半期報告書-第18期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/08 11:20
【資料】
PDFをみる
【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、本文中の記載金額は、億円単位の表示は億円未満四捨五入とし、百万円単位の表示は百万円未満切捨てとし
ております。
(1) 経営成績
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、個人消費に足踏が残るものの、緩やかに回復しております。
当社グループを取り巻く環境としては、宇宙事業の分野では船舶・航空機向けの移動体衛星通信や多岐にわたる分野での衛星データ利活用の需要が拡大しております。また、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格的に開始され、価格及びサービスの競争が激化する等ビジネスの環境が大きく変化しております。
メディア事業の分野では、有料放送市場でのマイナス成長や動画配信サービス市場での事業者の合従連衡やサービス間の連携もみられる等、厳しい市場環境が続いております。
このような経済状況の下、当中間連結会計期間における当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
区分前中間連結
会計期間
(百万円)
当中間連結
会計期間
(百万円)
前年同期比
(百万円)
増減率
(%)
営業収益60,49861,0165170.9%
営業利益13,40113,8764743.5%
経常利益13,83914,0251861.3%
税金等調整前中間純利益12,99714,3781,38110.6%
親会社株主に帰属する中間純利益8,5559,7151,16013.6%

なお、EBITDAは前年同期比11億円増加し、247億円となっております。
(注)EBITDAは、親会社株主に帰属する中間純利益、法人税等合計、支払利息、減価償却費の合計として算定しております。
当社グループのセグメント別の概況は次のとおりです。(経営成績については、セグメント間の内部営業収益等を含めて記載しております。)
<宇宙事業>(通信関連事業)
既存顧客との長期契約締結による国内衛星通信事業の基盤強化として、東日本高速道路㈱、中日本高速道路㈱、西日本高速道路㈱との間で、10年間の次期衛星通信サービス契約を締結いたしました。
将来のグローバル・モバイル分野を中心とする成長市場の通信需要に対応するため、Thales Alenia Space France社との間でフルデジタル衛星(軌道上でカバーエリアや伝送容量を柔軟に変更することで極めて自由度の高い通信サービスを行う能力を有する大容量衛星)「JSAT-31」の調達契約を締結いたしました。既存衛星に現在調達中の新衛星「Superbird-9」および「JSAT-31」を加えた大容量衛星フリートにより、革新的な次世代通信サービスを展開してまいります。
(スペースインテリジェンス事業)
衛星画像販売サービスの収益拡大に向けて、政府向け衛星画像提供に関わる新たな契約を締結致しました。
(開拓領域)
新たな技術を用いたサービスの事業化について、以下の取り組みを実施いたしました。
HAPS(高高度プラットフォーム)を用いた通信ネットワークの早期商用化に向けて、日本電信電話㈱との合弁会社㈱Space Compassは、㈱NTTドコモとともに、Airbus Defense and Space社およびAALTO HAPS社との資本業務提携に合意いたしました。本資本業務提携を通して、宇宙RAN(Radio Access Network)事業のサービス実現を加速してまいります。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「経済安全保障重要技術育成プログラム」における「HAPSによるリモートセンシングを用いたMDA(海洋状況把握)システムと運航管理技術の開発・実証」に、新明和工業㈱、㈱三菱総合研究所とともに採択されました。HAPSを活用したリモートセンシング実現に向けた取り組みも進めてまいります。
㈱Orbital Lasersにおいては、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)と「高度計ライダー衛星 衛星システム/衛星運用システム概念設計」に関する研究開発契約を締結致しました。JAXAが研究開発を進める高度計ライダー衛星に係る概念設計に取り組みつつ、将来の高度計ライダー衛星を活用した事業化の道筋を描いてまいります。
以上の結果、当中間連結会計期間の宇宙事業の経営成績は次のとおりとなりました。
前中間連結
会計期間
(百万円)
当中間連結
会計期間
(百万円)
前年同期比
(百万円)
増減率
(%)
営業収益
外部顧客への営業収益27,75629,2641,5085.4%
セグメント間の内部営業収益等3,2822,100△1,181△36.0%
31,03831,3653261.1%
営業利益11,10310,574△529△4.8%
セグメント利益(親会社株主に帰属する中間純利益)7,6897,465△223△2.9%

4K放送終了等による放送トラポン収入の減少14億円があった一方で、衛星画像販売等によるスペースインテリジェンス事業の収益の増加9億円や、北米子会社の収益拡大及び円安の影響によるグローバル・モバイル分野の収益の増加8億円等により、営業収益は増加いたしました。しかしながら、Horizons-4事業の開始等に伴う北米子会社の営業費用の増加5億円、減価償却費の増加2億円等により、営業利益、セグメント利益は減少いたしました。
<メディア事業>(放送・配信事業)
2024年シーズンプロ野球では、「プロ野球セット」でセ・パ12球団の公式戦全試合を生放送・配信しております。また、国内サッカー三大タイトルの1つであり、Jリーグの全60クラブが参戦する「JリーグYBCルヴァンカップ」の全試合、並びに海外サッカー「ドイツ ブンデスリーガ」の全試合を放送・配信しております。
リアルサービスとしては、ドイツ ブンデスリーガから VfBシュトゥットガルトを招聘し、「Jリーグインターナショナルシリーズ2024powered by docomo」を、公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、㈱NTTドコモと共催しました。web3サービス「スカパー!投票」での「サッカー試合結果予想企画」等、リアルとバーチャルを掛け合わせた施策にも取り組んでおります。
コネクテッドTV領域での事業参入に向け、ストリーミングスティック「スカパー! +(プラス) ネットスティック」(TV に接続するだけで、誰でも簡単に普段スマホで視聴しているコンテンツをテレビの大画面で楽しめるサービス)の開発を進めております。また、2024年10月からはスカパー!契約者を対象としたモニターに向けたサービスを開始いたします。これまで放送・配信事業で培ってきた経験を活かし、“コンテンツとの出会い”や、“観たい”を追求したサービスを提供し、衛星放送プラットフォーマーから放送・配信を横断したハイブリッド型プラットフォーマーへの進化を目指してまいります。
(光アライアンス事業)
光ファイバーによる地上デジタル・BSデジタル等の再送信サービスでは、着実に提供エリア拡大を進めており、2024年9月末時点における提供エリアは37都道府県にわたり、提供可能世帯数は約4,350万世帯、接続世帯数は280万世帯に達しております。また、ケーブルテレビ事業者向けパススルー方式による視聴鍵管理機能の提供サービスは、2024年9月末時点で25局の導入が決定しております。
なお、2024年7月より、FTTH事業から光アライアンス事業に名称を変更しております。
(開拓領域)
アニメを中心とした映像コンテンツの企画・製作投資・販売、及び周辺事業を推進すべく、2024年4月1日に連結子会社として㈱スカパー・ピクチャーズを設立いたしました。出資第1作目「チ。-地球の運動について-」のTVアニメ化が決定し、2024年10月より放送開始いたします。
当中間連結会計期間における「スカパー!」サービスの加入件数は次のとおりとなりました。
新規解約純増減累計
当期238千件302千件△64千件2,676千件
前年同期比△14千件1千件△15千件△150千件

以上の結果、当中間連結会計期間のメディア事業の経営成績は次のとおりとなりました。
前中間連結
会計期間
(百万円)
当中間連結
会計期間
(百万円)
前年同期比
(百万円)
増減率
(%)
営業収益
外部顧客への営業収益32,74131,751△990△3.0%
セグメント間の内部営業収益等1,4891,205△284△19.1%
34,23032,956△1,274△3.7%
営業利益2,6843,6881,00437.4%
セグメント利益(親会社株主に帰属する中間純利益)1,0792,5681,488137.9%

スカパー!サービスの累計加入件数減少等の影響で視聴料・業務手数料・基本料収入が12億円減少したこと等により、営業収益は減少いたしましたが、4K放送終了等による通信費の減少12億円、コンテンツ費の減少4億円、設備の最適化と運用効率の向上を通じた減価償却費の削減4億円等により営業費用が23億円減少したため、営業利益は10億円の増加となりました。
また、前年同期における投資有価証券評価損8億円の影響により、セグメント利益は前年同期比15億円の増加となりました。
(2) 財政状態
当中間連結会計期間末における資産合計は4,055億円となり、前連結会計年度末比(以下「前期比」)1億円増加いたしました。
流動資産は、Xバンド事業に関する債権回収等による売掛金の減少29億円等により、前期比34億円減少いたしました。
有形固定資産及び無形固定資産は、減価償却費により97億円減少いたしましたが、設備投資116億円により前期比19億円増加いたしました。
当中間連結会計期間末における負債合計は1,268億円となり、前期比66億円減少いたしました。
主な増加は前受収益29億円であり、主な減少はXバンド事業及びHorizons 3e事業に関する借入金の返済等による有利子負債の減少53億円、未払金の減少12億円、未払法人税等の減少14億円であります。
当中間連結会計期間末における純資産は2,787億円となり、前期比67億円増加いたしました。
主な増加は親会社株主に帰属する中間純利益の計上等による利益剰余金の増加66億円及び為替換算調整勘定の増加47億円であり、主な減少はその他有価証券評価差額金の減少49億円であります。
(3) キャッシュ・フロー
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益と減価償却費の合計241億円に加え、売上債権の減少31億円、前受収益の増加29億円があった一方で、未払金の減少12億円及び法人税等の支払45億円等により、249億円の収入(前年同期は162億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出123億円、㈱Space Compassへの追加出資等に係る関係会社株式の取得による支出66億円、Horizons 3e事業に関する貸付金の回収による収入21億円等により、165億円の支出(前年同期は38億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出52億円、配当金支払による支出31億円等により、80億円の支出(前年同期は95億円の支出)となりました。
以上の結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前期比8億円増加し、1,151億円となりました。
(4) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループの研究開発活動の金額は58百万円であります。
(7) 主要な設備
当中間連結会計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は、次のとおりであります。
会社名区分
(所在地)
セグメントの
名称
設備の内容投資予定額資金調達
方法
着手年月完了予定
年月
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
スカパーJSAT㈱通信衛星設備JSAT-31
(赤道上空の静止軌道上)
宇宙事業通信衛星51,0005,614自己資金2024年
5月
2028年
上期

(注) 投資予定金額の総額のうち、当中間連結会計期間末において為替換算レートの確定していない外貨建投資予定額は、当中間連結会計期間末における為替換算レート(1ユーロ=159.53円)で算出しております。