当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、緩やかな回復基調が続いていたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況となりました。テレビ広告市況におきましても、東京地区のスポット広告の出稿量が前期を下回るなど、引き続き厳しい状況となりました。
このような経済状況のなか、当連結会計年度の売上高は2,936億3千8百万円(前期比△2.7%)、売上原価、販売費及び一般管理費の合計が2,810億7千3百万円(同△1.6%)となりました結果、営業利益は125億6千5百万円(同△22.3%)となりました。また、東映株式会社の株式を追加取得し、持分法適用関連会社としたことに伴う負ののれん相当額153億3千8百万円を持分法による投資利益に計上したことなどにより経常利益は320億4千8百万円(同+67.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は263億9千8百万円(同+105.0%)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
テレビ放送事業
当連結会計年度は、全日視聴率(6時~24時)7.7%、ゴールデンタイム(19時~22時)10.8%、プライムタイム(19時~23時)11.0%、プライム2(23時~25時)5.2%となり、全て2位で終了し、トップグループを維持しております。
当連結会計年度は、1年を通して開局60周年記念の強力なコンテンツを編成しました。5夜連続ドラマスペシャル「山崎豊子 白い巨塔」や「ドクターX ~外科医・大門未知子~」「相棒season18」などが高視聴率を記録したほか、「ミュージックステーション ウルトラ SUPER LIVE 2019」「氷と雪に閉ざされた秘境の地 天空のヒマラヤ部族 決死の密着取材150日間」「フィギュアスケートグランプリファイナル2019」などの大型特番・大型スポーツ中継が好結果を残しました。レギュラー番組では「報道ステーション」が5年ぶりの高さとなり、バラエティー番組では「ナニコレ珍百景」が好調な日曜に加え、4月改編で「10万円でできるかな」を投入した月曜、10月にゴールデン3番組を改編した金曜がベースアップした結果、10月・1月クールで2クール連続のプライムトップを獲得し、ゴールデン・プライム帯ともに4年ぶりの高さとなりました。
全日帯では、「羽鳥慎一モーニングショー」が自己最高を更新し、初めて同時間帯の全局トップを獲得するなど、午前帯のベルト番組から1日の良い流れを作り、5回の月間トップを獲得しました。
連続ドラマでは、「ドクターX ~外科医・大門未知子~」(平均18.5%)、「相棒season18」(平均14.8%)が2019年度民放連続ドラマの平均視聴率1位・2位を獲得し、「緊急取調室」(平均13.2%)が4位、「特捜9」(平均13.0%)が5位と、ベスト5に4作品がランクインしました。さらに開局60周年記念番組として1年間を通して放送した「科捜研の女」(平均11.6%)、「やすらぎの刻~道」(平均5.0%)も堅調な結果となりました。
スポーツでは、「世界野球プレミア12・決勝 日本×韓国」(19.2%)が高視聴率を獲得し、フィギュアスケートでは「世界フィギュアスケート国別対抗戦2019 女子フリー」(14.6%)や「グランプリシリーズ・カナダ大会 男女フリー」(15.8%)、「グランプリファイナル 女子ショート・男子フリー」(15.4%)が好結果となりました。
正月三が日は、「相棒 元日スペシャル」などが高視聴率となり、プライムタイムは12年連続、ゴールデンタイムは6年連続のトップを獲得、三が日を含む2020年1月第1週の週平均でもゴールデン・プライム帯で2冠となりました。
以上のような状況のなか、収益の拡大を図るため、積極的な営業活動を展開しました。
タイム収入は、アドバタイザーの宣伝活動において柔軟性と効率性を重視する動きから、引き続き固定費削減傾向がみられ、レギュラー番組のセールスでは減収となりました。また、単発番組につきましては、「世界野球プレミア12」や開局60周年記念番組である5夜連続ドラマスペシャル「山崎豊子 白い巨塔」「世界水泳韓国・光州2019」「世界フィギュアスケート国別対抗戦2019」などで増収を図ったものの、前期の「2018FIFAワールドカップロシア」「AFCアジアカップ2019」の反動減により、減収となりました。以上の結果、タイム収入合計は840億6千6百万円(前期比△2.7%)となりました。
スポット収入は、東京地区の広告出稿量が前期を下回るなど低調に推移したことから減収となりました。業種別では、「官公庁・団体」「エネルギー・素材・機械」などが好調な一方で、「化粧品・トイレタリー」「情報・通信」「趣味・スポーツ用品」などは減収となりました。以上の結果、スポット収入は924億9千4百万円(同△8.9%)となりました。
また、BS・CS収入は261億1千万円(同△2.7%)、番組販売収入は131億6千8百万円 (同+1.5%)、その他収入は234億4千3百万円(同+2.7%)となりました。
以上により、テレビ放送事業の売上高は2,392億8千3百万円 (同△4.5%)、営業費用は2,322億8千3百万円 (同△2.7%) となりました結果、営業利益は70億円(同△40.7%)となりました。
音楽出版事業
「ケツメイシ」が全国各地でコンサートツアーを展開したことなどにより、音楽出版事業の売上高は98億6千7百万円(前期比+0.0%)、営業費用は88億4千9百万円(同△2.1%)となりました結果、営業利益は10億1千8百万円(同+24.2%)となりました。
その他事業
インターネット事業は、株式会社サイバーエージェントとの共同事業「AbemaTV」が、アプリダウンロード数累計5,000万を達成し、目標としているWAU(ウイークリーアクティブユーザー)の1,000万も突破の回数が増えるなど堅調に推移しました。また、auビデオパスや広告付き無料見逃し動画配信サービス「テレ朝キャッチアップ」などでは、「相棒season18」をシリーズ史上初めて地上波放送直後からドラマ本編の見逃し配信を開始するなど、戦略的に事業の拡大を行い、利用者が増えるとともに、広告収入も順調に伸びています。さらに、動画配信事業「新日本プロレスワールド」は日本のプロレス団体としては初めてとなるエンタテインメントの殿堂 マディソン・スクエア・ガーデンでの興行の全世界生配信を行うなどアメリカを含めた海外のファンを広げ、グローバルコンテンツとして成長を続けております。
イベント事業では、6回目となる「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION」を7月13日から44日間にわたって開催したほか、2大都市で開催している恒例の音楽フェス「東京・大阪メトロポリタンロックフェスティバル2019」や開局60周年の冠主催で開催し35万人を動員した4つの大型イベント「ブルーマングループワールドツアー IN JAPAN」「SUMMER SONIC 2019」「テレビ朝日ドリームフェスティバル2019」「QUEEN+ADAM LAMBERT THE RHAPSODY TOUR」が大好評を博しました。また、「EX THEATER ROPPONGI」では夏祭り期間中に開催したHiHi Jets・美 少年をメインとしたジャニーズJr.たちが歌やダンスで競い合う「パパママ一番 裸の少年 夏祭り!」など、様々なエンタテインメントプログラムをラインナップし、高い稼働率で堅調な運営を行いました。
ショッピング事業は、通販番組「じゅん散歩」の好調な視聴率を背景に、ヒット商品にも恵まれ、増収となりました。
出資映画事業は、「映画ドラえもん のび太の月面探査記」がシリーズ歴代第2位の興行収入50億2千万円、「劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」が興行収入26億5千万円の大ヒットを記録したことに加え、「クレヨンしんちゃん」や「仮面ライダー」「スーパー戦隊」シリーズの劇場版も安定した興行成績となりました。
DVD販売は、多くの販売数が見込める「おっさんずラブ-in the sky-」や人気シリーズ「相棒」など、様々なタイトルをリリースしました。
以上により、その他事業の売上高は583億8千8百万円 (前期比+7.4%)、営業費用は537億8千9百万円 (同+5.9%)となりました結果、営業利益は45億9千8百万円(同+29.0%)となりました。
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
資産の部
流動資産は1,555億3千2百万円で、前連結会計年度末に比べ202億2千9百万円の減少となりました。これは、有価証券が269億9千4百万円減少したことなどによります。
固定資産は2,920億1千6百万円で、前連結会計年度末に比べ157億7千9百万円の増加となりました。これは、投資有価証券が77億7千5百万円、土地が27億3千8百万円増加したことなどによります。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ44億5千万円減少し、4,475億4千9百万円となりました。
負債の部
流動負債は636億2千7百万円で、前連結会計年度末に比べ12億9千万円の増加となりました。これは、未払費用が11億8千5百万円増加したことなどによります。
固定負債は314億3百万円で、前連結会計年度末に比べ45億2百万円の減少となりました。これは、繰延税金負債が57億5千2百万円減少したことなどによります。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ32億1千2百万円減少し、950億3千万円となりました。
純資産の部
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ12億3千8百万円減少し、3,525億1千8百万円となりました。この結果、自己資本比率は78.5%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ18億2千3百万円減少し、397億9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、245億1千3百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入額が42億3千9百万円増加しました。これは、売上債権の増減額が35億9千9百万円増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、164億5千万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が48億9百万円減少しました。これは、有価証券の償還による収入が149億円減少、投資有価証券の取得による支出が90億3千万円増加したものの、有価証券の取得による支出が306億円減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、98億7千8百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が24億4千8百万円増加しました。これは、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が31億9千9百万円増加したことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
テレビ放送事業 | ||
タイム収入 | 84,066 | △2.7 |
スポット収入 | 92,494 | △8.9 |
番組販売収入 | 13,168 | 1.5 |
BS・CS収入 | 26,110 | △2.7 |
その他収入 | 23,443 | 2.7 |
小計 | 239,283 | △4.5 |
音楽出版事業 | 9,867 | 0.0 |
その他事業 | 58,388 | 7.4 |
計 | 307,539 | △2.3 |
セグメント間取引消去 | △13,900 | - |
合計 | 293,638 | △2.7 |
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
㈱電通 | 97,847 | 32.43 | 89,590 | 30.51 |
㈱博報堂DY メディアパートナーズ | 60,365 | 20.01 | 59,585 | 20.29 |