有価証券報告書-第81期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、人の移動や消費活動の制限が続き、厳しい状況となりました。テレビ広告市況におきましても、東京地区のスポット広告の出稿量が前期を下回るなど、厳しい状況となりました。
このような経済状況のなか、当連結会計年度の売上高は2,645億5千7百万円(前期比△9.9%)、売上原価、販売費及び一般管理費の合計が2,501億4千3百万円(同△11.0%)となりました結果、営業利益は144億1千3百万円(同+14.7%)となりました。また、前期に、東映株式会社の株式を追加取得し、持分法適用関連会社としたことに伴う負ののれん相当額153億3千8百万円を持分法による投資利益に計上したことの反動減などにより、経常利益は179億8千万円(同△43.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は126億円(同△52.3%)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
テレビ放送事業
当連結会計年度は、全日視聴率(6時~24時)個人全体が4.1%、世帯が8.0%でともに2位、ゴールデンタイム(19時~22時)個人全体が6.1%、世帯が10.8%でともに民放2位、プライムタイム(19時~23時)個人全体が6.2%で2位、世帯が11.2%で1位、プライム2(23時~25時)個人全体が2.5%、世帯が5.0%でともに2位で終了し、各区分ともトップグループを維持しております。
当連結会計年度は、ゴールデン・プライム帯では、「報道ステーション」が放送した全51週で同時間帯トップを獲得、個人全体平均7.1%で2005年度に並ぶ自己最高タイの高さを記録しました。また、10月クールより、21時台に「サンデーステーション」が移動、「サタデーステーション」と合わせたプライム帯のニュースベルトが好調な結果となっております。連続ドラマでは、4月の緊急事態宣言の発令を受けて、撮影の一時中断が発生するなど、放送日がイレギュラーな環境となるなか、「BG~身辺警護人~」(平均:個人全体8.6%、世帯15.6%)、「相棒season19」(平均:個人全体8.4%、世帯15.0%)をはじめ、「七人の秘書」(平均:個人全体7.9%、世帯14.5%)、「特捜9」(平均:個人全体7.6%、世帯14.0%)など各クールで好成績を残し、当期に放送された民放連続ドラマの個人全体視聴率平均トップ10に6作品が入りました。そして、バラエティー番組では、従来から好調な月曜、日曜に加えて、金曜の「ザワつく!金曜日」が前期を大きく上回る数字を獲得しております。
全日帯では、「羽鳥慎一モーニングショー」が自己最高を更新し、初めて個人全体で同時間帯の全局トップを獲得、「じゅん散歩」「大下容子ワイド!スクランブル1部」でも自己最高を更新するなど、午前帯のベルト番組から良い流れを作りました。週末では、夕方帯の「人生の楽園」「相葉マナブ」が引き続き高視聴率をキープ、それぞれ前期からさらに数字を伸ばしました。
正月三が日は、「相棒 元日スペシャル」「夢対決2021とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」などが高視聴率となり、プライムタイムは13年連続、ゴールデンタイムは7年連続のトップを獲得、三が日は3日間ともゴールデン・プライム帯の2冠となりました。
以上のような状況のなか、収益の拡大を図るため、積極的な営業活動を展開しました。
タイム収入は、アドバタイザーの宣伝活動において柔軟性と効率性を重視する動きから、引き続き固定費削減傾向がみられ、レギュラー番組のセールスは減収となりました。単発番組につきましても、2夜連続ドラマスペシャル「逃亡者」やスペシャルドラマ「エアガール」などで増収を図ったものの、前期の「世界野球プレミア12」や、開局60周年記念番組である5夜連続ドラマスペシャル「山崎豊子 白い巨塔」「世界水泳韓国・光州2019」などの反動減により、減収となりました。以上の結果、タイム収入合計は752億6百万円(前期比△10.5%)となりました。
スポット収入は、東京地区の広告出稿量が新型コロナウイルス感染症の影響で、前期を大幅に下回ったことなどから減収となりました。業種別では、「官公庁・団体」は好調でしたが、「交通・レジャー」「薬品・医療用品」「不動産・住宅設備」「金融・保険」など多くの業種で減収となりました。以上の結果、スポット収入は794億2千3百万円(同△14.1%)となりました。
また、BS・CS収入は249億3百万円(同△4.6%)、番組販売収入は128億2千5百万円(同△2.6%)、その他収入は208億4千6百万円(同△11.1%)となりました。
以上により、テレビ放送事業の売上高は2,132億5百万円(同△10.9%)、営業費用は番組制作費などのコストコントロールにより2,021億4千6百万円(同△13.0%)となりました結果、営業利益は110億5千9百万円(同+58.0%)となりました。
音楽出版事業
前期に開催した「ケツメイシ」のコンサートツアーの反動減や、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、「ソナーポケット」「湘南乃風」のコンサートツアーの延期などにより、音楽出版事業の売上高は63億9千1百万円(前期比△35.2%)、営業費用は56億7千万円(同△35.9%)となりました結果、営業利益は7億2千1百万円(同△29.1%)となりました。
その他事業
インターネット事業では、KDDI株式会社との共同出資会社のTELASA株式会社を設立し、2020年4月にテレビ朝日の本店プラットフォームとしてSVOD(定額制動画配信)サービス「TELASA」をスタートさせました。TELASAオリジナルのテレビ朝日との連動コンテンツを数多く揃えるなどの施策により、着実に会員数を増やしております。株式会社サイバーエージェントとの共同事業「ABEMA」は、サービス開始からの目標であった1,000万WAU(ウイークリーアクティブユーザー)を恒常的に達成するなど順調に推移しました。「ABEMA NEWS」は注目度の高いコロナ関連ニュース・記者会見等や災害情報をリアルタイムで配信。報道特番などもタイムリーに編成し、緊急時の「生活インフラ」としても定着しつつあります。無料見逃し動画配信サービスでは、「TVer」の運営会社に在京キー5局が追加出資し、テレビ局が主導してビジネスを推進する体制としました。また、動画広告配信プラットフォームを構築・運用する連結子会社の株式会社UltraImpressionは、見逃し動画配信での広告を中心に売上を拡大しております。さらに、「新日本プロレスワールド」や「東映特撮ファンクラブ」などの動画配信事業では、コロナ禍でもコア・ファンのニーズに合致したコンテンツを展開し、安定した成長を続けております。
イベント事業では、世界的大注目アーティストの展覧会「バンクシー展 天才か反逆者か」を日本初開催。開催した横浜・大阪・名古屋でいずれも大盛況となっております。また、毎年恒例の「激辛グルメ祭り」では、人気メニューをウェブで販売。激辛ファンの期待に応え、堅調な売上を記録しました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION」などの主要案件が中止となり減収となりました。
ショッピング事業は、通販番組「じゅん散歩」の好調な視聴率とコロナ禍での巣ごもり需要を背景に、大幅な増収となりました。また、定期的に放送した通販特番「今田耕司★ヒットの世界」や「坂上くんが試してみた!!」が好評を博し、ショッピング事業全体で過去最高の売上高となりました。2020年11月には通信販売事業者の株式会社イッティを連結子会社化しました。同社は若年層向け商材を多く開発し、自社ECで幅広く展開しており、グループのショッピング事業の強化を図ってまいります。
出資映画事業は、コロナ禍で各作品が公開延期となりましたが、そうしたなかでも「映画ドラえもん のび太の新恐竜」が興行収入33億5千万円、ドラえもん50周年記念作品「STAND BY ME ドラえもん2」が興行収入27億5千万円のヒットを記録し、好評を博しました。
DVD販売は、ジャニーズJr.の番組と夏祭り公演を収録した「裸の少年」や、美 少年の連続ドラマ初主演作となる「真夏の少年~19452020」、人気シリーズ「相棒」など、様々なタイトルをリリースしました。
以上により、その他事業の売上高は586億5百万円(前期比+0.4%)、営業費用は559億7千4百万円(同+4.1%)となりました結果、営業利益は26億3千万円(同△42.8%)となりました。
報告セグメントごとの経営成績の推移は、次のとおりであります。
(単位:百万円、%表示は対前期増減率)
(単位:百万円、%表示は対前期増減率)
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
資産の部
流動資産は1,515億4千万円で、前連結会計年度末に比べ39億9千2百万円の減少となりました。これは、有価証券が16億9千4百万円増加したものの、信託受益権などの減少により「その他」が33億5百万円、現金及び預金が31億3千4百万円減少したことなどによります。
固定資産は3,221億9千9百万円で、前連結会計年度末に比べ301億8千2百万円の増加となりました。これは、投資有価証券が278億8千3百万円、土地が48億2千7百万円増加したことなどによります。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ261億9千万円増加し、4,737億3千9百万円となりました。
負債の部
流動負債は603億6千2百万円で、前連結会計年度末に比べ32億6千4百万円の減少となりました。これは、未払金が31億6千6百万円減少したことなどによります。
固定負債は372億7千1百万円で、前連結会計年度末に比べ58億6千8百万円の増加となりました。これは、繰延税金負債が71億8千3百万円増加したことなどによります。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ26億3百万円増加し、976億3千4百万円となりました。
純資産の部
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ235億8千6百万円増加し、3,761億5百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が179億7千3百万円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は79.1%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ43億5千3百万円増加し、440億6千2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、205億9千6百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入額が39億1千6百万円減少しました。これは、持分法による投資損益が156億3千万円減少したものの、税金等調整前当期純利益が129億2千5百万円、売上債権の増減額が42億6千7百万円減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、79億5千9百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が84億9千万円減少しました。これは、有価証券の償還による収入が485億円減少したものの、有価証券の取得による支出が382億円、投資有価証券の取得による支出が148億4千1百万円減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、82億5千1百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が16億2千7百万円減少しました。
③生産、受注及び販売の実績
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の売上実績及びそれぞれの総売上高に対する割合は次のとおりであります。なお、2020年1月1日付で、㈱電通は㈱電通が営む一切の事業(ただし、㈱電通が株式を保有する会社の事業活動に対するガバナンス及びグループ運営に関する事業を除く)を会社分割により㈱電通承継準備会社に承継させるとともに、㈱電通は㈱電通グループに、㈱電通承継準備会社は㈱電通に、それぞれ商号変更しております。前連結会計年度の売上実績については、2019年12月31日以前の㈱電通(現㈱電通グループ)に対する売上実績及び2020年1月1日以後の㈱電通に対する売上実績を合算して記載しております。
2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(単位:百万円、%表示は対前期増減率)
(売上高及び営業利益)
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
(経常利益)
営業外収益は37億9千4百万円で、前連結会計年度に比べ159億5千5百万円の減少となりました。これは、前期に、東映株式会社の株式を追加取得し、持分法適用関連会社としたことに伴う負ののれん相当額153億3千8百万円を持分法による投資利益に計上したことの反動減などによります。営業外費用は2億2千6百万円で、前連結会計年度に比べ3千9百万円の減少となりました。
以上の結果、経常利益は179億8千万円(前期比△43.9%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は22億2千3百万円で、前連結会計年度に比べ19億1千3百万円の増加となりました。上場株式の売却に伴い投資有価証券売却益を22億2千3百万円計上しております。特別損失は13億7千万円で、前連結会計年度に比べ7億7千1百万円の増加となりました。貸倒引当金繰入額を6億3百万円、新型コロナウイルス感染症による損失を4億7千万円、減損損失を1億9千8百万円、投資有価証券評価損を9千8百万円計上しております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は126億円(前期比△52.3%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
資本の財源として当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高が、総資産の9.3%を占める440億6千2百万円となりました。当社グループでは、主に営業活動から得た資金及び内部留保による自己資金を財源とし、コンテンツ力強化に向けた投資や設備投資、さらなる成長のための戦略投資などを行っております。なお、当社はグループ会社の資金調達及び資金運用を効率的に行うため、キャッシュ・マネジメント・システムを活用し、一括した管理を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性の見込めない部分を評価性引当額として繰延税金資産から控除しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、市場の動向や経済環境の変化などにより見積りの前提条件や仮定に変更が生じた場合、課税所得の見積りが大きく変動し、繰延税金資産の取崩しなど税金費用の計上額に影響を及ぼす可能性があります。
(退職給付に係る負債及び退職給付費用)
当社グループは、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。経済環境や金融市場の変化等により実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用や計上される退職給付に係る負債に影響を及ぼします。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、人の移動や消費活動の制限が続き、厳しい状況となりました。テレビ広告市況におきましても、東京地区のスポット広告の出稿量が前期を下回るなど、厳しい状況となりました。
このような経済状況のなか、当連結会計年度の売上高は2,645億5千7百万円(前期比△9.9%)、売上原価、販売費及び一般管理費の合計が2,501億4千3百万円(同△11.0%)となりました結果、営業利益は144億1千3百万円(同+14.7%)となりました。また、前期に、東映株式会社の株式を追加取得し、持分法適用関連会社としたことに伴う負ののれん相当額153億3千8百万円を持分法による投資利益に計上したことの反動減などにより、経常利益は179億8千万円(同△43.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は126億円(同△52.3%)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
テレビ放送事業
当連結会計年度は、全日視聴率(6時~24時)個人全体が4.1%、世帯が8.0%でともに2位、ゴールデンタイム(19時~22時)個人全体が6.1%、世帯が10.8%でともに民放2位、プライムタイム(19時~23時)個人全体が6.2%で2位、世帯が11.2%で1位、プライム2(23時~25時)個人全体が2.5%、世帯が5.0%でともに2位で終了し、各区分ともトップグループを維持しております。
当連結会計年度は、ゴールデン・プライム帯では、「報道ステーション」が放送した全51週で同時間帯トップを獲得、個人全体平均7.1%で2005年度に並ぶ自己最高タイの高さを記録しました。また、10月クールより、21時台に「サンデーステーション」が移動、「サタデーステーション」と合わせたプライム帯のニュースベルトが好調な結果となっております。連続ドラマでは、4月の緊急事態宣言の発令を受けて、撮影の一時中断が発生するなど、放送日がイレギュラーな環境となるなか、「BG~身辺警護人~」(平均:個人全体8.6%、世帯15.6%)、「相棒season19」(平均:個人全体8.4%、世帯15.0%)をはじめ、「七人の秘書」(平均:個人全体7.9%、世帯14.5%)、「特捜9」(平均:個人全体7.6%、世帯14.0%)など各クールで好成績を残し、当期に放送された民放連続ドラマの個人全体視聴率平均トップ10に6作品が入りました。そして、バラエティー番組では、従来から好調な月曜、日曜に加えて、金曜の「ザワつく!金曜日」が前期を大きく上回る数字を獲得しております。
全日帯では、「羽鳥慎一モーニングショー」が自己最高を更新し、初めて個人全体で同時間帯の全局トップを獲得、「じゅん散歩」「大下容子ワイド!スクランブル1部」でも自己最高を更新するなど、午前帯のベルト番組から良い流れを作りました。週末では、夕方帯の「人生の楽園」「相葉マナブ」が引き続き高視聴率をキープ、それぞれ前期からさらに数字を伸ばしました。
正月三が日は、「相棒 元日スペシャル」「夢対決2021とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」などが高視聴率となり、プライムタイムは13年連続、ゴールデンタイムは7年連続のトップを獲得、三が日は3日間ともゴールデン・プライム帯の2冠となりました。
以上のような状況のなか、収益の拡大を図るため、積極的な営業活動を展開しました。
タイム収入は、アドバタイザーの宣伝活動において柔軟性と効率性を重視する動きから、引き続き固定費削減傾向がみられ、レギュラー番組のセールスは減収となりました。単発番組につきましても、2夜連続ドラマスペシャル「逃亡者」やスペシャルドラマ「エアガール」などで増収を図ったものの、前期の「世界野球プレミア12」や、開局60周年記念番組である5夜連続ドラマスペシャル「山崎豊子 白い巨塔」「世界水泳韓国・光州2019」などの反動減により、減収となりました。以上の結果、タイム収入合計は752億6百万円(前期比△10.5%)となりました。
スポット収入は、東京地区の広告出稿量が新型コロナウイルス感染症の影響で、前期を大幅に下回ったことなどから減収となりました。業種別では、「官公庁・団体」は好調でしたが、「交通・レジャー」「薬品・医療用品」「不動産・住宅設備」「金融・保険」など多くの業種で減収となりました。以上の結果、スポット収入は794億2千3百万円(同△14.1%)となりました。
また、BS・CS収入は249億3百万円(同△4.6%)、番組販売収入は128億2千5百万円(同△2.6%)、その他収入は208億4千6百万円(同△11.1%)となりました。
以上により、テレビ放送事業の売上高は2,132億5百万円(同△10.9%)、営業費用は番組制作費などのコストコントロールにより2,021億4千6百万円(同△13.0%)となりました結果、営業利益は110億5千9百万円(同+58.0%)となりました。
音楽出版事業
前期に開催した「ケツメイシ」のコンサートツアーの反動減や、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、「ソナーポケット」「湘南乃風」のコンサートツアーの延期などにより、音楽出版事業の売上高は63億9千1百万円(前期比△35.2%)、営業費用は56億7千万円(同△35.9%)となりました結果、営業利益は7億2千1百万円(同△29.1%)となりました。
その他事業
インターネット事業では、KDDI株式会社との共同出資会社のTELASA株式会社を設立し、2020年4月にテレビ朝日の本店プラットフォームとしてSVOD(定額制動画配信)サービス「TELASA」をスタートさせました。TELASAオリジナルのテレビ朝日との連動コンテンツを数多く揃えるなどの施策により、着実に会員数を増やしております。株式会社サイバーエージェントとの共同事業「ABEMA」は、サービス開始からの目標であった1,000万WAU(ウイークリーアクティブユーザー)を恒常的に達成するなど順調に推移しました。「ABEMA NEWS」は注目度の高いコロナ関連ニュース・記者会見等や災害情報をリアルタイムで配信。報道特番などもタイムリーに編成し、緊急時の「生活インフラ」としても定着しつつあります。無料見逃し動画配信サービスでは、「TVer」の運営会社に在京キー5局が追加出資し、テレビ局が主導してビジネスを推進する体制としました。また、動画広告配信プラットフォームを構築・運用する連結子会社の株式会社UltraImpressionは、見逃し動画配信での広告を中心に売上を拡大しております。さらに、「新日本プロレスワールド」や「東映特撮ファンクラブ」などの動画配信事業では、コロナ禍でもコア・ファンのニーズに合致したコンテンツを展開し、安定した成長を続けております。
イベント事業では、世界的大注目アーティストの展覧会「バンクシー展 天才か反逆者か」を日本初開催。開催した横浜・大阪・名古屋でいずれも大盛況となっております。また、毎年恒例の「激辛グルメ祭り」では、人気メニューをウェブで販売。激辛ファンの期待に応え、堅調な売上を記録しました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION」などの主要案件が中止となり減収となりました。
ショッピング事業は、通販番組「じゅん散歩」の好調な視聴率とコロナ禍での巣ごもり需要を背景に、大幅な増収となりました。また、定期的に放送した通販特番「今田耕司★ヒットの世界」や「坂上くんが試してみた!!」が好評を博し、ショッピング事業全体で過去最高の売上高となりました。2020年11月には通信販売事業者の株式会社イッティを連結子会社化しました。同社は若年層向け商材を多く開発し、自社ECで幅広く展開しており、グループのショッピング事業の強化を図ってまいります。
出資映画事業は、コロナ禍で各作品が公開延期となりましたが、そうしたなかでも「映画ドラえもん のび太の新恐竜」が興行収入33億5千万円、ドラえもん50周年記念作品「STAND BY ME ドラえもん2」が興行収入27億5千万円のヒットを記録し、好評を博しました。
DVD販売は、ジャニーズJr.の番組と夏祭り公演を収録した「裸の少年」や、美 少年の連続ドラマ初主演作となる「真夏の少年~19452020」、人気シリーズ「相棒」など、様々なタイトルをリリースしました。
以上により、その他事業の売上高は586億5百万円(前期比+0.4%)、営業費用は559億7千4百万円(同+4.1%)となりました結果、営業利益は26億3千万円(同△42.8%)となりました。
報告セグメントごとの経営成績の推移は、次のとおりであります。
(単位:百万円、%表示は対前期増減率)
売上高 | |||||
2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | ||
テレビ放送事業 | 252,765 | 250,581 | 239,283 | 213,205 | △10.9% |
音楽出版事業 | 11,042 | 9,863 | 9,867 | 6,391 | △35.2% |
その他事業 | 50,945 | 54,344 | 58,388 | 58,605 | 0.4% |
調整額 | △12,242 | △13,045 | △13,900 | △13,645 | ― |
合計 | 302,511 | 301,744 | 293,638 | 264,557 | △9.9% |
(単位:百万円、%表示は対前期増減率)
セグメント利益 | |||||
2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | ||
テレビ放送事業 | 15,550 | 11,812 | 7,000 | 11,059 | 58.0% |
音楽出版事業 | 811 | 819 | 1,018 | 721 | △29.1% |
その他事業 | 2,269 | 3,564 | 4,598 | 2,630 | △42.8% |
調整額 | 2 | △32 | △51 | 2 | ― |
合計 | 18,634 | 16,164 | 12,565 | 14,413 | 14.7% |
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
資産の部
流動資産は1,515億4千万円で、前連結会計年度末に比べ39億9千2百万円の減少となりました。これは、有価証券が16億9千4百万円増加したものの、信託受益権などの減少により「その他」が33億5百万円、現金及び預金が31億3千4百万円減少したことなどによります。
固定資産は3,221億9千9百万円で、前連結会計年度末に比べ301億8千2百万円の増加となりました。これは、投資有価証券が278億8千3百万円、土地が48億2千7百万円増加したことなどによります。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ261億9千万円増加し、4,737億3千9百万円となりました。
負債の部
流動負債は603億6千2百万円で、前連結会計年度末に比べ32億6千4百万円の減少となりました。これは、未払金が31億6千6百万円減少したことなどによります。
固定負債は372億7千1百万円で、前連結会計年度末に比べ58億6千8百万円の増加となりました。これは、繰延税金負債が71億8千3百万円増加したことなどによります。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ26億3百万円増加し、976億3千4百万円となりました。
純資産の部
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ235億8千6百万円増加し、3,761億5百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が179億7千3百万円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は79.1%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ43億5千3百万円増加し、440億6千2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、205億9千6百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入額が39億1千6百万円減少しました。これは、持分法による投資損益が156億3千万円減少したものの、税金等調整前当期純利益が129億2千5百万円、売上債権の増減額が42億6千7百万円減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、79億5千9百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が84億9千万円減少しました。これは、有価証券の償還による収入が485億円減少したものの、有価証券の取得による支出が382億円、投資有価証券の取得による支出が148億4千1百万円減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、82億5千1百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が16億2千7百万円減少しました。
③生産、受注及び販売の実績
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
テレビ放送事業 | ||
タイム収入 | 75,206 | △10.5 |
スポット収入 | 79,423 | △14.1 |
番組販売収入 | 12,825 | △2.6 |
BS・CS収入 | 24,903 | △4.6 |
その他収入 | 20,846 | △11.1 |
小計 | 213,205 | △10.9 |
音楽出版事業 | 6,391 | △35.2 |
その他事業 | 58,605 | 0.4 |
計 | 278,202 | △9.5 |
セグメント間取引消去 | △13,645 | - |
合計 | 264,557 | △9.9 |
(注) 1 主な相手先別の売上実績及びそれぞれの総売上高に対する割合は次のとおりであります。なお、2020年1月1日付で、㈱電通は㈱電通が営む一切の事業(ただし、㈱電通が株式を保有する会社の事業活動に対するガバナンス及びグループ運営に関する事業を除く)を会社分割により㈱電通承継準備会社に承継させるとともに、㈱電通は㈱電通グループに、㈱電通承継準備会社は㈱電通に、それぞれ商号変更しております。前連結会計年度の売上実績については、2019年12月31日以前の㈱電通(現㈱電通グループ)に対する売上実績及び2020年1月1日以後の㈱電通に対する売上実績を合算して記載しております。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
㈱電通 | 89,590 | 30.51 | 78,319 | 29.60 |
㈱博報堂DY メディアパートナーズ | 59,585 | 20.29 | 49,525 | 18.72 |
2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(単位:百万円、%表示は対前期増減率)
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前期比増減 | 増減率 | |
売上高 | 293,638 | 264,557 | △29,081 | △9.9% |
営業利益 | 12,565 | 14,413 | 1,848 | 14.7% |
経常利益 | 32,048 | 17,980 | △14,067 | △43.9% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 26,398 | 12,600 | △13,798 | △52.3% |
(売上高及び営業利益)
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
(経常利益)
営業外収益は37億9千4百万円で、前連結会計年度に比べ159億5千5百万円の減少となりました。これは、前期に、東映株式会社の株式を追加取得し、持分法適用関連会社としたことに伴う負ののれん相当額153億3千8百万円を持分法による投資利益に計上したことの反動減などによります。営業外費用は2億2千6百万円で、前連結会計年度に比べ3千9百万円の減少となりました。
以上の結果、経常利益は179億8千万円(前期比△43.9%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は22億2千3百万円で、前連結会計年度に比べ19億1千3百万円の増加となりました。上場株式の売却に伴い投資有価証券売却益を22億2千3百万円計上しております。特別損失は13億7千万円で、前連結会計年度に比べ7億7千1百万円の増加となりました。貸倒引当金繰入額を6億3百万円、新型コロナウイルス感染症による損失を4億7千万円、減損損失を1億9千8百万円、投資有価証券評価損を9千8百万円計上しております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は126億円(前期比△52.3%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
資本の財源として当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高が、総資産の9.3%を占める440億6千2百万円となりました。当社グループでは、主に営業活動から得た資金及び内部留保による自己資金を財源とし、コンテンツ力強化に向けた投資や設備投資、さらなる成長のための戦略投資などを行っております。なお、当社はグループ会社の資金調達及び資金運用を効率的に行うため、キャッシュ・マネジメント・システムを活用し、一括した管理を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性の見込めない部分を評価性引当額として繰延税金資産から控除しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、市場の動向や経済環境の変化などにより見積りの前提条件や仮定に変更が生じた場合、課税所得の見積りが大きく変動し、繰延税金資産の取崩しなど税金費用の計上額に影響を及ぼす可能性があります。
(退職給付に係る負債及び退職給付費用)
当社グループは、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。経済環境や金融市場の変化等により実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用や計上される退職給付に係る負債に影響を及ぼします。