四半期報告書-第24期第3四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/11/12 16:30
【資料】
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【項目】
19項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 経営成績の分析
当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下、Non-GAAP指標)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。
Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下、IFRS営業利益)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する会計基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産の償却費等を指します。
(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。
当第3四半期連結累計期間の経営成績(Non-GAAPベース)
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられています。日本経済においても、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善により、世界経済と同様の動きが続くことが期待されています。一方で、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響には引き続き注意が必要です。こうした中、厚生労働省は通販や電子決済の活用を含む、感染症拡大防止のための「新しい生活様式」の実践を求めており、人との接触機会を減らしながら、商品を購入、サービスを享受することが出来るインターネットサービスや、ネット金融サービス等を提供するIT企業に期待される社会的役割は一層増していると当社は考えています。
このような環境下、当社グループは、国内外70以上の多様なサービスにより構成される楽天エコシステムを活用した事業経営により、感染症の影響による事業リスクの分散を図るとともに、引き続き、メンバーシップ、データ及びブランドを結集したビジネスの展開、AI等を積極的に活用したサービスの開発・展開を進めています。
インターネットサービスの主力サービスである国内ECにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得のための販促活動、クロスユースの促進に加え、楽天エコシステムのオープン化戦略、送料込みラインの統一施策の導入、自社物流網の整備・強化等に注力しました。新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛が段階的に解除され、旅行予約サービスや、プロスポーツサービス等において売上収益は前四半期比で大きく改善しましたが、前年同期比では減少しています。一方で、「巣ごもり消費」の拡大に伴うオンラインショッピング需要の高まりにより、『楽天市場』等のサービスにおいては、依然高い水準で取扱高が成長しています。海外インターネットサービスにおいては、国内と同様にインターネット旅行予約サービスや小売業の取扱高減少の影響を受けましたが、デジタルコンテンツサービス等の取扱高が伸長しました。
フィンテックにおいては、2020年6月に『楽天カード』会員数が2,000万人を突破して以降も、会員基盤の拡大が続いており、オンラインショッピングを中心に取扱高が伸長し、売上収益及び利益の増加が続いています。銀行サービスにおいても、2020年6月に900万口座を突破以降も、新規口座獲得数が堅調に伸長したことで、役務取引等収益などの増加が売上収益の増加に貢献しています。証券サービスにおいては、新規口座開設数の大幅な増加が続くと同時に、国内株式売買代金、FX売買高の伸長に伴い、手数料収入が増加したこと等が、売上収益及び利益の増加に貢献しました。
モバイルにおいては、2020年4月の本格的なサービスの開始後、9月には5Gのサービスを開始しました。2020年6月に100万回線を突破後も楽天エコシステム内外からの顧客獲得が進んでいます。同サービスにおいては、基地局の開設を加速化させ、自社回線によるサービス提供エリアの拡大を進めるとともに、ネットワークの品質向上等に努めています。
これらにより、当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上収益は1,040,190百万円(前年同期比14.8%増)、Non-GAAP営業損失は79,377百万円(前年同期は127,336百万円の営業利益)となりました。
(Non-GAAPベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
売上収益905,7811,040,190134,40914.8%
Non-GAAP営業利益
又は損失(△)
127,336△79,377△206,713-%

Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整
当第3四半期連結累計期間において、Non-GAAP営業利益で控除される無形資産の償却費は7,910百万円、株式報酬費用は8,036百万円となりました。また、当第3四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目には、OverDrive Holdings, Inc.の全株式を譲渡したことに伴い発生した売却益40,926百万円及び一部の米国事業の閉鎖に伴う固定資産の減損等が含まれています。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
Non-GAAP営業利益
又は損失(△)
127,336△79,377△206,713
無形資産償却費△6,855△7,910△1,055
株式報酬費用△7,514△8,036△522
非経常的な項目-34,80434,804
IFRS営業利益
又は損失(△)
112,967△60,519△173,486

当第3四半期連結累計期間の経営成績(IFRSベース)
当第3四半期連結累計期間における売上収益は1,040,190百万円(前年同期比14.8%増)、IFRS営業損失は60,519百万円(前年同期は112,967百万円の営業利益)、四半期損失(親会社の所有者帰属)は71,471百万円(前年同期は14,117百万円の損失)となりました。
(IFRSベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
売上収益905,7811,040,190134,40914.8%
IFRS営業利益
又は損失(△)
112,967△60,519△173,486-%
四半期利益又は損失(△)
(親会社の所有者帰属)
△14,117△71,471△57,354-%

(2) セグメント別業績
各セグメントにおける業績は次のとおりです。なお、IFRS上のマネジメントアプローチの観点から、セグメント損益をNon-GAAP営業損益ベースで表示しています。
(インターネットサービス)
主力サービスである国内ECにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得のための販促活動、クロスユースの促進に加え、楽天エコシステムのオープン化戦略等に注力しました。また、包括的な物流サービスを提供する「ワンデリバリー」構想のもと、自社物流施設への楽天市場出店店舗商品の受入れ拡大やラストワンマイルにおける自社配送エリアの拡大等、自社物流網の整備・強化に努め、配送業者による物量制限、配送料金値上げによる影響の中長期的な緩和を図るとともに、送料込みラインの統一施策の導入により、顧客と楽天サービス出店者双方の利便性向上に注力しています。新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛をきっかけとした「巣ごもり消費」の拡大に伴うオンラインショッピング需要の高まりにより、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』や医療品・日用品等の通信販売等を行う『Rakuten 24』などにおいては、引き続き取扱高に押し上げの効果が見られました。インターネット旅行予約サービスの『楽天トラベル』においては、外出自粛が段階的に解除されるなか、政府の実施した「Go To トラベル事業」等の効果もあり、国内宿泊等の取扱高を中心に前四半期比で売上収益の改善が見られたほか、コスト効率化等の施策により利益も改善しました。スポーツサービスにおいても、プロ野球公式戦、サッカーリーグ戦の入場者数制限を受け、売上収益が減少したものの、段階的な規制緩和が行われるなかで、収益の改善が見られます。海外インターネットサービスにおいては、インターネット旅行予約サービスや小売業の取扱高減少の影響を受けましたが、『楽天Kobo』等のデジタルコンテンツサービス等の取扱高が伸長しました。
この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は607,110百万円(前年同期比8.2%増)、セグメント損失は3,961百万円(前年同期は114,039百万円の利益)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
561,092607,11046,0188.2%
セグメント損益114,039△3,961△118,000-%


(フィンテック)
クレジットカード関連サービスにおいては、2020年6月に『楽天カード』会員数が2,000万人を突破して以降も、会員基盤の拡大が続いており、宿泊・飲食サービスなどでは依然消費に厳しさがみられますが、オンラインショッピングを中心に取扱高が伸長し、売上収益及び利益の増加が続いています。銀行サービスにおいても、2020年6月に900万口座を突破以降も、新規口座獲得数が堅調に伸長したことで、役務取引等収益などの増加が売上収益の増加に貢献しています。証券サービスにおいては、新規口座開設数の大幅な増加が続くと同時に、国内株式売買代金、FX売買高の伸長に伴い、手数料収入が増加したこと等が、売上収益及び利益の増加に貢献しました。
この結果、フィンテックセグメントにおける売上収益は425,727百万円(前年同期比20.3%増)、セグメント利益は63,391百万円(前年同期比24.5%増)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
353,995425,72771,73220.3%
セグメント損益50,93363,39112,45824.5%

(モバイル)
モバイルにおいては、2020年4月の本格的なサービスの開始後、9月には5Gのサービスを開始しました。2020年6月に100万回線を突破後も楽天エコシステム内外からの顧客獲得が進んでいます。同サービスにおいては、基地局の開設を加速化させ、自社回線によるサービス提供エリアの拡大を進めるとともに、ネットワークの品質向上等に努めています。
この結果、モバイルセグメントにおける売上収益は128,583百万円(前年同期比54.2%増)、セグメント損失は140,294百万円(前年同期は33,472百万円の損失)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
83,386128,58345,19754.2%
セグメント損益△33,472△140,294△106,822-%


(3) 財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は10,953,840百万円となり、前連結会計年度末の資産合計9,165,697百万円と比べ、1,788,143百万円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が資金調達等により1,098,628百万円増加、証券事業の金融資産が410,230百万円増加、有形固定資産が233,482百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は10,274,670百万円となり、前連結会計年度末の負債合計8,428,497百万円と比べ、1,846,173百万円増加しました。これは主に、銀行事業の預金が969,037百万円増加、証券事業の金融負債が463,559百万円増加、社債及び借入金が415,948百万円増加したことによるものです。
(資本)
当第3四半期連結会計期間末の資本合計は679,170百万円となり、前連結会計年度末の資本合計737,200百万円と比べ、58,030百万円減少しました。これは主に、当第3四半期連結累計期間における親会社の所有者に帰属する四半期損失を71,471百万円計上したこと等により利益剰余金が79,753百万円減少したことによるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,098,628百万円増加し、2,577,185百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、848,109百万円の資金流入(前年同期は105,792百万円の資金流入)となりました。これは主に、証券事業の金融資産の増加による資金流出が410,307百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が968,928百万円、証券事業の金融負債の増加による資金流入が463,678百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、147,249百万円の資金流出(前年同期は204,496百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流入が37,220百万円(有価証券の売却及び償還による資金流入が361,595百万円、有価証券の取得による資金流出が324,375百万円)となった一方で、有形固定資産の取得による資金流出が189,568百万円、無形資産の取得による資金流出が72,764百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、400,855百万円の資金流入(前年同期は238,701百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が260,802百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が354,167百万円、短期借入金の増加による資金流入が193,425百万円、コマーシャル・ペーパーの増加による資金流入が163,500百万円となったことによるものです。
(5) 経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6) 研究開発活動
当社の研究開発活動は、当社及び当社グループの開発業務への貢献を目的とし、個々の事業とは別に研究を行っています。なお、研究開発活動の状況については、前連結会計年度より重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間における、当社グループが支出した研究開発費の総額は7,277百万円です。
(7) 従業員数
当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループは、インターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、生産及び受注に該当する事項が無いため、生産及び受注実績に関する記載はしていません。
② 販売実績
当社グループは当第3四半期連結累計期間において、販売実績の著しい増減はありません。
(9) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。