有価証券報告書-第179期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態および経営成績の状況
全般の概況
(単位:百万円)
経済環境
・当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果を背景に、緩やかに回復し、世界経済も主要国の利下げ転換に伴い景気は底堅く推移しました。一方で、地政学リスクの高まりや米国の通商政策の変化が、景気の下押し圧力となりました。エネルギー価格の高止まりや物価上昇、深刻化する労働力不足に伴うコスト上昇が継続しており、国内消費や企業収益への波及が懸念されています。さらには、国際情勢の不確実性に起因するサプライチェーンへの影響を注視する必要があるなど、先行きは依然として不透明な状況にあります。
業績の状況
・陸上運送業務が堅調な荷動きを背景として好調に推移したほか、国際輸送業務も底堅く推移したことから、営業収益は前期比11億2千万円(1.4%)増の797億4千万円となりました。一方で営業利益については、新設拠点の稼働率が第1四半期から第2四半期にかけて一時的に低迷し、その影響が通期利益を押し下げる要因となりました。期末にかけては着実な進展を見せ、足元では概ね正常な稼働水準へと回復しているものの、通期では本格稼働による収益寄与が途上段階に留まり、新設拠点の立ち上げに伴い、減価償却費や賃借料等の初期費用が先行いたしました。加えて、トラックドライバーの処遇改善や、地域別最低賃金の改定に伴う庫内作業員の労務単価上昇など、人件費全般の底上げが利益を圧迫したことから、営業利益は同5億7千万円(12.2%)減の40億9千7百万円、経常利益は同7億2千5百万円(13.0%)減の48億5千8百万円と、前期比増収減益となりました。
・親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の縮減に伴う投資有価証券売却益の計上により、前期比14億2千4百万円(29.0%)増の63億3千3百万円となりました。
セグメント別の概況
当社グループのセグメントの概況は、次のとおりであります。
(物流事業)
(単位:百万円)
事業環境
・国内経済は緩やかな回復基調を維持したものの、継続的な物価上昇が実質賃金の伸びを抑え、個人消費を下押しするなか、荷動き全体としては一進一退の推移となりました。
・物流業界においては、輸送能力の確保に向けた運賃是正の動きが浸透する一方、人件費やエネルギーコストの構造的な上昇が収益性の抑制要因となっています。また、ドライバーに加え、倉庫現場での深刻な労働力不足を受け、省力化投資や抜本的な処遇改善による人材確保が不可欠となっており、安定的な輸送・荷役体制の整備が喫緊の課題となっています。
・国際事業では、国内の内需に支えられた消費材や、生産拠点の国内回帰を背景とした生産材の輸入貨物が底堅く推移しました。一方、輸出貨物については、米国の通商政策に起因する先行輸送の反動や中国経済低迷の影響に加え、地政学リスクの長期化に伴うサプライチェーンの混乱や運賃市況の変動もあり、製造業関連を中心に荷動きが鈍化するなど、全体として力強さを欠く展開となりました。
業績の状況
・倉庫業務は、飲料や食品関連の荷動きが好調に推移したほか、新規受託した一般医療機器の取扱いが寄与したものの、一部顧客の内製化や拠点再編に伴う受託終了等の影響を受け、全体の取扱いは減少しました。また将来の収益基盤拡充に向けた新設拠点の稼働開始に伴い、減価償却費や賃借料等の初期費用が増加しました。新設拠点の稼働率は上期に一時的な停滞が見られたものの、期末にかけては着実な進展により概ね正常な水準まで回復しており、次年度以降の収益寄与に向けた体制整備が進んでおります。
・陸上運送業務は、飲料や食品関連の安定した荷動きに加え、堅調な需要が続く化粧品の取扱いが収益を下支えし、好調を維持しました。また、諸コストの上昇を反映した運賃水準の適正化を継続的に推進したことで、増収および収益性の確保に努めました。
・港湾運送業務は、船内荷役業務や個人消費の伸び悩みによる輸入家電製品の荷捌業務が低調に推移しました。
・国際輸送業務は、輸入家電製品の荷動きは低迷したものの、輸出入航空貨物の取扱いが伸長したことで、セグメント全体の取扱いは増加しました。
・労働力不足を背景としたオペレーションコストの上昇に加え、持続的な輸送ネットワークの維持・強化を目的として、協力会社への支払運賃の適正化を継続的に推進いたしました。これらの営業原価の上昇に加え、新設拠点に係る固定費の発生により、営業費用は増加しました。
・中期経営計画「澁澤倉庫グループ中期経営計画2026」の2年目にあたる本年は、持続的な成長軌道をより確固たるものにすべく、テクノロジー活用によるオペレーションの高度化や拠点ネットワークの拡充、物流の枠を超えた業域の拡大を積極的に進めてまいりました。これらの戦略が生み出す強みを活かし、収益機会の創出と新規案件の獲得に取り組み、計画達成に向けた基盤を一段と強化いたしました。
(不動産事業)
(単位:百万円)
事業環境
・オフィスビル賃貸市場は、出社回帰に伴う需要の回復を背景に空室率が改善傾向を辿り、賃料水準も底堅く推移いたしました。一方で、建設資材価格の上昇や、建設業界における労働力不足に起因する労務費の高騰により、建築コストは依然として高止まりしています。加えて、本格的な金利上昇局面への移行により、資産の新規取得や開発事業の推進にあたっては、多角的なリスク検証とより慎重な収益性判断が求められる状況となっています。
業績の状況
・ビル工事請負業務は、高水準で推移した前期の大型案件が完了し、新規案件の引き合いが落ち着きを見せたことから、全体の取扱いは減少しました。
・保有資産のバリューアップを通じた賃貸収益の強化を図るとともに、私募ファンドへの出資を通じた不動産証券化事業への参画など、資本効率を重視したポートフォリオの最適化と収益基盤の多角化を推進しました。
・物流事業とのシナジーを最大限に発揮すべく、施設リーシングと物流サービスを一体化させた高付加価値な複合提案(クロスセル)を推進し、物流不動産領域における収益機会の着実な拡大に努めました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローおよび投資活動によるキャッシュ・フローの増加があったものの、財務活動によるキャッシュ・フローの減少により、全体で6億2千万円の減少となり、現金及び現金同等物の期末残高は、79億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払いがあったものの、税金等調整前当期純利益および減価償却費の計上による資金留保等により、57億4千2百万円の増加(前年同期は63億5千万円の増加)となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ6億7百万円下回りましたのは、法人税等の支払額の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出等があったものの、投資有価証券の売却による収入等があったため、3億1千7百万円の増加(前年同期は60億1千3百万円の減少)となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ63億3千1百万円上回りましたのは、有形固定資産の取得による支出の減少および投資有価証券の売却及び償還による収入の増加等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出、自己株式の取得による支出および配当金の支払い等により、66億7千4百万円の減少(前年同期は14億1千万円の減少)となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ52億6千4百万円下回りましたのは、当連結会計年度は社債の発行による収入がなかったこと等によるものであります。
③ 生産、受注および販売の実績
(1) セグメントごとの主要業務の営業収益内訳
当連結会計年度の営業収益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)最近2連結会計年度の主な相手先の営業収益および当該営業収益の連結営業収益合計に対する割合は次のとおりであります。
(2) セグメントごとの主要業務の取扱高
1.物流事業
(イ) 倉庫業務
1) 所管倉庫明細
(注)1.保管面積は倉庫業法に基づく保管用面積(野積面積を除く)であります。
2.上表のほか、保管施設として上屋(港湾運送事業)16,743㎡があります。
2) 入出庫高および保管残高
3) 貨物回転率
(ロ) 港湾運送業務
(ハ) 陸上運送業務
2.不動産事業
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループの連結会計年度末の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ18億5千5百万円(1.6%)増加して1,193億1百万円となりました。このうち流動資産は9億8千9百万円(3.4%)減少し278億9千4百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金およびその他流動資産の残高が減少したこと等によるものであります。固定資産は28億5千5百万円(3.2%)増加し913億6千9百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ16億9千2百万円(2.9%)減少して557億9千2百万円となりました。この主な要因は、物流事業における新規設備投資および不動産事業における設備更新のための投資を実施したものの、減価償却費の計上が上回ったこと等によるものであります。また、投資その他の資産は45億円(15.1%)増加し343億3千万円となりましたが、この主な要因は、私募ファンドへの出資および株式相場の上昇により保有する投資有価証券の時価が増加したこと等によるものであります。
連結会計年度末の負債の残高は、前連結会計年度末に比べ12億5千8百万円(2.4%)減少して508億5千9百万円となりました。このうち流動負債は63億1千5百万円(38.9%)増加し225億5千1百万円となり、固定負債は75億7千4百万円(21.1%)減少し283億7百万円となりました。流動負債の増加と固定負債の減少の主な要因は、長期借入金(固定負債)から一年内返済長期借入金(流動負債)に振替えたこと等によるものであります。
連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ31億1千3百万円(4.8%)増加して684億4千1百万円となりました。この主な要因は、自己株式の取得および配当金の支払い等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が計上されたことやその他有価証券評価差額金が増加したこと等によるものであります。
上記の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の54.8%から57.3%となりました。また、当社は、2025年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。第178期期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額は1,118円10銭から1,200円89銭となりました。
なお、キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおり、物流業界では、継続的な物価上昇が個人消費を下押しするなか、国内貨物の荷動きは一進一退の推移となりました。輸出入貨物は生産材等の輸入が底堅い一方、輸出は地政学リスクや中国経済低迷に伴い、製造業の荷動きが鈍化するなど、総じて力強さを欠く展開となりました。また、不動産業界では、出社回帰に伴う需要の回復を背景に、オフィスビル賃貸市場の空室率が改善傾向を辿り、賃料水準も底堅く推移した一方、建築費高騰と金利上昇を受け、投資や開発にあたってはより慎重な収益性判断が求められる状況です。
こうした事業環境の下、当社グループは、3ヶ年の中期経営計画「澁澤倉庫グループ中期経営計画2026」で掲げた事業戦略に基づき、テクノロジー活用によるオペレーションの高度化や拠点ネットワークの拡充、物流を越えた業域の拡大を積極的に進め、収益機会の創出と新規案件の獲得に取り組み、計画達成に向けた基盤を一段と強化いたしました。また、不動産事業においては、保有資産のバリューアップを通じた賃貸収益の強化、および不動産証券化事業への参画による収益基盤の多角化、ならびに物流事業とのシナジーを活かした物流不動産領域における収益機会の拡大に努めました。
この結果、当連結会計年度の営業収益は、陸上運送業務および国際輸送業務が好調に推移したことから、前期比11億2千万円(1.4%)増の797億4千万円、営業利益は新設拠点の費用先行や人件費増等により、同5億7千万円(12.2%)減の40億9千7百万円となりました。新設拠点は足元では概ね正常な稼働水準へ回復しているものの、通期の収益寄与が途上となり利益を押し下げました。経常利益は前期比7億2千5百万円(13.0%)減の48億5千8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の売却益計上により、同14億2千4百万円(29.0%)増の63億3千3百万円となりました。なお、営業収益営業利益率は5.1%、総資産経常利益率は4.1%、自己資本当期純利益率は9.5%となっております。
また、事業セグメント別では、物流事業の営業収益は前期比12億8千2百万円(1.8%)増の739億6千8百万円、営業利益は前期比2億2千万円(5.7%)減の36億6千3百万円となりました。不動産事業の営業収益は前期比2億5千7百万円(4.0%)減の61億4千6百万円、営業利益は前期比2億1千6百万円(6.5%)減の31億3千4百万円となりました。
③ 資本の財源および資金の流動性
ⅰ) 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、物流事業に関わる倉庫荷役費、港湾荷捌費、陸上運送費および不動産事業に関わる不動産維持費、付帯費ならびに各事業についての販売費及び一般管理費があります。
また、設備資金需要としては、物流施設および機器、不動産施設への投資ならびにシステム開発等があります。
ⅱ) 財務政策
当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用および金融機関からの借入ならびに社債の発行により資金を調達しております。運転資金および設備資金につきましては、国内・海外子会社のものを含めて当社において一元管理しており、当社および国内連結子会社の一部にはキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しております。なお、運転資金の効率的な調達を行うため、金融機関と当座貸越契約を締結しております。
また、資金調達に際しては、将来の金利変動リスクを避けるために、一部金利スワップを利用しており、調達コストの低減に努めております。
④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
① 財政状態および経営成績の状況
全般の概況
(単位:百万円)
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | 前期比 | 増減率 | |
| 営業収益 | 78,620 | 79,740 | 1,120 | 1.4% |
| 営業利益 | 4,668 | 4,097 | △570 | △12.2% |
| 経常利益 | 5,583 | 4,858 | △725 | △13.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4,908 | 6,333 | 1,424 | 29.0% |
経済環境
・当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果を背景に、緩やかに回復し、世界経済も主要国の利下げ転換に伴い景気は底堅く推移しました。一方で、地政学リスクの高まりや米国の通商政策の変化が、景気の下押し圧力となりました。エネルギー価格の高止まりや物価上昇、深刻化する労働力不足に伴うコスト上昇が継続しており、国内消費や企業収益への波及が懸念されています。さらには、国際情勢の不確実性に起因するサプライチェーンへの影響を注視する必要があるなど、先行きは依然として不透明な状況にあります。
業績の状況
・陸上運送業務が堅調な荷動きを背景として好調に推移したほか、国際輸送業務も底堅く推移したことから、営業収益は前期比11億2千万円(1.4%)増の797億4千万円となりました。一方で営業利益については、新設拠点の稼働率が第1四半期から第2四半期にかけて一時的に低迷し、その影響が通期利益を押し下げる要因となりました。期末にかけては着実な進展を見せ、足元では概ね正常な稼働水準へと回復しているものの、通期では本格稼働による収益寄与が途上段階に留まり、新設拠点の立ち上げに伴い、減価償却費や賃借料等の初期費用が先行いたしました。加えて、トラックドライバーの処遇改善や、地域別最低賃金の改定に伴う庫内作業員の労務単価上昇など、人件費全般の底上げが利益を圧迫したことから、営業利益は同5億7千万円(12.2%)減の40億9千7百万円、経常利益は同7億2千5百万円(13.0%)減の48億5千8百万円と、前期比増収減益となりました。
・親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の縮減に伴う投資有価証券売却益の計上により、前期比14億2千4百万円(29.0%)増の63億3千3百万円となりました。
セグメント別の概況
当社グループのセグメントの概況は、次のとおりであります。
(物流事業)
(単位:百万円)
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | 前期比 | 増減率 | |
| 営業収益 | 72,685 | 73,968 | 1,282 | 1.8% |
| 営業利益 | 3,884 | 3,663 | △220 | △5.7% |
事業環境
・国内経済は緩やかな回復基調を維持したものの、継続的な物価上昇が実質賃金の伸びを抑え、個人消費を下押しするなか、荷動き全体としては一進一退の推移となりました。
・物流業界においては、輸送能力の確保に向けた運賃是正の動きが浸透する一方、人件費やエネルギーコストの構造的な上昇が収益性の抑制要因となっています。また、ドライバーに加え、倉庫現場での深刻な労働力不足を受け、省力化投資や抜本的な処遇改善による人材確保が不可欠となっており、安定的な輸送・荷役体制の整備が喫緊の課題となっています。
・国際事業では、国内の内需に支えられた消費材や、生産拠点の国内回帰を背景とした生産材の輸入貨物が底堅く推移しました。一方、輸出貨物については、米国の通商政策に起因する先行輸送の反動や中国経済低迷の影響に加え、地政学リスクの長期化に伴うサプライチェーンの混乱や運賃市況の変動もあり、製造業関連を中心に荷動きが鈍化するなど、全体として力強さを欠く展開となりました。
業績の状況
・倉庫業務は、飲料や食品関連の荷動きが好調に推移したほか、新規受託した一般医療機器の取扱いが寄与したものの、一部顧客の内製化や拠点再編に伴う受託終了等の影響を受け、全体の取扱いは減少しました。また将来の収益基盤拡充に向けた新設拠点の稼働開始に伴い、減価償却費や賃借料等の初期費用が増加しました。新設拠点の稼働率は上期に一時的な停滞が見られたものの、期末にかけては着実な進展により概ね正常な水準まで回復しており、次年度以降の収益寄与に向けた体制整備が進んでおります。
・陸上運送業務は、飲料や食品関連の安定した荷動きに加え、堅調な需要が続く化粧品の取扱いが収益を下支えし、好調を維持しました。また、諸コストの上昇を反映した運賃水準の適正化を継続的に推進したことで、増収および収益性の確保に努めました。
・港湾運送業務は、船内荷役業務や個人消費の伸び悩みによる輸入家電製品の荷捌業務が低調に推移しました。
・国際輸送業務は、輸入家電製品の荷動きは低迷したものの、輸出入航空貨物の取扱いが伸長したことで、セグメント全体の取扱いは増加しました。
・労働力不足を背景としたオペレーションコストの上昇に加え、持続的な輸送ネットワークの維持・強化を目的として、協力会社への支払運賃の適正化を継続的に推進いたしました。これらの営業原価の上昇に加え、新設拠点に係る固定費の発生により、営業費用は増加しました。
・中期経営計画「澁澤倉庫グループ中期経営計画2026」の2年目にあたる本年は、持続的な成長軌道をより確固たるものにすべく、テクノロジー活用によるオペレーションの高度化や拠点ネットワークの拡充、物流の枠を超えた業域の拡大を積極的に進めてまいりました。これらの戦略が生み出す強みを活かし、収益機会の創出と新規案件の獲得に取り組み、計画達成に向けた基盤を一段と強化いたしました。
(不動産事業)
(単位:百万円)
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | 前期比 | 増減率 | |
| 営業収益 | 6,403 | 6,146 | △257 | △4.0% |
| 営業利益 | 3,350 | 3,134 | △216 | △6.5% |
事業環境
・オフィスビル賃貸市場は、出社回帰に伴う需要の回復を背景に空室率が改善傾向を辿り、賃料水準も底堅く推移いたしました。一方で、建設資材価格の上昇や、建設業界における労働力不足に起因する労務費の高騰により、建築コストは依然として高止まりしています。加えて、本格的な金利上昇局面への移行により、資産の新規取得や開発事業の推進にあたっては、多角的なリスク検証とより慎重な収益性判断が求められる状況となっています。
業績の状況
・ビル工事請負業務は、高水準で推移した前期の大型案件が完了し、新規案件の引き合いが落ち着きを見せたことから、全体の取扱いは減少しました。
・保有資産のバリューアップを通じた賃貸収益の強化を図るとともに、私募ファンドへの出資を通じた不動産証券化事業への参画など、資本効率を重視したポートフォリオの最適化と収益基盤の多角化を推進しました。
・物流事業とのシナジーを最大限に発揮すべく、施設リーシングと物流サービスを一体化させた高付加価値な複合提案(クロスセル)を推進し、物流不動産領域における収益機会の着実な拡大に努めました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローおよび投資活動によるキャッシュ・フローの増加があったものの、財務活動によるキャッシュ・フローの減少により、全体で6億2千万円の減少となり、現金及び現金同等物の期末残高は、79億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払いがあったものの、税金等調整前当期純利益および減価償却費の計上による資金留保等により、57億4千2百万円の増加(前年同期は63億5千万円の増加)となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ6億7百万円下回りましたのは、法人税等の支払額の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出等があったものの、投資有価証券の売却による収入等があったため、3億1千7百万円の増加(前年同期は60億1千3百万円の減少)となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ63億3千1百万円上回りましたのは、有形固定資産の取得による支出の減少および投資有価証券の売却及び償還による収入の増加等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出、自己株式の取得による支出および配当金の支払い等により、66億7千4百万円の減少(前年同期は14億1千万円の減少)となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ52億6千4百万円下回りましたのは、当連結会計年度は社債の発行による収入がなかったこと等によるものであります。
③ 生産、受注および販売の実績
(1) セグメントごとの主要業務の営業収益内訳
当連結会計年度の営業収益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 営業収益(百万円) | 前連結会計年度比増減 | ||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 金額 (百万円) | 比率 (%) | |
| 物流事業 | 72,685 | 73,968 | 1,282 | 1.8 |
| (倉庫業務) | 19,937 | 19,772 | △165 | △0.8 |
| (港湾運送業務) | 6,709 | 6,550 | △158 | △2.4 |
| (陸上運送業務) | 34,719 | 36,462 | 1,743 | 5.0 |
| (国際輸送業務) | 7,907 | 7,978 | 71 | 0.9 |
| (その他の物流業務) | 3,412 | 3,203 | △208 | △6.1 |
| 不動産事業 | 6,403 | 6,146 | △257 | △4.0 |
| 報告セグメント計 | 79,089 | 80,114 | 1,024 | 1.3 |
| セグメント間の内部営業収益又は 振替高 | △468 | △373 | 95 | - |
| 合計 | 78,620 | 79,740 | 1,120 | 1.4 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先の営業収益および当該営業収益の連結営業収益合計に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| サントリーロジスティクス㈱ | 7,923 | 10.0 | 9,128 | 11.4 |
(2) セグメントごとの主要業務の取扱高
1.物流事業
(イ) 倉庫業務
1) 所管倉庫明細
| 項目 | 面積(㎡) | 前連結会計年度比増減 | ||
| 前連結会計年度 (2025年3月31日現在) | 当連結会計年度 (2026年3月31日現在) | 面積 (㎡) | 比率 (%) | |
| 所有庫 | 284,302 | 286,258 | 1,956 | 0.7 |
| 借庫 | 261,663 | 267,929 | 6,266 | 2.4 |
| 計 | 545,966 | 554,188 | 8,222 | 1.5 |
| 貸庫 | - | - | - | - |
| 合計 | 545,966 | 554,188 | 8,222 | 1.5 |
(注)1.保管面積は倉庫業法に基づく保管用面積(野積面積を除く)であります。
2.上表のほか、保管施設として上屋(港湾運送事業)16,743㎡があります。
2) 入出庫高および保管残高
| 項目 | 数量(トン) | 前連結会計年度比増減 | |||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 数量 (トン) | 比率 (%) | ||
| 入庫高 | 2,732,123 | 2,969,719 | 237,596 | 8.7 | |
| 出庫高 | 2,726,066 | 2,973,120 | 247,054 | 9.1 | |
| 合計 | 5,458,189 | 5,942,839 | 484,650 | 8.9 | |
| 月末保管残高 | 年間合計 | 2,691,917 | 2,695,405 | 3,488 | 0.1 |
| 年間平均 | 224,326 | 224,617 | 291 | 0.1 | |
3) 貨物回転率
| 項目 | 貨物回転率(%) | 前連結会計年度比増減 (ポイント) | |
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | ||
| 数量 | 101.4 | 110.2 | 8.8 |
| (注)算定方式 | 貨物回転率 = | (年間入庫高+年間出庫高)×1/2 | × 100 |
| 月末保管残高年間合計 |
(ロ) 港湾運送業務
| 項目 | 取扱数量(トン) | 前連結会計年度比増減 | ||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 取扱数量 (トン) | 比率 (%) | |
| 船内荷役 | 1,063,186 | 1,021,753 | △41,433 | △3.9 |
| はしけ運送 | - | - | - | - |
| 沿岸荷役 | 462,688 | 432,908 | △29,780 | △6.4 |
| 合計 | 1,525,874 | 1,454,661 | △71,213 | △4.7 |
(ハ) 陸上運送業務
| 項目 | 数量(トン) | 前連結会計年度比増減 | ||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 数量 (トン) | 比率 (%) | |
| 数量 | 7,701,423 | 7,752,396 | 50,973 | 0.7 |
2.不動産事業
| 項目 | 面積(㎡) | 前連結会計年度比増減 | ||
| 前連結会計年度 (2025年3月31日現在) | 当連結会計年度 (2026年3月31日現在) | 面積 (㎡) | 比率 (%) | |
| 賃貸ビル面積(契約面積) | 94,892 | 94,892 | - | - |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループの連結会計年度末の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ18億5千5百万円(1.6%)増加して1,193億1百万円となりました。このうち流動資産は9億8千9百万円(3.4%)減少し278億9千4百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金およびその他流動資産の残高が減少したこと等によるものであります。固定資産は28億5千5百万円(3.2%)増加し913億6千9百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ16億9千2百万円(2.9%)減少して557億9千2百万円となりました。この主な要因は、物流事業における新規設備投資および不動産事業における設備更新のための投資を実施したものの、減価償却費の計上が上回ったこと等によるものであります。また、投資その他の資産は45億円(15.1%)増加し343億3千万円となりましたが、この主な要因は、私募ファンドへの出資および株式相場の上昇により保有する投資有価証券の時価が増加したこと等によるものであります。
連結会計年度末の負債の残高は、前連結会計年度末に比べ12億5千8百万円(2.4%)減少して508億5千9百万円となりました。このうち流動負債は63億1千5百万円(38.9%)増加し225億5千1百万円となり、固定負債は75億7千4百万円(21.1%)減少し283億7百万円となりました。流動負債の増加と固定負債の減少の主な要因は、長期借入金(固定負債)から一年内返済長期借入金(流動負債)に振替えたこと等によるものであります。
連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ31億1千3百万円(4.8%)増加して684億4千1百万円となりました。この主な要因は、自己株式の取得および配当金の支払い等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が計上されたことやその他有価証券評価差額金が増加したこと等によるものであります。
上記の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の54.8%から57.3%となりました。また、当社は、2025年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。第178期期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額は1,118円10銭から1,200円89銭となりました。
なお、キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおり、物流業界では、継続的な物価上昇が個人消費を下押しするなか、国内貨物の荷動きは一進一退の推移となりました。輸出入貨物は生産材等の輸入が底堅い一方、輸出は地政学リスクや中国経済低迷に伴い、製造業の荷動きが鈍化するなど、総じて力強さを欠く展開となりました。また、不動産業界では、出社回帰に伴う需要の回復を背景に、オフィスビル賃貸市場の空室率が改善傾向を辿り、賃料水準も底堅く推移した一方、建築費高騰と金利上昇を受け、投資や開発にあたってはより慎重な収益性判断が求められる状況です。
こうした事業環境の下、当社グループは、3ヶ年の中期経営計画「澁澤倉庫グループ中期経営計画2026」で掲げた事業戦略に基づき、テクノロジー活用によるオペレーションの高度化や拠点ネットワークの拡充、物流を越えた業域の拡大を積極的に進め、収益機会の創出と新規案件の獲得に取り組み、計画達成に向けた基盤を一段と強化いたしました。また、不動産事業においては、保有資産のバリューアップを通じた賃貸収益の強化、および不動産証券化事業への参画による収益基盤の多角化、ならびに物流事業とのシナジーを活かした物流不動産領域における収益機会の拡大に努めました。
この結果、当連結会計年度の営業収益は、陸上運送業務および国際輸送業務が好調に推移したことから、前期比11億2千万円(1.4%)増の797億4千万円、営業利益は新設拠点の費用先行や人件費増等により、同5億7千万円(12.2%)減の40億9千7百万円となりました。新設拠点は足元では概ね正常な稼働水準へ回復しているものの、通期の収益寄与が途上となり利益を押し下げました。経常利益は前期比7億2千5百万円(13.0%)減の48億5千8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の売却益計上により、同14億2千4百万円(29.0%)増の63億3千3百万円となりました。なお、営業収益営業利益率は5.1%、総資産経常利益率は4.1%、自己資本当期純利益率は9.5%となっております。
また、事業セグメント別では、物流事業の営業収益は前期比12億8千2百万円(1.8%)増の739億6千8百万円、営業利益は前期比2億2千万円(5.7%)減の36億6千3百万円となりました。不動産事業の営業収益は前期比2億5千7百万円(4.0%)減の61億4千6百万円、営業利益は前期比2億1千6百万円(6.5%)減の31億3千4百万円となりました。
③ 資本の財源および資金の流動性
ⅰ) 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、物流事業に関わる倉庫荷役費、港湾荷捌費、陸上運送費および不動産事業に関わる不動産維持費、付帯費ならびに各事業についての販売費及び一般管理費があります。
また、設備資金需要としては、物流施設および機器、不動産施設への投資ならびにシステム開発等があります。
ⅱ) 財務政策
当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用および金融機関からの借入ならびに社債の発行により資金を調達しております。運転資金および設備資金につきましては、国内・海外子会社のものを含めて当社において一元管理しており、当社および国内連結子会社の一部にはキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しております。なお、運転資金の効率的な調達を行うため、金融機関と当座貸越契約を締結しております。
また、資金調達に際しては、将来の金利変動リスクを避けるために、一部金利スワップを利用しており、調達コストの低減に努めております。
④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。