有価証券報告書-第18期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 17:11
【資料】
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【項目】
109項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要である会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
この連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
①繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上しており、その繰延税金資産の回収可能性がないと考えられる金額については、その資産の帳簿価額を調整するため評価性引当額を設定しております。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りと税務上の実現可能と見込まれる計画に依拠します。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は繰延税金資産の金額が大きく影響を受ける可能性があります。
②貸倒引当金
当社グループは、営業債権及び利息を含む金融債権について、顧客の返済能力を考慮し、回収不能額を見積もった上で、貸倒引当金を計上しています。また、特定の顧客について債務の返済が困難であることが明らかになった場合には、債権の担保資産の価格を考慮の上、個別に引当を行います。貸倒引当金の金額に重大な影響を及ぼす状況としては、国内及び主な海外市場の経済状況の悪化や医療関係諸制度の変更に伴い顧客の財政状態が悪化した場合や、債権の担保となっている顧客の資産価値が下落した場合が考えられます。
③投資有価証券
当社グループは、毎期末に投資有価証券の評価の見直しを行っております。
その他有価証券のうち時価のあるものについては、決算期末日の市場価格等に基づく時価法によっております(評価差額は、全部純資産直入法により処理し、時価と比較する取得原価は移動平均法により算定)。時価が著しく下落したときは、その回復可能性につきまして、合理的な判断を行うようにしております。
また、その他有価証券のうち時価のないものについては、移動平均法による原価法によっております。実質価額が著しく低下したときは、事業計画等によりその回復可能性につきまして、合理的な判断を行うようにしております。
④収益認識
SMO事業収入は、治験の実態等を鑑み、治験症例単位ごとの業務終了に基づく検収基準により計上しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度は、売上高は4,134百万円(前年同期比3.1%増)、営業損失は772百万円(前年同期は営業損失402百万円)、経常損失は600百万円(前年同期は経常損失322百万円)、当期純損失は606百万円(前年同期は当期純損失294百万円)となりました。
なお、セグメントの業績につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主要セグメントであるSMO事業におきましては、今後競争が激化するものと思われます。医薬品業界の新薬開発動向の変化により受注高が増減する場合、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、CRCを中心とする人材の確保及び育成が不十分な場合、業務の拡大に支障が生じ、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。業績の下期偏重傾向の中で、売上計上時期が翌期にずれ込む場合も経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、新規事業として取り組んでおります先端医療分野におきましては、開発動向により、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、その他のリスクにつきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」をご参照ください。
(4) 戦略的現状と見通し
当社グループといたしましては、グループ全体の経営資源の適切な配分とコスト削減へ向けた取組みを推進し、事業の効率化、収益力の向上を図るとともに、先端医療分野という新規事業において収益基盤の構築を進めてまいります。
再生医療・遺伝子創薬の先端医療技術を保有するディナベック㈱によるGMPベクター製造設備の建設を行います。これによりセンダイウイルスベクターの収益化の拡大を図ります。
中核事業であるSMO事業の顧客となる医薬品業界は、国外における景気停滞の影響及び大型製品の相次ぐ特許切れに加え、各国における財政再建を背景とする医療費抑制策が強化される傾向にあるなか、先進国を中心に成長が鈍化しており、業界の再編・連携の強化など大きな動きの中にあります。国内においては、iPS細胞を用いた技術の実用化に加え、外資系企業を中心にアンメットメディカルニーズの高い疾病領域の開発が進捗しております。そのような業界環境の中で当社グループは、臨床試験におけるSMOの重要性は引き続き高いものと考え、SMO事業を基幹事業として強化してまいります。
SMO業界においては、製薬企業の開発パイプラインにおけるがん領域などの難疾患の開発品目の増加、さらに国際共同試験が増加しており、治験の効率化及び迅速化などの更なる品質向上とグローバルな競争力が求められ、SMO業界でも再編の動きが活発になるものと考えております。このような状況において当社グループは、得意領域である生活習慣病領域に加え、高齢者疾患、中枢神経やがん領域など疾病領域に対応できる高度専門性を有する医療機関との提携拡大強化に継続的に努めてまいります。さらに国際共同試験への対応のため、SMO事業において財産である人材につきましては、独自の研修制度を設けることで教育の充実を図ってまいります。
また、アジア・オセアニア地域における臨床研究/臨床試験に関わる企業との強固なアライアンスによるハイブリッドサービス(※)の構築など新たなビジネスモデルの創出を目指しております。
※ハイブリッドサービス
① 日本国内市場では、当社グループの基盤であるSMO事業を中心とした臨床研究/臨床試験の促進につき高品質な支援を提供するサービス。
② グローバル市場(特に、アジア・オセアニア地域)では、各種業務提携を通じ、SMOノウハウを各国法令等に準拠した形でCRO業務と併せて製薬企業及び医療機関に提供するサービス。
(5) 当連結会計年度末の財政状態の分析
総資産につきましては、前連結会計年度末より810百万円増加し、6,839百万円となりました。これは販売用不動産、投資有価証券が増加し、貸倒引当金が減少したことが主な原因となっております。
負債につきましては、前連結会計年度末より684百万円増加し、2,226百万円となりました。これは短期借入金、長期借入金が増加したことが主な原因となっております。
純資産につきましては、前連結会計年度末より126百万円増加し、4,613百万円となりました。これは新株予約権の行使により資本金、資本準備金が増加したことが主な原因となっております。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の医薬品業界の統合、SMO企業の競争激化などの動向に鑑みますと、その変化はめまぐるしく、迅速かつ柔軟な対応が要求されます。
よって、当社グループは、SMO事業を中核とした事業構成であることに変わりはありませんが、今後再生医療、遺伝子創薬等先端医療事業分野への注力等、グループとして新たな可能性を追求してまいります。