四半期報告書-第12期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/02/08 10:09
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【項目】
29項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、本文中の記載金額は、億円単位の表示は億円未満四捨五入とし、百万円単位の表示は百万円未満切捨てとし
ております。
(1) 経営成績
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しの動きや、国内の企業収益、雇用環境の改善を背景として、緩やかな回復基調が続いております。
当社グループを取り巻く環境としては、メディア事業の分野では既存の有料放送市場が成熟している一方で、巨大資本を背景としたインターネット動画配信事業者が次々と参入し、コンテンツ獲得及び加入者獲得の両面で
競争が激化しております。宇宙事業の分野では船舶・航空機向けの移動体衛星通信や携帯電話基地局向けバック
ホール回線需要が拡大する一方で、グローバルマーケットにおいて海外衛星オペレーターとの厳しい価格競争に
直面しております。また、世界レベルで多くのベンチャー企業が立ち上がるとともに新たな事業者が宇宙ビジネ
スに参入し、安価なロケットの開発や大規模な低軌道衛星通信システムプロジェクトを推進するなど、ビジネス
の環境が大きく変化しようとしております。
このような経済状況の下、当第3四半期連結累計期間における当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
区分前第3四半期
連結累計期間
(百万円)
当第3四半期
連結累計期間
(百万円)
前年同四半期比
(百万円)
増減率
(%)
営業収益109,483128,55519,07217.4%
営業利益12,11512,6485334.4%
経常利益12,84913,6598096.3%
税金等調整前四半期純利益12,99013,7437525.8%
親会社株主に帰属する四半期純利益8,6218,9002793.2%

累計加入件数減少による視聴料収入減少等により、メディア事業の外部顧客への営業収益が38億円減少いたしましたが、Xバンド衛星通信中継機能等の整備・運営事業(以下「Xバンド事業」)の衛星1号機引渡等により、宇宙事業の外部顧客への営業収益が228億円増加したため、営業収益が191億円増加しております。
当社グループのセグメント別の概況は次のとおりです。(業績については、セグメント間の内部営業収益等を含めて記載しております。)
なお、第1四半期連結会計期間より、従来「宇宙・衛星事業」としていた報告セグメントの名称を「宇宙事業」に変更しておりますが、セグメント別の業績に与える影響はありません。
<メディア事業>・コンテンツの差別化
オリジナル番組投入による競合サービスとの差別化として、連続オリジナルアニメ「グラゼニ」及び連続ドラマ「I"s」を放送いたしました。
スポーツコンテンツでは、ドイツ・ブンデスリーガ、ベルギーリーグ、ポルトガルリーグ及びイタリア・セリエAの放送権・配信権を獲得し、平成30年8月より放送を開始いたしました。
また、「欧州サッカーセット」を「スカパー!サッカーセット」に統合一本化いたしました。海外のトップリーグに加え、ルヴァンカップや天皇杯の国内サッカーや様々なオリジナル番組も多数放送し、サッカーファンの期待に応えております。
・サービスの差別化
平成29年12月より平成30年3月末まで実施し好評を博した「スカパー!新基本パック複数台無料キャンペーン」を平成30年9月末まで延長いたしました。10月には、テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが見放題となる「スカパー!基本プラン」の発売を開始し、新規加入件数の増加に寄与しております。引き続き、ご家庭内の複数のお部屋で視聴できる環境を増やし、接触人数・接触時間の増加及び満足度の向上を図り、解約抑止と加入者数の増加を目指します。
また、サービスの高画質化に向けた取り組みとして、「スカパー!」において、標準画質チャンネルのHD(ハイビジョン)化を推進しており、平成30年12月末時点で56チャンネルがHDとなっております。
さらに、平成30年12月より「新4K8K衛星放送」を開始し、新たに9つの4Kチャンネルを放送しております。
・新たな収益の獲得及び事業領域の拡大
平成30年6月に㈱電通、㈱アカツキ、㈱東北新社と共同でTHReee entertainment社を設立いたしました。THReee entertainment社は、音楽ライブコンテンツの海外向け放送権・配信権の販売、スポーツ・音楽におけるファンコミュニケーションアプリの開発提供など、エンタテインメント領域においてコンテンツホルダーと共にコンテンツの企画・制作・運用を行うことを目的として設立した新会社であり、当社グループは、今後THReee entertainment社との連携により、新規事業領域への取り組み強化を図ってまいります。
また、平成30年8月からは、LINE、Amazon、Googleの各社が展開するスマート・スピーカー向けに、「スカパー!番組検索」及び「スカパー!おすすめ番組」の機能提供を開始いたしました。
当第3四半期連結累計期間における加入件数は次のとおりとなりました。
新規加入件数再加入件数解約件数純増減数累計加入件数
332,172件111,600件503,598件△59,826件3,202,567件

前年同四半期比では、解約件数が50千件増加いたしましたが、「スカパー!基本プラン」の発売開始等により新規加入及び再加入件数の合計は71千件増加いたしました。また、累計加入件数は前年同四半期末比36千件減少いたしました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間のメディア事業の経営成績は次のとおりとなりました。
前第3四半期
連結累計期間
(百万円)
当第3四半期
連結累計期間
(百万円)
前年同四半期比
(百万円)
増減率
(%)
営業収益
外部顧客への営業収益77,79574,037△3,757△4.8%
セグメント間の内部営業収益等2,3822,348△33△1.4%
80,17876,386△3,791△4.7%
セグメント利益2,6922,8721796.7%

累計加入件数減少等による視聴料収入の減少33億円等により、営業収益は38億円減少いたしましたが、番組供給料の減少23億円やコンテンツ費の減少19億円等により、営業費用が40億円減少したため、セグメント利益は2億円増加いたしました。
<宇宙事業>・宇宙・防衛ビジネス
防衛省より受注したXバンド事業衛星1号機につきましては、平成30年4月の打ち上げに成功し、その後も安定的な運用を継続しております。
・グローバル・モバイルビジネス
インド洋や太平洋の船舶向けインターネット接続サービスとして、従来の「OceanBB」よりも高速な通信を実現する次世代サービス「OceanBB plus」の提供を平成30年4月より開始いたしました。
また、航空機向けインターネット接続サービス事業者に対する衛星回線の提供については、導入機数の増加や機内利用の拡大により、堅調に推移しております。
平成30年9月にIntelsat S.A.との4機目の共同衛星Horizons 3eの打ち上げに成功いたしました。本衛星は当社グループにおいて初めて導入するハイスループット衛星(HTS:従来よりも伝送容量を大幅に拡張した衛星)であり、アジア・太平洋地域で高まる航空機・船舶等のモバイル需要に対応いたします。
・新たな技術の活用や事業領域拡大への取り組み
Planet Labs Inc.(以下「Planet社」)の保有する多数の超小型地球観測衛星群により高頻度で撮影された衛星画像販売サービスに関しては、政府系機関を中心に、民間でも農業・災害対策・遠隔監視等の分野で需要が拡大しており、順調に契約を獲得しております。
また、当社グループは、Kongsberg Satellite Services ASと共同で提供する低軌道衛星用地上局サービスを㈱アクセルスペースの超小型地球観測衛星に向けて提供する契約を、平成30年12月に締結いたしました。
・衛星運用の安定性及び信頼性の確保と効率化
平成30年4月にSuperbird-B2(軌道位置:東経162度)の後継衛星であるSuperbird-8(軌道上名称:Superbird-B3)の打ち上げに成功し、7月より運用を開始しております。この衛星はKuバンドとKaバンドの高性能トランスポンダを搭載し、主に国内のお客様向けに衛星通信サービスを提供いたします。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の宇宙事業の経営成績は次のとおりとなりました。
前第3四半期
連結累計期間
(百万円)
当第3四半期
連結累計期間
(百万円)
前年同四半期比
(百万円)
増減率
(%)
営業収益
外部顧客への営業収益31,68754,51722,83072.0%
セグメント間の内部営業収益等5,7255,512△213△3.7%
37,41360,03022,61660.5%
セグメント利益9,99610,2872902.9%

Xバンド事業衛星1号機引渡の売上230億円等により営業収益が226億円、同衛星の売上原価計上等により営業費用が223億円増加いたしました。
なお、上記に記載した項目以外の主な損益の状況は、次のとおりであります。
・営業外損益
有利子負債の増加により支払利息は前年同四半期比4億円増加の11億円となりましたが、Xバンド事業債権及び長期貸付金に係る受取利息増加等により受取利息は前年同四半期比6億円増加の16億円となりました。これらに加え、受取利息以外の営業外収益を6億円計上したこと等により、営業外損益は純額で10億円の利益となりました。
・法人税等合計
税金等調整前四半期純利益137億円に対し、法人税等合計49億円(税効果会計適用後の法人税等の負担率は35.7%)を計上いたしました。
また、EBITDAは前年同四半期比2億円減少し、322億円となっております。
(注)EBITDAは、親会社株主に帰属する四半期純利益、法人税等合計、支払利息、減価償却費、のれん償却額の合計として算定しております。
(2) 財政状態
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は3,786億円となり、前連結会計年度末比(以下「前期比」)193億円増加いたしました。
流動資産は、仕掛品が158億円減少した一方で、売掛金の増加180億円や、現金及び現金同等物の増加65億円等により、前期比82億円増加いたしました。なお、仕掛品は、JCSAT-17の調達による増加の一方で、Xバンド事業衛星1号機打ち上げに伴う売上原価への振替により減少いたしました。また、売掛金は、Xバンド事業衛星2号機に係る債権回収の一方で、Xバンド事業衛星1号機打ち上げに伴う債権計上等により増加いたしました。
有形固定資産及び無形固定資産は、設備投資191億円があった一方で、減価償却費166億円、のれん償却額7億円等により、前期比17億円の増加となりました。
投資その他の資産は、当社グループとIntelsat S.A.が共同事業(以下「Horizons 3e事業」)を行う目的で設立した持分法適用関連会社Horizons-3 Satellite LLCへの投資及び貸付等により、投資有価証券が30億円、長期貸付金が75億円増加したため、前期比94億円増加いたしました。
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は1,545億円となり、前期比148億円増加いたしました。
主な増加はXバンド事業やHorizons 3e事業に関する借入れ等による有利子負債の増加152億円であります。なお、Xバンド事業やHorizons 3e事業に必要となる資金調達は、取引銀行と締結したコミットメントライン契約によっております。
当第3四半期連結会計期間末における非支配株主持分を含めた純資産は2,241億円となり、前期比45億円増加いたしました。主な要因は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金の増加36億円であります。また、自己資本比率は58.4%となり、前期比1.9ポイント減少いたしました。
(3) キャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益、減価償却費、のれん償却額の合計が310億円となった一方で、法人税等の支払57億円等により、221億円の収入(前年同四半期は155億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出147億円、長期貸付けによる支出71億円、関係会社株式の取得による支出39億円等により、248億円の支出(前年同四半期は200億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入488億円、長期借入金の返済による支出343億円、配当金支払による支出53億円等により、91億円の収入(前年同四半期は28億円の収入)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前期比65億円増加し、528億円となりました。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針については以下のとおりグループ理念を変更いたしました。
(会社の経営の基本方針)
動画配信サービスや静止衛星の技術革新、低軌道衛星による新たなビジネスの台頭など、当社グループを取り巻く競争環境が大きく変わりつつある中、この変化をチャンスととらえ、加速するデジタル社会の進展とあらゆる空間におけるビジネスフィールドの拡張を見据え、当社グループの果たすべき役割を再定義した新たなグループミッションを定めました。
Space for your Smile
不安が「安心」にかわる社会へ
不便が「快適」にかわる生活へ
好きが「大好き」にかわる人生へ
Space for your Smileには、私たちの目指す世界が描かれています。宇宙も、空も、海も、陸も、家族が集うリビングも、ひとりの自由な場所も、これらすべてのSpaceが笑顔で満たされるように。日常のちょっとした幸せから、まだ見ぬ未来の幸せまで、ひとりひとりの明日がよりよい日になっていく、そんな世界を創りつづけます。
このミッションを実現し、企業価値の増大を図ってまいります。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、連結会計年度に掲げた課題のうち、「<宇宙事業>(4) 衛星運用の安定性及び信頼性の確保と効率化」、及び「<宇宙事業>(5) 既存事業の強化、 ⅲ)グローバル・モバイルビジネス」については、当第3四半期連結累計期間において、次のとおり対処しております。
<宇宙事業>(4) 衛星運用の安定性及び信頼性の確保と効率化
平成30年4月に、Superbird-B2(軌道位置:東経162度)の後継衛星であるSuperbird-8(軌道上衛星名:Superbird-B3)の打ち上げに成功し、7月より運用を開始しております。
<宇宙事業>(5) 既存事業の強化、ⅲ)グローバル・モバイルビジネス
平成30年9月に、Intelsat S.A.との共同調達HTSであるHorizons 3e(軌道位置:東経169度)の打ち上げに成功いたしました。なお、本衛星は当社グループが初めて導入したHTSであります。
(6) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、441百万円であります。
(7) 生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、宇宙事業の販売実績は54,517百万円であり、対前年同四半期比22,830百万円(72.0%)増と、著しく増加しました。内容については「(1)経営成績」に記載のとおりであります。
(8) 設備の状況
前連結会計年度において計画中であった重要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間において完了したものは、次のとおりであります。
会社名区分
(所在地)
セグメントの
名称
設備の内容投資総額
(百万円)
完了年月
スカパーJSAT㈱通信衛星設備
Superbird-8
(赤道上空の静止軌道上等)
宇宙事業通信衛星7,964平成30年7月