有価証券報告書-第14期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、本文中の記載金額は、億円単位の表示は億円未満四捨五入とし、百万円単位の表示は百万円未満切捨てとし
ております。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、個人消費等一部に弱さがみられます。
当社グループを取り巻く環境としては、メディア事業の分野では既存の有料放送市場が成熟している一方で、定額制又は無料のインターネット動画配信サービス市場は拡大を続けており、コンテンツ獲得及び顧客獲得の両面で国内外の事業者との激しい競争が続いております。宇宙事業の分野では船舶・航空機向けの移動体衛星通信や携帯電話基地局向けバックホール回線の需要が拡大する一方で、グローバルマーケットにおいて海外衛星オペレーターとの厳しい価格競争が続いております。また、世界レベルで新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、新規技術による安価で高性能なロケットの開発や大規模な低軌道衛星通信システムプロジェクトを推進するなど、ビジネス環境が大きく変化しております。
このような経済状況の下、当連結会計年度の当社グループの連結経営成績は次のとおりとなりました。
なお、EBITDAは前期比37億円増加し、453億円となっております。
当社グループのセグメント区分は次のとおりであります。
当社グループのセグメント別の概況は次のとおりであります。(業績については、セグメント間の内部営業収益等を含めて記載しております。)
<メディア事業>・サービスの拡充及び差別化
(サービスの拡充)
テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが見放題となる「スカパー!基本プラン」は、「スカパー!イエナカ応援キャンペーン」が奏功するなど契約件数は順調に増加し、2021年3月末時点で628千件(前期末比124%)に達しました。家庭内の複数の部屋で視聴できる環境を増やすことで、お客様の満足度向上を図っております。
光ファイバーによる地上デジタル・BSデジタル等の再送信サービスは、新4K8K衛星放送全チャンネルが視聴可能となっており、4Kテレビの普及や再送信サービスの提供エリア拡大に合わせ、契約件数の拡大に努めております。2020年11月には、東北エリアにおいてケーブルテレビ事業者と放送設備を共有して事業効率化を図る協業モデルによるサービス提供を開始するなど、提供可能世帯数は2021年3月末時点で33都道府県・約3,200万世帯となっております。
(コンテンツの差別化)
2020年シーズンのプロ野球は3ヶ月遅れて6月19日に開幕し、2019年シーズンに引き続き「プロ野球セット」でセ・パ12球団の公式戦全試合を生放送・配信いたしました。
18/19シーズンから放送・配信を行なっている海外サッカー「ドイツ ブンデスリーガ」は、20/21シーズンから5シーズンにわたる独占放送権・配信権を獲得し、9月18日に開幕した20/21シーズンは全試合生放送・配信しております。日本国内における共同マーケティング活動を含むパートナーシップ契約により、従来の放送・配信にとどまらず、クラブを招聘したプレシーズンマッチ開催など日本のファンを増やすための様々な施策を進めてまいります。
また、総合スポーツチャンネル「スポーツライブ+(プラス)」においては、2020年シーズンの放送権を獲得したプロ野球福岡ソフトバンクホークスの主催試合を中心に、海外サッカーや国内サッカー、B.LEAGUE等のスポーツ中継を行い、スポーツコンテンツをより多くのお客様にお楽しみいただいております。
・新たな収益の獲得
当社グループは国内最大級のオンラインビデオプラットフォームを提供する株式会社PLAYと、国内外の配信サービスを支援するための事業である「メディアHUBクラウド」の実現に向けた取り組みを開始いたしました。
これは、放送用などの多くの素材が集約されているスカパー東京メディアセンターと同社が連携することにより、コンテンツプロバイダ、OTTサービス事業者双方に対して素材の集積地“HUB”としての役割を実現し、短期間かつ低コストで信頼性の高い配信手段の提供を目指すものであります。
当連結会計年度における加入件数は次のとおりとなりました。
以上の結果、当連結会計年度のメディア事業の経営成績は次のとおりとなりました。
視聴料収入の減少39億円等により営業収益が減少いたしましたが、これにより番組供給料も21億円減少いたしました。これに加え、コンテンツ費の減少26億円、減価償却費の減少11億円、販促関連費用の減少6億円、衛星回線料等の減少8億円等により、営業利益は増加いたしました。一方で、前期における連結子会社の繰越欠損金の使用による法人税等の減少の影響により、セグメント利益は減少しております。
<宇宙事業>・既存事業の強化
2020年2月に打ち上げたJCSAT-17(軌道位置:東経136度)は、2020年4月に移動体通信の既存顧客との長期利用契約に基づくサービス提供を開始しております。また、2021年3月に新規衛星「Superbird-9」の調達契約を締結いたしました。本衛星は東経144度にて運用中のSuperbird-C2の後継機であり、打ち上げは2024年上期を予定しております。
グローバル・モバイルビジネスの拡大及び競争力の強化のため打ち上げたHTSであるJCSAT-1Cについては、インドネシアエリアを中心に2021年度以降のサービス提供に向けた新規の契約を獲得しております。同じくHTSであるHorizons 3eも着実に収益を拡大しており、さらなるサービス提供の拡大に向けて営業活動を強化してまいります。
・新たな技術の活用や事業領域拡大への取り組み
Planet Labs Inc.の保有する多数の超小型地球観測衛星群により高頻度で撮影された衛星画像販売サービスに関しては、政府系機関や民間の農業・災害対策・遠隔監視等の分野で順調に契約を獲得しております。
ビジネスインテリジェンス分野に関しては、衛星から取得した画像や位置情報などの様々な地理空間情報と、各分野にカスタマイズしたAI分析を組み合わせた情報サービス「Spatio-i」の提供を開始したほか、衛星データと地図データなどを組み合わせた「衛星防災情報サービス」の開発に向け、株式会社ゼンリン及び日本工営株式会社と業務提携いたしました。また、一般財団法人電力中央研究所と衛星画像や地上センサー画像及びAI等を用いた「ハイブリッド型太陽光発電出力予測システム」の共同開発に合意しました。引き続き、当社はパートナーとの協力のもと、新たなビジネスの開発に取り組んでまいります。
政府系プロジェクトへの取り組みに関しては、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」という。)と技術試験衛星9号機(ETS-9)の実証後期間の定常運用業務の受託及び相乗りペイロードによる衛星バスの利用に関する協定書を締結いたしました。相乗りペイロードとして当社が搭載する光学望遠鏡は、近年需要の高まっているスペースデブリ対策を目的としており、宇宙環境の把握など新たな分野での活動に役立ててまいります。
以上の結果、当連結会計年度の宇宙事業の経営成績は次のとおりとなりました。
新型コロナウイルス感染症の影響により航空機内インターネット接続用衛星回線の収益が11億円減少いたしましたが、JCSAT-17及びHorizons 3eの収益が69億円増加したこと等により、営業収益及びセグメント利益は増加いたしました。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
a. 生産実績
当社及び連結子会社は、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、生産実績について記載すべき事項はありません。
b. 受注実績
当社及び連結子会社は、受注生産を行っておりませんので記載すべき事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注1) セグメント間取引については相殺消去しております。
(注2) 主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
(注3) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は3,856億円となり、前連結会計年度末比(以下「前期比」)72億円増加いたしました。
流動資産は、Xバンド事業に関する債権回収等により売掛金が62億円減少いたしましたが、現金及び現金同等物の増加296億円等により前期比236億円増加いたしました。
有形固定資産及び無形固定資産は、設備投資により130億円増加いたしましたが、減価償却費233億円、のれん償却額9億円等により前期比112億円減少いたしました。
投資その他の資産は、長期貸付金の減少31億円等により前期比52億円減少いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は1,503億円となり、前期比8億円増加いたしました。
主な増加は未払法人税等35億円及び前受収益52億円であり、主な減少は社債の償還及びXバンド事業に関する借入金の返済等による有利子負債の減少115億円であります。
当連結会計年度末における非支配株主持分を含めた純資産は2,353億円となり、前期比64億円増加いたしました。
主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加80億円であります。また、自己資本比率は60.8%となり、前期比0.5ポイント増加いたしました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費、のれん償却額の合計441億円に加え、売上債権の減少61億円及び前受収益の増加52億円により、579億円の収入(前期は289億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出122億円等により114億円の支出(前期は208億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出64億円、社債の償還による支出50億円、配当金支払による支出53億円等により169億円の支出(前期は125億円の支出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期比296億円増加し、732億円となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループは、グループミッション「Space for your Smile」の実現のため、サステナビリティ経営を推進し、社会的課題を解決すると共に、企業価値を向上させることを目指しております。そのため、健全な財務体質と資本効率の向上を両立させながら、基礎収益力の向上に向けた成長分野への投資を推進することを財務戦略の基本方針としています。
(資金需要の主な内容及び資金調達)
当社グループにおける主な資金需要は、事業活動上の必要な運転資金、放送設備や通信衛星設備の調達等の設備投資資金、戦略的なM&A資金等です。これらの資金需要は、主に営業キャッシュ・フローにより賄っておりますが、必要に応じて社債発行や借入による資金調達を行っております。また、機動的な資金調達を可能とすべく400億円の社債発行登録枠を確保しております。
なお当社グループでは、一定の手元流動性を維持する資金計画を作成・実行するとともに、取引金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約(合計153億円)を締結して資金の流動性リスクに備えております。また、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内資金の活用により、資金効率の向上に努めております。
(借入金の状況と返済方針)
当連結会計年度末における借入金残高は760億円となっておりますが、このうちXバンド事業に関する金融機関からの借入金520億円については当該事業に係る防衛省に対する債権の回収により、Horizons 3e事業に関する金融機関からの借入金225億円については当該事業に係る営業キャッシュ・フローにより返済する予定としております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって当社グループが用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は、今後の感染症の広がり方や収束時期等を予測することが困難であるため、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき見積りを行っております。
詳細につきましては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)をご参照ください。
① 貸倒引当金
売上債権や貸付金等の貸倒損失に備えるため、過去の債権回収実績や債務者の財政状態より算出した回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。このため、将来債務者の財政状態悪化により支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
② 固定資産の減損
管理会計上の区分に基づいた各事業用資産グループの営業活動から生じる損益が継続してマイナス又はマイナスの見込みの場合、当該資産グループの回収可能価額を見積り、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、その差額を減損損失として計上しております。このため、将来事業用資産グループの収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなる場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
③ 投資の減損
所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値が著しく下落した場合、回復する見込があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。このため、将来の市況悪化や投資先の業績悪化により、現在の投資簿価に反映されていない損失が発生した場合や投資簿価の回収が困難となった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
④ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来回収が見込まれる一時差異等に係る税金の額を計上しておりますが、その回収可能性は将来の合理的な課税所得の見積りにより判断しております。このため、業績悪化による課税所得の見積りの変更等により回収可能性の見直しが必要となる場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、本文中の記載金額は、億円単位の表示は億円未満四捨五入とし、百万円単位の表示は百万円未満切捨てとし
ております。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、個人消費等一部に弱さがみられます。
当社グループを取り巻く環境としては、メディア事業の分野では既存の有料放送市場が成熟している一方で、定額制又は無料のインターネット動画配信サービス市場は拡大を続けており、コンテンツ獲得及び顧客獲得の両面で国内外の事業者との激しい競争が続いております。宇宙事業の分野では船舶・航空機向けの移動体衛星通信や携帯電話基地局向けバックホール回線の需要が拡大する一方で、グローバルマーケットにおいて海外衛星オペレーターとの厳しい価格競争が続いております。また、世界レベルで新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、新規技術による安価で高性能なロケットの開発や大規模な低軌道衛星通信システムプロジェクトを推進するなど、ビジネス環境が大きく変化しております。
このような経済状況の下、当連結会計年度の当社グループの連結経営成績は次のとおりとなりました。
区分 | 前期 (百万円) | 当期 (百万円) | 前期比 (百万円) | 増減率 (%) | |
営業収益 | 139,541 | 139,572 | 30 | 0.0 | % |
営業利益 | 15,263 | 19,151 | 3,888 | 25.5 | % |
経常利益 | 16,088 | 20,349 | 4,261 | 26.5 | % |
税金等調整前当期純利益 | 15,492 | 19,887 | 4,395 | 28.4 | % |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 12,027 | 13,345 | 1,317 | 11.0 | % |
なお、EBITDAは前期比37億円増加し、453億円となっております。
当社グループのセグメント区分は次のとおりであります。
区分 | 主要な事業内容 |
メディア事業 | メディア事業及びFTTH事業 |
宇宙事業 | 衛星通信事業、放送事業者向け衛星回線提供及び宇宙関連事業 |
当社グループのセグメント別の概況は次のとおりであります。(業績については、セグメント間の内部営業収益等を含めて記載しております。)
<メディア事業>・サービスの拡充及び差別化
(サービスの拡充)
テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが見放題となる「スカパー!基本プラン」は、「スカパー!イエナカ応援キャンペーン」が奏功するなど契約件数は順調に増加し、2021年3月末時点で628千件(前期末比124%)に達しました。家庭内の複数の部屋で視聴できる環境を増やすことで、お客様の満足度向上を図っております。
光ファイバーによる地上デジタル・BSデジタル等の再送信サービスは、新4K8K衛星放送全チャンネルが視聴可能となっており、4Kテレビの普及や再送信サービスの提供エリア拡大に合わせ、契約件数の拡大に努めております。2020年11月には、東北エリアにおいてケーブルテレビ事業者と放送設備を共有して事業効率化を図る協業モデルによるサービス提供を開始するなど、提供可能世帯数は2021年3月末時点で33都道府県・約3,200万世帯となっております。
(コンテンツの差別化)
2020年シーズンのプロ野球は3ヶ月遅れて6月19日に開幕し、2019年シーズンに引き続き「プロ野球セット」でセ・パ12球団の公式戦全試合を生放送・配信いたしました。
18/19シーズンから放送・配信を行なっている海外サッカー「ドイツ ブンデスリーガ」は、20/21シーズンから5シーズンにわたる独占放送権・配信権を獲得し、9月18日に開幕した20/21シーズンは全試合生放送・配信しております。日本国内における共同マーケティング活動を含むパートナーシップ契約により、従来の放送・配信にとどまらず、クラブを招聘したプレシーズンマッチ開催など日本のファンを増やすための様々な施策を進めてまいります。
また、総合スポーツチャンネル「スポーツライブ+(プラス)」においては、2020年シーズンの放送権を獲得したプロ野球福岡ソフトバンクホークスの主催試合を中心に、海外サッカーや国内サッカー、B.LEAGUE等のスポーツ中継を行い、スポーツコンテンツをより多くのお客様にお楽しみいただいております。
・新たな収益の獲得
当社グループは国内最大級のオンラインビデオプラットフォームを提供する株式会社PLAYと、国内外の配信サービスを支援するための事業である「メディアHUBクラウド」の実現に向けた取り組みを開始いたしました。
これは、放送用などの多くの素材が集約されているスカパー東京メディアセンターと同社が連携することにより、コンテンツプロバイダ、OTTサービス事業者双方に対して素材の集積地“HUB”としての役割を実現し、短期間かつ低コストで信頼性の高い配信手段の提供を目指すものであります。
当連結会計年度における加入件数は次のとおりとなりました。
新規 | 解約 | 純増減 | 累計 | |
当期 | 633千件 | 702千件 | △68千件 | 3,102千件 |
前期比 | 18千件 | 9千件 | 9千件 | △68千件 |
以上の結果、当連結会計年度のメディア事業の経営成績は次のとおりとなりました。
前期 (百万円) | 当期 (百万円) | 前期比 (百万円) | 増減率 (%) | ||
営業収益 | |||||
外部顧客への営業収益 | 94,382 | 88,403 | △5,978 | △6.3 | % |
セグメント間の内部営業収益等 | 3,263 | 3,195 | △67 | △2.1 | % |
計 | 97,645 | 91,599 | △6,046 | △6.2 | % |
営業利益 | 3,076 | 5,995 | 2,919 | 94.9 | % |
セグメント利益(親会社株主に帰属する当期純利益) | 4,546 | 4,396 | △150 | △3.3 | % |
視聴料収入の減少39億円等により営業収益が減少いたしましたが、これにより番組供給料も21億円減少いたしました。これに加え、コンテンツ費の減少26億円、減価償却費の減少11億円、販促関連費用の減少6億円、衛星回線料等の減少8億円等により、営業利益は増加いたしました。一方で、前期における連結子会社の繰越欠損金の使用による法人税等の減少の影響により、セグメント利益は減少しております。
<宇宙事業>・既存事業の強化
2020年2月に打ち上げたJCSAT-17(軌道位置:東経136度)は、2020年4月に移動体通信の既存顧客との長期利用契約に基づくサービス提供を開始しております。また、2021年3月に新規衛星「Superbird-9」の調達契約を締結いたしました。本衛星は東経144度にて運用中のSuperbird-C2の後継機であり、打ち上げは2024年上期を予定しております。
グローバル・モバイルビジネスの拡大及び競争力の強化のため打ち上げたHTSであるJCSAT-1Cについては、インドネシアエリアを中心に2021年度以降のサービス提供に向けた新規の契約を獲得しております。同じくHTSであるHorizons 3eも着実に収益を拡大しており、さらなるサービス提供の拡大に向けて営業活動を強化してまいります。
・新たな技術の活用や事業領域拡大への取り組み
Planet Labs Inc.の保有する多数の超小型地球観測衛星群により高頻度で撮影された衛星画像販売サービスに関しては、政府系機関や民間の農業・災害対策・遠隔監視等の分野で順調に契約を獲得しております。
ビジネスインテリジェンス分野に関しては、衛星から取得した画像や位置情報などの様々な地理空間情報と、各分野にカスタマイズしたAI分析を組み合わせた情報サービス「Spatio-i」の提供を開始したほか、衛星データと地図データなどを組み合わせた「衛星防災情報サービス」の開発に向け、株式会社ゼンリン及び日本工営株式会社と業務提携いたしました。また、一般財団法人電力中央研究所と衛星画像や地上センサー画像及びAI等を用いた「ハイブリッド型太陽光発電出力予測システム」の共同開発に合意しました。引き続き、当社はパートナーとの協力のもと、新たなビジネスの開発に取り組んでまいります。
政府系プロジェクトへの取り組みに関しては、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」という。)と技術試験衛星9号機(ETS-9)の実証後期間の定常運用業務の受託及び相乗りペイロードによる衛星バスの利用に関する協定書を締結いたしました。相乗りペイロードとして当社が搭載する光学望遠鏡は、近年需要の高まっているスペースデブリ対策を目的としており、宇宙環境の把握など新たな分野での活動に役立ててまいります。
以上の結果、当連結会計年度の宇宙事業の経営成績は次のとおりとなりました。
前期 (百万円) | 当期 (百万円) | 前期比 (百万円) | 増減率 (%) | ||
営業収益 | |||||
外部顧客への営業収益 | 45,159 | 51,169 | 6,009 | 13.3 | % |
セグメント間の内部営業収益等 | 8,373 | 7,760 | △613 | △7.3 | % |
計 | 53,533 | 58,929 | 5,396 | 10.1 | % |
営業利益 | 12,901 | 13,829 | 928 | 7.2 | % |
セグメント利益(親会社株主に帰属する当期純利益) | 8,029 | 9,448 | 1,418 | 17.7 | % |
新型コロナウイルス感染症の影響により航空機内インターネット接続用衛星回線の収益が11億円減少いたしましたが、JCSAT-17及びHorizons 3eの収益が69億円増加したこと等により、営業収益及びセグメント利益は増加いたしました。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
a. 生産実績
当社及び連結子会社は、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、生産実績について記載すべき事項はありません。
b. 受注実績
当社及び連結子会社は、受注生産を行っておりませんので記載すべき事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比(%) |
メディア事業(百万円) | 88,403 | △6.3 |
宇宙事業(百万円) | 51,169 | 13.3 |
合計(百万円) | 139,572 | 0.0 |
(注1) セグメント間取引については相殺消去しております。
(注2) 主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
(注3) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は3,856億円となり、前連結会計年度末比(以下「前期比」)72億円増加いたしました。
流動資産は、Xバンド事業に関する債権回収等により売掛金が62億円減少いたしましたが、現金及び現金同等物の増加296億円等により前期比236億円増加いたしました。
有形固定資産及び無形固定資産は、設備投資により130億円増加いたしましたが、減価償却費233億円、のれん償却額9億円等により前期比112億円減少いたしました。
投資その他の資産は、長期貸付金の減少31億円等により前期比52億円減少いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は1,503億円となり、前期比8億円増加いたしました。
主な増加は未払法人税等35億円及び前受収益52億円であり、主な減少は社債の償還及びXバンド事業に関する借入金の返済等による有利子負債の減少115億円であります。
当連結会計年度末における非支配株主持分を含めた純資産は2,353億円となり、前期比64億円増加いたしました。
主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加80億円であります。また、自己資本比率は60.8%となり、前期比0.5ポイント増加いたしました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費、のれん償却額の合計441億円に加え、売上債権の減少61億円及び前受収益の増加52億円により、579億円の収入(前期は289億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出122億円等により114億円の支出(前期は208億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出64億円、社債の償還による支出50億円、配当金支払による支出53億円等により169億円の支出(前期は125億円の支出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期比296億円増加し、732億円となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループは、グループミッション「Space for your Smile」の実現のため、サステナビリティ経営を推進し、社会的課題を解決すると共に、企業価値を向上させることを目指しております。そのため、健全な財務体質と資本効率の向上を両立させながら、基礎収益力の向上に向けた成長分野への投資を推進することを財務戦略の基本方針としています。
(資金需要の主な内容及び資金調達)
当社グループにおける主な資金需要は、事業活動上の必要な運転資金、放送設備や通信衛星設備の調達等の設備投資資金、戦略的なM&A資金等です。これらの資金需要は、主に営業キャッシュ・フローにより賄っておりますが、必要に応じて社債発行や借入による資金調達を行っております。また、機動的な資金調達を可能とすべく400億円の社債発行登録枠を確保しております。
なお当社グループでは、一定の手元流動性を維持する資金計画を作成・実行するとともに、取引金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約(合計153億円)を締結して資金の流動性リスクに備えております。また、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内資金の活用により、資金効率の向上に努めております。
(借入金の状況と返済方針)
当連結会計年度末における借入金残高は760億円となっておりますが、このうちXバンド事業に関する金融機関からの借入金520億円については当該事業に係る防衛省に対する債権の回収により、Horizons 3e事業に関する金融機関からの借入金225億円については当該事業に係る営業キャッシュ・フローにより返済する予定としております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって当社グループが用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は、今後の感染症の広がり方や収束時期等を予測することが困難であるため、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき見積りを行っております。
詳細につきましては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)をご参照ください。
① 貸倒引当金
売上債権や貸付金等の貸倒損失に備えるため、過去の債権回収実績や債務者の財政状態より算出した回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。このため、将来債務者の財政状態悪化により支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
② 固定資産の減損
管理会計上の区分に基づいた各事業用資産グループの営業活動から生じる損益が継続してマイナス又はマイナスの見込みの場合、当該資産グループの回収可能価額を見積り、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、その差額を減損損失として計上しております。このため、将来事業用資産グループの収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなる場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
③ 投資の減損
所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値が著しく下落した場合、回復する見込があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。このため、将来の市況悪化や投資先の業績悪化により、現在の投資簿価に反映されていない損失が発生した場合や投資簿価の回収が困難となった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
④ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来回収が見込まれる一時差異等に係る税金の額を計上しておりますが、その回収可能性は将来の合理的な課税所得の見積りにより判断しております。このため、業績悪化による課税所得の見積りの変更等により回収可能性の見直しが必要となる場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。