有価証券報告書-第65期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/26 14:54
【資料】
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【項目】
64項目
経営成績等の状況の概要
(1)財政状態および経営成績の状況
当事業年度の国内経済は、海外の情勢不安や国内の品質検査不正事案が発覚するなど国内外に懸念材料が多かったものの、先進国経済が堅調で政府の景気政策の効果もあって、総じて緩やかな回復基調で推移しました。一方で企業が働き方改革や雇用確保の対応に追われたこともあり、賃金や個人消費は伸びを欠きました。県内経済も緩やかな回復傾向を示しましたが、人口減少や少子高齢化が鮮明になり、業種によって明暗を分けました。
このような経済状況を反映して広告市況は模様眺めの空気が支配的でした。テレビ放送事業では、秋田地区で6年連続の年度視聴率三冠を維持したことから安定したシェアを維持しましたが、スポット広告市況低迷の影響によりスポット収入が落ち込みました。ラジオ放送事業では、スポット収入が低調でしたが、ローカルのタイム収入が堅調で地道な営業活動の積み上げもあって前年実績を確保しました。また、事業においては、自主事業に加え「ねんりんピック秋田」、「新・秋田の行事」という県の大型事業を受託・運営できたことから、前事業年度を大幅に上回る収益をあげました。
この結果、当事業年度の売上高は、4,708,857千円で前事業年度比8,820千円(+0.2%)の増収となりました。事業部門別の内訳は、テレビ放送収入はタイム収入が好調だったものの、スポット収入が大きく落ち込んだことから前事業年度比62,339千円(△1.5%)減収の4,102,201千円となり、ラジオ放送収入は、スポット収入が低調だったものの、タイム収入が増加したことなどから前事業年度比6,371千円(+1.7%)増収の388,353千円となりました。その他事業収入は、「ねんりんピック秋田」などの受託収入や多彩なイベントを手掛けて堅実に売上に貢献し、前事業年度比64,787千円(+42.2%)増収の218,304千円となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、働き方改革を推進する上で行った社員の労働時間の実態調査を踏まえ、新たに認識した時間外を計上したことによって人件費が増加、また、多彩なイベントを行ったことによって事業費が増加したことから、前事業年度比136,914千円(+3.2%)増加の4,384,060千円となりました。内訳は、売上原価は、前事業年度比107,761千円(+5.0%)増加の2,283,629千円となり、販売費及び一般管理費は、テレビの減収により代理店手数料が減少したものの、前事業年度比29,152千円(+1.4%)増加の2,100,430千円となりました。これにより、営業利益は前事業年度比128,094千円(△28.3%)減少し、324,798千円となりました。営業外収益に40,357千円、営業外費用に6,603千円を計上したことから、経常利益は、前事業年度比97,470千円(△21.4%)減少の358,552千円となりました。また、特別利益276千円、特別損失2,178千円を計上し、税引前当期純利益は前事業年度比104,968千円(△22.7%)減少の356,650千円となり、法人税等に137,578千円計上し、繰延税金資産を8,313千円積み上げたことにより、当期純利益は前事業年度比80,014千円減少の227,384千円となり増収減益となりました。
当社は放送事業の単一セグメントであるため、事業部門別の業績は次のとおりです。
①テレビ放送部門
テレビ放送部門は、スポット収入が大きく落ち込んだことから、売上高は前事業年度に比べ62,339千円(△1.5%)減収の4,102,201千円となりました。売上原価は、減価償却費が減少したものの人件費や番組関連費が増加したことなどにより、前年同期比57,059千円(+3.3%)増加の1,811,427千円となり、販売費及び一般管理費は、売上減少に伴う代理店手数料が減少したものの人件費や借地借家料が増加したことなどにより、前年同期比20,113千円(+1.1%)増加の1,940,594千円となり、テレビ放送の営業利益は前年同期に比べ139,511千円(△28.5%)減益の350,180千円となりました。
②ラジオ放送部門
ラジオ放送部門は、タイム収入が増加したことから、売上高は前事業年度に比べ6,371千円(+1.7%)増収の388,353千円となりました。売上原価は、設備投資による減価償却費や技術関連の保守費用が増加したことなどにより、前年同期比10,743千円(+3.9%)増加の284,071千円となり、販売費及び一般管理費は、前年同期比9,039千円(+6.0%)増加の159,836千円となり、ラジオ放送の営業損失は前年同期に比べ13,411千円損失が増え△55,554千円となりました。
③その他部門
その他部門は、「宝塚歌劇花組全国ツアー秋田公演」や「私立恵比寿中学秋田分校コンサート」などの自主事業に加え、「ねんりんピック秋田」や「新・秋田の行事」という県の大型事業を受託運営するなど多彩なイベントを開催したことから、前年同期比64,787千円(+42.2%)増収の218,304千円となりました。事業費用は、前年同期比39,959千円(+27.0.%)増加の188,131千円となり、営業利益は前年同期に比べ24,828千円(前年は5,344千円)増収の30,173千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税引前当期純利益が356,650千円(前年同期比104,968千円減)となり、減価償却費364,642千円(前年同期比7,231千円減)を計上したこと、退職給付引当金の増減額が55,344千円(前年同期比33,578千円増)となったこと、法人税等の支払額が152,952千円(前年同期比82,770千円増)であったこと、有形固定資産の取得による支出が156,815千円(前年同期比54,375千円減)であったこと、有形固定資産の売却による収入が26,410千円(前年同期比25,356千円増)であったこと、短期借入金の純増減額が△40,000千円(前年同期比353,000千円減)となり、長期借入金の返済による支出が146,030千円(前年同期比56,556千円減)であったことなどにより、当事業年度末は、911,716千円(前年同期比280,691千円増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動によって得られた資金の増加は654,031千円(前年同期比128,002千円減)となりました。これは、税引前当期純利益356,650千円(前年同期比104,968千円減)を計上し、減価償却費364,642千円(前年同期比7,231千円減)を計上したこと、退職給付引当金の増加額が55,344千円(前年同期比33,578千円増)となったこと、未払消費税等の増減額が13,763千円(前年同期比23,199千円増)となったこと、法人税等の支払額が152,952千円(前年同期比82,770千円増)だったことが主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動による資金の減少は、134,213千円(前年同期比72,513千円減)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が156,815千円(前年同期比54,375千円減)となり、有形固定資産の売却による収入が26,410千円(前年同期比25,356千円増)だったことが主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動によって支出した資金の使用は、239,128千円(前年同期比260,023千円減)となりました。これは、短期借入金の純増減額が△40,000千円(前年同期比353,000千円減)となったこと、長期借入金の返済による支出が146,030千円(前年同期比56,556千円減)だったこと、リース債務の返済による支出が48,498千円(前年同期比467千円減)だったことが主な要因です。
(3)生産、受注及び販売の実績
(1)販売実績
当事業年度の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりです。
事業部門別金額(千円)前期比(%)
テレビ放送4,102,20198.5
ラジオ放送388,353101.7
その他218,304142.2
合計4,708,857100.2

(注)1.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前事業年度当事業年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
日本テレビ放送網㈱1,176,33925.01,195,70125.4
㈱電通549,83211.7504,23910.7

2.上記の金額には消費税等は含まれていません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
1.当事業年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当事業年度の国内経済は、海外の情勢不安や国内の品質検査不正事案が発覚するなど国内外に懸念材料が多かったものの、先進国経済が堅調で政府の景気政策の効果もあって、総じて緩やかな回復基調で推移しました。一方で企業が働き方改革や雇用確保の対応に追われたこともあり、賃金や個人消費は伸びを欠きました。県内経済も緩やかな回復傾向を示しましたが、人口減少や少子高齢化が鮮明になり、業種によって明暗を分けました。
このような経済状況を反映して広告市況は模様眺めの空気が支配的でした。テレビ放送事業では、秋田地区で目標とした6年連続の年度視聴率三冠を維持することができ、安定したシェアを維持しましたが、スポット広告市況低迷の影響によりスポット収入が落ち込みました。ラジオ放送事業では、スポット収入が低調でしたが、ローカルのタイム収入が堅調で地道な営業活動の積み上げもあって前年実績を確保しました。また、事業においては、自主事業に加え「ねんりんピック秋田」、「新・秋田の行事」という県の大型事業を受託・運営できたことから、前事業年度を大幅に上回る収益をあげました。
この結果、当事業年度の売上高は、4,708,857千円で前事業年度比8,820千円(+0.2%)の増収となりましたが、売上目標に掲げた4,730,000千円は未達でした。事業部門別の内訳は、テレビ放送収入はタイム収入が好調だったものの、スポット収入が大きく落ち込んだことから前事業年度比62,339千円(△1.5%)減収の4,102,201千円となり、ラジオ放送収入は、スポット収入が低調だったものの、タイム収入が増加したことなどから前事業年度比6,371千円(+1.7%)増収の388,353千円となりました。その他事業収入は、「ねんりんピック秋田」などの受託収入や多彩なイベントを手掛けて堅実に売上に貢献し、前事業年度比64,787千円(+42.2%)増収の218,304千円となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、働き方改革を推進する上で行った社員の労働時間の実態調査を踏まえ、新たに認識した時間外を計上したことによって人件費が増加、また、多彩なイベントを行ったことによって事業費が増加したことから、当期純利益は前事業年度比80,014千円減少の227,384千円となり増収減益となりました。
2.財務の状態の分析
(1)資産・負債・資本の状況
前事業年度
(平成29年3月31日)
当事業年度
(平成30年3月31日)
増減
流動資産(千円)2,185,4962,464,385278,890
固定資産(千円)2,053,3101,877,259△176,051
資産合計(千円)4,238,8064,341,645102,839
流動負債(千円)1,071,7301,015,010△56,720
固定負債(千円)1,502,0061,449,403△52,603
負債合計(千円)2,573,7362,464,413△109,323
純資産(千円)1,665,0701,877,231212,161
負債純資産合計(千円)4,238,8064,341,645102,839

①資産
当事業年度末の総資産残高は、前事業年度に比べ102,839千円(+2.4%)増加し、4,341,645千円となりました。内訳は流動資産の増加が前事業年度に比べ278,890千円(+12.8%)、有形固定資産の減少が前事業年度に比べ163,543千円(△9.9%)です。流動資産の増加については、現金及び預金残高が増加したこと、有形固定資産の減少については、減価償却費を計上したことがそれぞれ主たる要因です。
②負債
当事業年度末の負債残高は、前事業年度に比べ109,323千円(△4.2%)減少し、2,464,413千円となりました。流動負債の減少については、固定資産増加に伴う未払金が増加したものの、短期借入金および一年内返済予定の長期借入金が減少したことによるもので、固定負債の減少については、退職給付引当金が増加した一方で、長期借入金とリース債務が減少したことが主たる要因です。
③純資産
当事業年度末の純資産残額は、前事業年度に比べ212,161千円(+12.7%)増加し、1,877,231千円となりました。当事業年度において当期純利益227,384千円を計上したことが主たる要因です。
(2)キャッシュ・フローの状況
詳細については経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況の項の記載内容を参照してください。
当社の運転資金需要の主なものは、放送費、技術費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものです。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入により、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入ないしリース契約によることとしています。
なお、当事業年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は417,103千円、現金及び現金同等物の残高は911,716千円となっています。