四半期報告書-第13期第2四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループは、経常的な収益力を示す指標として事業利益を採用しております。
事業利益とは、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費並びに研究開発費を控除した額に持分法による投資損益を加減算した額であります。
(単位:百万円)
これまで当社グループは、「トータルヘルスケア企業」として、健康の維持・増進、病気の診断から治療までを担う企業活動を進めてまいりました。今後のニューノーマルという時代の中でも、健康意識の高まりを成長機会と捉え、今こそ「トータルヘルスケア企業」の真価を発揮し、引き続き持続的成長の実現に向け、進んでまいります。
当第2四半期連結累計期間は、新型コロナウイルスの感染拡大により、当社グループの事業活動も一定の影響を受けましたが、連結売上収益は695,443百万円(前年同四半期比3.6%増)と増収を確保しました。医療関連事業においては、患者の受診抑制や、手術件数の減少、病床稼働率の低下等により、輸液等の一部事業は影響を受けましたが、グローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「サムスカ/ジンアーク」、「ロンサーフ」)等の売上収益の増加が業績を牽引しました。ニュートラシューティカルズ関連事業においては、外出機会の減少等の影響を受けましたが、「ネイチャーメイド」、デイヤフーズ社ブランドや「エクエル」等が伸長し、新型コロナウイルス感染拡大の中においても同事業の売上収益は前年同四半期比96.0%を確保しました。
また、経費効率化による効果もあり、研究開発費投資前事業利益は223,155百万円(同12.9%増)、「レキサルティ」、フチバチニブ、センタナファジン、VIS649*及びバダデュスタット等に係る開発費が増えたことから研究開発費は109,210百万円(同9.2%増)となり、その結果、事業利益は113,945百万円(同16.7%増)となりました。
営業利益につきましては118,008百万円(同22.3%増)、四半期利益は88,511百万円(同26.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は86,810百万円(同28.1%増)となりました。
* ビステラ社開発品
セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
(参考-前年同一期間)
(単位:百万円)
(医療関連事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は471,773百万円(前年同四半期比7.6%増)、事業利益は102,701百万円(同20.9%増)となりました。
<主要製品の状況>●グローバル4製品
当社がグローバル4製品と位置付ける持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「サムスカ/ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」の売上収益の合計は、前年同四半期比26.2%増の218,549百万円となりました。
・持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」
グローバルでの統合失調症治療薬としての有効性の訴求と製剤の利便性に対する認知向上に加え、2017年に米国において効能追加となった双極性障害治療薬としての処方拡大が引き続き貢献し、売上収益は前年同四半期比21.3%増の58,939百万円となりました。
・抗精神病薬「レキサルティ」
大うつ病補助療法及び統合失調症治療薬として販売する米国では、両疾患における新たな治療選択肢として有効性と安全性に対する高い評価を受け、売上収益が増加しています。統合失調症治療薬として販売する日本では、2019年5月より処方日数制限が解除され、急性期を中心に処方数が大きく伸長しています。欧州においても、2019年4月から順次販売を開始しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比33.0%増の54,413百万円となりました。
・V2-受容体拮抗剤「サムスカ」
日本では、4月の薬価改定において市場拡大再算定による薬価切り下げの影響があったものの、心性浮腫・肝性浮腫治療薬として、また、腎臓の難病である常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)治療薬としても、処方は引き続き拡大しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比3.6%増の44,208百万円となりました。
・V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」
米国では、ADPKDの治療薬として疾患啓発や臨床データの情報提供活動等により、疾患と製品に対する認知が広まり、処方が順調に拡大しています。欧州の販売国においても治療患者数が増加しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比65.6%増の40,146百万円と大幅な増収となりました。
・抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」
日本では、結腸・直腸がん治療薬としての処方数の伸長に加え、2019年8月に承認された進行・再発胃がんに対する処方が拡大しています。米国では、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、在宅治療や経口抗がん剤の使用が推奨される中*1,2、情報提供活動の強化も伴い、増収となりました。欧州では、処方の順調な推移と承認国の拡大により、増収となりました。これらの結果、売上収益は前年同四半期比24.9%増の20,840百万円となりました。
*1 Pelin Cinar et al., Safety at the Time of the COVID-19 Pandemic: How to Keep our Oncology Patients and Healthcare Workers Safe. J Natl Compr Canc Netw, 2020 Apr 15;1-6.
*2 ASCO. COVID-19 Patient Care Information, Cancer Treatment and Supportive Care.https://www.asco.org/asco-coronavirus-resources/care-individuals-cancer-during-covid-19/cancer-treatment-supportive-care. Updated 23, July 2020. Accessed 31 July 2020.
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は158,803百万円(前年同四半期比4.0%減)、事業利益は20,624百万円(同5.1%減)となりました。
<主要製品の状況>当社が主要3ブランドと位置付ける「ポカリスエット」、「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランドの売上収益の合計は、前年同四半期比5.9%減の96,417百万円となりました。育成3ブランドと位置付けるデイヤフーズ社ブランド、「エクエル」、「ボディメンテ」の売上収益の合計は、前年同四半期比32.1%増の13,183百万円となりました。
●主要3ブランド
水分・電解質補給飲料「ポカリスエット」は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者の活動量の減少、日本においては前年のインフルエンザによる需要拡大の反動等を受け、ブランド全体の売上収益は減少しました。
ファーマバイト社のサプリメント「ネイチャーメイド」は、体調管理への意識の高まりに伴い、ビタミン剤を中心に売上が増加しました。
欧州を中心に健康食品を展開するニュートリション エ サンテ社ブランドは、都市封鎖や外出規制等の影響及び為替の影響により、減収となりました。
●育成3ブランド
プラントベース(植物由来)食品であるデイヤフーズ社ブランドは、北米において、チーズ代替品等の成長により、前年同四半期比で増収となりました。
女性の健康と美をサポートするエクオール含有食品「エクエル」は、幅広い情報提供活動により製品の認知が進み、売上収益は順調に増加しています。
植物由来の乳酸菌B240*3を含有する「ボディメンテ」は、健康意識や体調管理に対するニーズの高まりを受け、大幅な増収となりました。
*3 Lactobacillus pentosus ONRICb0240:東京農業大学が単離、大塚製薬㈱が有効性を確認した乳酸菌
(消費者関連事業)
ウォーター類は、主力製品「クリスタルガイザー」において、パーソナルサイズとしては最大サイズである700mlボトルの販売数量が好調に推移しているものの、外出の規制等に伴い、自販機チャネルを中心にブランド全体の販売数量は減少しました。ビタミン炭酸飲料「マッチ」は、休校や外出規制等の影響を受け、販売数量が減少しました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間における売上収益は15,042百万円(前年同四半期比7.1%減)となりました。また、持分法投資利益の増加等が影響し、事業利益は4,904百万円(同13.6%増)となりました。
(その他の事業)
機能化学品分野は、水加ヒドラジン及び発泡剤の出荷数量の減少等により、前年同四半期比で減収となりました。ファインケミカル分野は、2019年6月に譲受したセフィキシムの海外ライセンシーに対する原薬供給事業に係る売上収益等により、前年同四半期比で増収となりました。
運輸・倉庫分野は、『共通プラットフォーム戦略』により新規の外部顧客は増えているものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で取引先荷主の取扱数量が減少し、全体の売上収益は微減となりました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間のその他の事業の売上収益は68,573百万円(前年同四半期比2.2%減)となりました。また、持分法投資利益の増加等が影響し、事業利益は7,142百万円(同20.6%増)となりました。
※その他、製品別の売上収益等につきましては、決算補足資料(ファクトブック)をご参照ください。
https://www.otsuka.com/jp/ir/library/earnings.php
<新型コロナウイルス感染拡大による事業及び業績への影響>新型コロナウイルス感染拡大への当社グループの対応について、各国の外出禁止もしくは自粛要請を受け、生産に係る従業員は毎日体調管理を実施、また、それ以外は原則在宅勤務とし、従業員の安全確保及び事業活動継続に取り組んでいます。
当第2四半期におきましては、医療関連事業のグローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「サムスカ/ジンアーク」、「ロンサーフ」)については順調に成長しましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出規制等の影響を医療関連事業以外も含めて一部の製品で受けました。製品の供給においては、現在安定して供給できる体制を維持しています。当第3四半期以降の事業及び業績への影響については、新型コロナウイルス感染拡大による影響が不透明な中、長期化した場合を想定し引き続き事業及び業績への影響を注視しています。
当社グループの現状と、それにより今後、懸念される経営リスクは、以下のとおりです。
(販売)
・医療関連事業においては、外出自粛や都市封鎖に伴い外来患者の来院数が減少している一方、慢性疾患において長期処方が増加する傾向がみられます。今後、これらの状況が長期化もしくは深刻化した場合には、医療施設への訪問規制や疾患啓発活動の自粛に伴う新規処方の減少や、来院を要する注射剤等の処方減少がさらに進み、通期の売上収益にも影響を及ぼす可能性があります。
・医療関連事業以外においては、一部の製品については、健康意識に対する高まりや、家庭内消費の増加、通信販売の利用増加等により、需要が増加している一方、外出自粛に伴う屋外活動の制限等による消費機会の損失もみられます。今後、新型コロナウイルス感染拡大が長期化もしくは深刻化した場合には、営業活動の自粛や制限に伴う新規顧客の獲得減少や消費機会の損失がさらに進み、通期の売上収益にも影響を及ぼす可能性があります。
(生産)
・原材料の調達は、一部の輸入品に遅延がみられますが、概ね順調に確保できています。生産活動は一部のラインで従業員の自宅待機等により一時的に生産が停止しましたが、現在はほぼ復旧し、人員確保も含め順調に稼働しています。今後、新型コロナウイルス感染拡大が長期化もしくは深刻化し、原材料調達に停滞が生じた場合、あるいは生産工場内でのクラスター発生等が生じた場合等には、一部製品の供給が停止する可能性があります。
(研究開発)
・臨床試験を実施している開発品の一部においては、治験実施施設の立上げや、患者登録を中断していましたが、徐々に再開しています。患者登録等の中断もしくは遅延が深刻化した場合には、臨床試験の進捗や製造販売承認申請時期が遅延する可能性があります。
・研究活動については、研究員の自宅待機要請等により一部で遅延がみられます。これらの状況が長期化もしくは深刻化した場合には、研究活動が遅延し、中長期での新製品上市時期が遅延する可能性があります。
以上のように、新型コロナウイルス感染拡大による当社グループ事業への影響を多岐にわたり想定しておりますが、今後も当社グループは“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、当社グループ従業員の安全確保及び事業活動の継続に向けた取り組みを引き続き行ってまいります。
② 財政状態の状況
(単位:百万円)
a. 資産
当第2四半期連結会計期間末における総資産は2,581,216百万円(前連結会計年度末は2,581,309百万円)となり、93百万円減少しました。その内訳は、流動資産が17,040百万円の減少、非流動資産が16,947百万円の増加であります。
(流動資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は971,310百万円(前連結会計年度末は988,351百万円)となり、17,040百万円減少しました。その主たる内訳は、棚卸資産が19,619百万円、その他の流動資産が7,212百万円増加したものの、売上債権及びその他の債権が49,884百万円減少したこと等によるものであります。
(非流動資産)
当第2四半期連結会計期間末における非流動資産は1,609,905百万円(前連結会計年度末は1,592,957百万円)となり、16,947百万円増加しました。その主たる要因は、日本におけるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)「エンレスト®錠」(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物、以下「エンレスト」)の契約一時金等を含む無形資産の取得により、無形資産が12,623百万円増加したこと等によるものであります。
b. 負債
(流動負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は415,524百万円(前連結会計年度末は440,891百万円)となり、25,367百万円減少しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が7,425百万円、未払法人所得税が13,895百万円、その他の流動負債が5,108百万円減少したこと等によるものであります。
(非流動負債)
当第2四半期連結会計期間末における非流動負債は330,490百万円(前連結会計年度末は344,977百万円)となり、14,486百万円減少しました。その主たる内訳は、その他の非流動負債が2,233百万円増加したものの、社債及び借入金が10,894百万円、契約負債が6,072百万円減少したこと等によるものであります。
c. 資本
当第2四半期連結会計期間末における資本は1,835,201百万円(前連結会計年度末は1,795,440百万円)となり、39,761百万円増加しました。その主たる内訳は、配当金の支払27,113百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益86,810百万円の計上等により利益剰余金が59,083百万円増加したこと、株式相場及び為替相場の変動等の影響によりその他の資本の構成要素が19,529百万円減少したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は334,806百万円となり、前連結会計年度末より766百万円増加しました。当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、118,374百万円となりました。一方で、将来の持続的成長に向けて、主に医療関連事業において投資等を行ったことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは△60,232百万円となりました。財務活動につきましては、借入金及びリース負債を返済し、配当金の支払額が△28,432百万円となったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは△54,019百万円となりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・イン・フローは、投資活動及び財務活動を合わせたキャッシュ・アウト・フローを上回りましたが、円高の影響により現金及び現金同等物に係る換算差額が△3,356百万円となったことから、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より微増の334,806百万円となりました。
なお、2020年6月末現在の社債及び借入金の合計額は168,207百万円であり、現金及び現金同等物が社債及び借入金の合計額を上回っていることから、財政的に健全性を維持していると考えております。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、118,374百万円(対前年同四半期比23,525百万円増)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、税引前四半期利益113,876百万円、減価償却費及び償却費39,258百万円、棚卸資産の増減額(△は増加)△22,386百万円、売上債権及びその他の債権の増減額(△は増加)48,747百万円、法人所得税等の支払額△45,761百万円となっております。当第2四半期連結累計期間における対前年同四半期比23,525百万円のキャッシュ・フロー増加の主な要因は、法人所得税等の支払額が対前年同四半期比で29,475百万円増加し、キャッシュ・フローの減少となりましたが、医療関連事業におけるグローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「サムスカ/ジンアーク」、「ロンサーフ」)の伸長により業績が堅調に推移したこと、及び売上債権及びその他の債権の影響等によりキャッシュ・フローが増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、△60,232百万円(対前年同四半期比32,899百万円減)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、有形固定資産の取得による支出△26,517百万円、日本における「エンレスト」の共同プロモーション契約に係る契約一時金等を含む無形資産の取得による支出△27,033百万円、投資の取得による支出△12,886百万円等であります。当第2四半期連結累計期間における対前年同四半期比32,899百万円のキャッシュ・フロー減少の主な要因は、主として医療関連事業において無形資産の取得による支出が19,353百万円増加したことのほか、定期預金の増減額が対前年同四半期比△15,884百万円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、△54,019百万円(対前年同四半期比80,468百万円減)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、短期借入金の増減額(△は減少)△6,523百万円、長期借入金の返済による支出△11,158百万円、リース負債の返済による支出△8,333百万円、配当金の支払額△28,432百万円であります。当第2四半期連結累計期間における対前年同四半期比80,468百万円のキャッシュ・フロー減少の主な要因は、2019年3月の国内無担保普通社債の発行による収入の計上80,000百万円の影響がなくなったことによるものであります。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費は109,210百万円です。
主な研究開発分野及び新製品の開発のセグメント別の状況は、次のとおりです。
(医療関連事業)
当社グループは、精神・神経領域、がん・がんサポーティブケア領域を重点領域とし、循環器・腎領域等においても未充足疾患に焦点を当てた研究開発を進めています。
医療関連事業における研究開発費は、104,101百万円です。
当第2四半期連結累計期間の医療関連事業における研究開発の主な進捗状況は、以下のとおりです。
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当事業においては、医療関連事業で培ったノウハウを活かし、日々の健康の維持・増進をサポートする機能性食品・飲料を中心に世界に通用する製品の研究開発に取り組んでいます。まるごと大豆の栄養を手軽においしく摂取できる大豆バーSOYJOY(ソイジョイ)ブランドは、まるごと大豆の生地と、ごろっとしたピーナッツのしっかりとした食べごたえのある食感はそのままに、糖質を1/4カット*1した「SOYJOY ピーナッツ」を2020年2月にリニューアル発売しました。また、大塚製薬㈱独自の発想と技術により肌の健康を考えるCosmedics(健粧品)*2分野では、スキンケアシリーズ「インナーシグナル」より、美白*3機能と化粧水・乳液・クリーム3つの機能を集約した時間差浸透 薬用オールインワン ゲル状クリーム「インナーシグナル リジュブネイト ワン」を同年3月に新発売しました。
また、同年3月に近赤外線(IRA)によるヒト表皮細胞の増殖抑制作用とそのメカニズム解明について*4、同年4月に毛髪の悩みとエクオール産生能の関係について*5、それぞれの研究成果を専門誌に発表しました。
*1 自社従来品「ソイジョイ ピーナッツ30g」比で、糖質を26%カット
*2 Cosmedics(健粧品):cosmetics(化粧品)+medicine(医薬品)
*3 メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ
*4 Syota Shimizu et al. (2020) Infrared-A Irradiation-induced Inhibition of Human Keratinocyte Proliferation and Potential Mechanisms. Photochemistry and Photobiology
*5 Soh Iwashita et al.(2020) Equol status affects hair aging in postmenopausal women:A cross-sectional study. The Journal of Japanese Society of Aesthetic Dermatology
ニュートラシューティカルズ関連事業における研究開発費は、2,890百万円です。
(消費者関連事業)
当事業においては、生活に身近な食品や飲料の分野でオリジナルかつユニークな製品の研究開発に取り組んでいます。
消費者関連事業における研究開発費は、271百万円です。
(その他の事業)
当事業においては、機能化学品やファインケミカルの分野で研究開発に取り組んでいます。
その他の事業における研究開発費は、1,947百万円です。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループは、経常的な収益力を示す指標として事業利益を採用しております。
事業利益とは、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費並びに研究開発費を控除した額に持分法による投資損益を加減算した額であります。
(単位:百万円)
前第2四半期 連結累計期間 | 当第2四半期 連結累計期間 | 増減額 | 増減率 | |
売上収益 | 671,131 | 695,443 | 24,311 | 3.6% |
研究開発費投資前事業利益 | 197,670 | 223,155 | 25,484 | 12.9% |
事業利益 | 97,651 | 113,945 | 16,293 | 16.7% |
営業利益 | 96,524 | 118,008 | 21,484 | 22.3% |
税引前四半期利益 | 93,421 | 113,876 | 20,455 | 21.9% |
四半期利益 | 70,190 | 88,511 | 18,320 | 26.1% |
親会社の所有者に帰属する四半期利益 | 67,763 | 86,810 | 19,047 | 28.1% |
研究開発費 | 100,019 | 109,210 | 9,190 | 9.2% |
減損損失 | 377 | 49 | △327 | △86.9% |
これまで当社グループは、「トータルヘルスケア企業」として、健康の維持・増進、病気の診断から治療までを担う企業活動を進めてまいりました。今後のニューノーマルという時代の中でも、健康意識の高まりを成長機会と捉え、今こそ「トータルヘルスケア企業」の真価を発揮し、引き続き持続的成長の実現に向け、進んでまいります。
当第2四半期連結累計期間は、新型コロナウイルスの感染拡大により、当社グループの事業活動も一定の影響を受けましたが、連結売上収益は695,443百万円(前年同四半期比3.6%増)と増収を確保しました。医療関連事業においては、患者の受診抑制や、手術件数の減少、病床稼働率の低下等により、輸液等の一部事業は影響を受けましたが、グローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「サムスカ/ジンアーク」、「ロンサーフ」)等の売上収益の増加が業績を牽引しました。ニュートラシューティカルズ関連事業においては、外出機会の減少等の影響を受けましたが、「ネイチャーメイド」、デイヤフーズ社ブランドや「エクエル」等が伸長し、新型コロナウイルス感染拡大の中においても同事業の売上収益は前年同四半期比96.0%を確保しました。
また、経費効率化による効果もあり、研究開発費投資前事業利益は223,155百万円(同12.9%増)、「レキサルティ」、フチバチニブ、センタナファジン、VIS649*及びバダデュスタット等に係る開発費が増えたことから研究開発費は109,210百万円(同9.2%増)となり、その結果、事業利益は113,945百万円(同16.7%増)となりました。
営業利益につきましては118,008百万円(同22.3%増)、四半期利益は88,511百万円(同26.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は86,810百万円(同28.1%増)となりました。
* ビステラ社開発品
セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
医療関連 事業 | ニュートラシューティカルズ 関連事業 | 消費者 関連事業 | その他 の事業 | 調整額 | 連結 | |
売上収益 | 471,773 | 158,803 | 15,042 | 68,573 | △18,749 | 695,443 |
事業利益 | 102,701 | 20,624 | 4,904 | 7,142 | △21,428 | 113,945 |
(参考-前年同一期間)
(単位:百万円)
医療関連 事業 | ニュートラシューティカルズ 関連事業 | 消費者 関連事業 | その他 の事業 | 調整額 | 連結 | |
売上収益 | 438,560 | 165,433 | 16,189 | 70,123 | △19,175 | 671,131 |
事業利益 | 84,917 | 21,725 | 4,318 | 5,924 | △19,234 | 97,651 |
(医療関連事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は471,773百万円(前年同四半期比7.6%増)、事業利益は102,701百万円(同20.9%増)となりました。
<主要製品の状況>●グローバル4製品
当社がグローバル4製品と位置付ける持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「サムスカ/ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」の売上収益の合計は、前年同四半期比26.2%増の218,549百万円となりました。
・持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」
グローバルでの統合失調症治療薬としての有効性の訴求と製剤の利便性に対する認知向上に加え、2017年に米国において効能追加となった双極性障害治療薬としての処方拡大が引き続き貢献し、売上収益は前年同四半期比21.3%増の58,939百万円となりました。
・抗精神病薬「レキサルティ」
大うつ病補助療法及び統合失調症治療薬として販売する米国では、両疾患における新たな治療選択肢として有効性と安全性に対する高い評価を受け、売上収益が増加しています。統合失調症治療薬として販売する日本では、2019年5月より処方日数制限が解除され、急性期を中心に処方数が大きく伸長しています。欧州においても、2019年4月から順次販売を開始しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比33.0%増の54,413百万円となりました。
・V2-受容体拮抗剤「サムスカ」
日本では、4月の薬価改定において市場拡大再算定による薬価切り下げの影響があったものの、心性浮腫・肝性浮腫治療薬として、また、腎臓の難病である常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)治療薬としても、処方は引き続き拡大しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比3.6%増の44,208百万円となりました。
・V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」
米国では、ADPKDの治療薬として疾患啓発や臨床データの情報提供活動等により、疾患と製品に対する認知が広まり、処方が順調に拡大しています。欧州の販売国においても治療患者数が増加しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比65.6%増の40,146百万円と大幅な増収となりました。
・抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」
日本では、結腸・直腸がん治療薬としての処方数の伸長に加え、2019年8月に承認された進行・再発胃がんに対する処方が拡大しています。米国では、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、在宅治療や経口抗がん剤の使用が推奨される中*1,2、情報提供活動の強化も伴い、増収となりました。欧州では、処方の順調な推移と承認国の拡大により、増収となりました。これらの結果、売上収益は前年同四半期比24.9%増の20,840百万円となりました。
*1 Pelin Cinar et al., Safety at the Time of the COVID-19 Pandemic: How to Keep our Oncology Patients and Healthcare Workers Safe. J Natl Compr Canc Netw, 2020 Apr 15;1-6.
*2 ASCO. COVID-19 Patient Care Information, Cancer Treatment and Supportive Care.https://www.asco.org/asco-coronavirus-resources/care-individuals-cancer-during-covid-19/cancer-treatment-supportive-care. Updated 23, July 2020. Accessed 31 July 2020.
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は158,803百万円(前年同四半期比4.0%減)、事業利益は20,624百万円(同5.1%減)となりました。
<主要製品の状況>当社が主要3ブランドと位置付ける「ポカリスエット」、「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランドの売上収益の合計は、前年同四半期比5.9%減の96,417百万円となりました。育成3ブランドと位置付けるデイヤフーズ社ブランド、「エクエル」、「ボディメンテ」の売上収益の合計は、前年同四半期比32.1%増の13,183百万円となりました。
●主要3ブランド
水分・電解質補給飲料「ポカリスエット」は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者の活動量の減少、日本においては前年のインフルエンザによる需要拡大の反動等を受け、ブランド全体の売上収益は減少しました。
ファーマバイト社のサプリメント「ネイチャーメイド」は、体調管理への意識の高まりに伴い、ビタミン剤を中心に売上が増加しました。
欧州を中心に健康食品を展開するニュートリション エ サンテ社ブランドは、都市封鎖や外出規制等の影響及び為替の影響により、減収となりました。
●育成3ブランド
プラントベース(植物由来)食品であるデイヤフーズ社ブランドは、北米において、チーズ代替品等の成長により、前年同四半期比で増収となりました。
女性の健康と美をサポートするエクオール含有食品「エクエル」は、幅広い情報提供活動により製品の認知が進み、売上収益は順調に増加しています。
植物由来の乳酸菌B240*3を含有する「ボディメンテ」は、健康意識や体調管理に対するニーズの高まりを受け、大幅な増収となりました。
*3 Lactobacillus pentosus ONRICb0240:東京農業大学が単離、大塚製薬㈱が有効性を確認した乳酸菌
(消費者関連事業)
ウォーター類は、主力製品「クリスタルガイザー」において、パーソナルサイズとしては最大サイズである700mlボトルの販売数量が好調に推移しているものの、外出の規制等に伴い、自販機チャネルを中心にブランド全体の販売数量は減少しました。ビタミン炭酸飲料「マッチ」は、休校や外出規制等の影響を受け、販売数量が減少しました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間における売上収益は15,042百万円(前年同四半期比7.1%減)となりました。また、持分法投資利益の増加等が影響し、事業利益は4,904百万円(同13.6%増)となりました。
(その他の事業)
機能化学品分野は、水加ヒドラジン及び発泡剤の出荷数量の減少等により、前年同四半期比で減収となりました。ファインケミカル分野は、2019年6月に譲受したセフィキシムの海外ライセンシーに対する原薬供給事業に係る売上収益等により、前年同四半期比で増収となりました。
運輸・倉庫分野は、『共通プラットフォーム戦略』により新規の外部顧客は増えているものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で取引先荷主の取扱数量が減少し、全体の売上収益は微減となりました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間のその他の事業の売上収益は68,573百万円(前年同四半期比2.2%減)となりました。また、持分法投資利益の増加等が影響し、事業利益は7,142百万円(同20.6%増)となりました。
※その他、製品別の売上収益等につきましては、決算補足資料(ファクトブック)をご参照ください。
https://www.otsuka.com/jp/ir/library/earnings.php
<新型コロナウイルス感染拡大による事業及び業績への影響>新型コロナウイルス感染拡大への当社グループの対応について、各国の外出禁止もしくは自粛要請を受け、生産に係る従業員は毎日体調管理を実施、また、それ以外は原則在宅勤務とし、従業員の安全確保及び事業活動継続に取り組んでいます。
当第2四半期におきましては、医療関連事業のグローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「サムスカ/ジンアーク」、「ロンサーフ」)については順調に成長しましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出規制等の影響を医療関連事業以外も含めて一部の製品で受けました。製品の供給においては、現在安定して供給できる体制を維持しています。当第3四半期以降の事業及び業績への影響については、新型コロナウイルス感染拡大による影響が不透明な中、長期化した場合を想定し引き続き事業及び業績への影響を注視しています。
当社グループの現状と、それにより今後、懸念される経営リスクは、以下のとおりです。
(販売)
・医療関連事業においては、外出自粛や都市封鎖に伴い外来患者の来院数が減少している一方、慢性疾患において長期処方が増加する傾向がみられます。今後、これらの状況が長期化もしくは深刻化した場合には、医療施設への訪問規制や疾患啓発活動の自粛に伴う新規処方の減少や、来院を要する注射剤等の処方減少がさらに進み、通期の売上収益にも影響を及ぼす可能性があります。
・医療関連事業以外においては、一部の製品については、健康意識に対する高まりや、家庭内消費の増加、通信販売の利用増加等により、需要が増加している一方、外出自粛に伴う屋外活動の制限等による消費機会の損失もみられます。今後、新型コロナウイルス感染拡大が長期化もしくは深刻化した場合には、営業活動の自粛や制限に伴う新規顧客の獲得減少や消費機会の損失がさらに進み、通期の売上収益にも影響を及ぼす可能性があります。
(生産)
・原材料の調達は、一部の輸入品に遅延がみられますが、概ね順調に確保できています。生産活動は一部のラインで従業員の自宅待機等により一時的に生産が停止しましたが、現在はほぼ復旧し、人員確保も含め順調に稼働しています。今後、新型コロナウイルス感染拡大が長期化もしくは深刻化し、原材料調達に停滞が生じた場合、あるいは生産工場内でのクラスター発生等が生じた場合等には、一部製品の供給が停止する可能性があります。
(研究開発)
・臨床試験を実施している開発品の一部においては、治験実施施設の立上げや、患者登録を中断していましたが、徐々に再開しています。患者登録等の中断もしくは遅延が深刻化した場合には、臨床試験の進捗や製造販売承認申請時期が遅延する可能性があります。
・研究活動については、研究員の自宅待機要請等により一部で遅延がみられます。これらの状況が長期化もしくは深刻化した場合には、研究活動が遅延し、中長期での新製品上市時期が遅延する可能性があります。
以上のように、新型コロナウイルス感染拡大による当社グループ事業への影響を多岐にわたり想定しておりますが、今後も当社グループは“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、当社グループ従業員の安全確保及び事業活動の継続に向けた取り組みを引き続き行ってまいります。
② 財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2019年12月31日) | 当第2四半期連結会計期間 (2020年6月30日) | 増減額 | |
流動資産 | 988,351 | 971,310 | △17,040 |
非流動資産 | 1,592,957 | 1,609,905 | 16,947 |
資産合計 | 2,581,309 | 2,581,216 | △93 |
流動負債 | 440,891 | 415,524 | △25,367 |
非流動負債 | 344,977 | 330,490 | △14,486 |
負債合計 | 785,869 | 746,014 | △39,854 |
資本合計 | 1,795,440 | 1,835,201 | 39,761 |
a. 資産
当第2四半期連結会計期間末における総資産は2,581,216百万円(前連結会計年度末は2,581,309百万円)となり、93百万円減少しました。その内訳は、流動資産が17,040百万円の減少、非流動資産が16,947百万円の増加であります。
(流動資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は971,310百万円(前連結会計年度末は988,351百万円)となり、17,040百万円減少しました。その主たる内訳は、棚卸資産が19,619百万円、その他の流動資産が7,212百万円増加したものの、売上債権及びその他の債権が49,884百万円減少したこと等によるものであります。
(非流動資産)
当第2四半期連結会計期間末における非流動資産は1,609,905百万円(前連結会計年度末は1,592,957百万円)となり、16,947百万円増加しました。その主たる要因は、日本におけるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)「エンレスト®錠」(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物、以下「エンレスト」)の契約一時金等を含む無形資産の取得により、無形資産が12,623百万円増加したこと等によるものであります。
b. 負債
(流動負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は415,524百万円(前連結会計年度末は440,891百万円)となり、25,367百万円減少しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が7,425百万円、未払法人所得税が13,895百万円、その他の流動負債が5,108百万円減少したこと等によるものであります。
(非流動負債)
当第2四半期連結会計期間末における非流動負債は330,490百万円(前連結会計年度末は344,977百万円)となり、14,486百万円減少しました。その主たる内訳は、その他の非流動負債が2,233百万円増加したものの、社債及び借入金が10,894百万円、契約負債が6,072百万円減少したこと等によるものであります。
c. 資本
当第2四半期連結会計期間末における資本は1,835,201百万円(前連結会計年度末は1,795,440百万円)となり、39,761百万円増加しました。その主たる内訳は、配当金の支払27,113百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益86,810百万円の計上等により利益剰余金が59,083百万円増加したこと、株式相場及び為替相場の変動等の影響によりその他の資本の構成要素が19,529百万円減少したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は334,806百万円となり、前連結会計年度末より766百万円増加しました。当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、118,374百万円となりました。一方で、将来の持続的成長に向けて、主に医療関連事業において投資等を行ったことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは△60,232百万円となりました。財務活動につきましては、借入金及びリース負債を返済し、配当金の支払額が△28,432百万円となったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは△54,019百万円となりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・イン・フローは、投資活動及び財務活動を合わせたキャッシュ・アウト・フローを上回りましたが、円高の影響により現金及び現金同等物に係る換算差額が△3,356百万円となったことから、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より微増の334,806百万円となりました。
なお、2020年6月末現在の社債及び借入金の合計額は168,207百万円であり、現金及び現金同等物が社債及び借入金の合計額を上回っていることから、財政的に健全性を維持していると考えております。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、118,374百万円(対前年同四半期比23,525百万円増)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、税引前四半期利益113,876百万円、減価償却費及び償却費39,258百万円、棚卸資産の増減額(△は増加)△22,386百万円、売上債権及びその他の債権の増減額(△は増加)48,747百万円、法人所得税等の支払額△45,761百万円となっております。当第2四半期連結累計期間における対前年同四半期比23,525百万円のキャッシュ・フロー増加の主な要因は、法人所得税等の支払額が対前年同四半期比で29,475百万円増加し、キャッシュ・フローの減少となりましたが、医療関連事業におけるグローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「サムスカ/ジンアーク」、「ロンサーフ」)の伸長により業績が堅調に推移したこと、及び売上債権及びその他の債権の影響等によりキャッシュ・フローが増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、△60,232百万円(対前年同四半期比32,899百万円減)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、有形固定資産の取得による支出△26,517百万円、日本における「エンレスト」の共同プロモーション契約に係る契約一時金等を含む無形資産の取得による支出△27,033百万円、投資の取得による支出△12,886百万円等であります。当第2四半期連結累計期間における対前年同四半期比32,899百万円のキャッシュ・フロー減少の主な要因は、主として医療関連事業において無形資産の取得による支出が19,353百万円増加したことのほか、定期預金の増減額が対前年同四半期比△15,884百万円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、△54,019百万円(対前年同四半期比80,468百万円減)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、短期借入金の増減額(△は減少)△6,523百万円、長期借入金の返済による支出△11,158百万円、リース負債の返済による支出△8,333百万円、配当金の支払額△28,432百万円であります。当第2四半期連結累計期間における対前年同四半期比80,468百万円のキャッシュ・フロー減少の主な要因は、2019年3月の国内無担保普通社債の発行による収入の計上80,000百万円の影響がなくなったことによるものであります。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費は109,210百万円です。
主な研究開発分野及び新製品の開発のセグメント別の状況は、次のとおりです。
(医療関連事業)
当社グループは、精神・神経領域、がん・がんサポーティブケア領域を重点領域とし、循環器・腎領域等においても未充足疾患に焦点を当てた研究開発を進めています。
医療関連事業における研究開発費は、104,101百万円です。
当第2四半期連結累計期間の医療関連事業における研究開発の主な進捗状況は、以下のとおりです。
領域 | 「製品名」 (一般名) または開発コード | 状況 |
精神・神経領域 | 「レキサルティ」 (ブレクスピプラゾール) OPC-34712 | <米国・欧州>・開発戦略上の理由で、Ⅰ型双極性障害を対象とした開発を中止しました。 <中国>・開発戦略上の理由で、大うつ病を対象とした開発を中止しました。 |
OPC-214870 | <米国>・てんかんを対象としたフェーズⅠ試験を2020年2月に開始しました。 | |
OPC-64005 | <日本>・大うつ病を対象としたフェーズⅡ試験を2020年4月に開始しました。 <米国>・開発戦略上の理由で、注意欠陥・多動性障害を対象とした開発を中止しました。 | |
がん・がんサポーティブケア領域 | (decitabine・cedazuridine) ASTX727 | <欧州>・急性骨髄性白血病を対象としたフェーズⅢ試験を2020年1月に開始しました。 |
「ブスルフェクス」 (ブスルファン) | <日本>・公知申請により、悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療が2020年3月に効能追加されました。 | |
(フチバチニブ) TAS-120 | <米国・欧州>・乳がんを対象としたフェーズⅡ試験を2020年2月に開始しました。 | |
TAS-118 | <日本>・開発戦略上の理由で、胃がんを対象とした開発を中止しました。 | |
TAS-119 | ・VITRAC社へ導出しました。 | |
TAS1440 | <米国>・急性骨髄性白血病を対象としたフェーズⅠ試験を2020年6月に開始しました。 | |
循環器・腎領域 | 「サムスカ」 (トルバプタン) OPC-41061 | <日本>・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群における低ナトリウム血症の改善が、2020年6月に承認効能追加されました。 |
その他領域 | OPS-2071 | <日本>・開発戦略上の理由で、クロストリジウム・ディフィシル感染症と腸管感染症を対象とした開発を中止しました。 |
診断薬 | C13-CAC | <日本>・開発戦略上の理由で、胃酸関連検査の体内診断薬としての開発を中止しました。 |
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当事業においては、医療関連事業で培ったノウハウを活かし、日々の健康の維持・増進をサポートする機能性食品・飲料を中心に世界に通用する製品の研究開発に取り組んでいます。まるごと大豆の栄養を手軽においしく摂取できる大豆バーSOYJOY(ソイジョイ)ブランドは、まるごと大豆の生地と、ごろっとしたピーナッツのしっかりとした食べごたえのある食感はそのままに、糖質を1/4カット*1した「SOYJOY ピーナッツ」を2020年2月にリニューアル発売しました。また、大塚製薬㈱独自の発想と技術により肌の健康を考えるCosmedics(健粧品)*2分野では、スキンケアシリーズ「インナーシグナル」より、美白*3機能と化粧水・乳液・クリーム3つの機能を集約した時間差浸透 薬用オールインワン ゲル状クリーム「インナーシグナル リジュブネイト ワン」を同年3月に新発売しました。
また、同年3月に近赤外線(IRA)によるヒト表皮細胞の増殖抑制作用とそのメカニズム解明について*4、同年4月に毛髪の悩みとエクオール産生能の関係について*5、それぞれの研究成果を専門誌に発表しました。
*1 自社従来品「ソイジョイ ピーナッツ30g」比で、糖質を26%カット
*2 Cosmedics(健粧品):cosmetics(化粧品)+medicine(医薬品)
*3 メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ
*4 Syota Shimizu et al. (2020) Infrared-A Irradiation-induced Inhibition of Human Keratinocyte Proliferation and Potential Mechanisms. Photochemistry and Photobiology
*5 Soh Iwashita et al.(2020) Equol status affects hair aging in postmenopausal women:A cross-sectional study. The Journal of Japanese Society of Aesthetic Dermatology
ニュートラシューティカルズ関連事業における研究開発費は、2,890百万円です。
(消費者関連事業)
当事業においては、生活に身近な食品や飲料の分野でオリジナルかつユニークな製品の研究開発に取り組んでいます。
消費者関連事業における研究開発費は、271百万円です。
(その他の事業)
当事業においては、機能化学品やファインケミカルの分野で研究開発に取り組んでいます。
その他の事業における研究開発費は、1,947百万円です。