有価証券報告書-第68期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/24 14:01
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【項目】
88項目
経営成績等の状況の概要
(1)財政状態および経営成績の状況
当事業年度は、中国武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症が世界に拡大。パンデミックで人やモノの動きが止まり経済は停滞しました。わが国においても4月に緊急事態宣言が発出され、国民は巣ごもりを強いられました。このため、交通・レジャー・飲食・旅行・化粧品などの業種が打撃を受けたほか、生産現場や輸出関連業種も影響を被りました。その後、巨額の財政支出による政府や自治体の施策が相次いで打ち出され、Go Toキャンペーンをはじめとした消費喚起策が奏功して持ち直しもみられ、期の後半からは消費も回復基調となりました。しかし、第2波、第3波と新型コロナウイルス感染症の感染は収束せず、企業の業績が二極化するなど明暗を分けました。
こうした中、広告市況は業績が悪化した業種を中心にCM出稿を手控える傾向が顕著になり、東京五輪も延期されました。当社は秋田地区で9年連続年度視聴率三冠を獲得、夕方の看板番組「ABS news every.」が年度平均で過去最高の視聴率を記録するなど期を通じて視聴率もテレビスポットのシェアも好調を維持したものの、CMの地区投下が大きく落ち込み上期のテレビ放送収入は激減しました。また、コロナ禍でイベントや公開録音などが軒並み中止に追い込まれ、ラジオ事業も大きな収益源を失いました。4月1日に秋田駅前の新社屋に完全移転を果たしましたが、その効果も限定的でした。
一方、下期になると徐々に市況が回復。ほとんどの自主事業が不成立となる中、コンテンツの海外展開をはじめとした国の補助事業を受託したほか、ブラウブリッツ秋田や秋田ノーザンハピネッツの中継配信業務に取り組むなどして、期末にかけて収益は盛り返しました。
番組制作では、ラジオで「100・1夜(よんといちや)物語」、「白神の森」といったオーディオドラマに挑戦。ABSテレビの放送開始60年を記念したドキュメンタリー「神様の1秒6~100m決勝を撃った男~佐々木吉蔵」を制作・放送したほか、人気コンビを起用した特別番組「チョコプラのあきたメシ」は、金曜ゴールデン枠で高視聴率を上げるなど好評を得ました。
この結果、当事業年度の売上高は、4,118,062千円で前事業年度比304,206千円(△6.9%)の減収となりました。事業部門別の内訳は、テレビ放送収入は、地区投下の減少でスポット収入が大きく落ち込んだことから、前事業年度比220,537千円(△5.6%)減収の3,712,045千円となり、ラジオ放送収入は、スポット、タイム収入ともに低調だったことから、前事業年度比55,682千円(△16.2%)減収の287,611千円となりました。その他事業収入は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、前事業年度比27,987千円(△19.1%)減収の118,406千円となりました。
営業費用においては、新社屋建設および放送設備更新に伴う減価償却費が大幅に増加したことから、前事業年度比158,349千円(+3.8%)増加の4,354,943千円となりました。内訳は、売上原価は、前事業年度比135,781千円(+6.0%)増加の2,411,288千円となり、販売費及び一般管理費は、前事業年度比22,568千円(+1.2%)増加の1,943,655千円となりました。これにより、営業損失は前事業年度比462,555千円減益の236,881千円となりました。営業外収益に31,435千円、営業外費用に64,229千円を計上したことから、経常損益は前事業年度比480,191千円減益の△269,675千円、特別利益に3.4GHz帯の周波数移行に伴う補助金など54,793千円を計上、特別損失に8,939千円を計上したことから、税引前当期純損失が223,821千円となり、法人税等に3,590千円を計上したことにより、当期純損失は227,411千円(前事業年度は346,357千円の純利益)の減収減益となりました。
当社は放送事業の単一セグメントであるため、事業部門別の経営成績は次のとおりです。
①テレビ放送部門
テレビ放送部門は、地区投下の減少でスポット収入が大きく落ち込んだことから、売上高は前事業年度比220,537千円(△5.6%)減収の3,712,045千円となりました。新社屋建設および放送設備更新に伴う減価償却費が大幅に増加したため、売上原価は、前年同期比159,334千円(+9.0%)増加の1,929,923千円となり、販売費及び一般管理費は、売上減少により販売費が減少したものの、前年同期比43,702千円(+2.5%)増加の1,828,080千円となったため、テレビ放送の営業損益は△45,958千円(前年同期は377,616千円の利益)となりました。
②ラジオ放送部門
ラジオ放送部門は、スポット、タイム収入ともに低調だったことから、前事業年度比55,682千円(△16.2%)減収の287,611千円となりました。売上原価は、放送費が減少したものの新社屋建設および放送設備更新に伴う減価償却費が大幅に増加したため、前年同期比27,055千円(+9.3%)増加の317,688千円となり、販売費及び一般管理費は、売上減少に伴い代理店手数料が減少したことなどにより、前年同期比21,135千円(△15.5%)減少の115,575千円となりましたが、ラジオ放送の営業損失は前年同期比で61,602千円損失が増え145,652千円となりました。
③その他部門
その他部門は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、前事業年度比27,987千円(△19.1%)減収の118,406千円となりました。また、事業費用および人件費に163,677千円を計上したため、営業損失は前年同期に比べ22,622千円損失が増え45,271千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、新社屋の設備導入が完了し、金融機関との当座貸越契約を長期借入契約に切り替えたことから、長期借入による収入が4,900,000千円(前年同期比4,890,000千円増)、短期借入金の減少額が4,490,000千円(前年同期は2,426,000千円の増加)となりましたが、有形固定資産の取得による支出が1,048,272千円(前年同期比1,131,028千円減)となり、減価償却費704,436千円(前年同期比375,018千円増)を計上したこと、未払消費税等の増減額が532,370千円(前年同期は233,146千円の減少)となったこと、税引前当期純損失が223,821千円(前年同期は402,961千円の純利益)となったことなどにより、当事業年度末は、1,671,644千円(前年同期比283,995千円増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動によって得られた資金は980,285千円(前年同期比906,067千円増)となりました。これは、新社屋供用開始に伴い、減価償却費704,436千円(前年同期比375,018千円増)を計上し、新社屋関連設備投資により前事業年度において未収還付消費税等を計上していたことにより、未払消費税等の増加額が532,370千円(前年同期は233,146千円の減少)となったこと、税引前当期純損失が223,821千円(前年同期は402,961千円の純利益)となったことが主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動によって支出した資金は、1,050,370千円(前年同期比1,123,339千円減)となりました。これは新社屋関連設備投資が一服し有形固定資産の取得による支出が1,048,272千円(前年同期比1,131,028千円減)だったことが主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動によって得られた資金は、354,081千円(前年同期比1,943,644千円減)となりました。これは、新社屋の設備導入が完了し、金融機関との当座貸越契約を長期借入契約に切り替えたことにより、長期借入による収入が4,900,000千円(前年同期比4,890,000千円増)となったこと、短期借入金の減少額が4,490,000千円(前年同期は2,426,000千円の増加)だったこと、リース債務の返済による支出が31,519千円(前年同期比25,351千円減)だったこと、長期借入金の返済による支出が19,800千円(前年同期比57,005千円減)だったことが主な要因です。
(3)生産、受注及び販売の実績
(1)販売実績
当事業年度の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりです。
事業部門別金額(千円)前期比(%)
テレビ放送3,712,04594.4
ラジオ放送287,61183.8
その他118,40680.9
合計4,118,06293.1

(注)1.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前事業年度当事業年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
日本テレビ放送網㈱1,199,79627.11,174,24728.5
㈱電通512,92711.6431,49810.5

2.上記の金額には消費税等は含まれていません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
1.当事業年度の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当事業年度は、中国武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症が世界に拡大し、経済は停滞しました。こうした中、広告市況は業績が悪化した業種を中心にCM出稿を手控える傾向が顕著になり、東京五輪も延期されました。当社は秋田地区で9年連続年度視聴率三冠を獲得するなど期を通じて視聴率もテレビスポットのシェアも好調を維持したものの、CMの地区投下が大きく落ち込み上期のテレビ放送収入は激減しました。また、コロナ禍でイベントや公開録音などが軒並み中止に追い込まれ、ラジオ事業も大きな収益源を失いました。4月1日に秋田駅前の新社屋に完全移転を果たしましたが、その効果も限定的でした。
一方、下期になると徐々に市況が回復。ほとんどの自主事業が不成立となる中、コンテンツの海外展開をはじめとした国の補助事業を受託したほか、ブラウブリッツ秋田や秋田ノーザンハピネッツの中継配信業務に取り組むなどして、期末にかけて収益は盛り返しました。
売上高は、4,118,062千円で前事業年度比304,206千円(△6.9%)の減収となりました。テレビ放送部門については、タイム放送収入は前事業年度に比べ64,360千円(△3.5%)減収の1,782,501千円となり、スポット放送収入は前事業年度に比べ205,864千円(△10.6%)減収の1,738,450千円となりました。ラジオ放送部門については、タイム放送収入は前事業年度に比べ12,833千円(△6.9%)減収の172,582千円に、スポット放送収入は前事業年度に比べ17,376千円(△16.2%)減収の89,772千円となりました。その他の収入は前事業年度に比べ27,987千円(△19.1%)減収の118,406千円となりました。
2.財政状態に関する認識および分析・検討内容
(1)資産・負債・資本の状況
前事業年度
(令和2年3月31日)
当事業年度
(令和3年3月31日)
増減
流動資産(千円)3,216,3163,198,520△17,796
固定資産(千円)6,419,9645,984,195△435,769
資産合計(千円)9,636,2809,182,715△453,565
流動負債(千円)6,049,6041,027,627△5,021,978
固定負債(千円)1,145,9105,916,8874,770,977
負債合計(千円)7,195,5146,944,513△251,001
純資産(千円)2,440,7662,238,202△202,564
負債純資産合計(千円)9,636,2809,182,715△453,565

①資産
当事業年度末の総資産残高は、前事業年度に比べ453,565千円(△4.7%)減少し、9,182,715千円となりました。内訳は流動資産の減少が前事業年度に比べ17,796千円(△0.6%)、有形固定資産の減少が前事業年度に比べ478,920千円(△7.9%)です。流動資産の減少については、現金及び預金残高が増加したものの、新社屋関連設備投資により前事業年度において未収還付消費税等を計上していたこと、有形固定資産の減少については本社移転に伴って旧社屋放送設備一式を除却したことがそれぞれ主たる要因です。
②負債
当事業年度末の負債残高は、前事業年度に比べ251,001千円(△3.5%)減少し、6,944,513千円となりました。流動負債の減少および固定負債の増加については、新社屋の設備導入が完了し、金融機関との当座貸越契約を長期借入契約に切り替えたことが主たる要因です。
③純資産
当事業年度末の純資産残額は、前事業年度に比べ202,564千円(△8.3%)減少し、2,238,202千円となりました。当事業年度において当期純損失227,411千円を計上したことが主たる要因です。
(2)キャッシュ・フローの状況・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
詳細については経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況の項の記載内容を参照してください。
当社の運転資金需要の主なものは、放送費、技術費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものです。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入により、設備投資や長期運転資金の調達については、主に金融機関からの長期借入ないしリース契約によることとしています。
なお、当事業年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は5,194,908千円、現金及び現金同等物の残高は1,671,644千円となっています。
(3)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。詳細については、第5 経理の状況の項の記載内容を参照してください。