有価証券報告書-第26期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/30 12:07
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155項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により社会活動及び経済活動が制限されたことから企業収益や雇用情勢において極めて厳しい状況となりました。当下半期においては、緊急事態宣言の解除以降、個人消費が緩やかに持ち直しの傾向を見せていたものの、足元では同感染症再拡大により緊急事態宣言が再発出され、依然として不透明な状況が継続しております。
このような環境の中、当社グループはブライダル市場、ホテル市場並びにウェルネス&リラクゼーション(W&R)市場における新たな価値の創造、高品質かつ魅力あふれる店舗づくりと付加価値の高いサービスの提供に取り組んでまいりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う訪日外国人数の激減、結婚披露宴開催時期の延期やキャンセルが増加し、総合フィットネスクラブにおいては会員様の休会・退会数が増加し、当社グループの全セグメントにおいて多大な影響を受けることとなりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりとなりました。
イ. 財政状態
当連結会計年度末における資産総額は、前連結会計年度末に比べ470百万円増加し、99,814百万円となりました。
当連結会計年度末における負債総額は、前連結会計年度末に比べ11,436百万円増加し、73,376百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産総額は、前連結会計年度末に比べ10,966百万円減少し、26,437百万円となりました。
ロ. 経営成績
当連結会計年度の売上高は、27,114百万円(前年同期比55.6%減)となり、利益面につきましては、全社を挙げてコスト削減に努めましたが売上高の減少が大きく影響し、営業損失11,476百万円(前年同期は営業利益6,383百万円)及び経常損失11,227百万円(同 経常利益6,222百万円)となりました。また、特別損失においては投資有価証券評価損511百万円及び減損損失492百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は10,628百万円(同 親会社株主に帰属する当期純利益2,565百万円)と大幅な減収減益となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(婚礼事業)
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、結婚披露宴の延期やキャンセルが増加し、施行件数が5,044件(前年同期比59.3%減)と大きく減少したことにより売上高は減少いたしました。利益面についても、全社を挙げてコストダウン施策に取り組みましたが、セグメント利益も減少となりました。
この結果、当セグメントの売上高は16,527百万円(同58.1%減)、セグメント損失は3,667百万円(前年同期はセグメント利益7,797百万円)となりました。
(ホテル事業)
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、訪日外国人数の激減に伴う宿泊売上の減少や宴会部門及びホテル婚礼に延期やキャンセルが増加したことに伴い婚礼の施行件数が717件(前年同期比55.5%減)と減少したことにより売上高、セグメント利益ともに減少となりました。
この結果、当セグメントの売上高は7,958百万円(同55.2%減)、セグメント損失は5,393百万円(前年同期はセグメント利益477百万円)となりました。
(W&R事業)
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により総合フィットネスクラブ「BEST STYLE FITNESS」4店舗において、会員様の休会・退会数が増加したことから売上高、セグメント利益ともに減少となりました。
この結果、当セグメントの売上高は2,629百万円(前年同期比33.3%減)、セグメント損失は678百万円(前年同期はセグメント損失229百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ6,056百万円減少し、22,202百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は8,871百万円(前年同期は7,297百万円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費が3,555百万円ありましたが、税金等調整前当期純損失が12,703百万円及び仕入債務の減少が1,012百万円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は7,702百万円(前年同期は12,838百万円の使用)となりました。これは主に、設備投資による有形固定資産の取得による支出が8,409百万円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は10,545百万円(前年同期は9,686百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が5,192百万円ありましたが、長期借入れによる収入が12,222百万円及び社債の発行による収入が2,540百万円となったことによるものであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
2016年
12月期
2017年
12月期
2018年
12月期
2019年
12月期
2020年
12月期
自己資本比率(%)38.540.539.137.726.3
時価ベースの
自己資本比率(%)
39.337.531.329.312.3
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)
5.85.06.66.1-
インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)
27.233.926.317.3-

(注) 自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
3.2020年12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。
③ 施行、受注及び販売の実績
イ. 婚礼施行実績
当連結会計年度の婚礼施行実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
セグメントの名称施行件数(件)前年同期比(%)
婚礼事業5,04440.7
ホテル事業71744.5
合計5,76141.2

ロ. 婚礼受注状況
当連結会計年度の婚礼受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
セグメントの名称受注件数(件)前年同期比(%)受注件数残高(件)前年同期比(%)
婚礼事業4,86441.36,33897.2
ホテル事業86459.11,178114.3
合計5,72843.27,51699.6

ハ. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
婚礼事業16,52741.9
ホテル事業7,95844.8
W&R事業2,62966.7
合計27,11444.4

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を与える見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これら見積りと異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積りつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
イ.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産につきましては、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討したうえで回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得に依存するため、事業計画や市場環境の変動及び新型コロナウイルス収束の時期が大幅に遅れるなど、その見積りに変動が生じた場合には、繰延税金資産の計上額に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.固定資産の減損
当社グループは、主に各施設ごとに資産をグルーピングしております。固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、その資産または資産グループから生じる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損の認識及び測定につきましては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化及び新型コロナウイルス収束の時期が大幅に遅れるなど、将来キャッシュ・フローの見積額の前提条件や仮定に変更が生じた場合は、減損処理が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等
イ. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産総額は、前連結会計年度末に比べ470百万円増加し、99,814百万円となりました。これは主に、「キンプトン 新宿東京」(東京都新宿区)の引渡しにより建物及び構築物が15,163百万円及び一時的な欠損による繰延税金資産の計上に伴い繰延税金資産が2,134百万円それぞれ増加した一方、建設仮勘定の本勘定への振替に伴い9,331百万円、設備投資及び営業赤字の影響等により現金及び預金が6,056百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債総額は、前連結会計年度末に比べ11,436百万円増加し、73,376百万円となりました。これは主に、法人税等の納付により未払法人税等が1,243百万円及び買掛金が1,014百万円それぞれ減少しましたが、設備投資融資及び緊急融資より長期借入金が8,028百万円及び「キンプトン 新宿東京」の引渡しにより資産除去債務が2,530百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産総額は、前連結会計年度末に比べ10,966百万円減少し、26,437百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が10,867百万円減少したことによるものであります。
ロ.経営成績
当社グループは売上高、営業利益及び経常利益を経営における重要指標と位置付けております。当連結会計年度における期初計画に対する実績の達成状況は次のとおりであります。
実績計画増減
売上高(百万円)27,11464,000△36,885
営業利益又は営業損失(△)(百万円)△11,4766,700△18,176
経常利益又は経常損失(△)(百万円)△11,2276,500△17,727

当連結会計年度の売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大により発出された緊急事態宣言の影響により全セグメントにおいて多大な影響を受けることとなり、計画比36,885百万円(△57.6%減)減少の27,114百万円と大きく未達となりました。
利益面につきましては、前期同様に婚礼事業及びホテル事業において婚礼商材(主に写真・映像・装花等)の内製化の推進及び全社を挙げたコスト削減を実施しましたが、売上高の減少の影響により、営業損失は計画比18,176百万円減少し11,476百万円、経常損失につきましても同要因により計画比17,727百万円減少し11,227百万円と計画に対し大きく減少いたしました。
今後につきましては、「新たな生活様式」に対応した商品開発や顧客ニーズを的確に捉えた商品を充実することにより需要を喚起するとともに、継続して婚礼商材の内製化を計画的の推進し、まずは企業価値の回復及び向上に努めてまいります。
ハ. キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下の通りであります。
当社グループにおける資金需要は、主に仕入外注費、地代家賃及び販売費及び一般管理費等の営業費用の支払により生じる経常運転資金、既存借入金の返済資金及びホテルやゲストハウス等の建物の取得及び改装、設備の更新による設備投資資金であります。これら資金については、経常運転資金及び返済資金については営業キャッシュ・フローから設備投資資金については主に社債発行や長期借入金など金融機関からの資金調達により賄う方針としております。
また、資金流動性を確保するため、取引金融機関との間に2,000百万円の当座貸越契約を締結しております。なお、当連結会計年度末において当座貸越契約を使用した借入残高はありません。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部[企業情報]第2[事業の状況]2[事業等のリスク]」で述べましたとおり、協力会社を含めた時代変化に対応しうるサービス(ソフトまたは人材)の品質確保、及びそれに付随するコストの変化、ブライダル市場の縮小を招くような冠婚葬祭等社会文化の著しい変化、出店予定地の確保等が、経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
④ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、安定的かつ継続的に成長できる企業体であり続けるために、財務体質の強化を図りつつ、収益性を総合的に向上させるべく5つの基本戦略を掲げております。
イ. 出店戦略
持続可能な成長を遂げるため、当社グループは今後も綿密なマーケティング分析による出店地選定と施設計画に基づいた出店を行います。出店対象商圏としては、景気動向や都市化による人口減の影響を受けにくく、将来的に安定した需要が見込める東京都心部・大阪並びに名古屋中心部等の大都市圏を中心に、それぞれの都市圏におけるエリアシェア戦略に基づいたポートフォリオを構築します。エリアシェア戦略は、単に出店数を目標値とするのではなく、エリアの人材育成状況や、経営方針に基づく出店・運営構想とも連動しながら計画しています。
また、既存のゲストハウスにつきましても3年程度のサイクルでリニューアルを行い、常に新鮮さと品質を維持することで、顧客獲得率の安定化を図っております。
ロ. 商品開発力
当社グループに蓄積した経験・ノウハウと多くの取引先企業による高水準のサービスとを融合させることにより、お客様の趣味や趣向を高いレベルで実現できる商品とサービスの提供を目指します。
ハ. 提案力及び販売力
お客様の多様なニーズ=「夢」を的確に捉え、その「実現」のための商品提案力と販売力の向上を目指します。顧客サービス充実のための婚礼演出力強化が同業他社との差別化に繋がるものと考え、各スタッフのサービス提案力向上のための教育研修制度を確立することで、今後も更に高いレベルの人材の開発に力を入れてまいります。
また当社の商品告知・広告戦略は結婚情報誌等への有料広告に大きく依存しており、同業他社との受注競争に勝つためには、より魅力ある広告制作が必須となります。当社グループは、ゲストハウスのデザイン、サービス内容等を最大限にアピールするため、写真を中心とした魅力的な誌面づくりに取り組んでおります。また併行し、インターネット等、新たな集客媒体の開拓についても積極的に行っております。
海外挙式につきましては、集客力並びに成約率の向上を図るために、国内における集客拠点であります海外サロン並びに販売チャンネルの強化を図っております。
ニ. 利益率向上
高い収益性を確保するために、経営の合理化と業務効率の向上を図ります。
ホ. 資金調達
健全な財務体質の維持、資本効率の向上、株式価値の希薄化等への十分な配慮を行い、資本コストを重視した資金調達を実行します。
今後の事業戦略につきましては、婚礼事業国内部門におきましては、様々な挙式スタイルへ対応すると同時に、多様なコンセプトの披露宴スタイルを提供し、運営受託型ビジネス・再生型ビジネス等多様な事業形態により、財務基盤を健全化しつつ、安定的かつ高利益率の事業ポートフォリオを構築してまいります。
ホテル事業につきましては、「ホテル婚礼」における高単価顧客の取り込み、ゲストハウスとホテルを融合させた従来にない全く新しい価値を持った複合施設の出店を行ってまいります。
海外事業につきましては、ハワイにおいては大聖堂挙式・ハウスウエディング等多様化する顧客ニーズに対応した挙式の提供、また海外事業全体として直営プロデュースを通じ、クオリティ・ブランド力を提供することで、デスティネーション・ウエディングへの取組みを継続・強化してまいります。
W&R事業につきましては、既存店のリモデルによる店舗の活性化、女性が生き生きと輝くための「美」「健康」をサポートするフィットネス事業の開発を行ってまいります。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第一部[企業情報]第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」に記載のとおり、当社グループ既存ターゲットから派生するゲストハウスの追加出店をエリア展開するのみならず、婚礼スタイル・価格帯・人数等、より多様化する社会ニーズに応えるための、ターゲット別ポートフォリオを構築していくことであります。当社グループの今後の出店計画、人材の確保と育成は、既存事業所の事業計画の枠に捉われず、ターゲット別に構築された事業計画に沿った出店形態やコストの考え方に基づき、より多様化し柔軟性を高めてまいります。