半期報告書-第101期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/13 16:14
【資料】
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【項目】
45項目
(追加情報)
1.福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失の見積り
(1) 災害損失引当金
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失に備えるため、当中間連結会計期間末における見積額を計上している。
災害損失引当金に含まれる主な費用又は損失の計上方法等については以下のとおりである。
① 福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失
政府の原子力災害対策本部が設置する政府・東京電力中長期対策会議により「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(2011年12月21日)が策定され(2019年12月27日最終改訂)、当社はこの主要な目標工程等を達成するための具体的な計画として「廃炉中長期実行プラン2024」(2024年3月28日改訂)を策定した。
これらに係る費用又は損失のうち、通常の見積りが可能なものについては、具体的な目標期間と個々の対策内容に基づく見積額を計上している。ただし、原賠機構法第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画における炉心等除去に要する費用は、ここには含んでいない。
通常の見積りが困難であるものは、海外原子力発電所事故における実績額に基づく概算額を計上している。
なお、福島第一原子力発電所の廃炉は過去に実例のない取組みであり、原子炉内の燃料デブリ取出しに関する具体的な作業内容等の決定は、原子炉内の状況を確認するとともに必要となる研究開発等を踏まえての判断となる。したがって、廃炉中長期実行プランに係る費用及び海外原子力発電所事故における実績額に基づき計上している金額については、今後変動する可能性があるものの、当中間連結会計期間末の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
② 福島第一原子力発電所1~4号機の廃止に関する費用又は損失のうち加工中等核燃料の処理費用
今後の使用が見込めない加工中等核燃料に係る処理費用について、当該費用の現価相当額(割引率4.0%)を計上している。
なお、装荷核燃料に係る処理費用はその他固定負債に含めて表示している。
(2) 特定原子力施設炉心等除去引当金
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失に備えるため、原賠機構法第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画に定める金額のうち炉心等除去に要する費用を計上している。
(3) 廃炉等積立金
原賠機構法第55条の3第1項の規定に基づき、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、「機構」という。)より通知を受け、積立てを行った金額を廃炉等積立金として計上している。
なお、当該積立金は、廃炉等実施認定事業者の廃炉等の適正かつ着実な実施を確保するため、2018年度より、原賠機構法の規定に基づき、機構に積立てを実施しているものである。
2.福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害に係る賠償
(1) 原子力損害賠償引当金
① 賠償及び除染に係る引当金の計上方法
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害に係る賠償に要する費用に備えるため、当中間連結会計期間末における賠償見積額を原子力損害賠償引当金に計上している。賠償額の見積りは、原子力損害賠償紛争審査会が決定する、原子力損害に関する中間指針等の賠償に関する国の指針や、放射性物質汚染対処特措法等の法律、これらを踏まえた当社の賠償基準、また、損害賠償請求実績や客観的な統計データ等に基づいている。
なお、新たな賠償に関する国の指針の決定や、当社の賠償基準の策定、また、参照するデータの精緻化や被害を受けられた皆さまとの合意等により、今後変動する可能性があるものの、当中間連結会計期間末における合理的な見積額を計上している。
② 除染に係る引当金の相殺表示
原子力損害の除染に係る賠償に要する費用への備えについては、電気事業会計規則に基づき、当中間連結会計期間末において、原子力損害賠償引当金を、同額の未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金と相殺表示している。
具体的には、当中間連結会計期間末において、補償契約法の規定による補償金の受入額188,926百万円及び放射性物質汚染対処特措法等に基づく当社の国に対する賠償債務(2015年1月1日以降に債務認識したもの)に対応する原賠機構法の規定に基づく資金援助の申請額に係る未収金1,514,233百万円は、未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金及び原子力損害賠償引当金から控除している。
(2) 原子力損害賠償費
賠償及び除染に係るもの
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害について、原賠法に基づく賠償を実施しており、当該賠償見積額と前連結会計年度の見積額との差額を原子力損害賠償費に計上している。
(3) 原賠・廃炉等支援機構特別負担金
資金援助を受けるにあたっては、原賠機構法第52条第1項の規定により機構が定める特別な負担金を支払うこととされているが、その金額については、当社の収支の状況に照らし、連結会計年度ごとに機構における運営委員会の議決を経て定められるとともに、主務大臣による認可が必要となることなどから、計上していない。
3.原子力廃止関連仮勘定の償却及び廃炉円滑化負担金
廃炉の円滑な実施等を目的として廃炉会計制度が措置され、エネルギー政策の変更や安全規制の変更等に伴い廃止した原子炉においては、その残存簿価等について同制度の適用を受けることで一般送配電事業者の託送料金の仕組みを通じて回収することとなる。
(1) 原子力廃止関連仮勘定の償却
当社は2019年7月31日の取締役会決議により、福島第二原子力発電所1~4号機の廃止を決定したことから、同日、電気事業会計規則第28条の5第2項に基づき、経済産業大臣に原子力廃止関連仮勘定承認申請書を提出し、同年8月19日に承認された。
また、2024年4月1日にGX脱炭素電源法及びGX脱炭素電源法改正省令が施行されたことにより、解体引当金省令が廃止され、電気事業会計規則が改正された。
これに基づき、当該原子炉の廃止に伴って生ずる使用済燃料再処理等拠出金費及び当該燃料の解体に要する費用に相当する額並びに原子力発電施設解体引当金の要引当額に相当する額からGX脱炭素電源法改正省令施行日の前連結会計年度までに積み立てられた額を控除して得た金額を原子力廃止関連仮勘定に計上している。
原子力廃止関連仮勘定は電事法施行規則改正省令附則第8条の規定及びGX脱炭素電源法改正省令附則第9条の規定に基づき、一般送配電事業者からの払渡しに応じて償却している。
(2) 廃炉円滑化負担金
電事法施行規則第45条の21の12の規定に基づき、原子力廃止関連仮勘定及び原子力発電施設解体引当金の要引当額について、経済産業大臣に廃炉円滑化負担金承認申請書を提出し、2020年7月22日に承認され、東京電力パワーグリッド株式会社及び東北電力ネットワーク株式会社において電事法施行規則第45条の21の11の規定に基づき、2020年10月1日を実施期日として託送供給等約款の変更を行い、廃炉円滑化負担金の回収及び当社への払渡しを行っている。
一般送配電事業者から払い渡された廃炉円滑化負担金は、電気事業会計規則に基づき、廃炉円滑化負担金相当収益として計上している。
4.GX脱炭素電源法の施行に伴う電気事業会計規則の改正
2024年4月1日にGX脱炭素電源法及びGX脱炭素電源法改正省令が施行されたことにより、解体引当金省令が廃止され、電気事業会計規則が改正された。
原子炉等規制法に規定された特定原子力発電施設の廃止措置に係る費用は、従来、資産除去債務に計上し、資産除去債務相当資産について、資産除去債務適用指針第8項を適用し、解体引当金省令の規定に基づき、経済産業大臣の承認を受けた原子力発電施設解体費の総見積額を、発電設備の見込運転期間にわたり定額法で費用計上する方法(エネルギー政策の変更や安全規制の変更等に伴って、原子炉を廃止する場合で、発電事業者の申請に基づき経済産業大臣の承認を受けたときは、特定原子力発電施設の廃止日の属する月から起算して10年が経過する月までの期間にわたり定額法で費用計上する方法)によっていたが、GX脱炭素電源法改正省令の施行日以降は、GX脱炭素電源法第3条の規定による改正後の改正再処理法第11条第2項に規定する廃炉拠出金を、廃炉拠出金費として計上することとなった。
なお、福島第一原子力発電所については、原子炉等規制法第64条の2第1項に規定する特定原子力施設として指定されており、改正再処理法第2条第5項に規定する「廃炉」の対象外である。
原子力事業者は、従来、その各々が保有する実用発電用原子炉に係る廃炉に要する資金を確保する責任を負っていたが、GX脱炭素電源法に基づき、毎年度、使用済燃料再処理・廃炉推進機構に対して廃炉拠出金を納付することで費用負担の責任を果たすこととなり、同機構は廃炉に要する資金の確保・管理・支弁を行う経済的な責任を負うこととなった。
これにより、当中間連結会計期間において、資産除去債務相当資産120,021百万円及び資産除去債務746,414百万円を取り崩している。
GX脱炭素電源法附則第10条第1項の規定により、廃炉推進業務に必要な費用に充てるため同機構に支払わなければならない金銭の総額662,589百万円は、GX脱炭素電源法改正省令附則第7条の規定により未払廃炉拠出金に計上し、その額を費用として計上しているが、同規定により、資産除去債務を取り崩した額は当該費用から控除している。これによる損益への影響はない。また、このうち27,562百万円を1年以内に期限到来の固定負債に振り替えている。
また、GX脱炭素電源法改正省令附則第8条の規定により36,197百万円を原子力廃止関連仮勘定に計上している。