠方から近隣への行程振り替えによる来訪増加となり、国内旅客全体の入り込み人員は303千人(対前年132%、74千人増)となりました。
一方、海外旅客においては、昨年同様に観光渡航の制限により、訪日観光客は発生しませんでしたが、在留外国人の個人利用が春の期間に多く見受けられました。(入り込み人員が1千人、対前年100%、増減なし)この結果、営業収益は1,267,476千円(前連結会計年度比59.6%増)、営業損失は1,228,907千円(前連結会計年度は1,998,985千円の営業損失)となりました。
(提出会社の運輸成績表)
鋼索鉄道事業(黒部ケーブルカー)
| 項目 | 単位 | 当連結会計年度 (R3.4.1~R4.3.31) | 対前年増減率(%) |
| 営業粁 | 粁 | 0.8 | 0.0 |
| 営業日数 | 日 | 230 | 36.9 |
| 客車走行粁 | 粁 | 11,680 | 35.2 |
| 旅客輸送人員 | 人 | 211,345 | 29.4 |
| 旅客運輸収入 | 千円 | 138,083 | 59.2 |
| 運輸雑収 | 千円 | 669 | 300.7 |
| 収入合計 | 千円 | 138,753 | 59.6 |
| 1日営業1粁あたり運輸収入 | 千円 | 754 | 16.6 |
| 1日平均客車走行粁 | 粁 | 51 | 0.0 |
| 1日平均旅客輸送人員 | 人 | 919 | △5.5 |
| 1日平均運輸収入 | 千円 | 603 | 16.6 |
| 乗車効率 | % | 11 | △4.2 |
| (注) | 1. | R3.4.1~R3.4.14・R3.12.1~R4.3.31 積雪のため営業休止 | ||
| 2. | 乗車効率の算出方法 | (営業粁×旅客輸送人員) | ×100 | |
| (客車走行粁×平均定員) | ||||
鋼索鉄道事業(立山ケーブルカー)
| 項目 | 単位 | 当連結会計年度 (R3.4.1~R4.3.31) | 対前年増減率(%) |
| 営業粁 | 粁 | 1.3 | 0.0 |
| 営業日数 | 日 | 230 | 32.9 |
| 客車走行粁 | 粁 | 21,330 | 32.5 |
| 旅客輸送人員 | 人 | 254,944 | 41.1 |
| 旅客運輸収入 | 千円 | 197,534 | 72.6 |
| 運輸雑収 | 千円 | 1,105 | 379.1 |
| 収入合計 | 千円 | 198,639 | 73.3 |
| 1日営業1粁あたり運輸収入 | 千円 | 664 | 30.3 |
| 1日平均客車走行粁 | 粁 | 93 | 0.0 |
| 1日平均旅客輸送人員 | 人 | 1,108 | 6.1 |
| 1日平均運輸収入 | 千円 | 863 | 30.3 |
| 乗車効率 | % | 13 | 6.5 |
| (注) | 1. | R3.4.1~R3.4.14・R3.12.1~R4.3.31 積雪のため営業休止 | ||
| 2. | 乗車効率の算出方法 | (営業粁×旅客輸送人員) | ×100 | |
| (客車走行粁×平均定員) | ||||
普通索道事業
| 項目 | 単位 | 当連結会計年度 (R3.4.1~R4.3.31) | 対前年増減率(%) |
| 営業粁 | 粁 | 1.7 | 0.0 |
| 営業日数 | 日 | 230 | 36.9 |
| 客車走行粁 | 粁 | 27,758 | 24.2 |
| 旅客輸送人員 | 人 | 209,197 | 31.9 |
| 旅客運輸収入 | 千円 | 171,361 | 36.4 |
| 運輸雑収 | 千円 | 935 | 203.8 |
| 収入合計 | 千円 | 172,296 | 36.8 |
| 1日営業1粁あたり運輸収入 | 千円 | 440 | 0.0 |
| 1日平均客車走行粁 | 粁 | 121 | △9.3 |
| 1日平均旅客輸送人員 | 人 | 910 | △3.6 |
| 1日平均運輸収入 | 千円 | 749 | 0.0 |
| 乗車効率 | % | 16 | 6.3 |
| (注) | 1. | R3.4.1~R3.4.14・R3.12.1~R4.3.31 積雪のため営業休止 | ||
| 2. | 乗車効率の算出方法 | (営業粁×旅客輸送人員) | ×100 | |
| (客車走行粁×平均定員) | ||||
無軌条電車事業
| 項目 | 単位 | 当連結会計年度 (R3.4.1~R4.3.31) | 対前年増減率(%) |
| 営業粁 | 粁 | 3.7 | 0.0 |
| 営業日数 | 日 | 230 | 36.9 |
| 客車走行粁 | 粁 | 51,548 | 16.0 |
| 旅客輸送人員 | 人 | 227,317 | 53.7 |
| 旅客運輸収入 | 千円 | 302,050 | 54.6 |
| 運輸雑収 | 千円 | 1,383 | 189.5 |
| 収入合計 | 千円 | 303,434 | 54.9 |
| 1日営業1粁あたり運輸収入 | 千円 | 356 | 13.1 |
| 1日平均客車走行粁 | 粁 | 224 | △15.3 |
| 1日平均旅客輸送人員 | 人 | 988 | 12.3 |
| 1日平均運輸収入 | 千円 | 1,319 | 13.1 |
| 乗車効率 | % | 23 | 32.5 |
| (注) | 1. | R3.4.1~R3.4.14・R3.12.1~R4.3.31 積雪のため営業休止 | ||
| 2. | 乗車効率の算出方法 | (営業粁×旅客輸送人員) | ×100 | |
| (客車走行粁×平均定員) | ||||
自動車事業
| 項目 | 単位 | 当連結会計年度 (R3.4.1~R4.3.31) | 対前年増減率(%) |
| 営業粁 | 粁 | 85.6 | 0.0 |
| 営業日数 | 日 | 323 | 21.4 |
| 延人粁 | 人粁 | 5,924,666 | 41.7 |
| 車両走行粁 | 粁 | 339,862 | 11.4 |
| 旅客輸送人員 | 人 | 266,544 | 41.2 |
| 旅客運送収入 | 千円 | 452,184 | 67.3 |
| 運輸雑収 | 千円 | 1,493 | 390.3 |
| 収入合計 | 千円 | 453,678 | 67.6 |
| 1日営業1粁あたり運送収入 | 千円 | 16 | 38.0 |
| 1日平均車両走行粁 | 粁 | 1,052 | △8.3 |
| 1日平均旅客輸送人員 | 人 | 825 | 16.2 |
| 1日平均運送収入 | 千円 | 1,404 | 38.0 |
| 乗車効率 | % | 32 | 27.2 |
| (注) | 1. | 弥陀ヶ原線 R3.4.1~R3.4.14・R3.12.1~R4.3.31 積雪のため営業休止 極楽坂線 R3.4.1~R3.12.10・R4.3.14~R4.3.31 営業休止 称名滝線 R3.4.1~R3.4.27・R3.11.11~R4.3.31 営業休止 | ||
| 2. | 乗車効率の算出方法 | 延人粁 | ×100 | |
| 車両走行粁×1両平均定員 | ||||
(業種別営業成績)
| 業種別 | 当連結会計年度 (R3.4.1~R4.3.31) | |
| 営業収益(千円) | 対前期増減率(%) | |
| 鋼索鉄道事業(黒部ケーブルカー) | 138,753 | 59.6 |
| 鋼索鉄道事業(立山ケーブルカー) | 198,639 | 73.3 |
| 普通索道事業 | 172,296 | 36.8 |
| 無軌条電車事業 | 303,434 | 54.9 |
| 自動車事業 | 453,678 | 67.6 |
| 貨物自動車事業 | 672 | 11286.3 |
| 合計 | 1,267,476 | 59.6 |
(ホテル事業)
立山黒部アルペンルートの営業再開に合わせ、4月15日にホテル立山が営業を再開しましたが、弥陀ヶ原ホテル並びに駅構内売店2店舗は当期も営業を休止することといたしました。その結果、当連結会計年度では営業収益は756,778千円(前年同期比69.2%増)、営業損失は285,179千円(前年同期は営業損失1,093,875千円)となりました。
(業種別営業成績)
| 業種別 | 当連結会計年度 (R3.4.1~R4.3.31) | |
| 営業収益(千円) | 対前期増減率(%) | |
| ホテル立山 | 746,269 | 72.3 |
| 駅構内売店等 | 10,508 | △21.5 |
| 合計 | 756,778 | 69.2 |
(その他事業)
営業収益は54,429千円(前連結会計年度比59.5%減)、営業利益は19,739千円(同43.3%増)となりました。
(業種別営業成績)
| 業種別 | 当連結会計年度 (R3.4.1~R4.3.31) | |
| 営業収益(千円) | 対前期増減率(%) | |
| 建物等賃貸 | 43,652 | 51.8 |
| 業務受託 | 16,694 | △78.0 |
| 消去 | 5,917 | △1.4 |
| 合計 | 54,429 | △59.5 |
②生産、受注及び販売の実績
当社グループは、生産及び受注は行っておりません。
販売の状況については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントごとに営業成績に関連付けて示しております。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ811,771千円増加し、当連結会計年度末には3,797,299千円(前連結会計年度比27.2%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、233,860千円(前連結会計年度は1,998,492千円の獲得)であります。これは、主に税金等調整前当期純損失を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、232,051千円(前連結会計年度は317,632千円の使用)であります。これは主に、有形及び無形固定資産を取得したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,277,682千円(前連結会計年度比61.2%減)であります。これは主に、長期借入金の純増額1,383,584千円(前連結会計年度比59.2%減)によるものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、立山黒部アルペンルートへの入り込み客数が304千人(対前年比32%増)と前年を上回り、営業収益は2,020,359千円(前連結会計年度比60.4%増)となりました。人件費および業務委託費等の物件経費も減少したことで、運送営業費及び売上原価2,231,399千円(同7.9%減)、販売費及び一般管理費1,258,034千円(同33.9%減)となり、営業損失は1,469,074千円(前連結会計年度は3,065,584千円の営業損失)となりました。これに、営業外収益317,573千円(同17.0%増)と営業外費用153,903千円(同140.9%増)を加減した経常損失は1,305,405千円(前連結会計年度は2,858,026千円の経常損失)となりました。さらに特別利益570,090千円、特別損失35,418千円を加減した税金等調整前当期純損失は770,733千円(同3,194,432千円の税金等調整前当期純損失)となり、法人税等合計3,732千円を計上した結果、非支配株主に帰属する当期純損失37,214千円を差し引いた親会社株主に帰属する当期純損失は737,251千円(同3,624,058千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
2)財政状態
資産については、現金及び預金が807,385千円増加した一方、未収消費税等や棚卸資産の減少、減価償却等による固定資産の減少により、総資産は11,090,099千円となり、前年同期に比べ17,446千円増加しました。
負債については、長期借入金が増加した一方、未払金の減少により、負債総額は9,879,303千円となり、前年同期に比べ837,810千円増加しました。
また、親会社株主に帰属する当期純損失737,251千円などにより、純資産は1,210,795千円となり、前年同期に比べ820,363千円減少しました。
②キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1)キャッシュ・フローの分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載してあります。
2)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは立山有料道路の除雪費・通行料、運輸・ホテル施設の修繕費、売店の商品仕入費・ホテル・レストランの飲食材料品の仕入費などがあります。また設備資金需要としては運輸、ホテル設備の有形固定資産投資、運輸システムなどの無形固定資産投資などがあります。
b.財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により、資金調達を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載してあります。