有価証券報告書-第73期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 14:02
【資料】
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【項目】
118項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、採用した重要な会計方針及び見積りは、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く事業環境は、決して楽観できるものではなく、その継続企業としての前提を脅かすリスクについては、「第2 事業の状況 4事業等のリスク」に記載しております。そのなかでも、近海をマーケットに社有船3隻を投入しており、外航部門の経営成績が当社グループの財務に与えるインパクトは大きいものと考えております。日中関係や為替変動等の懸念材料はありますが、国際複合輸送のノウハウを最大限に生かした営業活動により収益拡大を図っております。
内航部門では、主要荷主である鉄鋼メーカーとのパイプは太く安定しておりますが、鉄鋼そのものの荷動きが景気に左右されることから、その他の安定荷主の開拓が喫緊の課題となっております。また、傭船料の引上げ要請等、内航部門の収益を圧迫する要因が続いており、売上の増加と経費圧縮による利益率の向上を目指しております。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、従来からの事業である「内航・外航海運」と「港運・倉庫」の強化と育成を以って、グループの業容拡大を目指しております。
内航を中心とする国内物流にありましては、鋼材の海陸一貫輸送の取扱いを主力としております。この事業の業容拡大にはベース貨物となる鋼材輸送において、安全で安定した配船サービスの提供が最大の輸送責任と認識しております。そのためにも老朽船のリプレースによる高品質輸送の継続的な提供を考えております。また、傭船船主との良好な関係の構築は不可欠であり、船主の経営強化を目指して新たな体制(共同管理)を検討しております。これにより、当社グループの経営基調である「共存共栄」の精神の下、船腹の増強と収益性の向上に努めて参ります。
外航海運にありましては、自社船(約4,000~5,500トン積)全3隻の稼動による効率運航の強みを発揮した収益体制の構築を目指しております。特に、平成27年1月に吸収合併した旧長門海運株式会社の事業の強みである日本・台湾間の定期貨物航路との相乗効果が期待されると共に、タイ・ミャンマー等のインドシナ半島諸国への足掛かりを多面的に模索し、現地を発信源とする営業開発に注力しております。
国内の港運事業にありましては、AEO認定と規制緩和は同業他社を含めて商圏の再編を招く可能性があり、攻めの営業へのチャンスととらえております。その為に、通関業務を主とする港運事業の人材配置の再編を進め、認定業者として、輸出入貨物のリードタイムの短縮・コストの削減に努め、新たな顧客開発による収益性の向上を目指します。また、国際物流にありましては、従来からの中国、台湾、韓国地域を中心に、最近ではタイ、ベトナム、インドネシア方面へとその取扱い商圏を広げつつあります。これら業容拡大に欠かせない存在として、海外物流パートナー会社があり、このパートナー会社との提携開拓と関係強化を推進することにより、相互に請負貨物の取扱量を拡大して参ります。当事業においても現地法人の設立と自前の外航事業を戦略キーとして独自の国際物流ルートの構築を考えております。
倉庫事業にありましては、長期安定貨物のさらなる確保に港運事業ともども邁進しております。神戸物流センターにてハラル認証を受けたことから、ハラル貨物の荷捌・保管業務の受注に注力しております。また、これらと平行して管理経費の削減とコスト意識の徹底をもって収益性を高め業容の拡大を図っていく所存であります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、現金及び現金同等物が414百万円減少しました。これは営業活動によって獲得したキャッシュ・フローが343百万円、投資活動によって使用したキャッシュ・フローが204百万円、財務活動に使用したキャッシュ・フローが552百万円となったことによるものです。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。しかしながら、ここ数年の世界的な物流事業のビジネス環境の変化を考慮しますと、当社グループを取り巻く事業環境はさらに厳しさを増すことが予想されます。そのなかで短期的には、当期黒字化した外航事業のさらなる充実が喫緊の課題と認識しております。それに対しては、発展著しいインドネシア等の東南アジア諸国の物流業者との提携または合弁会社の設立など積極的な海外展開を検討してまいります。この方針は国際複合輸送業務発展にも寄与するものと考えております。また、中長期的には、内航事業では輸送責任を確固たるものにするためと取引採算の確立のための船腹の適正配置を推し進める方針であります。港運・倉庫事業では、念願のAEO通関事業者の認定を取得できたことから、今後予定される規制緩和に対し、守りから攻めへの転換を図ってまいります。