四半期報告書-第14期第3四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/12 16:15
【資料】
PDFをみる
【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループは、経常的な収益力を示す指標として事業利益を採用しております。
事業利益とは、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費並びに研究開発費を控除した額に持分法による投資損益を加減算した額であります。
(単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額増減率
売上収益1,066,9591,107,41740,4583.8%
研究開発費投資前事業利益346,723318,384△28,338△8.2%
事業利益188,663155,863△32,800△17.4%
営業利益171,695158,130△13,564△7.9%
税引前四半期利益164,990166,3081,3170.8%
四半期利益130,598130,033△565△0.4%
親会社の所有者に帰属する四半期利益127,766126,648△1,118△0.9%

研究開発費158,059162,5214,4612.8%
減損損失25,1025,051△20,051△79.9%

これまで当社グループは、「トータルヘルスケア企業」として、健康の維持・増進、病気の診断から治療までを担う企業活動を進めてまいりました。今後のニューノーマルという時代の中でも、健康意識の高まりを成長機会と捉え、今こそ「トータルヘルスケア企業」の真価を発揮し、引き続き持続的成長の実現に向け、進んでまいります。
当第3四半期連結累計期間は、「スプリセル」、「イーケプラ」の契約満了による大幅な減収要因に対して、「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「ジンアーク」、「ロンサーフ」のグローバル4製品及びニュートラシューティカルズ関連事業等での増収が減収分を大幅に超えて貢献し、連結売上収益は1,107,417百万円(前年同四半期比3.8%増)の増収となりました。医療関連事業においては、上記契約満了や米国における「サムスカ」の後発医薬品上市の影響を受けましたが、グローバル4製品や診断試薬、臨床栄養、前年、北米で上市した「INQOVI」等の売上収益の増加が業績を牽引しました。ニュートラシューティカルズ関連事業においては、前年、外出機会減少等による消費等への影響を受けたアジアの「ポカリスエット」の売上収益が回復、健康の自己管理意識の向上とともに、北米の「ネイチャーメイド」や日本の「エクエル」等が引き続き伸長、また、ニュートリション エ サンテ社ブランドはニューノーマルに対応した流通体制構築が奏功し売上収益は増加しました。
一方、製品構成の変化や一過性要因*等により売上総利益が前年同四半期比1.4%増にとどまり、また、「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」の増収に伴い共同販売費が増加、さらに、ニューノーマルな活動環境から次第に活動の幅が拡がることに伴い、マーケティング活動に積極的に投資したことで、研究開発費投資前事業利益は318,384百万円(同8.2%減)となりました。また、バダデュスタット等に係る開発費が減少しましたが、大日本住友製薬㈱とサノビオン社との共同開発及び販売に関するライセンス契約締結に基づく開発費等が増加したことから研究開発費は162,521百万円(同2.8%増)となり、事業利益は155,863百万円(同17.4%減)、減損損失等を計上した結果、営業利益は158,130百万円(同7.9%減)となりました。
なお、為替の影響等により、四半期利益は130,033百万円(同0.4%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は126,648百万円(同0.9%減)となりました。
* 医療関連事業における棚卸資産の未実現利益消去に係る為替影響、インフルエンザ診断薬の在庫評価損等
セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
医療関連
事業
ニュートラシューティカルズ
関連事業
消費者
関連事業
その他
の事業
調整額連結
売上収益720,974280,07224,115110,752△28,4961,107,417
事業利益126,85445,9055,76710,813△33,478155,863

(参考-前年同一期間)
(単位:百万円)
医療関連
事業
ニュートラシューティカルズ
関連事業
消費者
関連事業
その他
の事業
調整額連結
売上収益715,124252,76724,105104,038△29,0761,066,959
事業利益163,56236,9529,25210,758△31,862188,663

(医療関連事業)
当第3四半期連結累計期間における売上収益は720,974百万円(前年同四半期比0.8%増)、事業利益は126,854百万円(同22.4%減)となりました。
<主要製品の状況>●グローバル4製品
当社がグローバル4製品と位置付ける持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「サムスカ/ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」の売上収益の合計は、前年同四半期比10.9%増の360,850百万円となりました。
・持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」
新型コロナウイルス感染拡大の影響が続く中、米国ではDTCの活用や、対面による情報提供活動が回復基調にあること等から、売上収益は増加しています。日本では、2020年9月に双極Ⅰ型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制の効能が追加となり、売上収益は堅調に推移しています。欧州でも、主要市場を中心に増収となりました。これらの結果、売上収益は前年同四半期比10.1%増の96,746百万円となりました。
・抗精神病薬「レキサルティ」
大うつ病補助療法及び統合失調症治療薬として販売する米国では、デジタル技術を活用したプロモーションに加え、DTCや対面による情報提供活動の増加等により処方数が伸長し、増収となりました。日本では、本年8月にOD錠の製造販売承認を取得、利便性の向上とともに情報提供活動を強化し、売上収益は堅調に推移しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比12.1%増の89,021百万円となりました。
・V2-受容体拮抗剤「サムスカ」
心不全・肝硬変における体液貯留や常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)等の治療薬として販売する日本では、ウェブ講演会等のオンラインを活用した情報提供活動により、継続して処方が拡大しています。低ナトリウム血症治療薬として販売する米国では、独占期間満了に伴い後発医薬品が発売されています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比0.8%増の66,695百万円となりました。
・V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」
米国では、ADPKD治療薬として継続的な疾患啓発や臨床データの情報提供活動等により、処方数は伸長しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比21.8%増の74,304百万円となりました。
・抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」
米国では、新型コロナウイルス感染拡大を受けて在宅治療や経口抗がん剤の使用が推奨されており*1,2、増収となりました。日本と欧州においても、処方は堅調に推移しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比9.8%増の34,082百万円となりました。
*1 Pelin Cinar et al., Safety at the Time of the COVID-19 Pandemic: How to Keep our Oncology Patients and Healthcare Workers Safe. J Natl Compr Canc Netw, 2020 Apr 15;1-6.
*2 ASCO. COVID-19 Patient Care Information, Cancer Treatment and Supportive Care.
https://www.asco.org/covid-resources/patient-care-info/cancer-treatment-supportive-care Updated 17 September 2021, Accessed 19 October 2021
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当第3四半期連結累計期間における売上収益は280,072百万円(前年同四半期比10.8%増)、事業利益は45,905百万円(同24.2%増)となりました。
<主要製品の状況>当社が主要3ブランドと位置付ける「ポカリスエット」、「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランドの売上収益の合計は、前年同四半期比13.2%増の172,663百万円となりました。育成3ブランドと位置付けるデイヤフーズ社ブランド、「エクエル」、「ボディメンテ」の売上収益の合計は、前年同四半期比1.9%増の20,392百万円となりました。
●主要3ブランド
水分・電解質補給飲料「ポカリスエット」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で消費者の活動量が制限される中、特に海外において、各地の状況に応じた水分・電解質補給の啓発と市場開発により、ブランド全体の売上収益が増加しました。日本においても、日常における熱中症対策等の啓発活動のほか、インターハイや全国中学校体育大会において感染対策と熱中症対策を両立させた運営支援を行い、状況に応じた新たな取り組みを実施しました。
ファーマバイト社のサプリメント「ネイチャーメイド」は、消費者の新型コロナウイルス感染拡大下での体調管理に対する意識が向上し、ブランドや品質に対する信頼性がより高まり、メイン市場である北米において、ビタミンDやビタミンC等を中心に需要が増加し、増収となりました。また、本年7月には米国薬剤師が推奨するNo.1*3サプリメントに24年連続で選出されました。
欧州を中心に健康食品を展開するニュートリション エ サンテ社ブランドは、消費者の健康志向が高まる中、継続的な製品構成の最適化の効果とともに、新しい生活様式に適応したEコマースの拡大等により増収となりました。
*3 2021 U.S. News & World Report - Pharmacy Times Survey
対象商品:レタービタミン(A, B, C, D, E) 、睡眠、糖尿病用マルチビタミン、コエンザイムQ10、フラックスシードオイル、ハーブ、オメガ3/フィッシュオイル、コレステロールマネジメント、ムードヘルス
●育成3ブランド
プラントベース(植物由来)食品であるデイヤフーズ社ブランドは、北米において、乳代替品の市場におけるシェアを高い水準で維持しています。一方で、市場が急速に拡大する中、新規参入メーカーが増えています。前年同四半期の新型コロナウイルス感染拡大に伴う家庭内需要の急激な拡大の反動もあり、当第3四半期連結累計期間は減収となりましたが、引き続き、独自技術を活かした製品ラインナップの拡充及び流通拡大に取り組んでいます。
女性の健康と美をサポートするエクオール含有食品「エクエル」は、幅広い情報提供活動により製品の認知が進み、引き続き売上収益は順調に増加しています。
植物由来の乳酸菌B240*4を含有する「ボディメンテ」は、消費者の体調管理に対する意識が高まる中、製品認知と理解が着実に広がり、継続的な店頭展開と連動した結果、増収となりました。
*4 Lactobacillus pentosus ONRICb0240:東京農業大学が単離、大塚製薬㈱が有効性を確認した乳酸菌
(消費者関連事業)
ウォーター類は、主力製品「クリスタルガイザー」の700mlペットボトルを中心に販売数量は堅調に推移しています。また、本年4月より50%リサイクルペットボトルを導入し、環境に配慮した活動を積極的に推進しています。ビタミン炭酸飲料「マッチ」は、継続する外出機会の減少や気温の低下等の影響もあり、ブランド全体の販売数量は減少しました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間における売上収益は24,115百万円(前年同四半期比0.0%増)、また、持分法投資利益の減少等により事業利益は5,767百万円(同37.7%減)となりました。
(その他の事業)
機能化学品分野は、自動車産業向け販売が増加した結果、増収となりました。ファインケミカル分野は、抗生剤の需要等が減少したため、減収となりました。
運輸・倉庫分野は、『共通プラットフォーム戦略』による新規の外部顧客の獲得及び取扱数量の回復により、増収となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間のその他の事業の売上収益は110,752百万円(前年同四半期比6.5%増)となり、事業利益は10,813百万円(同0.5%増)となりました。
※その他、製品別の売上収益等につきましては、決算補足資料(ファクトブック)をご参照ください。
https://www.otsuka.com/jp/ir/library/materials.html
<新型コロナウイルス感染拡大による事業及び業績への影響>新型コロナウイルス感染拡大に関する当社グループの現状と、今後懸念される経営リスクは、以下のとおりです。
(販売)
・医療関連事業においては、外出自粛等に伴い外来患者の来院数が減少している一方、一部エリアあるいは一部疾患においては処方箋数に回復傾向がみられます。今後、これらの状況が長期化もしくは深刻化した場合には、医療施設への訪問規制や疾患啓発活動の自粛に伴う新規処方の減少や、来院を要する注射剤等の処方減少がさらに進み、売上収益にも影響を及ぼす可能性があります。
・医療関連事業以外においては、一部の製品について、健康意識の高まりや家庭内消費の増加、通信販売の利用増加等により需要が増加している一方、外出自粛に伴う屋外活動の制限等による消費機会の低下もみられます。今後、新型コロナウイルス感染拡大が長期化もしくは深刻化した場合には、営業活動の自粛や制限に伴う新規顧客の獲得減少や消費機会の消失により、売上収益にも影響を及ぼす可能性があります。
(生産)
・原材料の調達は、一部の輸入品に遅延がみられますが、概ね順調に確保できています。生産活動は一部のラインで従業員の自宅待機等により一時的に生産が停止しましたが、現在はほぼ復旧し、人員確保も含め順調に稼働しています。今後、新型コロナウイルス感染拡大が長期化もしくは深刻化し、原材料調達に停滞が生じた場合、あるいは生産工場内でのクラスター発生が生じた場合等には、一部製品の供給の遅延も考慮する必要があります。
(研究開発)
・臨床試験を実施している開発品の一部においては、治験実施施設の立上げや患者登録を中断していましたが、現在は再開しています。患者登録等の中断もしくは遅延が深刻化した場合には、臨床試験の進捗や製造販売承認申請時期等の開発戦略を変更する可能性もあります。
・研究活動については、外出規制等の影響もあり、これらの状況が長期化もしくは深刻化した場合には、研究活動の減速により、中長期での新製品上市時期が遅延する可能性もあります。
以上のとおり、新型コロナウイルス感染拡大による当社グループ事業への影響を多岐にわたり想定しておりますが、経営リスクを予め十分認識した上で個々に万全の対策を取り、企業価値の向上及び2021年12月期通期連結業績予想の達成を目指してまいります。
② 財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
(2020年12月31日)
当第3四半期連結会計期間
(2021年9月30日)
増減額
流動資産1,003,7271,064,06360,336
非流動資産1,624,0791,751,703127,623
資産合計2,627,8072,815,766187,959
流動負債416,213484,67768,464
非流動負債328,161313,480△14,680
負債合計744,374798,15853,783
資本合計1,883,4322,017,608134,175

a. 資産
当第3四半期連結会計期間末における総資産は2,815,766百万円(前連結会計年度末は2,627,807百万円)となり、187,959百万円増加しました。その内訳は、流動資産が60,336百万円の増加、非流動資産が127,623百万円の増加であります。
(流動資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は1,064,063百万円(前連結会計年度末は1,003,727百万円)となり、60,336百万円増加しました。その主たる内訳は、売上債権及びその他の債権が20,603百万円、その他の金融資産が19,944百万円減少したものの、現金及び現金同等物が91,826百万円増加したこと等によるものであります。
(非流動資産)
当第3四半期連結会計期間末における非流動資産は1,751,703百万円(前連結会計年度末は1,624,079百万円)となり、127,623百万円増加しました。その主たる内訳は、有形固定資産が20,985百万円、のれんが26,140百万円、無形資産が60,049百万円、持分法で会計処理されている投資が16,706百万円増加したこと等によるものであります。これらの増加は、主に医療関連事業における投資と為替相場の変動による影響によるものであります。当第3四半期連結累計期間においては、大日本住友製薬㈱とサノビオン社が精神神経領域で開発中の4つの新薬候補化合物について、全世界を対象とした共同開発及び販売に関するライセンス契約を締結し、契約一時金270百万米ドル(30,226百万円)を仕掛研究開発として無形資産に計上しております。
b. 負債
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は798,158百万円(前連結会計年度末は744,374百万円)となり、53,783百万円増加しました。その内訳は、流動負債が68,464百万円の増加、非流動負債が14,680百万円の減少であります。
(流動負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は484,677百万円(前連結会計年度末は416,213百万円)となり、68,464百万円増加しました。その主たる内訳は、未払法人所得税が4,778百万円減少したものの、仕入債務及びその他の債務が27,507百万円、その他の流動負債が38,007百万円、社債及び借入金が3,534百万円、引当金が3,243百万円増加したこと等によるものであります。
(非流動負債)
当第3四半期連結会計期間末における非流動負債は313,480百万円(前連結会計年度末は328,161百万円)となり、14,680百万円減少しました。その主たる内訳は、その他の金融負債が4,289百万円、リース負債が3,626百万円増加したものの、社債及び借入金が14,938百万円、契約負債が8,473百万円減少したこと等によるものであります。
c. 資本
当第3四半期連結会計期間末における資本は2,017,608百万円(前連結会計年度末は1,883,432百万円)となり、134,175百万円増加しました。その主たる内訳は、配当金の支払54,236百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益126,648百万円の計上等により利益剰余金が75,756百万円、為替相場の変動等の影響によりその他の資本の構成要素が55,628百万円増加したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は448,678百万円となり、前連結会計年度末より91,826百万円増加しました。当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、197,210百万円となりました。一方で、将来の持続的成長に向けて、主に医療関連事業において投資等を行ったことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは△33,009百万円となりました。財務活動につきましては、借入金及びリース負債を返済し、配当金の支払額が△55,984百万円となったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは△83,724百万円となりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・イン・フローは、投資活動及び財務活動を合わせたキャッシュ・アウト・フローを上回り、また、円安の影響により現金及び現金同等物に係る換算差額が11,349百万円となったため、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より増加し、448,678百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、197,210百万円(対前年同四半期比9,219百万円増)となりました。
当第3四半期連結累計期間の主な内容は、税引前四半期利益166,308百万円、減価償却費及び償却費62,301百万円、売上債権及びその他の債権の増減額31,025百万円、仕入債務及びその他の債務の増減額△29,304百万円、その他営業活動によるキャッシュ・フロー18,448百万円、法人所得税等の支払額△49,880百万円となっております。当第3四半期連結累計期間における対前年同四半期比9,219百万円のキャッシュ・フロー増加の主な要因は、為替相場の影響がプラスに寄与したこと、法人所得税等の支払額が対前年同四半期比10,431百万円減少したこと、その他営業活動によるキャッシュ・フローが対前年同四半期比31,014百万円増加したこと及び棚卸資産の増減額が対前年同四半期比20,120百万円増加したこと等の影響によるキャッシュ・フローの増加が、減損損失が対前年同四半期比20,051百万円減少したこと、売上債権及びその他の債権の増減額が対前年同四半期比12,949百万円減少したこと、仕入債務及びその他の債務の増減額が対前年同四半期比15,382百万円減少したこと等の影響によるキャッシュ・フローの減少を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、△33,009百万円(同53,679百万円支出減)となりました。当第3四半期連結累計期間の主な内容は、有形固定資産の取得による支出△36,643百万円、投資の取得による支出△20,802百万円、定期預金の増減額(△は増加)24,416百万円等であります。当第3四半期連結累計期間における対前年同四半期比53,679百万円のキャッシュ・フロー増加の主な要因は、医療関連事業等における無形資産の取得による支出が26,959百万円減少したこと、及び定期預金の増減額が対前年同四半期比29,985百万円増加となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、△83,724百万円(同7,365百万円支出減)となりました。当第3四半期連結累計期間の主な内容は、長期借入金の返済による支出△14,122百万円、リース負債の返済による支出△13,834百万円、配当金の支払額△55,984百万円であります。当第3四半期連結累計期間における対前年同四半期比7,365百万円のキャッシュ・フロー増加の主な要因は、短期借入金の増減額が対前年同四半期比8,933百万円増加したこと等によるものであります。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費は162,521百万円です。
主な研究開発分野及び新製品の開発のセグメント別の状況は、次のとおりです。
(医療関連事業)
当社グループは、精神・神経領域、がん・がんサポーティブケア領域を重点領域とし、循環器・腎領域等においても未充足疾患に焦点を当てた研究開発を進めています。
医療関連事業における研究開発費は、152,661百万円です。
当第3四半期連結累計期間の医療関連事業における研究開発の主な進捗状況は、以下のとおりです。
領域「製品名」
(一般名)
又は開発コード
状況
精神・神経領域(アリピプラゾール持続性注射剤)<中国>・統合失調症の効能で2021年1月に承認申請しました。
(センタナファジン)
EB-1020
<米国>・禁煙を対象としたフェーズⅡ試験を2021年9月に開始しました。
「アジョビ」
(フレマネズマブ(遺伝子組換え))
TEV-48125
<日本>・片頭痛発作の発症抑制の効能で2021年6月に承認を取得しました。
(ulotaront)
SEP-363856*
<米国>・統合失調症を対象としたフェーズⅢ試験を実施中です。
<日本・中国>・統合失調症を対象としたフェーズⅡ/Ⅲ試験を実施中です。
SEP-4199*<米国>・双極Ⅰ型障害うつを対象としたフェーズⅢ試験を実施中です。
<日本>・双極Ⅰ型障害うつを対象としたフェーズⅢ試験を準備中です。
がん・がんサポーティブケア領域「INQOVI」
(decitabine・cedazuridine)
ASTX727
<米国>・急性骨髄性白血病を対象としたフェーズⅠ試験を2021年2月に開始しました。
(ピミテスピブ)
TAS-116
<日本>・消化管間質腫瘍の効能で2021年9月に承認申請しました。
TAS-117<日本・米国・欧州>・生殖細胞系列PTEN遺伝子変異陽性固形がんを対象としたフェーズⅡ試験を2021年4月に開始しました。
(フチバチニブ)
TAS-120
<日本・米国・欧州>・肝内胆管がんを対象としたフェーズⅢ試験を2021年1月に開始しました。
<米国・欧州>・尿路上皮がんを対象としたフェーズⅡ試験を2021年2月に開始しました。
TAS0953<日本>・固形がんを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を2021年2月に開始しました。
TAS1553<米国>・急性骨髄性白血病を対象としたフェーズⅠ試験を2021年3月に開始しました。
(zimberelimab)
AB122
<日本>・固形がんを対象としたフェーズⅠ試験を2021年9月に開始しました。
(ホスネツピタント)
Pro-NETU
<日本>・抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心・嘔吐の効能で2021年3月に承認申請しました。
OPC-415<日本>・多発性骨髄腫を対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を2021年6月に開始しました。
循環器・腎領域(トルバプタンリン酸
エステルナトリウム)
OPC-61815
<日本>・心性浮腫の効能で2021年3月に承認申請しました。
(バダデュスタット)
AKB-6548
<米国>・腎性貧血の効能で2021年6月に承認申請が受理されました。
(ベムペド酸)
ETC-1002
<日本>・高コレステロール血症を対象としたフェーズⅡ試験を2021年4月に開始しました。
(voclosporin)<欧州>・ループス腎炎の効能で2021年6月に販売承認申請しました。
NO-13065<米国>・肥満症を対象としたフェーズⅠ試験を2021年6月に開始しました。
その他領域VIS410<米国>・開発戦略上の理由で、A型インフルエンザ感染症を対象とした開発を中止しました。
「モイゼルト」
(ジファミラスト)
OPA-15406
<日本>・アトピー性皮膚炎の効能で2021年9月に承認を取得しました。

*:2021年9月、大日本住友製薬㈱及びその米国子会社であるサノビオン社と共同開発及び販売に関するライセンス契約を締結
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当事業においては、医療関連事業で培ったノウハウを活かし、日々の健康の維持・増進をサポートする機能性食品・飲料を中心に世界に通用する製品の研究開発に取り組んでいます。
女性の健康分野において、本年7月、北米で女性の泌尿器系の健康分野に特化した製品とプラットフォームに強みを持つユコラ社を買収しました。グループ間のシナジーを生かし、アンメットニーズの高い本分野においてより広く充実した女性の健康をサポートする研究開発を推進していきます。
ニュートラシューティカルズ関連事業における研究開発費は、5,298百万円です。
(消費者関連事業)
当事業においては、生活に身近な食品や飲料の分野でオリジナルかつユニークな製品の研究開発に取り組んでいます。社会変化に伴う健康・環境・人口・高齢化問題など様々な課題の解決に向け「レトルト事業」「飲料事業」「プラントベース事業」を中核とし、「食」と「健康」をテーマに革新的な製品を創出、提案しています。
消費者関連事業における研究開発費は、459百万円です。
(その他の事業)
当事業においては、機能化学品やファインケミカルの分野で研究開発に取り組んでいます。有機、無機の合成技術を主体とし、独自の技術を核とした新製品の研究開発や次世代分野の研究開発を行っています。
その他の事業における研究開発費は、4,102百万円です。
(4)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の新設計画は、次のとおりであります。
会社名
事業所名
所在地セグメントの名称設備の内容投資予定金額資金調達方法着手及び完了予定年
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
着手完了
大塚ホールディングス㈱
大塚化学 徳島工場
徳島県徳島市全社的管理業務事業設備他5,18032自己資金20212024
大塚製薬㈱
大阪創薬研究所
大阪府箕面市医療関連事業研究設備15,9507,761自己資金20212022
イーエヌ大塚製薬㈱
花巻工場
岩手県花巻市医療関連事業生産設備5,050242グループ内金融・銀行借入20212022