有価証券報告書-第94期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 10:38
【資料】
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【項目】
114項目

対処すべき課題

電力小売における厳しい競争が続くなか、平成32年度からの送配電部門の法的分離をはじめとする経営環境の変化に対応するため、平成30~32年度の3年間を見据えた中期的な取り組みを展開し、経営基盤の強化を図っていく。
[重点的に取り組む項目]
(1) 収支・財務基盤の強化
泊発電所の再稼働前においても安定して利益を生み出せるよう、「経営基盤強化推進委員会」のもと、収入拡大と効率化・コスト低減の両面を一層強力に推進していく。今後3ヵ年の利益については、平均で小売全面自由化後の実績(平成28~29年度平均)を上回る水準を目指す。
また、泊発電所の停止後に大きく毀損した財務基盤の強化を図る。
① 収入拡大に向けた取り組み
北海道内の電力小売においては、対面営業を強化するなど、契約を切り替えられたお客さまにも改めて当社を選択いただけるよう、グループの総力をあげて取り組んでいく。
ご家庭向けには、本年4月から新たに「エネとくMプラン」「エネとくシーズンプラス」を加え、競争力のある料金メニューを拡充した。あわせて、他業種との連携を含めたサービスについても充実を図る。
首都圏販売部を中心に北海道外での電力販売を強化しており、平成32年に運転を開始する福島天然ガス発電所の供給力も活用し、さらなる拡大を図る。
また、石狩湾新港発電所向けに調達するLNGを活用したガス供給事業を進めるとともに、お客さまのニーズに応じて電気とガスを中心とするトータルエネルギーソリューションサービスを提供する。
② 費用低減に向けた取り組み
ほくでんグループ一体となって抜本的な効率化・コスト低減を進め、競争力のある事業構造を実現する。また、適切なリスク管理を行い、設備の計画外停止などを抑制することにより、安定供給の確保と低コスト化の両立を図る。
(2) 泊発電所の早期再稼働と安全性向上
低廉な電気を安定してお届けするため、泊発電所の早期再稼働の実現に向け、新規制基準適合性審査において残る課題について原子力規制委員会の理解を得られるよう、引き続き総力をあげて取り組んでいく。
また、福島第一原子力発電所のような事故を決して起こさないとの強い決意のもと、原子力のリスクを一層低減させるため、「泊発電所安全性向上計画」を策定している。新規制基準への適合はもとより、「世界最高水準の安全性(エクセレンス)」を目指し、不断の努力を重ねるとともに、北海道民のみなさまに泊発電所の安全性について一層のご理解をいただけるよう努めていく。
[引き続き取り組む項目]
(3) 法的分離への対応
電気事業法の改正に基づき平成32年4月に予定されている送配電部門の法的分離(分社化)を見据え、本年4月「送配電カンパニー」を設置し、社内分社化を実施した。業務運営をとおして評価・検証を行っていく。
(4) 電源の競争力向上と安定供給の確保
当社初のLNG火力発電所である石狩湾新港発電所1号機については、平成31年2月の営業運転開始に向け、着実に工事を行っていく。これまで電力の安定供給に寄与してきた石炭火力発電所の奈井江発電所については、経年化が進んでいることなどから平成31年3月に休止する。泊発電所の早期再稼働とあわせて、将来にわたる競争力の高い電源構成の実現に取り組み、発電・販売部門が一体となった事業戦略を展開するなど収益力の向上を目指す。
また、これまで蓄積してきた電力設備全般にわたるデータや新たな知見を活用した設備保全を行うとともに、当社初の直流連系設備である新北海道本州間連系設備の建設工事を進め、安定供給を確保していく。
(5) 人材育成、環境保全、地域に根ざす企業としての活動
企業の原動力となる人材の育成に向け、世代交代が進むなかでの技術・技能の継承を進め、加えて人材の多様化などにも取り組んでいく。引き続き女性のさらなる活躍を進めるとともに、「働き方改革」により生産性向上を実現していく。
環境負荷の低減に向けては、全国の電気事業者からなる「電気事業低炭素社会協議会」の一員としてCO2排出削減目標の達成に取り組んでいる。また、地域に根ざした再生可能エネルギーのさらなる活用を図っていく。当社の電力量に占める再生可能エネルギー比率は、固定価格買取制度による受電分を含め25%程度(平成28年度実績)に達しているが、さらに、系統側蓄電池の設置や、地域間連系線を活用した東京電力パワーグリッド株式会社との実証試験による風力発電の導入拡大、水力発電所の出力増強、バイオマス発電事業への参画などを進めていく。
当社は、責任あるエネルギー供給の担い手として、引き続き北海道のみなさまの暮らしと経済を支える役割を果たしていく。また、北海道とともに歩むほくでんグループとして、さまざまな取り組みをとおして地域に貢献していく。
これらの環境・社会に関する取り組みに加え、コーポレートガバナンスについては、東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨に則り、さらなる充実を図る。
以上の取り組みを進め、経営理念である「人間尊重」「地域への寄与」「効率的経営」のもと、「ほくでんグル ープが目指す企業像」を全従業員が共有し、持続的な企業価値の向上を図る。
<ほくでんグループが目指す企業像>・「ともに輝く明日のために。Light up your future.」をコーポレート・スローガンに掲げ、責任あるエ
ネルギー供給の担い手としての役割を全うすることで、地域の持続的な発展を支えていきます。
・総合エネルギー企業として、さらなる成長と発展を遂げるために、新たな視点を取り込みながら、果敢
にチャレンジしていきます。
・スピード感や柔軟性のある事業運営を進め、事業基盤をゆるぎないものとし、ステークホルダーのみな
さまのご期待に応えていきます。

なお、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものである。