有価証券報告書-第11期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 16:01
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【項目】
119項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、米国と欧州で緊縮財政策の手綱が緩められていることで成長が押し上げられていますが、一方新興国では金融情勢がひっ迫したことから成長が鈍化し格差が拡大しつつあります。現政権による経済政策及び日銀による金融政策を背景に円相場は円安基調で安定しているものの、4月の消費税率変更の影響も懸念され経済の見通しは依然として不透明な部分も見られる状況であります。
当社グループの主力事業であるeディスカバリ(証拠開示)事業の市場環境は、特許・知財・製品安全・価格カルテル・連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)などの分野で日本・韓国・台湾のグローバル企業が米国を係争地とする訴訟に巻き込まれるという状況に変わりはなく、また電子データ量の拡大も続いておりますので成長が継続している状況であります。一方、アジア企業におけるディスカバリ費用は、欧米企業と比べ、大きな負担を強いられる傾向に変化はみられません。その一つの大きな要因として、それらの企業によるベンダー選定において、依然として米国弁護士が強い影響力を保持していることがあげられます。よって、当社の品質、費用及びデータの安全性が競合他社より優位性があっても、当社がベンダー選定の土俵にすら上がらないケースが依然として見られます。この状況を打破するべく、米国での信用力及びブランド力向上という施策のために、平成25年5月16日に日本企業として14年ぶりにナスダック市場のグローバルマーケットへ上場を果たし、その7か月後にグローバル・セレクトマーケットへ昇格しました。平成25年8月のナスダック上場セレモニー以降、「情報解析事業」を手掛ける企業として、日本国内のテレビ番組や、有力新聞、さらに雑誌やメディアに取り上げられる頻度が増加し、認知度が向上しております。また、米国法律事務所とのジョイント・マーケティング活動の継続、世界最大規模のリーガルテクノロジー展示会のLegal Tech New Yorkへ昨年に続き日本企業として唯一出展し、「Lit i View」(リット・アイ・ビュー)の新機能を紹介しました。これらにより、多数の顧客や法律事務所から高い技術力を有する企業として高評価を得られるとともに認知度を上げることができましたが、当連結会計年度では、それが売上・利益に大きく貢献するには至らず、本格的活用は次年度以後の課題となります。
並行して、当社グループでは、創業から訴訟支援事業で培った経験と実績に基づいた独自のコンセプトを「行動情報科学」と提唱し、人工知能に人間の行動科学を学習させた「Virtual Data Scientist」(バーチャル・データ・サイエンティスト)の自社開発に成功し、世界に先駆け人工知能応用技術で電子メール監査製品「Lit i View EMAIL AUDITOR」(リット・アイ・ビュー・イーメール・オーディター 以下、EMAIL AUDITORといいます。)のサービス提供を平成26年4月に開始しました。当社グループの独自技術である行動情報科学を用いて、訴訟や不正調査の分野以外の様々な情報解析分野でも展開を進め、実績を積み始めました。
平成25年に開発した、コンピュータが人の行動を学習して判断する「プレディクティブ・コーディング」を使ったレビューを実案件で前年を上回る件数に活用し、アジア企業や法律事務所から、優れたアジア言語解析能力の証明はもとより、処理スピードやコスト削減効果を実証し、高評価を得ました。一方、外部にあったレビューセンターを本社内に統合し効率化を図るとともに、世界の各拠点(東京、レッドウッドシティー、ニューヨーク、ソウル、台北)を24時間365日常時接続可能なディスカバリ専用ラボラトリー(データ処理センター)にリニューアルし、スピーディかつクオリティの高いサービスの提供が可能な仕組みを構築しました。
当連結会計年度における当社グループの事業別売上高については以下にその詳細を述べます。
① eディスカバリ事業
eディスカバリサービス及びeディスカバリソリューションの2つのサービスを提供しております。
eディスカバリサービスにつきましては、当初見込んでいたカルテル案件や知財案件のディスカバリ作業の延期、和解等による作業の消滅により、売上高は1,625百万円(前期比42.8%減)となりました。また、eディスカバリソリューションにつきましては、韓国企業からの大幅な売上増がけん引し、売上高は2,144百万円(前期比38.0%増)となりました。
以上の結果、eディスカバリ事業の売上高は3,769百万円(前期比14.3%減)となりました。
② リーガル/コンプライアンスプロフェッショナルサービス(LCPS)事業
この事業は、コンプライアンス支援、フォレンジックサービス、フォレンジックツール販売・サポート、フォレンジックトレーニングサービスの4つの事業から構成されています。
コンプライアンス支援につきましては、案件数が減少したことにより、売上高は8百万円(前期比48.3%減)となりました。
フォレンジックサービスにつきましては、クレジットカード関連の調査サービスの案件数増加及び大型案件の獲得により、売上高は240百万円(前期比27.6%増)となりました。
フォレンジックツール販売・サポートにつきましては、捜査機関への電子証拠保全ハードウェア、解析ソフトウェア、フォレンジックツールの保守等の売上高が増加、また、当社で独自開発した人工知能応用技術を搭載したフォレンジックソフトウェア「Lit i View XAMINER」(リット・アイ・ビュー・エグザミナー 以下、XAMINERといいます。)の販売により、売上高は62百万円(前期比135.3%増)となりました。
フォレンジックトレーニングサービスにつきましては、前連結会計年度にあった事業会社へのトレーニングが減少したため、売上高は28百万円(前期比28.9%減)となりました。
以上の結果、リーガル/コンプライアンスプロフェッショナルサービス(LCPS)事業の売上高は341百万円(前期比25.0%増)となりました。
③ その他の事業
その他の事業の売上高は、知財支援ビジネスの拡大により、60百万円(前年同期比722.1%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,171百万円(前期比10.8%減)、損益につきましては、eディスカバリ事業の減収の影響、自社開発の「Lit i View」(リット・アイ・ビュー)の継続的な機能強化とデータセンター設備の増強、及び大型案件獲得の為の投資等を進めた結果、営業損失598百万円、経常損失629百万円、当期純損失604百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ183百万円増加し、1,378百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は、26百万円(前期比97百万円の減少)となりました。これは主に、法人税等の支払額の減少、売上債権の減少等の増加要因がある一方で、人件費や研究開発費用の増加による税金等調整前当期純損失の計上等の減少要因があることによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は653百万円(前期比485百万円の減少)となりました。これは主に有形・無形固定資産の取得による支出が504百万円減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は756百万円(前期比1,039百万円の増加)となりました。これは主に当連結会計年度において株式の発行による収入984百万円があったことによるものであります。