半期報告書-第28期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2024/08/09 16:30
【資料】
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【項目】
41項目
文中の将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績の分析
当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP指標」)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。
Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下「IFRS営業利益」)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する会計基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産償却費等を指します。
(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。
① 当中間連結会計期間の経営成績(Non-GAAPベース)
当中間連結会計期間における世界経済は、持ち直しているものの、その先行きについては、欧米における高い金利水準継続等の影響による景気の下振れリスクに留意する必要があります。日本経済については、個人消費の持ち直しに足踏みがみられるものの、景気の緩やかな回復が続くことが期待されています。
「情報通信白書」(注)によると、情報通信分野の技術は、あらゆる産業や社会活動の基盤となり、国境を越えて活用されていくことが見込まれるBeyond 5Gに向けた取組を中心に推進されています。また、AI等のデジタルを利用した新テクノロジーは、この先更に私たちの社会・経済活動を変革していくと期待されています。
このような環境下、当社グループは、メンバーシップ及び共通ポイントプログラムを基盤にしたオンライン・オフライン双方のデータ、AI等の先進的技術を活用したサービスの開発及び展開、モバイルサービスにおけるネットワーク品質の向上及びユーザー獲得を積極的に進めています。楽天エコシステムを更に進化・拡大させることで、当社グループの競争力を高めていくとともに、インターネットサービス、フィンテック、モバイル等、多岐にわたるサービスを通じて蓄積したユニークなデータ資産を保有している当社グループだからこそ可能であるソリューションサービスを開発していくことで「AIエンパワーメントカンパニー」としても進化し、人々の生活をより便利で豊かにすることを目指しています。また、足元において物価上昇や円安基調の継続等、景気の先行きへの不透明感が伴う中、多種多様な事業ポートフォリオを有する当社グループが強みとして発揮できる相乗効果を最大限生かすことで、消費者動向やニーズを適確に捉え、更なる成長機会を捉えていきます。
インターネットサービスにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、新規顧客の獲得、クロスユースの促進、自治体や地域事業者との連携を深化させたサービスの開発、地域経済活性化等に注力しました。フィンテックにおいては、各サービスにおける顧客基盤及び取扱高の拡大に努めた結果、更なる売上高の伸長とセグメント利益の向上につながりました。また、モバイルにおいては、自社エリア及びパートナー回線の活用による効率的なネットワーク品質の改善が進み、マーケティング活動の強化を行った結果、契約回線数が増加し売上収益が拡大したことに加え、コスト最適化努力も相俟って、セグメント損失は着実に縮小傾向にあります。
この結果、当社グループの当中間連結会計期間における売上収益は1,050,908百万円(前年同期比8.0%増)、Non-GAAP営業損失は37,273百万円(前年同期は108,410百万円の損失)となりました。
(注) 出典:「令和6年版 情報通信白書」(総務省)
(Non-GAAPベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前中間連結
会計期間)
(当中間連結
会計期間)
売上収益972,8001,050,90878,1088.0%
Non-GAAP営業損失(△)△108,410△37,27371,137-%

② Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整
当中間連結会計期間において、Non-GAAP営業利益で控除される無形資産償却費は3,771百万円、株式報酬費用は7,686百万円となりました。前中間連結会計期間に計上された非経常的な項目には、モバイル事業におけるローミング契約の見直しに基づき設備投資計画を変更したことに伴い一時的に発生した基地局工事等のキャンセルに係る費用1,977百万円、株式会社西友ホールディングスの全株式を譲渡したことに伴い発生した売却損益及び2022年連結会計年度に発覚した子会社の元従業員及び取引先の共謀による不正行為に係る弁護士費用等、外部の専門家に対する報酬等が含まれています。また、当中間連結会計期間に計上された非経常的な項目には、令和6年能登半島地震における基地局の保守修繕等の発生費用1,154百万円、生損保一体型基幹システムの一部に係る除却損の計上1,174百万円、みん就株式会社の譲渡益1,619百万円及びInternational Business Machines Corporationとの間の訴訟の解決に係る費用等が含まれています。なお、これらの収益及び費用は要約中間連結損益計算書において、主にその他の収益及びその他の費用に計上されています。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額
(前中間連結
会計期間)
(当中間連結
会計期間)
Non-GAAP営業損失(△)△108,410△37,27371,137
無形資産償却費△4,259△3,771488
株式報酬費用△7,997△7,686311
非経常的な項目△4,421△2,8731,548
IFRS営業損失(△)△125,087△51,60373,484

③ 当中間連結会計期間の経営成績(IFRSベース)
当中間連結会計期間における売上収益は1,050,908百万円(前年同期比8.0%増)、IFRS営業損失は51,603百万円(前年同期は125,087百万円の損失)、中間損失(親会社の所有者帰属)は75,962百万円(前年同期は139,985百万円の損失)となりました。
(IFRSベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前中間連結
会計期間)
(当中間連結
会計期間)
売上収益972,8001,050,90878,1088.0%
IFRS営業損失(△)△125,087△51,60373,484-%
中間損失(△)
(親会社の所有者帰属)
△139,985△75,96264,023-%


(2) セグメント別業績
各セグメントにおける業績は次のとおりです。なお、IFRS上のマネジメントアプローチの観点から、セグメント損益をNon-GAAP営業損益ベースで表示しています。
(インターネットサービス)
主力サービスである国内ECにおいては、収益性の向上を企図したマーケティング施策の変更の影響を受け、前中間連結会計期間と比べ流通総額の成長率は鈍化したものの、増収増益となりました。インターネット・ショッピングモール『楽天市場』においては、新規顧客獲得やクロスユースの促進等に注力しました。インターネット旅行予約サービス『楽天トラベル』においては、前年の政府による旅行支援施策等の反動がありながらも、顧客の利便性や満足度の向上を追求した各種施策により新たな顧客獲得へと繋げました。
海外インターネットサービスを含むその他インターネットサービスにおいては、米国のオンライン・キャッシュバック・サービス『Rakuten Rewards』が堅調な売上成長を継続しました。海外コンテンツ事業においては、電子書籍サービスの『Kobo』の新カラー対応端末の売上が好調に推移したほか、ビデオストリーミングサービスの『Viki』において利用者が増加する等、各事業が着実な事業成長を継続し、セグメント利益の拡大に寄与しました。
この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は589,599百万円(前年同期比4.2%増)、セグメント利益は32,463百万円(前年同期比23.3%増)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前中間連結
会計期間)
(当中間連結
会計期間)
セグメントに係る
売上収益
565,824589,59923,7754.2%
セグメント損益26,32632,4636,13723.3%

(フィンテック)
フィンテックにおいては、クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービス、ペイメントサービス等において、前年同期比での増収増益を達成しました。クレジットカード関連サービスにおいては、2024年6月末時点で『楽天カード』の累計発行枚数が3,100万枚を超えたことにより取扱高が増加し、売上収益が成長しました。それらに加え、マーケティング最適化等も奏功し、大幅な増益が継続しました。また、個人の資産形成・資産運用への関心が高まる中、『楽天銀行』と『楽天証券』による口座連携サービス「マネーブリッジ」の設定口座数が2024年4月に500万口座を突破したことに加え、『楽天証券』においては、2024年5月末時点での預り資産残高が30兆円を突破する等、両社における更なる顧客基盤拡大に繋がりました。また、決済事業サービスを行う『楽天ペイメント』においても効率的なマーケティング施策等により事業成長が継続しています。
この結果、フィンテックセグメントにおける売上収益は396,154百万円(前年同期比13.5%増)、セグメント利益は81,551百万円(前年同期比36.7%増)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前中間連結
会計期間)
(当中間連結
会計期間)
セグメントに係る
売上収益
349,027396,15447,12713.5%
セグメント損益59,64081,55121,91136.7%


(モバイル)
モバイルにおいては、ネットワーク品質の向上及びその認知拡大努力を継続しながら、『楽天モバイル』ユーザーの利便性・使用メリットを訴求することで顧客獲得施策を強化した結果、2024年6月に、BCP(Business Continuity Plan用途に販売しているプラン)を除く契約回線数が700万回線(MNOのB2C・B2B及びMVNEの合算)を突破しました。また、B2C及びB2BのARPUも第1四半期連結会計期間と比較してそれぞれ上昇した結果、通信料収入が着実に増加しました。2024年春以降に開始した「最強家族プログラム」、「最強青春プログラム」等、各種プログラム経由でのユーザー獲得も順調に進んでおり、様々な属性の方に対し、便利でコストパフォーマンスの高いサービスの提供等を通じ、顧客満足度の最大化を追求しています。なお、2024年6月には、700MHz帯(「プラチナバンド」)の商用サービスを開始しました。
この結果、モバイルセグメントにおける売上収益は194,801百万円(前年同期比10.4%増)、セグメント損失は132,569百万円(前年同期は185,093百万円の損失)となりました。
今後、ネットワーク設備投資の一巡により最適化された営業費用(減価償却費を除く)を維持させながら、更なる売上収益の伸長に取り組むことで、モバイル事業単体における早期の黒字化を目指していきます。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前中間連結
会計期間)
(当中間連結
会計期間)
セグメントに係る
売上収益
176,404194,80118,39710.4%
セグメント損益△185,093△132,56952,524-%


(3) 財政状態の分析
(資産)
当中間連結会計期間末の資産合計は24,828,283百万円となり、前連結会計年度末の資産合計22,625,576百万円と比べ、2,202,707百万円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が814,549百万円増加、証券事業の金融資産が728,771百万円増加、銀行事業の貸付金が352,257百万円増加したことによるものです。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債合計は23,700,233百万円となり、前連結会計年度末の負債合計21,537,853百万円と比べ、2,162,380百万円増加しました。これは主に、証券事業の金融負債が860,716百万円増加、銀行事業の預金が726,726百万円増加、社債及び借入金が414,081百万円増加したことによるものです。
(資本)
当中間連結会計期間末の資本合計は1,128,050百万円となり、前連結会計年度末の資本合計1,087,723百万円と比べ、40,327百万円増加しました。これは主に、当中間連結会計期間における親会社の所有者に帰属する中間損失を75,962百万円計上したこと等により利益剰余金が87,161百万円減少した一方で、円安の影響による為替換算調整勘定の変動等によりその他の資本の構成要素が102,673百万円増加、非支配持分が16,861百万円増加したことによるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ814,549百万円増加し、5,942,223百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、665,677百万円の資金流入(前年同期は239,777百万円の資金流入)となりました。これは主に、証券事業の金融資産の増加による資金流出が728,346百万円、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が349,008百万円となった一方で、証券事業の金融負債の増加による資金流入が860,183百万円、銀行事業の預金の増加による資金流入が717,695百万円、営業債権の減少による資金流入が63,178百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、401,218百万円の資金流出(前年同期は203,539百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が260,515百万円(取得による資金流出が751,046百万円、売却及び償還による資金流入が490,531百万円)、無形資産の取得による資金流出が91,091百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、529,764百万円の資金流入(前年同期は257,982百万円の資金流入)となりました。これは主に、社債の償還による資金流出が208,407百万円となった一方で、社債の発行による資金流入が601,313百万円、銀行事業の長期借入れによる資金流入が132,200百万円となったことによるものです。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの要約中間連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この要約中間連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記 3. 重要な会計上の見積り及び判断」をご参照ください。
(6) 経営方針、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、経営方針、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(7) 研究開発活動
当社の研究開発活動は、当社及び当社グループの開発業務への貢献を目的とし、個々の事業とは別に研究を行っています。なお、研究開発活動の状況については、前連結会計年度より重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における、当社グループが支出した研究開発費の総額は8,309百万円です。
(8) 従業員数
当中間連結会計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(9) 生産、受注及び販売の実績
当中間連結会計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい増減はありません。
(10) 主要な設備
当中間連結会計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。