有価証券報告書-第25期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/28 9:46
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社並びに連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
①財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,521百万円となり、前連結会計年度末に比べ240百万円増加しました。これは主に未収入金が128百万円減少した一方、現金及び預金が374百万円増加したことによるものです。固定資産は330百万円となり、前連結会計年度末に比べ134百万円増加しました。これは主に有形固定資産が84百万円、無形固定資産が42百万円増加したことによるものです。
この結果、総資産は1,857百万円となり、前連結会計年度末に比べ375百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,492百万円となり、前連結会計年度末に比べ588百万円増加しました。これは主に買掛金が456百万円、未払金が51百万円増加したことによるものです。固定負債は23百万円となり、前連結会計年度末に比べ5百万円減少しました。これは主に長期借入金が9百万円減少したことによるものです。
この結果、負債は1,516百万円となり、前連結会計年度末に比べ583百万円増加しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は341百万円となり、前連結会計年度末に比べ207百万円減少しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失273百万円を計上したことによるものです。
この結果、自己資本比率は14.2%(前連結会計年度末は36.0%)となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、社会生活は多くの制約を受け、経済活動も縮小した1年となりました。
このような状況において、当社は、引き続き、安全・安心にデータを運ぶ(通信する)ことを自らの使命(ミッション)として事業を展開していますが、2021年3月期は2016年3月期以来のターニングポイントとなりました。当社は、2016年1月に公表した新事業戦略に基づき、SIM事業の収益改善を図りながら、中長期的な成長ドライバーであるFinTechプラットフォーム「FPoS」(Fintech Platform over SIM、エフポス)の商用化に向けた取り組みを進めていますが、当連結会計年度下半期にSIM事業の収益が大きく改善し、当第3四半期には5年ぶりに四半期の黒字決算を実現することができました。このことは、当社が、今後の収益安定化に向けて大きく前進したことを示しています。
当社は1996年の創業時から、MVNO事業モデルという新たな通信事業の在り方を提唱し、以来一貫して自ら実践してまいりました。当社が、2007年11月の総務大臣裁定によりデータ通信を原価ベース(原価に適正利潤を加えた額を超えない額)で調達できるようになったことは第1次MVNO規制緩和であり、2016年5月の電気通信事業法及び関連法令の改正により接続ルールの充実が図られたことは第2次MVNO規制緩和と言えますが、今回、2020年6月の総務大臣裁定により音声通信についても原価ベースで調達できるようになったことは、第3次MVNO規制緩和であり、MVNO事業モデルがようやく整ったものと言えます。
(ⅰ)SIM事業について
当社は、2020年6月の総務大臣裁定を受け、同年7月に「日本通信SIM」という新たなブランドにより、音声定額プランを発売しました。このプランは、多くのお客様の支持を受け、当連結会計年度後半の収益を押し上げる結果となりました。
2019年11月に音声卸交渉に関する総務大臣裁定を申請した時点では、モバイルネットワークの主な利用用途はもはやデータ通信であるとして、音声通信の調達に注力することへの疑問も指摘されていましたが、「日本通信SIM」への評価は、音声定額の利用者にとって同等のサービスでなければ乗り換えの選択肢にならないこと、すなわち、音声定額を実装したことで、大手携帯事業者で音声定額を利用している8,000万人を超える方々にとって、当社のサービスがようやく選択肢となったことを示しています。
「日本通信SIM」では、大手携帯事業者から番号ポータビリティ制度(MNP)で乗り換えるお客様が8割以上を占めています。一般に、MNPで転入されたお客様は、そうでない方に比べて長く利用していただけるため、当社の収益基盤の安定化に大きく貢献するものと期待しています。
(ⅱ)FPoSによるデジタル化の推進について
当社は、SIM事業による安定的な収益基盤を構築しながら、同時に、FPoSの商用化に向けた準備を進めています。
FPoSは、本来はフィンテックのプラットフォームとして、スマートフォンで安全に金融取引を行うことを目的として開発されたものですが、新型コロナウイルスの影響下においてデジタル化の機運が高まる中、FPoSが備えている高度な安全性は、金融取引に限らず、社会全体で利用されるデジタルIDとしての役割を期待されるようになっています。
世の中には、いわゆるスマホID、つまりスマートフォンのアプリケーションでIDを作成する仕組みが広く普及しています。しかしながら、スマホIDは、利用者数の増加による規模の利益を目指す提供者側の論理により、本人確認が厳格ではなく、本人性(表示された者が本人であること)が脆弱です。また、スマホIDは、アプリケーション、すなわちソフトウェアでIDを作成するため、ハッキングされる可能性があり、真正性(表示された意思が本人の意思であること)にも劣ります。したがって、今後、社会のデジタル化が進展した場合、スマホIDを高度な安全性が求められる用途に使用することはできず、より信頼度の高いデジタルIDが必要となります。
FPoSは、スマートフォン内部のICチップにIDを作り出す仕組みであり、ICチップによって安全性を担保しているキャッシュカード、クレジットカード、マイナンバーカード等と同等の安全性を備えています。したがって、信頼度が高く、社会全体で利用されるデジタルIDしての役割を果たすことができるものです。
現在、内閣府の国家戦略特区制度では、デジタル化が進んだ未来都市を丸ごと作ることを目指すスーパーシティ構想を推進しており、多くの地方自治体が国家戦略特区の認定を申請していますが、複数の申請において、FPoSを基盤とするデジタルIDが想定されています。スーパーシティで使用するデジタルIDは、スーパーシティの一員として本人であることを担保する機能に加え、スーパーシティで提供されるサービスの対価を決済する機能が求められます。スーパーシティには、メガバンクや地方銀行等の金融機関が参画している場合が多く、当社は、FPoSの本来の目的である金融プラットフォームとしての実績を作りながら、社会全体で利用されるデジタルIDとしての実績を作っていくことを目指しています。
(ⅲ)ローカル4G/5Gについて
2020年12月にプライベートLTE(sXGP)の周波数帯域幅が3倍に増加したことで、ローカル4G/5Gに対する現実的なソリューションとしての期待が高まっています。当社は当第4四半期において、ローカル5Gの実証プロジェクトに参画し、地域の中核病院でローカル5Gに求められている課題を体験することができました。一方、新型コロナウイルスの影響下において、GIGAスクール構想により、急遽、小中学生にタブレット端末等が配布されましたが、地方自治体が通信料金を負担する仕組みが長続きしないことは明らかです。地方自治体には、市内全域にプライベートLTEを設置する想定で申請をしている事例もありますが、地方自治体がプライベートLTEを運営し、地域内の通信を提供することができれば、子供たちに安定した学習機会を提供することができるため、実現した場合の波及効果は大きいものとなります。当社は引き続き、ローカル4G/5Gの事業分野を強化していきます。
なお、米国においては、ローカル4G/5Gの先駆的な仕組みであるCBRS向けに、ハイブリッドSIM、すなわちローカル基地局と大手携帯事業者の基地局の両方を使うことができるSIMの提供を開始しています。CBRSは、大学やオフィス等の環境において、WiFiに代わる無線通信として位置付けられていますが、WiFiとは異なり、SIMによる認証が必要となるため、当社米国子会社は、CBRSを推進する大手企業にSIM及びSIMによる認証の仕組みを提供する準備を進めています。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,497百万円(前連結会計年度は3,510百万円)となりました。累計期間では前年対比では若干の減収ですが、これは音声サービスを中心とした新サービス及びローカル5G実証プロジェクトの増収効果があった一方、新型コロナウイルスの影響により、訪日外国人向けサービスの減収が大きかったためです。
売上原価は2,223百万円(前連結会計年度は2,511百万円)となりました。これは主に、帯域増強によりコスト増になった一方、データ通信のキャリアとの接続料の単価が下がったことや、総務大臣裁定により、NTTドコモからの音声通信を原価ベースで調達できるようになり、原価率が改善したためです。
営業利益は248百万円の損失(前連結会計年度は670百万円の損失)、経常利益は242百万円の損失(前連結会計年度は669百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は273百万円の損失(前連結会計年度は840百万円の損失)となりましたが、当第3四半期には5年ぶりに四半期ベースで黒字転換を果たしています。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は1,025百万円となり、前連結会計年度末に比べ374百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは419百万円の収入(前連結会計年度は633百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失270百万円を計上した一方、仕入債務が456百万円増加、未収入金が128百万円減少、未払又は未収消費税等が73百万円増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは53百万円の支出(前連結会計年度は57百万円の支出)となりました。これは主に固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは6百万円の収入(前連結会計年度は702百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が21百万円あった一方、非支配株主からの払込みによる収入が24百万円あったことによるものです。
④生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当社グループのサービス提供の実績は、販売実績とほぼ一致していますので、生産実績に関しては(d) 販売実績の項をご参照ください。
(b) 仕入実績
当社グループの当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、セグメントについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)セグメント情報」をご参照ください。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 令和2年4月1日
至 令和3年3月31日)
前年同期比(%)
日本事業(千円)1,646,11089.7
海外事業(千円)44,51438.5
合計(千円)1,690,62586.7

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2.金額は仕入価額で表示しています。
(c) 受注実績
当社グループは 、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しています。
(d) 販売実績
当社グループの販売実績は、出荷金額に基づいており、当連結会計年度販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 令和2年4月1日
至 令和3年3月31日)
前年同期比(%)
日本事業(千円)3,358,123100.7
海外事業(千円)129,60565.5
合計(千円)3,487,72998.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上である相手先は次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 平成31年4月1日
至 令和2年3月31日)
当連結会計年度
(自 令和2年4月1日
至 令和3年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社U-NEXT552,08115.6411,22811.8

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成しています。その作成は経営者による会計方針の選択及び適用、並びに資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の会計方針に関する事項が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えます。
(ⅰ)収益の認識
当社グループは、次のサービスラインごとに売上の計上基準を分けています。
(a)プリペイド・サービス(bモバイル)及び機器向けサービス
当該期間の通信サービスを提供するもの(例:12ヶ月間使い放題のSIM)は当該期間にわたって売上高を按分して計上。
(b)月額課金サービス
移動体通信端末の売上は出荷基準
通話料及びその他付加価値サービスの売上は役務提供基準
(ⅱ)貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案して、回収不能見込額を計上しています。販売先の財務状況及び支払能力に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅲ)たな卸資産の評価
当社グループは、総平均法に基づく原価法(貸借対照表価額については、収益性の低下による簿価切下げの方法)により評価しています。将来の市場環境に重要な変動が生じた場合、これらのたな卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅳ)固定資産の減損
当社グループは、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産の帳簿価額を、回収可能価額まで減損する会計処理を適用しています。経済環境の著しい悪化等により営業収益が大幅に低下する場合等には、減損損失が発生する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ)経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は前期比0.4%減の3,497百万円(前連結会計年度は3,510百万円)となりました。これは、音声の新サービスである音声かけ放題サービスや音声70分のサービスを提供開始したこと、GIGAスクール構想により教育委員会にデータ通信サービス導入件数が増加したこと等による月額課金サービスの増収があったこと、及びローカル5G実証プロジェクト等により増収効果があった一方、新型コロナウイルス感染症の影響により、訪日外国人向けプリペイドSIMの販売額の減少と2019年10月に改正電気通信事業法が施行されたことによるMNPキャッシュバックを目的とする超短期契約者数が減少したことによる関連手数料の減収が大きく、前連結会計年度に比べ微減となりました。
売上原価は2,223百万円(前連結会計年度は2,511百万円)となりました。これは主に、帯域増強によりコスト増になったものの、大手携帯各社がMVNO向けに設定する接続料単価の年次改定による原価低減、並びに2020年6月の音声に関する総務大臣裁定により、NTTドコモから音声通信を原価ベースで調達できるようになったことから原価率は改善しました。
販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)は前期比8.7%減の1,523百万円(前連結会計年度は1,669百万円)となり、営業利益は248百万円の損失(前連結会計年度は670百万円の損失)となりました。
経常利益は営業損失に加え、持分法による投資利益を計上したことなどにより242百万円の損失(前連結会計年度は669百万円の損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、米国子会社における元従業員との雇用契約に関する申立てに基づく元従業員との和解金の支払い28百万円を計上したことにより273百万円の損失(前連結会計年度は840百万円の損失)となりましたが、当第3四半期には5年ぶりに四半期ベースで黒字転換を果たしています。
(ⅱ)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
運転資金は基本的に内部資金より充当しています。また、開発費用や設備投資に係る長期に亘る資金需要に関しては、令和2年3月19日開催の取締役会において、クレディ・スイス証券株式会社を引受人とする日本通信株式会社第5回新株予約権(第三者割当て)177,700個(目的である株式の数17,770,000株)の発行を決議し、令和2年4月6日に同新株予約権を発行しました。

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