四半期報告書-第28期第1四半期(2024/01/01-2024/03/31)

【提出】
2024/05/14 16:30
【資料】
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【項目】
40項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績の分析
当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP指標」)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。
Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下「IFRS営業利益」)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する会計基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産償却費等を指します。
(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。
① 当第1四半期連結累計期間の経営成績(Non-GAAPベース)
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、一部の地域において弱さがみられるものの持ち直しており、その先行きについては、世界的な金融引締めに伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要があります。日本経済については、個人消費の持ち直しに足踏みがみられるものの、景気の緩やかな回復が続くことが期待されています。
「情報通信白書」(注)によると、通信インフラの高度化やデジタルサービスの普及・多様化とともに、日本におけるネットワーク上でのデータ流通量は飛躍的に増大しています。新型コロナウイルス感染症拡大後、非接触・非対面での生活を可能とするデジタル化の進展により、特にモバイル端末経由でのデータ流通量は大幅に増加してきており、今後も更に伸びていくことが予想されています。
このような環境下、当社グループは、メンバーシップ及び共通ポイントプログラムを基盤にしたオンライン・オフライン双方のデータ、AI等の先進的技術を活用したサービスの開発及び展開、モバイルサービスにおけるネットワーク品質の向上及びユーザー獲得を積極的に進めています。また、楽天エコシステムを更に進化・拡大させることで、当社グループの競争力を高めていくとともに、インターネットサービス、フィンテック、モバイル等、多岐にわたるサービスを通じて蓄積したユニークなデータ資産を保有している当社グループだからこそ可能であるソリューションサービスを開発及び提供していくことで「AIエンパワーメントカンパニー」としても進化し、人々の生活をより便利で豊かにすることを目指しています。
インターネットサービスにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、新規顧客の獲得、クロスユースの促進、自治体や地域事業者との連携を深化させたサービスの開発及び地域経済活性化等に注力しました。フィンテックにおいては、各サービスにおける顧客基盤及び取扱高の拡大に努めた結果、更なる売上高の伸長とセグメント利益の向上につながりました。また、モバイルにおいては、ネットワーク品質の向上に努めた結果、契約者数が増加したことで前第1四半期連結累計期間と比較して売上収益が伸長したことに加え、継続中のコスト削減努力も相俟って、セグメント損失は着実に縮小傾向にあります。
この結果、当社グループの当第1四半期連結累計期間における売上収益は513,624百万円(前年同期比8.0%増)、Non-GAAP営業損失は25,449百万円(前年同期は68,968百万円の損失)となりました。
(注) 出典:「令和5年版 情報通信白書」(総務省)
(Non-GAAPベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
売上収益475,635513,62437,9898.0%
Non-GAAP営業損失(△)△68,968△25,44943,519-%

② Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整
当第1四半期連結累計期間において、Non-GAAP営業利益で控除される無形資産償却費は1,833百万円、株式報酬費用は3,764百万円となりました。前第1四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目には、2022年連結会計年度に発覚した子会社の元従業員及び取引先の共謀による不正行為に係る弁護士費用等、外部の専門家に対する報酬等が含まれています。また、当第1四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目には、令和6年能登半島地震における基地局の保守修繕等の発生費用1,154百万円、生損保一体型基幹システムの一部に係る除却損の計上1,174百万円等が含まれています。なお、これらの費用は要約四半期連結損益計算書において、主にその他の費用に計上されています。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
Non-GAAP営業損失(△)△68,968△25,44943,519
無形資産償却費△2,099△1,833266
株式報酬費用△4,115△3,764351
非経常的な項目△1,012△2,226△1,214
IFRS営業損失(△)△76,194△33,27242,922

③ 当第1四半期連結累計期間の経営成績(IFRSベース)
当第1四半期連結累計期間における売上収益は513,624百万円(前年同期比8.0%増)、IFRS営業損失は33,272百万円(前年同期は76,194百万円の損失)、四半期損失(親会社の所有者帰属)は42,394百万円(前年同期は82,567百万円の損失)となりました。
(IFRSベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
売上収益475,635513,62437,9898.0%
IFRS営業損失(△)△76,194△33,27242,922-%
四半期損失(△)
(親会社の所有者帰属)
△82,567△42,39440,173-%


(2) セグメント別業績
各セグメントにおける業績は次のとおりです。なお、IFRS上のマネジメントアプローチの観点から、セグメント損益をNon-GAAP営業損益ベースで表示しています。
(インターネットサービス)
主力サービスである国内ECにおいては、収益性の向上を企図したマーケティング施策の変更の影響を受け、前第1四半期連結累計期間と比べ流通総額の成長率は鈍化したものの、営業利益は増益となりました。インターネット・ショッピングモール『楽天市場』及び旅行予約サービス『楽天トラベル』においては、顧客の利便性や満足度の向上を追求した各種施策により顧客の定着が継続しました。
海外インターネットサービスを含むその他インターネットサービスにおいては、米国のオンライン・キャッシュバック・サービス『Rakuten Rewards』の堅調な売上成長が継続したほか、海外コンテンツ事業のうち、モバイルメッセージング及びVoIPサービスの『Viber』、電子書籍サービスの『Kobo』、ビデオストリーミングサービスの『Viki』では、利用者が増加した結果、それぞれ着実な業績改善が見られ、セグメント利益の拡大に寄与しました。
この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は285,703百万円(前年同期比5.4%増)、セグメント利益は13,600百万円(前年同期比14.8%増)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
271,138285,70314,5655.4%
セグメント損益11,85113,6001,74914.8%

(フィンテック)
フィンテックにおいては、クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービス等において増収増益を達成しました。クレジットカード関連サービスにおいては、2023年12月に『楽天カード』の累計発行枚数が3,000万枚に達する等、力強い成長が継続しています。キャッシュレス決済サービスにおいても、決済利用可能箇所及びシーンの充実を通じて利用者数の増加に注力した結果、取扱高が大幅に拡大しました。銀行サービスにおいては、2023年12月末に預金残高が10兆円、2024年2月に預金口座数が1,500万口座、証券サービスにおいては、2024年4月に総合口座数が1,100万口座をそれぞれ達成する等、顧客基盤の更なる拡大が進みました。
この結果、フィンテックセグメントにおける売上収益は193,458百万円(前年同期比15.1%増)、セグメント利益は39,278百万円(前年同期比47.4%増)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
168,025193,45825,43315.1%
セグメント損益26,64039,27812,63847.4%


(モバイル)
モバイルにおいては、ネットワーク品質の向上を目指した努力を継続しながら、楽天エコシステムにおける楽天モバイルユーザーの利便性、使用メリット等を訴求しています。2024年4月に契約回線数が650万回線(MNOのB2C及びB2Bの合算)を突破したことに加え、B2C及びB2BそれぞれのARPUも上昇した結果、通信料収入が着実に増加しました。2024年春以降、「最強家族プログラム」、「最強青春プログラム」等、プログラムの拡充にも努めており、様々な属性の方に対する便利でコストパフォーマンスの高いサービスの提供等を通じ、顧客満足度の最大化を追求しています。なお、2024年4月30日には、総務省より認定を受けた700MHz帯(「プラチナバンド」)において試験電波の発射を開始する等、自社基地局による「プラチナバンド」の順次展開に向けた準備を進めています。
この結果、モバイルセグメントにおける売上収益は99,840百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント損失は71,928百万円(前年同期は102,662百万円の損失)となりました。
今後、ネットワーク設備投資の一巡により最適化された営業費用(減価償却費を除く)を維持させながら、更なる売上収益の伸長に取り組むことで、モバイル事業単体における早期の黒字化を目指していきます。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
96,33399,8403,5073.6%
セグメント損益△102,662△71,92830,734-%

(3) 財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は23,851,066百万円となり、前連結会計年度末の資産合計22,625,576百万円と比べ、1,225,490百万円増加しました。これは主に、証券事業の金融資産が781,959百万円増加、現金及び現金同等物が241,459百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末の負債合計は22,739,233百万円となり、前連結会計年度末の負債合計21,537,853百万円と比べ、1,201,380百万円増加しました。これは主に、証券事業の金融負債が720,060百万円増加、銀行事業の預金が219,872百万円増加、銀行事業の借入金が133,437百万円増加したことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末の資本合計は1,111,833百万円となり、前連結会計年度末の資本合計1,087,723百万円と比べ、24,110百万円増加しました。これは主に、当第1四半期連結累計期間における親会社の所有者に帰属する四半期損失を42,394百万円計上したこと等により利益剰余金が41,345百万円減少した一方で、円安の影響による為替換算調整勘定の変動等によりその他の資本の構成要素が53,570百万円増加、非支配持分が8,102百万円増加したことによるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ241,459百万円増加し、5,369,133百万円となりました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、148,871百万円の資金流入(前年同期は122,561百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が92,892百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が217,130百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、185,974百万円の資金流出(前年同期は109,862百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が110,231百万円(取得による資金流出が347,749百万円、売却及び償還による資金流入が237,518百万円)、無形資産の取得による資金流出が48,906百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、268,826百万円の資金流入(前年同期は39,243百万円の資金流入)となりました。これは主に、社債の償還による資金流出が122,607百万円となった一方で、社債の発行による資金流入が255,366百万円、銀行事業の長期借入れによる資金流入が132,200百万円となったことによるものです。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この要約四半期連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 3. 重要な会計上の見積り及び判断」をご参照ください。
(6) 経営方針、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、経営方針、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(7) 研究開発活動
当社の研究開発活動は、当社及び当社グループの開発業務への貢献を目的とし、個々の事業とは別に研究を行っています。なお、研究開発活動の状況については、前連結会計年度より重要な変更はありません。
当第1四半期連結累計期間における、当社グループが支出した研究開発費の総額は4,365百万円です。
(8) 従業員数
当第1四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(9) 生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい増減はありません。
(10) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。