有価証券報告書-第72期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 17:00
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【項目】
113項目

対処すべき課題

今後を展望しますと、わが国の経済は、米国の金融緩和政策縮小の動きの他、中国経済の成長鈍化やユーロ圏経済の停滞など、海外経済の下振れによる影響の懸念はありますが、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の持ち直し、円安の定着をベースとした輸出の増加などを支えとして、緩やかな回復が継続するものと思われます。
ホテル業界におきましては、訪日外国人数は引き続き増加基調にあるため、宿泊事業は堅調に推移することが見込まれますが、景気の回復基調がレストラン事業・宴会事業に波及するまでには、もうしばらく時間を要するものと予想されます。
このような状況のもと、当社グループは、そのビジョンである日本をベースとした「優良国際ラグジュアリーホテルチェーンとしての地位確立」の実現に向け、鋭意努力して参ります。中規模ながらも優良なホテルチェーンとしての地位を確立していくため、本年は差別化戦略・スキームの導入・実行と、チェーン組織統合によるグループ力の強化を図って参ります。
競合ホテルチェーンとの差別化の手法の一つとして、会員プログラムのサブクラブ制度「One Harmonyプレミアムセレクション」をスタート致しました。各グループホテルがこの制度を導入することにより、その国・地域の顧客満足度の向上を図り、リピート効果を高めてまいります。
グループインフラの整備・拡充の分野では、昨年導入した標準業績管理システムに、更に、マンパワーコントロールシステム・メニューマネジメントシステム・原価管理システムを付加して、統合運営管理システムとしてアップグレード化を図り、Eラーニングシステムについては中国語版を完成させ、英語版のシステム開発にも着手します。
新規事業においては、差別化戦略の一環として、特定の国や地域において集中的に出店していく活動や、その手法の一つとして、特定の国におけるローカル企業との合弁によるローカルマネジメントカンパニーを設立し、その地域に根差した活動を展開して参ります。その最初の取り組みとして、本年2月に、トルコにおきまして、ローカルパートナーと合弁で現地運営会社を設立しております。
他方、ホテルオークラ東京がグループの旗艦ホテルとしての役割を明確に果たしていくために、そして、同ホテル、延いてはグループの中長期的な安定成長を図っていくことを目的として、本年9月から同ホテルの本館の再開発事業に着手します。
ホテル運営管理の分野においては、2015年度下半期を目処に当社と㈱JALホテルズのチェーン本部機能を統合することを目指し、その準備作業を進めてまいります。この実現によって、重複組織の統廃合によって効率化を図っていくと同時に、メンバーホテルへのサービスの充実化を図るべく、人的資源を、差別化戦略を推進する部門や、送客の向上を図る部門、ブランド管理を推進する部門に充当し、チェーン競争力の強化を図ってまいります。
グループビジョンである「中規模優良国際ラグジュアリーホテルチェーン」の実現に向け、このような差別化策の導入によってチェーン競争力を強化すべく、努力してまいります。株主の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。