四半期報告書-第26期第1四半期(令和4年1月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/05/13 16:30
【資料】
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【項目】
40項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 経営成績の分析
当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP指標」)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。
Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下「IFRS営業利益」)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する会計基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産の償却費等を指します。
(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、持ち直しの動きがみられています。日本経済については、ワクチン接種の促進をはじめとする各種政策等の効果により、持ち直していくことが期待されていますが、先行きについては、感染の動向、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに留意する必要があります。
新型コロナウイルス感染症の流行により、外出行動の抑制や消費行動の変化が迫られる中、非接触・非対面により、商品を購入、サービスを享受することができるデジタルサービスの社会的需要が一層増していると当社は考えています。なお、今般のウクライナ情勢については、各国の経済制裁等により、当社グループの営業活動への影響は一定程度あるものの、当社グループの経営成績及び財政状態に与える影響は限定的と見込んでいます。
このような環境下、当社グループは、メンバーシップ、データ及びブランドを結集したビジネス、AI等を活用したサービスの開発・展開を引き続き進めることで、感染症の影響による事業リスクの分散を図りつつ、国内外70以上の多様なサービスにより構成される楽天エコシステムの拡大に努めています。
インターネットサービスにおいては、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』における共通の送料無料(込み)ライン導入に代表される顧客利便性向上の施策等の奏功により、コロナ禍の「巣ごもり消費」等を背景に増加した顧客の定着が国内EC取扱高の伸長に貢献しました。フィンテックにおいては、2022年4月に『楽天カード』の発行枚数が2,600万枚を超えたほか、2022年1月に楽天銀行の預金口座数が1,200万口座を超えた後も新規口座開設が順調に進捗する等、顧客基盤の拡大が続きました。また、モバイルにおいては、計画の前倒しによる楽天回線エリアの4G人口カバー率96%到達や、楽天モバイルショップが1,000店舗を突破したこと等により、契約申し込み数が増加しました。
この結果、当社グループの当第1四半期連結累計期間における売上収益は437,127百万円(前年同期比11.7%増)となりましたが、モバイルにおける自社基地局設置等の先行投資が継続中のため、Non-GAAP営業損失は98,311百万円(前年同期は31,585百万円の損失)となりました。
(Non-GAAPベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
売上収益391,513437,12745,61411.7%
Non-GAAP営業損失(△)△31,585△98,311△66,726-%

Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整
当第1四半期連結累計期間において、Non-GAAP営業利益で控除される無形資産の償却費は2,220百万円、株式報酬費用は3,459百万円となりました。当第1四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目8,614百万円は、楽天ポイントの規約等の変更によるポイント引当金の増加に伴う費用です。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
Non-GAAP営業損失(△)△31,585△98,311△66,726
無形資産償却費△2,590△2,220370
株式報酬費用△3,165△3,459△294
非経常的な項目-△8,614△8,614
IFRS営業損失(△)△37,340△112,604△75,264


当第1四半期連結累計期間の経営成績(IFRSベース)
当第1四半期連結累計期間における売上収益は437,127百万円(前年同期比11.7%増)、IFRS営業損失は112,604百万円(前年同期は37,340百万円の損失)、四半期損失(親会社の所有者帰属)は91,412百万円(前年同期は36,786百万円の損失)となりました。なお、前第4四半期連結会計期間において、持分法適用関連会社である株式会社西友ホールディングスにおける企業結合に係る暫定的な会計処理の確定が行われたことに伴い、前第1四半期連結累計期間の数値を遡及修正しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 13. 持分法による投資利益」をご参照ください。
(IFRSベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
売上収益391,513437,12745,61411.7%
IFRS営業損失(△)△37,340△112,604△75,264-%
四半期損失(△)
(親会社の所有者帰属)
△36,786△91,412△54,626-%

(2) セグメント別業績
各セグメントにおける業績は次のとおりです。なお、IFRS上のマネジメントアプローチの観点から、セグメント損益をNon-GAAP営業損益ベースで表示しています。
当社グループは、前第2四半期連結会計期間より、北米地域における楽天エコシステムの拡大等を目的として、事業管理体制の見直しを行いました。これに伴い、北米地域でデジタルコンテンツサイト等の運営を行う一部の事業及び子会社並びにメッセージングサービスの提供等を行う一部の事業及び子会社をセグメント間で移管しています。主な変更として、従来モバイルセグメントに含まれていたRakuten Kobo Inc.やViber Media S.a.r.l.等をインターネットサービスセグメントに移管し、前第1四半期連結累計期間のセグメント情報を修正再表示しています。
(インターネットサービス)
主力サービスである国内ECにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得のための販促活動、クロスユースの促進、共通の送料無料(込み)ラインの導入促進に加え、楽天エコシステムのオープン化戦略等に注力しました。インターネット・ショッピングモール『楽天市場』や食品・日用品の宅配サービスを行う楽天西友ネットスーパー等においては、こうした施策の結果、コロナ禍における「巣ごもり消費」の拡大に伴うオンラインショッピング需要の高まりを背景に増加した顧客の定着が進み、取扱高はコロナ禍における業績の押し上げの影響を受けた前第1四半期連結累計期間と比較しても伸長しました。インターネット旅行予約サービス『楽天トラベル』においても、前第1四半期連結累計期間と比較して取扱高が伸長し、2022年3月21日をもって全ての都道府県における「まん延防止等重点措置」が終了したこと等から、今後は更なる回復が見込まれます。海外インターネットサービスを含むその他インターネットサービスにおいては、継続的なコスト効率化の施策や人々の消費行動の回復に伴い、米国のキャッシュバックサービス『Rakuten Rewards』を中心に売上収益の伸びに回復が見られました。一方で、メッセージング及びVoIPサービス『Rakuten Viber』においてロシア・ウクライナにおける広告掲載を停止しており、これによる当社グループ全体の業績に与える影響は軽微と考えていますが、引き続き状況を注視していきます。なお、前第1四半期連結累計期間に、投資事業におけるフィンテック関連企業への株式投資の評価益を30,603百万円計上しており、前年同期比で大きく減益となっています。また、当社における物流事業に関して有する権利義務については、一部を除いて、日本郵便株式会社との合弁会社であるJP楽天ロジスティクス株式会社への承継が完了しており、同社は、前第3四半期連結会計期間より、当社の持分法適用関連会社となりました。これに伴い、前第2四半期連結会計期間までインターネットサービスセグメントで計上されていた物流事業の損益の一部が、前第3四半期連結会計期間より持分法による投資損益として計上されています。
この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は245,783百万円(前年同期比9.3%増)、セグメント利益は18,002百万円(前年同期比56.7%減)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
224,943245,78320,8409.3%
セグメント損益41,55918,002△23,557△56.7%

(フィンテック)
クレジットカード関連サービスにおいては、2枚目『楽天カード』のマーケティングが奏功し、2022年4月には、同カード発行枚数が2,600万枚を突破する等、顧客基盤の拡大が継続しています。同サービスにおいては、前連結会計年度にショッピング取扱高が14兆円を超え、当第1四半期連結累計期間においても、オンラインショッピングを中心に取扱高は引き続き堅調に伸長しています。また、2022年3月21日をもって全ての都道府県における「まん延防止等重点措置」が終了したこと等から、今後はオフラインを中心に更なる取扱高の拡大を見込んでいます。銀行サービスにおいては、新規口座数の増加が続いており、2022年1月には、預金口座数が1,200万口座を突破し、2022年3月末時点の預金残高は7.5兆円を超える等、引き続き顧客基盤の拡大に努めました。証券サービスにおいては、国内株式取扱高は過去最高を更新し、顧客のさらなる定着が進んだ一方、委託手数料の減少等により、減収減益となりました。
この結果、フィンテックセグメントにおける売上収益は158,123百万円(前年同期比4.3%増)、セグメント利益は22,760百万円(前年同期比7.3%減)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
151,572158,1236,5514.3%
セグメント損益24,55022,760△1,790△7.3%

(モバイル)
モバイルにおいては、2022年1月にOpen RANベースの通信インフラプラットフォーム、サービス、ソリューションを開発・提供する楽天シンフォニー株式会社を設立しました。2022年2月には、計画の前倒しによる自社基地局の整備に注力した結果、楽天回線エリアの4G人口カバー率が96%に到達したほか、楽天モバイルショップが1,000店舗を突破したこと等により、契約申し込みが引き続き順調に進捗しました。また、通信料金を1年間無料とするキャンペーン期間の終了に伴い、通信料金の支払を開始したユーザーが増えたほか、端末販売の増加も売上収益の増加に貢献しました。他方で、減価償却費等のネットワーク関連費用が増加しました。
この結果、モバイルセグメントにおける売上収益は80,353百万円(前年同期比44.0%増)となりましたが、モバイルにおける自社基地局設置等の先行投資が継続中のため、セグメント損失は135,046百万円(前年同期は97,596百万円の損失)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第1四半期
連結累計期間)
(当第1四半期
連結累計期間)
セグメントに係る
売上収益
55,80580,35324,54844.0%
セグメント損益△97,596△135,046△37,450-%


(3) 財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は17,985,733百万円となり、前連結会計年度末の資産合計16,831,221百万円と比べ、1,154,512百万円増加しました。これは主に、銀行事業の貸付金が391,099百万円増加、銀行事業の有価証券が280,961百万円増加、証券事業の金融資産が279,690百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末の負債合計は16,931,465百万円となり、前連結会計年度末の負債合計15,713,931百万円と比べ、1,217,534百万円増加しました。これは主に、社債及び借入金が557,176百万円増加、銀行事業の預金が474,898百万円増加したことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末の資本合計は1,054,268百万円となり、前連結会計年度末の資本合計1,117,290百万円と比べ、63,022百万円減少しました。これは主に、当第1四半期連結累計期間における親会社の所有者に帰属する四半期損失を91,412百万円計上したこと等により利益剰余金が99,100百万円減少したことによるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ77,261百万円減少し、4,333,040百万円となりました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、209,056百万円の資金流出(前年同期は12,959百万円の資金流入)となりました。これは主に、銀行事業の預金の増加による資金流入が473,955百万円となった一方で、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が391,071百万円、証券事業の金融資産の増加による資金流出が279,566百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、404,523百万円の資金流出(前年同期は119,995百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が305,089百万円(有価証券の取得による資金流出が647,714百万円、有価証券の売却及び償還による資金流入が342,625百万円)、有形固定資産の取得による資金流出が71,319百万円、無形資産の取得による資金流出が33,827百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、529,470百万円の資金流入(前年同期は307,569百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が61,825百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が464,577百万円、短期借入金の純増減額による資金流入が96,800百万円、コマーシャル・ペーパーの純増減額による資金流入が52,000百万円となったことによるものです。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この要約四半期連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 3. 重要な会計上の見積り及び判断」をご参照ください。
(6) 経営方針、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、経営方針、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(7) 研究開発活動
当社の研究開発活動は、当社及び当社グループの開発業務への貢献を目的とし、個々の事業とは別に研究を行っています。なお、研究開発活動の状況については、前連結会計年度より重要な変更はありません。
当第1四半期連結累計期間における、当社グループが支出した研究開発費の総額は3,842百万円です。
(8) 従業員数
当第1四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(9) 生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい増減はありません。
(10) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。