有価証券報告書-第57期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、非常に困難な状況に直面いたしました。経済状態は、徐々に持ち直しの動きがみられるものの、感染拡大防止のために人為的な抑制を余儀なくされ、これまでにない急激かつ大幅な景気後退を伴う厳しい状況となりました。
観光業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴い、感染予防のため、インバウンドが消失し、国内でも不要不急の外出・移動の自粛やイベント開催の制限等により、観光需要は大きく減少し、深刻な事態に陥りました。
このような中、当期の立山黒部アルペンルートは、春の「雪の大谷ウォークイベント」を中止した上で、前年同様4月10日には富山側の立山~弥陀ヶ原間が部分開通し、4月15日には立山~信濃大町間が全線開通いたしました。しかしながら4月16日には政府による全国を対象とする緊急事態宣言が発令されたことを受けて4月18日から6月18日までの2か月間、立山駅~扇沢間の営業を休止するという、未曽有の事態となりました。人の移動・往来が段階的に緩和されました6月19日から営業を再開するにあたり、関係機関と協議の上、「立山黒部アルペンルート安全・安心ガイドライン」を策定し、各乗り物の運行につきましては、乗車人員を定員よりも減員するとともに減便して営業時間を短縮するなど、新型コロナウイルス感染拡大防止に努めながら、11月30日まで営業いたしました。その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ169,055千円減少し、11,072,652千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,711,521千円増加し、9,041,493千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,880,576千円減少し、2,031,158千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、営業収益が1,259,942千円と前連結会計年度に比べ5,346,206千円の減収、営業損失が3,065,584千円、経常損失が2,858,026千円、親会社株主に帰属する当期純損失は3,624,058千円となりました。セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(運輸事業)
営業再開以降の推移を概観いたしますと、富山県からご支援いただき実施いたしました富山県民キャンペーンやGoToトラベルキャンペーンの効果もあり、富山県や近隣県からの個人旅客において徐々に回復傾向があらわれました。10月1日からは東京都に居住する方の旅行を対象としてGoToトラベルキャンペーンが拡充され、団体客も戻り始めましたが、春の2か月間に及ぶ休業が大きく影響し、入込客数を大きく落とすこととなりました。
この結果、当期の入り込み人員は、合計230千人(対前年26%、653千人減)となり、また、入り込み方面別では、富山入り込みが104千人(対前年24%)、大町入り込みが126千人(対前年28%)となりました。
旅客の内訳では、国内旅客については、7月の4連休以降、徐々に個人旅客が回復傾向となり、国内旅客全体の入り込み人員が229千人(対前年36%、414千人減)となりました。
一方、訪日旅客においては、感染症の世界的流行により、多くの国において、政府による入国制限や海外渡航禁止等の措置が講じられたこと等により、全世界的に旅行者の往来が大幅に減少しました。(入込数1千人、対前年0.3%、239千人減)この結果、営業収益は794,038千円(前連結会計年度比78.0%減)、営業損失は1,998,985千円(前連結会計年度は73,477千円の営業利益)となりました。
(提出会社の運輸成績表)
鋼索鉄道事業(黒部ケーブルカー)
| 項目 | 単位 | 当連結会計年度 (R2.4.1~R3.3.31) | 対前年増減率(%) |
| 営業粁 | 粁 | 0.8 | 0.0 |
| 営業日数 | 日 | 168 | △27.0 |
| 客車走行粁 | 粁 | 8,640 | △44.3 |
| 旅客輸送人員 | 人 | 163,273 | △76.3 |
| 旅客運輸収入 | 千円 | 86,760 | △80.0 |
| 運輸雑収 | 千円 | 167 | △83.9 |
| 収入合計 | 千円 | 86,928 | △80.0 |
| 1日営業1粁あたり運輸収入 | 千円 | 646 | △72.7 |
| 1日平均客車走行粁 | 粁 | 51 | △23.9 |
| 1日平均旅客輸送人員 | 人 | 972 | △67.6 |
| 1日平均運輸収入 | 千円 | 517 | △72.7 |
| 乗車効率 | % | 12 | △57.5 |
| (注) | 1. | R2.4.1~R2.4.14・R2.12.1~R3.3.31 積雪のため営業休止 R2.4.18~R2.6.18 新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業休止 | ||
| 2. | 乗車効率の算出方法 | (営業粁×旅客輸送人員) | ×100 | |
| (客車走行粁×平均定員) | ||||
鋼索鉄道事業(立山ケーブルカー)
| 項目 | 単位 | 当連結会計年度 (R2.4.1~R3.3.31) | 対前年増減率(%) |
| 営業粁 | 粁 | 1.3 | 0.0 |
| 営業日数 | 日 | 173 | △26.4 |
| 客車走行粁 | 粁 | 16,097 | △42.5 |
| 旅客輸送人員 | 人 | 180,633 | △75.3 |
| 旅客運輸収入 | 千円 | 114,423 | △72.4 |
| 運輸雑収 | 千円 | 230 | △93.2 |
| 収入合計 | 千円 | 114,654 | △72.6 |
| 1日営業1粁あたり運輸収入 | 千円 | 509 | △62.7 |
| 1日平均客車走行粁 | 粁 | 93 | △21.8 |
| 1日平均旅客輸送人員 | 人 | 1,044 | △66.5 |
| 1日平均運輸収入 | 千円 | 662 | △62.7 |
| 乗車効率 | % | 12 | △57.1 |
| (注) | 1. | R2.4.1~R2.4.9・R2.12.1~R3.3.31 積雪のため営業休止 R2.4.18~R2.6.18 新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業休止 | ||
| 2. | 乗車効率の算出方法 | (営業粁×旅客輸送人員) | ×100 | |
| (客車走行粁×平均定員) | ||||
普通索道事業
| 項目 | 単位 | 当連結会計年度 (R2.4.1~R3.3.31) | 対前年増減率(%) |
| 営業粁 | 粁 | 1.7 | 0.0 |
| 営業日数 | 日 | 168 | △27.0 |
| 客車走行粁 | 粁 | 22,355 | △45.4 |
| 旅客輸送人員 | 人 | 158,550 | △76.7 |
| 旅客運輸収入 | 千円 | 125,604 | △80.5 |
| 運輸雑収 | 千円 | 307 | △79.6 |
| 収入合計 | 千円 | 125,912 | △80.5 |
| 1日営業1粁あたり運輸収入 | 千円 | 440 | △73.4 |
| 1日平均客車走行粁 | 粁 | 133 | △25.2 |
| 1日平均旅客輸送人員 | 人 | 944 | △68.1 |
| 1日平均運輸収入 | 千円 | 749 | △73.4 |
| 乗車効率 | % | 15 | △57.4 |
| (注) | 1. | R2.4.1~R2.4.14・R2.12.1~R3.3.31 積雪のため営業休止 R2.4.18~R2.6.18 新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業休止 | ||
| 2. | 乗車効率の算出方法 | (営業粁×旅客輸送人員) | ×100 | |
| (客車走行粁×平均定員) | ||||
無軌条電車事業
| 項目 | 単位 | 当連結会計年度 (R2.4.1~R3.3.31) | 対前年増減率(%) |
| 営業粁 | 粁 | 3.7 | 0.0 |
| 営業日数 | 日 | 168 | △27.0 |
| 客車走行粁 | 粁 | 44,437 | △51.5 |
| 旅客輸送人員 | 人 | 147,882 | △77.8 |
| 旅客運輸収入 | 千円 | 195,417 | △81.4 |
| 運輸雑収 | 千円 | 478 | △82.3 |
| 収入合計 | 千円 | 195,895 | △81.4 |
| 1日営業1粁あたり運輸収入 | 千円 | 315 | △74.5 |
| 1日平均客車走行粁 | 粁 | 265 | △33.6 |
| 1日平均旅客輸送人員 | 人 | 880 | △69.6 |
| 1日平均運輸収入 | 千円 | 1,166 | △74.5 |
| 乗車効率 | % | 17 | △54.1 |
| (注) | 1. | R2.4.1~R2.4.14・R2.12.1~R3.3.31 積雪のため営業休止 R2.4.18~R2.6.18 新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業休止 | ||
| 2. | 乗車効率の算出方法 | (営業粁×旅客輸送人員) | ×100 | |
| (客車走行粁×平均定員) | ||||
自動車事業
| 項目 | 単位 | 当連結会計年度 (R2.4.1~R3.3.31) | 対前年増減率(%) |
| 営業粁 | 粁 | 85.6 | 0.0 |
| 営業日数 | 日 | 266 | △18.9 |
| 延人粁 | 人粁 | 4,181,586 | △75.6 |
| 車両走行粁 | 粁 | 305,034 | △54.6 |
| 旅客輸送人員 | 人 | 188,799 | △75.3 |
| 旅客運送収入 | 千円 | 270,337 | △73.0 |
| 運輸雑収 | 千円 | 304 | △84.1 |
| 収入合計 | 千円 | 270,642 | △73.0 |
| 1日営業1粁あたり運送収入 | 千円 | 11 | △66.7 |
| 1日平均車両走行粁 | 粁 | 1,147 | △44.0 |
| 1日平均旅客輸送人員 | 人 | 710 | △69.5 |
| 1日平均運送収入 | 千円 | 1,017 | △66.7 |
| 乗車効率 | % | 25 | △46.3 |
| (注) | 1. | 弥陀ヶ原線 R2.4.1~R2.4.9・R2.12.1~R3.3.31 積雪のため営業休止 R2.4.18~R2.6.18 新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業休止 極楽坂線 R2.4.1~R2.12.13・R3.3.15~R3.3.31 営業休止 称名滝線 R2.4.1~R2.6.30・R2.11.11~R3.3.31 営業休止 | ||
| 2. | 乗車効率の算出方法 | 延人粁 | ×100 | |
| 車両走行粁×1両平均定員 | ||||
(業種別営業成績)
| 業種別 | 当連結会計年度 (R2.4.1~R3.3.31) | |
| 営業収益(千円) | 対前期増減率(%) | |
| 鋼索鉄道事業(黒部ケーブルカー) | 86,928 | △80.0 |
| 鋼索鉄道事業(立山ケーブルカー) | 114,654 | △72.6 |
| 普通索道事業 | 125,912 | △80.5 |
| 無軌条電車事業 | 195,895 | △81.4 |
| 自動車事業 | 270,642 | △73.0 |
| 貨物自動車事業 | 5 | △100.0 |
| 合計 | 794,038 | △78.0 |
(ホテル事業)
立山黒部アルペンルートの営業再開に合わせ、4月10日に弥陀ヶ原ホテルが、そして4月15日にホテル立山が営業を再開しましたが、ホテル立山については4月18日から6月30日まで休業、営業再開後も宿泊数の制限や一部施設を休止するなど規模を縮小しての営業となりました。また、弥陀ヶ原ホテル、宇奈月国際ホテル、一部の駅構内売店等は今年度の営業を休止いたしました。(宇奈月国際ホテルは3月末日をもって閉館)
その結果、ホテル立山の宿泊人員は7,220人(対前年23%)となり、宿泊収入は対前年23%、飲食・物品販売収入は対前年25%となりました。
ホテル事業全体では、営業収益は447,399千円(前連結会計年度比85.0%減)、営業損失は1,093,875千円(前連結会計年度は394,402千円の営業損失)となりました。
(業種別営業成績)
| 業種別 | 当連結会計年度 (R2.4.1~R3.3.31) | |
| 営業収益(千円) | 対前期増減率(%) | |
| 宇奈月国際ホテル | 373 | △99.9 |
| ホテル立山 | 433,124 | △75.4 |
| 弥陀ヶ原ホテル | 508 | △99.9 |
| 駅構内売店等 | 13,393 | △97.5 |
| 合計 | 447,399 | △85.0 |
(その他事業)
営業収益は134,497千円(前連結会計年度比38.7%減)、営業利益は13,776千円(同41.5%減)となりました。
(業種別営業成績)
| 業種別 | 当連結会計年度 (R2.4.1~R3.3.31) | |
| 営業収益(千円) | 対前期増減率(%) | |
| 商品販売 | 36,019 | △70.3 |
| 建物等賃貸 | 28,759 | 1.4 |
| 業務受託 | 75,722 | 1.4 |
| 消去 | 6,003 | 23.7 |
| 合計 | 134,497 | △38.7 |
②生産、受注及び販売の実績
当社グループは、生産及び受注は行っておりません。
販売の状況については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントごとに営業成績に関連付けて示しております。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ973,374千円増加し、当連結会計年度末には2,985,528千円(前連結会計年度比48.4%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、1,998,492千円(前連結会計年度は538,775千円の獲得)であります。これは、主に税金等調整前当期純損失を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、317,632千円(前連結会計年度は612,151千円の使用)であります。これは主に、有形固定資産及び無形固定資産の取得したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、3,289,498千円(前連結会計年度比2,411.9%増)であります。これは主に、長期借入金の純増額3,392,605千円(前連結会計年度比3,043.3%増)によるものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、立山黒部アルペンルートへの入り込み客数が230千人(対前年比74%減)と前年を下回り、営業収益は1,259,942千円(前連結会計年度比80.9%減)となりました。人件費および広告宣伝費、賃借料等の物件経費も減少したことで、運送営業費及び売上原価2,421,882千円(同40.3%減)、販売費及び一般管理費1,903,644千円(同32.7%減)となり、営業損失は3,065,584千円(前連結会計年度は282,009千円の営業損失)となりました。これに、営業外収益271,456千円(同413.6%増)と営業外費用63,897千円(同73.7%増)を加減した経常損失は2,858,026千円(前連結会計年度は265,944千円の経常損失)となりました。さらに特別利益16,521千円、特別損失352,928千円を加減した税金等調整前当期純損失は3,194,432千円(同1,534,335千円の税金等調整前当期純損失)となり、法人税等合計693,102千円を計上した結果、非支配株主に帰属する当期純損失263,475千円を差し引いた親会社株主に帰属する当期純損失は3,624,058千円(同1,356,697千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
2)財政状態
資産については、現金及び預金が972,760千円増加した一方、宇奈月国際ホテルの売却や繰延税金資産の取り崩しにより固定資産が減少し、総資産は11,072,652千円となり、前年同期に比べ169,055千円減少しました。
負債については、長期借入金が増加したことなどにより、負債総額は9,041,493千円となり、前年同期に比べ3,711,521千円増加しました。
また、親会社株主に帰属する当期純損失3,624,058千円などにより、純資産は2,031,158千円となり、前年同期に比べ3,880,576千円減少しました。
②キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1)キャッシュ・フローの分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載してあります。
2)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは立山有料道路の除雪費・通行料、運輸・ホテル施設の修繕費、駅売店の商品・ホテルの食材の仕入費などがあります。また設備資金需要としては運輸、ホテル設備の有形固定資産投資、運輸システムなどの無形固定資産投資などがあります。
b.財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により、資金調達を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載してあります。