四半期報告書-第25期第3四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/11 16:30
【資料】
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【項目】
44項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 経営成績の分析
当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP指標」)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。
Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下「IFRS営業利益」)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する会計基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産の償却費等を指します。
(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、一部で依然として厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられています。日本経済においても、ワクチン接種の促進をはじめとする各種政策等の効果により、持ち直していくことが期待されています。新型コロナウイルス感染症の流行により、生活様式の変化が強いられる中、人との接触機会を減らしながら、商品を購入、サービスを享受することができるインターネットサービスや、オンライン金融サービス、情報通信サービス等を提供するIT企業に期待される社会的役割は一層増していると当社は考えています。
このような環境下、当社グループは、国内外70以上の多様なサービスにより構成される楽天エコシステムを活用した事業経営により、感染症の影響による事業リスクの分散を図るとともに、引き続き、メンバーシップ、データ及びブランドを結集したビジネスの展開、AI等を積極的に活用したサービスの開発・展開を進めました。
インターネットサービスにおいては、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』における共通の送料無料(込み)ライン導入に代表される顧客利便性向上の施策等の奏功により、コロナ禍の「巣ごもり消費」等を背景に増加した顧客の定着が国内EC取扱高の伸長に貢献したほか、前年同期に外出自粛等の影響を大きく受け、宿泊予約の低迷が続いたインターネット旅行予約サービス『楽天トラベル』における安心・安全な旅への取組等による宿泊予約の促進が国内EC取扱高の伸長に貢献しました。海外インターネットサービスを含むその他インターネットサービスにおいては、継続的なコスト効率化の施策や人々の消費行動の回復に伴い、コロナ禍で影響を受けた事業の業績改善が営業損失の縮小に寄与しました。フィンテックにおいては、各サービスにおける顧客基盤の拡大が続き、クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービス等において増収増益を達成しました。また、モバイルにおいては、顧客獲得が順調に進捗する中、通信料金を1年間無料とするキャンペーン期間の終了に伴い、一部のユーザーの通信料収入が順次計上され始めた一方、自社ネットワークエリア拡大の前倒しに伴い、減価償却費等のネットワーク関連費用が増加しています。
この結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上収益は1,200,574百万円(前年同期比15.4%増)となりましたが、モバイルにおける自社基地局設置等の先行投資が継続中であることを主因に、Non-GAAP営業損失は148,859百万円(前年同期は79,377百万円の損失)となりました。
(Non-GAAPベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
売上収益1,040,1901,200,574160,38415.4%
Non-GAAP営業損失(△)△79,377△148,859△69,482-%

Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整
当第3四半期連結累計期間において、Non-GAAP営業利益で控除される無形資産の償却費は5,615百万円、株式報酬費用は7,727百万円となりました。なお、前第3四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目には、OverDrive Holdings, Inc.の全株式を譲渡したことに伴い発生した売却益40,926百万円及び一部の米国事業の閉鎖に伴う固定資産の減損等が含まれています。また、当第3四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目には、Altiostar社の完全子会社化に伴う段階取得に係る差益59,496百万円、楽天ポイントの規約等の見直しによるポイント引当金の増加に伴う費用5,578百万円等が含まれています。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
Non-GAAP営業損失(△)△79,377△148,859△69,482
無形資産償却費△7,910△5,6152,295
株式報酬費用△8,036△7,727309
非経常的な項目34,80453,83919,035
IFRS営業損失(△)△60,519△108,362△47,843

当第3四半期連結累計期間の経営成績(IFRSベース)
当第3四半期連結累計期間における売上収益は1,200,574百万円(前年同期比15.4%増)、IFRS営業損失は108,362百万円(前年同期は60,519百万円の損失)、四半期損失(親会社の所有者帰属)は92,262百万円(前年同期は71,471百万円の損失)となりました。
(IFRSベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
売上収益1,040,1901,200,574160,38415.4%
IFRS営業損失(△)△60,519△108,362△47,843-%
四半期損失(△)
(親会社の所有者帰属)
△71,471△92,262△20,791-%


(2) セグメント別業績
各セグメントにおける業績は次のとおりです。なお、IFRS上のマネジメントアプローチの観点から、セグメント損益をNon-GAAP営業損益ベースで表示しています。
当社グループは、デジタルコンテンツサービスとモバイルサービスの連携を強化しシナジー効果を高めることを目的に、前第4四半期連結会計期間より、一部の事業及び子会社をセグメント間で移管しています。主な変更として、従前インターネットサービスセグメントに含まれていたデジタルコンテンツサイト等の運営を行う事業等をモバイルセグメントに移管しています。更に、第2四半期連結会計期間より、北米地域における楽天エコシステムの拡大等を目的として、事業管理体制の見直しを行いました。これに伴い、北米地域でデジタルコンテンツサイト等の運営を行う一部の事業及び子会社並びにメッセージングサービスの提供等を行う一部の事業及び子会社をセグメント間で移管しています。主な変更として、前第4四半期連結会計期間よりモバイルセグメントに含まれていたRakuten Kobo Inc.や、従来モバイルセグメントに含まれていたViber Media S.a.r.l.等をインターネットサービスセグメントに移管しています。これらの変更に伴い、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報を修正再表示した結果、メッセージングサービスの提供等を行う一部の事業及び子会社はインターネットサービスセグメントに、北米地域以外でデジタルコンテンツサイト等の運営等を行う一部の事業及び子会社はモバイルセグメントに含まれています。
(インターネットサービス)
主力サービスである国内ECにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得のための販促活動、クロスユースの促進、共通の送料無料(込み)ラインの導入促進に加え、楽天エコシステムのオープン化戦略等に注力しました。インターネット・ショッピングモール『楽天市場』や医療品・日用品等の通信販売等を行う『Rakuten 24』等においては、こうした施策の結果、コロナ禍における「巣ごもり消費」の拡大に伴うオンラインショッピング需要の高まりを背景に増加した顧客の定着が進み、取扱高はコロナ禍における業績の押し上げの影響を受けた前年同期と比較しても伸長しました。また、前年同期に外出自粛等の影響を大きく受け、宿泊予約の低迷が続いたインターネット旅行予約サービス『楽天トラベル』においても、安心・安全な旅への取組等により取扱高が前年同期比で増加しました。海外インターネットサービスを含むその他インターネットサービスにおいては、継続的なコスト効率化の施策や人々の消費行動の回復に伴うコロナ禍で影響を受けた事業の業績改善が営業損失の縮小に寄与しました。また、投資事業におけるフィンテック関連企業への株式投資の評価益を27,658百万円計上しています。なお、当社における物流事業は日本郵便株式会社との合弁会社への承継が完了しており、承継会社であるJP楽天ロジスティクス社は、当第3四半期連結会計期間より、当社の持分法適用関連会社となりました。これに伴い、第2四半期連結会計期間までインターネットサービスセグメントで計上されていた物流事業の損益の一部が、当第3四半期連結会計期間より持分法による投資損益として計上されています。
この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は702,248百万円(前年同期比15.6%増)、セグメント利益は83,401百万円(前年同期は6,427百万円の利益)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
607,421702,24894,82715.6%
セグメント損益6,42783,40176,974-%


(フィンテック)
クレジットカード関連サービスにおいては、その発行枚数が2021年10月に2,400万枚に到達する等、会員及び収益基盤の拡大が継続しています。同サービスにおいては、宿泊・飲食サービス等の消費動向に依然厳しさがみられるものの、オンラインショッピングを中心に取扱高が伸長し、売上収益及び利益が増加しました。銀行サービスにおいても、新規口座獲得が加速し、2021年7月には、国内のインターネット銀行として初めて(注)口座数が1,100万口座を突破しました。預金残高伸長に伴い預金利息が増加する中でも、決済件数増加等による役務取引等収益等が大きく伸長し、売上収益及び利益が増加しました。同様に、証券サービスにおいても、新規口座開設の加速が続き、2021年5月に証券総合口座数が600万口座を突破して以降も新規口座開設の増加が続いています。また、国内外株式売買代金の伸長に伴う手数料収入等の増加に伴い、売上収益及び利益が増加しました。
この結果、フィンテックセグメントにおける売上収益は455,589百万円(前年同期比7.0%増)、セグメント利益は68,236百万円(前年同期比7.6%増)となりました。
(注) 2021年7月5日 楽天銀行調べ
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
425,727455,58929,8627.0%
セグメント損益63,39168,2364,8457.6%

(モバイル)
モバイルにおいては、順調に顧客獲得が進捗する中、通信料金を1年間無料とするキャンペーン期間の終了に伴い、一部のユーザーの通信料収入が順次計上され始めた一方、自社ネットワークエリア拡大の前倒しに伴い、減価償却費等のネットワーク関連費用が増加しています。
この結果、モバイルセグメントにおける売上収益は162,208百万円(前年同期比26.5%増)となりましたが、モバイルにおける自社基地局設置等の先行投資が継続中のため、セグメント損失は302,519百万円(前年同期は150,682百万円の損失)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
128,272162,20833,93626.5%
セグメント損益△150,682△302,519△151,837-%

(3) 財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は15,439,566百万円となり、前連結会計年度末の資産合計12,524,438百万円と比べ、2,915,128百万円増加しました。これは主に、銀行事業の貸付金が834,622百万円増加、現金及び現金同等物が820,398百万円増加、証券事業の金融資産が720,455百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は14,298,349百万円となり、前連結会計年度末の負債合計11,895,424百万円と比べ、2,402,925百万円増加しました。これは主に、銀行事業の預金が1,393,179百万円増加、証券事業の金融負債が743,845百万円増加、社債及び借入金が307,714百万円増加したことによるものです。
(資本)
当第3四半期連結会計期間末の資本合計は1,141,217百万円となり、前連結会計年度末の資本合計629,014百万円と比べ、512,203百万円増加しました。これは主に、当第3四半期連結累計期間における親会社の所有者に帰属する四半期損失を92,262百万円計上したこと等により利益剰余金が99,715百万円減少となった一方で、第三者割当による新株の発行及び自己株式の処分等により資本金が82,999百万円増加、資本剰余金が82,627百万円増加し、自己株式が84,941百万円減少、米ドル及びユーロ建永久劣後特約付社債の発行により、その他の資本性金融商品が317,316百万円増加したことによるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ820,398百万円増加し、3,841,704百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、417,784百万円の資金流入(前年同期は848,109百万円の資金流入)となりました。これは主に、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が834,603百万円、証券事業の金融資産の増加による資金流出が720,131百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が1,392,579百万円、証券事業の金融負債の増加による資金流入が743,472百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、430,058百万円の資金流出(前年同期は147,249百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が139,472百万円(有価証券の取得による資金流出が457,054百万円、有価証券の売却及び償還による資金流入が317,582百万円)、有形固定資産の取得による資金流出が208,681百万円、無形資産の取得による資金流出が84,823百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、819,302百万円の資金流入(前年同期は400,855百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が146,827百万円、社債の償還による資金流出が88,766百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が517,611百万円、その他の資本性金融商品の発行による資金流入が315,708百万円、株式の発行及び自己株式の売却による資金流入が241,394百万円となったことによるものです。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この要約四半期連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、前事業年度の有価証券報告書に記載した「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」から変更を行っています。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 3. 重要な会計上の見積り及び判断」をご参照ください。
(6) 経営方針、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、経営方針、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(7) 研究開発活動
当社グループの研究開発活動は、当社グループの開発業務への貢献を目的とし、個々の事業とは別に研究を行っています。なお、研究開発活動の状況については、前連結会計年度より重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間における、当社グループが支出した研究開発費の総額は12,097百万円です。
(8) 従業員数
当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(9) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループは、インターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、生産及び受注に該当する事項が無いため、生産及び受注実績に関する記載はしていません。
② 販売実績
当社グループは当第3四半期連結累計期間において、販売実績の著しい増減はありません。
(10) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、当社は、当社の物流事業に係る以下の設備を簡易吸収分割によりJP楽天ロジスティクス社に承継しました。なお、詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 17. 企業結合」をご参照ください。
会社名事業所名
(所在地)
セグメントの名称設備
の内容
譲渡時帳簿価額(百万円)
建物及び
建物附属設備
使用権
資産
土地合計
楽天グループ
株式会社
RFC市川Ⅱ・Ⅳ
(千葉県市川市)
ほか主要5拠点
インターネットサービス倉庫設備5,09471,96242677,482

(注) 上記金額には、消費税等は含まれていません。