有価証券報告書-第145期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 14:54
【資料】
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【項目】
149項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、企業理念を「物流という万人が必要とする社会インフラを、時代をこえて真摯に下支えするとともに、お客様と社会が求める新たなサービスの創造に努めます。」としております。この企業理念が表す精神は、1899年の創業から、倉庫業を核に港湾運送、国際輸送、陸上運送等を含む総合的な物流事業、海運事業及びオフィスビル賃貸業を中心とする不動産事業等へ業容を拡大した現在に至るまで、一世紀以上に渡り、一貫して受け継がれてきております。今後も当社グループは、この企業理念のもと、社会に貢献しつつ、持続的な成長を目指してまいります。
(2) 当社の事業環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社グループを取り巻く環境に目を転じますと、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大やウクライナ危機が国内外の社会経済情勢に与える影響をはじめとして、今後の先行きは極めて不透明である一方で、人手不足を背景としたコストの上昇、デジタルトランスフォーメーションへの取組み拡大及びESGに対する意識の高まり等、近年の様々な変化は継続すると考えます。
こうした状況を踏まえ、将来の事業環境がどのように変化しようとも、持続的な成長を実現しながら、事業を通じて社会に貢献するため、長期ビジョン“Moving Forward to 2030”のもと、グローバル化の進展に伴い増大する各種リスクにも適切に対処し、社会に不可欠な物流サービスを幅広いステークホルダーの皆様に対して安定的に提供すべく、SDGsのターゲットイヤーでもある2030年までに当社グループが果たすべき4つのミッションを以下のように定めています。
① モノをつなぐ
物流の結節点である倉庫と港湾を主軸に更に信頼性の高い物流サービスを提供します。また、物流業以外の業種との連携を深め、デジタル技術等を積極的に導入・活用することにより、各種の変化に迅速に対応しながら、物流における新たな価値を創造します。
② 世界をつなぐ
日本、アジア、欧州、米州の四極を中心に国際物流ネットワークの更なる拡充を図り、お客様の強固で安定的なグローバル・サプライチェーン構築を支えます。
③ ヒトをつなぐ
貴重な経営資源である人材の育成を更に強化するとともに、少子高齢化等の社会の変化に対応し、柔軟で多様な働き方を導入し、ヒトを惹きつける会社であり続けます。
④ 時代をつなぐ
120年を超える伝統をもつ企業グループとして、先人から受け継いだ有形無形の資産を後の世代に継承しつつ、お客様と社会の発展に貢献していきます。
長期ビジョンと同時に定めた2020年度から2022年度までの3か年の中期経営計画では、対象となる期間を長期ビジョンの実現に向けた「事業基盤の強靭化」の期間と位置づけ、事業戦略に基づく諸施策に取り組んでまいります。また、充実した株主還元を継続してまいります。
本中期経営計画では、最終年度(2022年度)の連結業績目標を営業収益2,100億円、営業利益120億円としておりますが、2021年度の営業収益は2,314億61百万円、営業利益は277億48百万円と、目標を1年前倒しで達成し、2022年度もこの目標を上回る、営業収益2,110億円、営業利益252億円と予想しております。
(3) 対処すべき課題
今後の日本経済では、新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、経済社会活動を正常化し、景気を回復させていくことが期待されます。一方で、資源高や急速な円安進行の影響がこれに影を落とすことが懸念されます。世界経済は、ウクライナ危機の長期化により各国の経済制裁が景気にマイナス影響を及ぼすことが危惧されております。
物流業界におきましては、引き続き国際貨物の荷動きが堅調に推移することが期待される一方で、不安定な経済情勢や新型コロナウイルス感染症の感染動向次第では荷動きが停滞するおそれがあります。不動産賃貸業界におきましては、オフィスビル需要は、国内の経済環境やテレワークの活用状況により影響を受けますが、都心部の空室率は上昇ペースが徐々に鈍化するものと予想されます。
このような情勢のなか、中期経営計画の最終年度である2022年度は、事業基盤の強靭化を一層推進するため、各事業の収益力強化に取り組むとともに、引き続き充実した株主還元に努めてまいります。
[国内物流]
① 顧客の物流需要に柔軟に対応するため、倉庫施設の高機能化を推進するなど、高品質な物流サービスの提供に努める。
② 倉庫における自動化・システム化機器の導入促進により、庫内作業の効率化・省力化に取り組む。
③ 海運各社の動向を注視し、港湾運送業務の維持・拡大に努める。
[海外物流]
① 東南アジアを中心に倉庫の新設を推進し、国際物流ネットワークをより一層拡充させる。
② グローバル物流の顧客サービス向上を図るため、営業拠点の新設を推進する。
[不動産]
① 大阪市・南堀江土地の再開発に向けた取組みを進めるとともに、新たな収益物件を獲得するなど、不動産事業の基盤拡充を図る。
② 既存物件においては設備更新を計画的に行うとともに、環境負荷低減等による資産価値の向上に努める。
[サステナビリティへの貢献]
① 顧客が推進する二酸化炭素排出量の削減に向けた取組みに対して、輸送ルート見直しの提案などを通じ、物流事業者として積極的に貢献していく。
② 自社施設等における環境負荷低減のための取組みを更に推進する。