有価証券報告書-第79期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 14:10
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「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、緩やかな回復基調が続きました。テレビ広告市況は、東京地区のスポット広告の出稿量が前期を下回るなど、引き続き厳しい状況となりました。
このような経済状況のなか、当連結会計年度の売上高は3,017億4千4百万円 (前期比△0.3%)、売上原価、販売費及び一般管理費の合計が2,855億7千9百万円(同+0.6%)となりました結果、営業利益は161億6千4百万円 (同△13.3%) となりました。また、経常利益は190億9千7百万円 (同△13.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は128億7千9百万円(同△18.7%)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
テレビ放送事業
当連結会計年度は、全ての区分が前期を上回り、全日視聴率(6時~24時)7.7%、ゴールデンタイム(19時~22時)10.5%、プライムタイム(19時~23時)10.6%、プライム2(23時~25時)5.5%となり、全て2位で終了し、トップグループを維持しております。
当連結会計年度は、全日帯では、朝のベルト番組「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」に加え、週末の夕方帯「人生の楽園」「路線バスで寄り道の旅」「相葉マナブ」が年度平均視聴率で自己最高を更新し、全日帯のさらなるベースアップに成功しました。週平均では、開局以来最多となる52週中22週でトップを獲得し、ノンプライム(全日帯からプライム帯を除いた区分)では、開局以来初の単独トップとなりました。
ゴールデン・プライム帯では、4月改編でスタートした「帰れマンデー見っけ隊!!」「日曜プライム」、10月改編でスタートした「ナニコレ珍百景」などが好調に推移し、月曜・日曜のベースアップに成功しました。
連続ドラマでは、「相棒」(平均15.3%・13シーズン連続の平均15%突破)、「警視庁・捜査一課長」(平均12.8%)、「科捜研の女」(平均12.5%)といった人気シリーズに加え、2018年度平均視聴率1位となった「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」(平均15.8%)、「特捜9」(平均14.0%)、「未解決の女」(平均13.0%)などの新作ドラマが民放上位にランクインしました。さらに、土曜ナイトドラマ「おっさんずラブ」が「東京ドラマアワード連続ドラマ部門 作品賞・グランプリ」を受賞したほか、流行語大賞にノミネートされるなど大きな話題となりました。
スポーツは、サッカーでは「2018FIFAワールドカップロシア」が「ブラジル×コスタリカ」(18.3%)などで高視聴率となり、全日帯・プライム帯で民放トップを獲得したほか、「AFCアジアカップ2019」では、「決勝・日本×カタール」(21.4%)をはじめ、7試合平均15.6%の高視聴率を獲得しました。フィギュアスケートでは「グランプリシリーズ・フィンランド大会 男女フリー」(16.2%)や「グランプリファイナル 女子フリー」(17.4%)が高視聴率を獲得するなど、大型スポーツ中継が好調に推移しました。
正月三が日は、「相棒 元日スペシャル」などが高視聴率となり、プライムタイムは11年連続、ゴールデンタイムは5年連続のトップを獲得しました。
以上のような状況のなか、収益の拡大を図るため、積極的な営業活動を展開しました。
タイム収入は、アドバタイザーの宣伝活動において柔軟性と効率性を重視する動きから、引き続き固定費削減傾向がみられ、レギュラー番組のセールスでは減収となりました。一方、単発番組につきましては、「2018FIFAワールドカップロシア」「AFCアジアカップ2019」「AFC女子アジアカップ2018 FIFA女子ワールドカップアジア最終予選」などで増収となりました。以上の結果、タイム収入合計は864億1百万円(前期比△1.8%)となりました。
スポット収入は、東京地区の広告出稿量が前期を下回るなど低調に推移したことから減収となりました。業種別では、「外食・各種サービス」「流通・小売業」「教育・医療サービス・宗教」など全21業種中、7業種が前期を上回る伸びとなりましたが、「不動産・住宅設備」「自動車・関連品」「金融・保険」などで伸び悩みました。以上の結果、スポット収入は1,015億3千8百万円(同△3.1%)となりました。
また、BS・CS収入は268億4千4百万円(同+3.2%)、番組販売収入は129億7千5百万円 (同△1.4%)、その他収入は228億2千1百万円(同+9.6%)となりました。
以上により、テレビ放送事業の売上高は2,505億8千1百万円(同△0.9%)、営業費用は2,387億6千8百万円(同+0.7%)となりました結果、営業利益は118億1千2百万円(同△24.0%)となりました。
音楽出版事業
前期に開催した「ケツメイシ」のコンサートツアーの反動減などにより、音楽出版事業の売上高は98億6千3百万円(前期比△10.7%)、営業費用は90億4千3百万円(同△11.6%)となりました結果、営業利益は8億1千9百万円(同+1.0%)となりました。
その他事業
インターネット事業は、株式会社サイバーエージェントとの共同事業「AbemaTV」が、アプリダウンロード数累計3,900万を達成するなど堅調に推移しました。また、auビデオパスでは、地上波で放送した土曜ナイトドラマ「おっさんずラブ」を配信したところ全話が同時にランキングトップ10入りするなど異例の人気となったほか、「ドクターX ~外科医・大門未知子~」のスピンオフドラマ「ドクターY ~外科医・加地秀樹~」第3弾などのオリジナルコンテンツを配信するなど、戦略的に事業の拡大を行いました。また、広告付き無料見逃し動画配信サービス「テレ朝キャッチアップ」は配信番組数の増加とともに利用者も増え、広告収入も順調に伸びています。さらに、動画配信事業「新日本プロレスワールド」は3度目のアメリカ開催となったサンフランシスコでの大会も配信するなどアメリカを含めた海外のファンが広がっており、グローバルコンテンツとして成長を続けております。
イベント事業では、5回目となる「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION」を7月14 日から44日間にわたって開催したほか、フィギュアスケーター羽生結弦のアイスショー「Continues ~with Wings~」、恒例の音楽イベント「テレビ朝日ドリームフェスティバル2018」、2大都市で開催された「東京・大阪メトロポリタンロックフェスティバル2018」や67万人を動員した「ムンク展-共鳴する魂の叫び」などが好評を博しました。また、「EX THEATER ROPPONGI」では夏祭り期間中に開催したHiHi Jets・東京B少年をメインとしたジャニーズJr.たちが歌やダンスで競い合う「夏祭り!裸の少年」など、様々なエンタテインメントプログラムをラインナップし、高い稼働率で堅調な運営を行いました。
ショッピング事業は、商品開発や販路拡大に取り組み、通販番組「じゅん散歩」が好調なこと、さらに「おっさんずラブ」関連商材が好評を博し増収となりました。
出資映画事業は、シリーズ38作目にして歴代最高の動員、及び興行収入53億7千万円を記録した「ドラえもん」をはじめ、「クレヨンしんちゃん」などテレビ番組連動の恒例作品が安定した興行成績となりました。
DVD販売は、テレビ朝日のドラマで過去最高の初回本数を出荷した「おっさんずラブ」や人気シリーズ「相棒」など、様々なタイトルをリリースしました。
以上により、その他事業の売上高は543億4千4百万円(前期比+6.7%)、営業費用は507億8千万円(同+4.3%)となりました結果、営業利益は35億6千4百万円(同+57.0%)となりました。
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
資産の部
流動資産は1,757億6千2百万円で、前連結会計年度末に比べ11億5千4百万円の増加となりました。
固定資産は2,762億3千7百万円で、前連結会計年度末に比べ153億5千6百万円の増加となりました。これは、投資有価証券が121億4千万円増加したことなどによります。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ165億1千1百万円増加し、4,520億円となりました。
負債の部
流動負債は623億3千7百万円で、前連結会計年度末に比べ17億3百万円の増加となりました。これは、未払金が33億4千6百万円増加したことなどによります。
固定負債は359億5百万円で、前連結会計年度末に比べ12億1千2百万円の増加となりました。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ29億1千5百万円増加し、982億4千3百万円となりました。
純資産の部
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ135億9千5百万円増加し、3,537億5千7百万円となりました。この結果、自己資本比率は77.4%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ84億2千8百万円減少し、415億3千3百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、202億7千3百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入額が21億2千4百万円増加しました。これは、仕入債務の増減額が48億9千8百万円増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、212億6千万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が253億9千4百万円増加しました。これは、定期預金の払戻による収入が224億3千5百万円減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、74億3千万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が9億2千4百万円増加しました。これは、配当金の支払額が10億7千4百万円増加したことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
テレビ放送事業
タイム収入86,401△1.8
スポット収入101,538△3.1
番組販売収入12,975△1.4
BS・CS収入26,8443.2
その他収入22,8219.6
小計250,581△0.9
音楽出版事業9,863△10.7
その他事業54,3446.7
314,7890.0
セグメント間取引消去△13,045
合計301,744△0.3

(注) 1 主な相手先別の売上実績及びそれぞれの総売上高に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
㈱電通100,29633.1597,84732.43
㈱博報堂DY
メディアパートナーズ
60,82820.1160,36520.01

2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の一部について合理的な見積り等により計上しており、実際の結果は、これらの見積り等と異なる結果となる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識等については、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要に記載のとおりです。なお、現在推進しております経営計画「テレビ朝日360°2017-2020」において、2020年度までに連結売上高3,200億円、連結経常利益220億円の達成を目指すとする定量目標を掲げております。
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、2[事業等のリスク]に記載のとおりです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、資本の財源として当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高が、総資産の9.2%を占める415億3千3百万円となりました。当社グループでは、主に営業活動から得た資金及び内部留保による自己資金を財源とし、コンテンツ力強化に向けた投資や設備投資、さらなる成長のための戦略投資などを行っております。なお、当社は、グループ会社の資金調達及び資金運用を効率的に行うため、キャッシュ・マネジメント・システムを活用し、一括した管理を行っております。資金の流動性については、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要に記載しております。
セグメントごとの経営成績に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
テレビ放送事業
テレビ放送事業の売上高の分析については、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要に記載のとおりです。テレビ放送事業の営業費用については、2,387億6千8百万円(前期比+0.7%)となりましたが、これは主に4K放送の開始に伴う関連費用の増加によるものです。
音楽出版事業
音楽出版事業の経営成績等に関する分析については、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要に記載のとおりです。
その他事業
その他事業の経営成績等に関する分析については、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要に記載のとおり、売上高は543億4千4百万円(前期比+6.7%)、営業費用は507億8千万円(同+4.3%)、営業利益は35億6千4百万円(同+57.0%)となりました。
売上高の増収については、動画配信サービスへのコンテンツ販売などが好調なインターネット収入177億5千5百万円(同+13.8%)などが牽引しました。また、営業費用の増加については、売上高の増加に伴い売上原価が増加したことなどによります。