訂正有価証券報告書-第15期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2016/06/08 13:03
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対処すべき課題

当社グループは、再成長に向けて、「Re-Built」の経営方針のもと、新規事業として「機械翻訳による言語バリアフリーの実現」及び音声認識事業収益の安定化を目標として活動しております。
機械翻訳につきましては、当社グループの総力を挙げその性能向上と各分野に特化したデータ(コーパス)収集による性能向上と実用化を目指してまいりますが、市場の要望に対して、十分な翻訳精度向上が開発スケジュールの中で確実に達成できない可能性があります。
音声認識につきましては、スマートフォンの多機能化と通信速度とサーバー処理速度の高速化、またInternet of Things(IoT)と言われるようにあらゆる物がインターネットでつながる環境の中で音声認識技術は多くの分野での普及が進むと考えられており、それに伴い世界規模で新しい企業や斬新なサービスが生まれています。しかしながら現在「音声認識技術」を利用したサービスは、無償提供されているものが多く、「音声認識技術」だけで収益性の高いビジネスモデルを確立するには困難な状況にあります。また、機械翻訳及び音声認識のマーケットの拡大に伴い、今後多くの企業が参入する可能性があります。
このような環境の中、当社グループでは更なる成長を実現する上で、下記の事項を対処すべき課題として取組んでまいります。
① 機械翻訳の実用化について
機械翻訳の精度向上による実用化に対しては、当社グループだけで取り組むのではなく、同様の目標を有する企業や研究機関と共同で活動してまいります。日本語を軸とした世界最高性能を目指す株式会社みらい翻訳との協業や、総務省が推進する産学官参加の「グローバルコミュニケーション開発推進協議会」へ参加し、その動向と課題を把握することにより、機械翻訳における技術的リスクの低減を図ってまいります。
② 音声認識事業の収益性
当社では、事業の対象とする分野を限定して、分野に特化した特色のある技術・商品の開発に注力し、市場での付加価値の高い高収益なビジネスモデルの確立を目指してまいりました。今後は、分野毎にその必要機能を分析し、自社製品構成の拡充を実施いたします。これにより、顧客毎に発生するカスタマイズ業務を低減して、開発効率を高めると共に、分かりやすい製品ラインナップによる効果的な営業活動を目指します。
また、多言語音声認識と機械翻訳という当社技術を融合させて、高性能な音声翻訳システムを実現し、拡大するインバウンド市場や海外進出企業への拡販をもって収益向上を図ります。合わせて、海外の研究機関との協業や、学会への参加等により技術の動向と最先端技術の導入を推進し、新たな付加価値の創造や競合他社との差別化を図ります。
③ グループ経営力の強化
当社グループの成長には、連結子会社の事業との相乗作用による効果創出が不可避であります。当社の役員及び管理職を連結子会社の役員に配置すると共に、グループ経営管理部を設置し、当社グループの意思決定の迅速化と経営の効率化を図っております。当社グループが進める「機械翻訳による言語バリアフリーの実現」においては、子会社の有するノウハウの利用や、子会社の翻訳作業への機械翻訳導入による生産性向上等による高いシナジー効果が見込まれます。
④ 人材の育成・確保
当社の事業分野は技術の進歩が著しい業界であります。当社グループでは常に事業の目的に沿った組織変更を実施し、組織活動に必要な人材の採用と、組織及び人材の活性化を図りこの技術の進化に対応しております。
組織変更は組織の目標を明確にするだけでなく、適材適所の人材配置や、大胆な役職への登用により人材の育成と社員のモチベーションの向上につなげてまいります。