四半期報告書-第15期第2四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループは、経常的な収益力を示す指標として事業利益を採用しております。
事業利益とは、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費並びに研究開発費を控除した額に持分法による投資損益を加減算した額であります。
(単位:百万円)
これまで当社グループは、「トータルヘルスケア企業」として、健康の維持・増進、病気の診断から治療までを担う企業活動を進めてまいりました。新型コロナウイルス感染症拡大や地政学的リスク等の影響により社会環境が変化する中、不確実性の高い世界がもたらす社会課題に対応するため、環境変化で生まれた新しい技術やニーズを取り入れながら、健康意識の高まりを成長機会と捉え、今こそ「トータルヘルスケア企業」の真価を発揮し、引き続き持続的成長の実現に向け、進んでまいります。
当第2四半期連結累計期間は、持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」のグローバル4製品を中心に売上収益は順調に推移し、連結売上収益は814,307百万円(前年同四半期比13.3%増)と増収、為替影響を除いても大幅に伸長しました。医療関連事業においては、グローバル4製品や「臨床栄養」の伸長が業績を牽引しました。ニュートラシューティカルズ関連事業においては、「ポカリスエット」の回復、また健康の自己管理意識の向上とともに、「ネイチャーメイド」等が伸長しました。さらに、その他の事業の機能化学品およびファインケミカルが好調に推移し、連結売上収益が増加しました。
一方、医療関連事業における棚卸資産の未実現利益消去に係る為替の影響による売上原価の増加、営業活動再開に伴う活動費の増加、「エビリファイ メンテナ」や「レキサルティ」の売上増加に伴う共同販売費の増加や為替等の影響により販売管理費が増加、また持分法投資利益が減少したことにより、研究開発費投資前事業利益は203,334百万円(同1.9%減)と微減となりました。
また、新規作用機序を有する抗精神病薬に係る住友ファーマ株式会社とサノビオン社との共同開発及び販売に関するライセンス契約締結に基づく開発費、小児の注意欠陥・多動性障害や過食性障害を対象として開発中のセンタナファジン、IgA腎症を対象として開発中のsibeprenlimab/VIS649の開発費等が増加したことや為替の影響により、研究開発費は125,208百万円(同21.7%増)となり、その結果、事業利益は78,126百万円(同25.1%減)となりました。
なお、バダデュスタット等に係る減損損失24,356百万円を計上しましたが、当社の持分法適用会社であったCullinan Pearl Corp.(以下「カリナンパール社」)の完全子会社化に伴う既存の保有株式部分の評価益等を計上したことにより、営業利益は67,146百万円(同39.6%減)、四半期利益は71,508百万円(同23.7%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は69,753百万円(同23.7%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間の事業セグメント別売上収益及び事業利益
(単位:百万円)
(参考-前年同一期間)
(単位:百万円)
(医療関連事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は529,294百万円(前年同四半期比12.0%増)となりましたが、棚卸資産の未実現利益消去に係る為替の影響や研究開発費の増加等により、事業利益は65,023百万円(同26.2%減)となりました。
<主要製品の状況>●グローバル4製品
当社グループがグローバル4製品と位置付ける持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「サムスカ/ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」の売上収益の合計は、前年同四半期比23.4%増の291,165百万円となりました。
・持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」
米国では、服薬アドヒアランスに課題がある双極性障害や統合失調症患者に対する製品の有用性の訴求や、対面による情報提供活動の増加等により処方数が伸長し、増収となりました。日本では、2020年9月に双極Ⅰ型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制の効能が追加となり、売上収益は堅調に推移しています。欧州でも、主要市場を中心に増収となりました。これらの結果、売上収益は前年同四半期比20.0%増の76,334百万円となりました。
・抗精神病薬「レキサルティ」
大うつ病補助療法及び統合失調症治療薬として販売する米国では、DTCの活用や対面による情報提供活動の増加等により処方数が伸長し、増収となりました。日本では、2021年11月にOD錠が発売され、利便性の向上とともに情報提供活動を強化し、売上収益は堅調に推移しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比30.5%増の75,612百万円となりました。
・V2-受容体拮抗剤「サムスカ」
心不全・肝硬変における体液貯留や常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)等の治療薬として販売する日本では、ウェブ講演会等のオンラインを活用した情報提供活動により、増収となりました。低ナトリウム血症治療薬として販売する米国や抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)による低ナトリウム血症の治療薬として販売する欧州では、独占期間満了に伴い後発医薬品が発売されています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比10.4%増の48,210百万円となりました。
・V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」
米国では、ADPKD治療薬として継続的な疾患啓発や臨床データの情報提供活動等により、処方数が伸長しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比33.4%増の64,088百万円となりました。
・抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」
米国では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い経口抗がん剤の使用が推奨されており*1,2、増収となりました。日本と欧州においても処方数は堅調に推移しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比18.6%増の26,919百万円となりました。
*1 Pelin Cinar et al., Safety at the Time of the COVID-19 Pandemic: How to Keep our Oncology Patients and Healthcare Workers Safe. J Natl Compr Canc Netw, 2020 Apr 15;1-6.
*2 ASCO. COVID-19 Patient Care Information, Cancer Treatment and Supportive Care.
https://www.asco.org/covid-resources/patient-care-info/cancer-treatment-supportive-care Updated 17 September 2021, Accessed 19 July 2022
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は205,770百万円(前年同四半期比17.4%増)、事業利益は28,132百万円(同5.4%増)となりました。
<主要製品の状況>当社グループが主要3ブランドと位置付ける「ポカリスエット」、「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランドの売上収益の合計は、前年同四半期比18.7%増の127,741百万円となりました。育成3ブランドと位置付けるデイヤフーズ社ブランド、「エクエル」、「ボディメンテ」の売上収益の合計は、前年同四半期比3.7%増の14,145百万円となりました。
●主要3ブランド
水分・電解質補給飲料「ポカリスエット」は、日本において新型コロナウイルス感染拡大による影響が継続する中、生活者の健康管理意識の高まりとともに水分・電解質補給の重要性が浸透し、家庭内をはじめとする日常生活での利用促進により、売上収益が増加しています。海外においても、各地の文化や状況に応じた水分・電解質補給の啓発と市場開発により、ブランド全体で増収となりました。
ファーマバイト社のサプリメント「ネイチャーメイド」は、生活者の新型コロナウイルス感染拡大下での体調管理意識が向上する中、ブランドや品質に対する信頼性がより高まり、増収となりました。
欧州を中心に健康食品を展開するニュートリション エ サンテ社ブランドは、フードサービス*3や新しい生活様式に適応したEコマースの拡大を進めています。欧州における急速なインフレの進行に伴う高付加価値有機食品市場等の成長停滞*4や、サプライチェーンの混乱等の影響により、現地通貨ベースで減収となりましたが、為替の影響により日本円ベースでは増収となりました。
*3 公共機関や学校等における給食サービス
*4 IRI Syndicated Retail Data, 2022 Apr-Jun
●育成3ブランド
プラントベース(植物由来)食品であるデイヤフーズ社ブランドは、北米の乳代替チーズの市場における競合環境激化等の影響により売上収益は微減となりましたが、引き続き、独自技術を活かした製品ラインアップの拡充及び流通拡大に取り組んでいます。
女性の健康と美をサポートするエクオール含有食品「エクエル」は、幅広い情報提供活動により製品の認知が進み、引き続き売上収益は順調に増加しています。
植物由来の乳酸菌B240*5を含有する「ボディメンテ」は、減収となりましたが、製品価値の普及活動を強化し、製品認知と利用拡大に取り組んでいます。
*5 Lactiplantibacillus pentosus ONRICb0240:東京農業大学が単離、大塚製薬㈱が有効性を確認した乳酸菌
(消費者関連事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は16,669百万円(前年同四半期比9.6%増)となりましたが、輸送費の高騰や為替の影響、持分投資利益の減少等により、事業利益は1,754百万円(前年同四半期比47.0%減)となりました。
ウォーター類は、主力製品「クリスタルガイザー」において、通販・自販機チャネルでの販売数量減少等によりブランド全体の販売数量は減少しましたが、700mlペットボトルを中心に販売は堅調に推移し、売上収益は増収となりました。ビタミン炭酸飲料「マッチ」は、気温の上昇と消費者の活動機会の増加、健康意識の高まりや、新製品「マッチ マスカット」と「マッチゼリー パインミックス」の発売等により、ブランド全体の販売数量は増加しました。
(その他の事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は82,668百万円(前年同四半期11.9%増)となりましたが、原材料費や輸送費の高騰等、および持分投資利益の減少等により、事業利益は6,093百万円(同25.1%減)となりました。
機能化学品分野は、市況の好調維持及び販売価格の適正化により、増収となりました。ファインケミカル分野は、抗生剤中間体の販売増加等により、大幅な増収となりました。
運輸・倉庫分野は、『共通プラットフォーム戦略』による新規の外部顧客の獲得及び取扱数量の増加により、増収となりました。
※その他、製品別の売上収益等につきましては、決算補足資料(ファクトブック)をご参照ください。
https://www.otsuka.com/jp/ir/library/materials.html
<ウクライナ・ロシア情勢による事業及び業績への影響>当社グループは、昨今のウクライナ・ロシア(以下「両国」)情勢について深く憂慮しており、早期かつ平和的な解決に向かうことを願っております。
さて、当第2四半期連結累計期間における事業及び業績への影響については、一部のサプライチェーンの混乱や治験への影響等があったものの、全体への影響は限定的であります。
(事業拠点)
当社グループは、両国において事業拠点を有しておりません。
(販売)
両国において抗結核治療薬「デルティバ」等を、提携先を通じて販売していますが、事業及び業績への影響は限定的です。当社グループは、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、医薬品を必要としている患者さんへお届けできるよう、当該情勢を慎重に注視しながら、「デルティバ」等の供給を維持できるよう最善を尽くしたいと考えております。
(サプライチェーン)
国際輸送を含むサプライチェーンが一部混乱しているものの、代替原料への変更や輸送ルートの変更等の対応をしており、事業及び業績への影響は限定的です。
(研究開発)
一部の治験で影響があり、両国における治験実施施設の立上げや患者登録を中止しております。進行中の治験遅延が最小限になるよう、他エリアへの振替等で対応しております。治験に参加いただいている被験者さんへの治験薬供給の維持および適切なフォローアップができるよう最善を尽くしたいと考えております。
今後、当該情勢による影響が長期化、深刻化した場合、さらなる原材料価格の高騰、サプライチェーンの混乱や為替の影響等を想定し、事業及び業績への影響を注視してまいります。
② 財政状態の状況
(単位:百万円)
a. 資産
当第2四半期連結会計期間末における総資産は3,101,281百万円(前連結会計年度末は2,820,915百万円)となり、280,365百万円増加しました。その内訳は、流動資産が102,789百万円の増加、非流動資産が177,576百万円の増加であります。
(流動資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は1,152,178百万円(前連結会計年度末は1,049,389百万円)となり、102,789百万円増加しました。その主たる内訳は、現金及び現金同等物が46,074百万円、売上債権及びその他の債権が9,465百万円、棚卸資産が37,346百万円、その他の流動資産が9,565百万円増加したこと等によるものであります。
(非流動資産)
当第2四半期連結会計期間末における非流動資産は1,949,102百万円(前連結会計年度末は1,771,526百万円)となり、177,576百万円増加しました。その主たる要因は為替相場の変動の影響であり、有形固定資産が19,316百万円、のれんが51,150百万円、無形資産が90,943百万円(カリナンパール社の完全子会社化による仕掛研究開発の増加48,319百万円を含む。)、持分法で会計処理されている投資が21,904百万円増加したこと等によるものであります。
b. 負債
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は839,530百万円(前連結会計年度末は775,725百万円)となり、63,805百万円増加しました。その内訳は、流動負債が61,461百万円の増加、非流動負債が2,344百万円の増加であります。
(流動負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は529,371百万円(前連結会計年度末は467,910百万円)となり、61,461百万円増加しました。その主たる内訳は、仕入債務及びその他の債務が10,089百万円、未払法人所得税が12,318百万円、その他の流動負債が35,051百万円増加したこと等によるものであります。
(非流動負債)
当第2四半期連結会計期間末における非流動負債は310,159百万円(前連結会計年度末は307,815百万円)となり、2,344百万円増加しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が6,006百万円、契約負債が4,967百万円減少したものの、その他の金融負債が2,867百万円、退職給付に係る負債が1,358百万円、繰延税金負債が4,012百万円、その他の非流動負債が4,279百万円増加したこと等によるものであります。
c. 資本
当第2四半期連結会計期間末における資本は2,261,750百万円(前連結会計年度末は2,045,189百万円)となり、216,560百万円増加しました。その主たる内訳は、配当金の支払が27,119百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益69,753百万円の計上等により利益剰余金が43,436百万円、為替相場の変動等の影響によりその他の資本の構成要素が170,487百万円増加したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は456,759百万円となり、前連結会計年度末より46,074百万円増加しました。当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、118,826百万円となりました。一方で、将来の持続的成長に向けて、主に医療関連事業において投資等を行ったことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは△56,031百万円となりました。財務活動につきましては、借入金及びリース負債を返済し、配当金の支払額が△28,288百万円となったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは△48,217百万円となりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・イン・フローは、投資活動及び財務活動を合わせたキャッシュ・アウト・フローを上回り、また、円安の影響により現金及び現金同等物に係る換算差額が31,497百万円となったため、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より増加し、456,759百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、118,826百万円(対前年同四半期比9,112百万円減)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、税引前四半期利益92,788百万円、減価償却費及び償却費45,240百万円、減損損失及びその戻入益24,356百万円、金融収益△28,175百万円、売上債権及びその他の債権の増減額22,563百万円、仕入債務及びその他の債務の増減額△12,655百万円、法人所得税等の支払額△21,472百万円となっております。当第2四半期連結累計期間における対前年同四半期比9,112百万円のキャッシュ・フロー減少の主な要因は、売上債権及びその他の債権の減少によるキャッシュ・イン・フローが8,276百万円減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、△56,031百万円(同36,594百万円支出増)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、有形固定資産の取得による支出△30,666百万円、カリナンパール社のTAS6417の取得を含む無形資産の取得による支出△38,894百万円、投資の売却及び償還による収入29,522百万円、投資の取得による支出△13,183百万円等であります。当第2四半期連結累計期間における対前年同四半期比36,594百万円のキャッシュ・フロー減少(支出増)の主な要因は、投資の売却及び償還による収入が17,039百万円増加したものの、医療関連事業においてTAS6417を取得したことにより、無形資産の取得による支出が30,387百万円増加したこと、定期預金の増減額が対前年同四半期比△22,170百万円となったことにより、対前年同四半期比で支出増となり、支出増が収入増を上回った結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、△48,217百万円(同503百万円支出減)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、長期借入金の返済による支出△12,870百万円、リース負債の返済による支出△9,610百万円、配当金の支払額△28,288百万円であります。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費は125,208百万円です。
主な研究開発分野及び新製品開発のセグメント別の状況は、次のとおりです。
(医療関連事業)
当社グループは、精神・神経領域、がん・がんサポーティブケア領域を重点領域とし、循環器・腎領域等においても未充足疾患に焦点を当てた研究開発を進めています。
医療関連事業における研究開発費は、118,580百万円です。
当第2四半期連結累計期間の医療関連事業における研究開発の主な進捗状況は、以下のとおりです。
*1 zimberelimab国内フェーズ1試験中のピミテスピブ併用コホート
*2 2022年5月、カリナンパール社買収に関する契約を締結
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当事業においては、医療関連事業で培ったノウハウを活かし、日々の健康の維持・増進をサポートする機能性食品・飲料を中心に世界に通用する製品の研究開発に取り組んでいます。外界と接する粘膜面で体内への異物の侵入を防ぐ役割を持つ「粘膜免疫」をテーマとした研究を行っている大塚製薬 大津栄養製品研究所において、粘膜免疫で中心的な役割を持つ免疫グロブリンA(immunoglobulin A、以下「IgA」*1)について、どのような微生物に結合するIgAが唾液中に存在するかを調べた研究論文が、公益財団法人腸内細菌学会、日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会の3学会合同機関誌「Bioscience of Microbiota, Food and Health」に受理され、2022年6月6日にJ-STAGE*2にて早期公開されました。本研究結果では、唾液IgAが様々な病原性微生物の感染を抑制している可能性が示されたとともに、唾液中のIgAを増やすことは感染予防のために重要であることが示唆されました。
*1 抗体のひとつ。抗体にはIgAのほか、IgG、IgM、IgEなどがありますが、粘膜ではIgAが主役となり異物の侵入を防ぐ役割をしています。
*2 国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する電子ジャーナルプラットフォーム。Bioscience of Microbiota, Food and Healthをはじめ多数のジャーナルが公開されています。
ニュートラシューティカルズ関連事業における研究開発費は、3,817百万円です。
(消費者関連事業)
当事業においては、生活に身近な食品や飲料の分野でオリジナルかつユニークな製品の研究開発に取り組んでいます。社会変化に伴う健康・環境・人口・高齢化問題など様々な課題の解決に向け「レトルト事業」「飲料事業」「プラントベース事業」を中核とし、「食」と「健康」をテーマに革新的な製品を創出、提案しています。
消費者関連事業における研究開発費は、315百万円です。
(その他の事業)
当事業においては、機能化学品やファインケミカルの分野で研究開発に取り組んでいます。有機、無機の合成技術を主体とし、独自の技術を核とした新製品の研究開発や次世代分野の研究開発を行っています。
その他の事業における研究開発費は、2,494百万円です。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループは、経常的な収益力を示す指標として事業利益を採用しております。
事業利益とは、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費並びに研究開発費を控除した額に持分法による投資損益を加減算した額であります。
(単位:百万円)
前第2四半期 連結累計期間 | 当第2四半期 連結累計期間 | 増減額 | 増減率 | |
売上収益 | 718,815 | 814,307 | 95,491 | 13.3% |
研究開発費投資前事業利益 | 207,191 | 203,334 | △3,856 | △1.9% |
事業利益 | 104,271 | 78,126 | △26,145 | △25.1% |
営業利益 | 111,169 | 67,146 | △44,022 | △39.6% |
税引前四半期利益 | 119,207 | 92,788 | △26,418 | △22.2% |
四半期利益 | 93,700 | 71,508 | △22,192 | △23.7% |
親会社の所有者に帰属する四半期利益 | 91,407 | 69,753 | △21,653 | △23.7% |
研究開発費 | 102,919 | 125,208 | 22,288 | 21.7% |
減損損失 | 309 | 24,356 | 24,046 | - |
これまで当社グループは、「トータルヘルスケア企業」として、健康の維持・増進、病気の診断から治療までを担う企業活動を進めてまいりました。新型コロナウイルス感染症拡大や地政学的リスク等の影響により社会環境が変化する中、不確実性の高い世界がもたらす社会課題に対応するため、環境変化で生まれた新しい技術やニーズを取り入れながら、健康意識の高まりを成長機会と捉え、今こそ「トータルヘルスケア企業」の真価を発揮し、引き続き持続的成長の実現に向け、進んでまいります。
当第2四半期連結累計期間は、持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」のグローバル4製品を中心に売上収益は順調に推移し、連結売上収益は814,307百万円(前年同四半期比13.3%増)と増収、為替影響を除いても大幅に伸長しました。医療関連事業においては、グローバル4製品や「臨床栄養」の伸長が業績を牽引しました。ニュートラシューティカルズ関連事業においては、「ポカリスエット」の回復、また健康の自己管理意識の向上とともに、「ネイチャーメイド」等が伸長しました。さらに、その他の事業の機能化学品およびファインケミカルが好調に推移し、連結売上収益が増加しました。
一方、医療関連事業における棚卸資産の未実現利益消去に係る為替の影響による売上原価の増加、営業活動再開に伴う活動費の増加、「エビリファイ メンテナ」や「レキサルティ」の売上増加に伴う共同販売費の増加や為替等の影響により販売管理費が増加、また持分法投資利益が減少したことにより、研究開発費投資前事業利益は203,334百万円(同1.9%減)と微減となりました。
また、新規作用機序を有する抗精神病薬に係る住友ファーマ株式会社とサノビオン社との共同開発及び販売に関するライセンス契約締結に基づく開発費、小児の注意欠陥・多動性障害や過食性障害を対象として開発中のセンタナファジン、IgA腎症を対象として開発中のsibeprenlimab/VIS649の開発費等が増加したことや為替の影響により、研究開発費は125,208百万円(同21.7%増)となり、その結果、事業利益は78,126百万円(同25.1%減)となりました。
なお、バダデュスタット等に係る減損損失24,356百万円を計上しましたが、当社の持分法適用会社であったCullinan Pearl Corp.(以下「カリナンパール社」)の完全子会社化に伴う既存の保有株式部分の評価益等を計上したことにより、営業利益は67,146百万円(同39.6%減)、四半期利益は71,508百万円(同23.7%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は69,753百万円(同23.7%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間の事業セグメント別売上収益及び事業利益
(単位:百万円)
医療関連 事業 | ニュートラシューティカルズ 関連事業 | 消費者 関連事業 | その他 の事業 | 調整額 | 連結 | |
売上収益 | 529,294 | 205,770 | 16,669 | 82,668 | △20,095 | 814,307 |
事業利益 | 65,023 | 28,132 | 1,754 | 6,093 | △22,878 | 78,126 |
(参考-前年同一期間)
(単位:百万円)
医療関連 事業 | ニュートラシューティカルズ 関連事業 | 消費者 関連事業 | その他 の事業 | 調整額 | 連結 | |
売上収益 | 472,467 | 175,311 | 15,211 | 73,893 | △18,068 | 718,815 |
事業利益 | 88,086 | 26,683 | 3,307 | 8,136 | △21,941 | 104,271 |
(医療関連事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は529,294百万円(前年同四半期比12.0%増)となりましたが、棚卸資産の未実現利益消去に係る為替の影響や研究開発費の増加等により、事業利益は65,023百万円(同26.2%減)となりました。
<主要製品の状況>●グローバル4製品
当社グループがグローバル4製品と位置付ける持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「サムスカ/ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」の売上収益の合計は、前年同四半期比23.4%増の291,165百万円となりました。
・持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」
米国では、服薬アドヒアランスに課題がある双極性障害や統合失調症患者に対する製品の有用性の訴求や、対面による情報提供活動の増加等により処方数が伸長し、増収となりました。日本では、2020年9月に双極Ⅰ型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制の効能が追加となり、売上収益は堅調に推移しています。欧州でも、主要市場を中心に増収となりました。これらの結果、売上収益は前年同四半期比20.0%増の76,334百万円となりました。
・抗精神病薬「レキサルティ」
大うつ病補助療法及び統合失調症治療薬として販売する米国では、DTCの活用や対面による情報提供活動の増加等により処方数が伸長し、増収となりました。日本では、2021年11月にOD錠が発売され、利便性の向上とともに情報提供活動を強化し、売上収益は堅調に推移しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比30.5%増の75,612百万円となりました。
・V2-受容体拮抗剤「サムスカ」
心不全・肝硬変における体液貯留や常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)等の治療薬として販売する日本では、ウェブ講演会等のオンラインを活用した情報提供活動により、増収となりました。低ナトリウム血症治療薬として販売する米国や抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)による低ナトリウム血症の治療薬として販売する欧州では、独占期間満了に伴い後発医薬品が発売されています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比10.4%増の48,210百万円となりました。
・V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」
米国では、ADPKD治療薬として継続的な疾患啓発や臨床データの情報提供活動等により、処方数が伸長しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比33.4%増の64,088百万円となりました。
・抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」
米国では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い経口抗がん剤の使用が推奨されており*1,2、増収となりました。日本と欧州においても処方数は堅調に推移しています。これらの結果、売上収益は前年同四半期比18.6%増の26,919百万円となりました。
*1 Pelin Cinar et al., Safety at the Time of the COVID-19 Pandemic: How to Keep our Oncology Patients and Healthcare Workers Safe. J Natl Compr Canc Netw, 2020 Apr 15;1-6.
*2 ASCO. COVID-19 Patient Care Information, Cancer Treatment and Supportive Care.
https://www.asco.org/covid-resources/patient-care-info/cancer-treatment-supportive-care Updated 17 September 2021, Accessed 19 July 2022
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は205,770百万円(前年同四半期比17.4%増)、事業利益は28,132百万円(同5.4%増)となりました。
<主要製品の状況>当社グループが主要3ブランドと位置付ける「ポカリスエット」、「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランドの売上収益の合計は、前年同四半期比18.7%増の127,741百万円となりました。育成3ブランドと位置付けるデイヤフーズ社ブランド、「エクエル」、「ボディメンテ」の売上収益の合計は、前年同四半期比3.7%増の14,145百万円となりました。
●主要3ブランド
水分・電解質補給飲料「ポカリスエット」は、日本において新型コロナウイルス感染拡大による影響が継続する中、生活者の健康管理意識の高まりとともに水分・電解質補給の重要性が浸透し、家庭内をはじめとする日常生活での利用促進により、売上収益が増加しています。海外においても、各地の文化や状況に応じた水分・電解質補給の啓発と市場開発により、ブランド全体で増収となりました。
ファーマバイト社のサプリメント「ネイチャーメイド」は、生活者の新型コロナウイルス感染拡大下での体調管理意識が向上する中、ブランドや品質に対する信頼性がより高まり、増収となりました。
欧州を中心に健康食品を展開するニュートリション エ サンテ社ブランドは、フードサービス*3や新しい生活様式に適応したEコマースの拡大を進めています。欧州における急速なインフレの進行に伴う高付加価値有機食品市場等の成長停滞*4や、サプライチェーンの混乱等の影響により、現地通貨ベースで減収となりましたが、為替の影響により日本円ベースでは増収となりました。
*3 公共機関や学校等における給食サービス
*4 IRI Syndicated Retail Data, 2022 Apr-Jun
●育成3ブランド
プラントベース(植物由来)食品であるデイヤフーズ社ブランドは、北米の乳代替チーズの市場における競合環境激化等の影響により売上収益は微減となりましたが、引き続き、独自技術を活かした製品ラインアップの拡充及び流通拡大に取り組んでいます。
女性の健康と美をサポートするエクオール含有食品「エクエル」は、幅広い情報提供活動により製品の認知が進み、引き続き売上収益は順調に増加しています。
植物由来の乳酸菌B240*5を含有する「ボディメンテ」は、減収となりましたが、製品価値の普及活動を強化し、製品認知と利用拡大に取り組んでいます。
*5 Lactiplantibacillus pentosus ONRICb0240:東京農業大学が単離、大塚製薬㈱が有効性を確認した乳酸菌
(消費者関連事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は16,669百万円(前年同四半期比9.6%増)となりましたが、輸送費の高騰や為替の影響、持分投資利益の減少等により、事業利益は1,754百万円(前年同四半期比47.0%減)となりました。
ウォーター類は、主力製品「クリスタルガイザー」において、通販・自販機チャネルでの販売数量減少等によりブランド全体の販売数量は減少しましたが、700mlペットボトルを中心に販売は堅調に推移し、売上収益は増収となりました。ビタミン炭酸飲料「マッチ」は、気温の上昇と消費者の活動機会の増加、健康意識の高まりや、新製品「マッチ マスカット」と「マッチゼリー パインミックス」の発売等により、ブランド全体の販売数量は増加しました。
(その他の事業)
当第2四半期連結累計期間における売上収益は82,668百万円(前年同四半期11.9%増)となりましたが、原材料費や輸送費の高騰等、および持分投資利益の減少等により、事業利益は6,093百万円(同25.1%減)となりました。
機能化学品分野は、市況の好調維持及び販売価格の適正化により、増収となりました。ファインケミカル分野は、抗生剤中間体の販売増加等により、大幅な増収となりました。
運輸・倉庫分野は、『共通プラットフォーム戦略』による新規の外部顧客の獲得及び取扱数量の増加により、増収となりました。
※その他、製品別の売上収益等につきましては、決算補足資料(ファクトブック)をご参照ください。
https://www.otsuka.com/jp/ir/library/materials.html
<ウクライナ・ロシア情勢による事業及び業績への影響>当社グループは、昨今のウクライナ・ロシア(以下「両国」)情勢について深く憂慮しており、早期かつ平和的な解決に向かうことを願っております。
さて、当第2四半期連結累計期間における事業及び業績への影響については、一部のサプライチェーンの混乱や治験への影響等があったものの、全体への影響は限定的であります。
(事業拠点)
当社グループは、両国において事業拠点を有しておりません。
(販売)
両国において抗結核治療薬「デルティバ」等を、提携先を通じて販売していますが、事業及び業績への影響は限定的です。当社グループは、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、医薬品を必要としている患者さんへお届けできるよう、当該情勢を慎重に注視しながら、「デルティバ」等の供給を維持できるよう最善を尽くしたいと考えております。
(サプライチェーン)
国際輸送を含むサプライチェーンが一部混乱しているものの、代替原料への変更や輸送ルートの変更等の対応をしており、事業及び業績への影響は限定的です。
(研究開発)
一部の治験で影響があり、両国における治験実施施設の立上げや患者登録を中止しております。進行中の治験遅延が最小限になるよう、他エリアへの振替等で対応しております。治験に参加いただいている被験者さんへの治験薬供給の維持および適切なフォローアップができるよう最善を尽くしたいと考えております。
今後、当該情勢による影響が長期化、深刻化した場合、さらなる原材料価格の高騰、サプライチェーンの混乱や為替の影響等を想定し、事業及び業績への影響を注視してまいります。
② 財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2021年12月31日) | 当第2四半期連結会計期間 (2022年6月30日) | 増減額 | |
流動資産 | 1,049,389 | 1,152,178 | 102,789 |
非流動資産 | 1,771,526 | 1,949,102 | 177,576 |
資産合計 | 2,820,915 | 3,101,281 | 280,365 |
流動負債 | 467,910 | 529,371 | 61,461 |
非流動負債 | 307,815 | 310,159 | 2,344 |
負債合計 | 775,725 | 839,530 | 63,805 |
資本合計 | 2,045,189 | 2,261,750 | 216,560 |
a. 資産
当第2四半期連結会計期間末における総資産は3,101,281百万円(前連結会計年度末は2,820,915百万円)となり、280,365百万円増加しました。その内訳は、流動資産が102,789百万円の増加、非流動資産が177,576百万円の増加であります。
(流動資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は1,152,178百万円(前連結会計年度末は1,049,389百万円)となり、102,789百万円増加しました。その主たる内訳は、現金及び現金同等物が46,074百万円、売上債権及びその他の債権が9,465百万円、棚卸資産が37,346百万円、その他の流動資産が9,565百万円増加したこと等によるものであります。
(非流動資産)
当第2四半期連結会計期間末における非流動資産は1,949,102百万円(前連結会計年度末は1,771,526百万円)となり、177,576百万円増加しました。その主たる要因は為替相場の変動の影響であり、有形固定資産が19,316百万円、のれんが51,150百万円、無形資産が90,943百万円(カリナンパール社の完全子会社化による仕掛研究開発の増加48,319百万円を含む。)、持分法で会計処理されている投資が21,904百万円増加したこと等によるものであります。
b. 負債
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は839,530百万円(前連結会計年度末は775,725百万円)となり、63,805百万円増加しました。その内訳は、流動負債が61,461百万円の増加、非流動負債が2,344百万円の増加であります。
(流動負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は529,371百万円(前連結会計年度末は467,910百万円)となり、61,461百万円増加しました。その主たる内訳は、仕入債務及びその他の債務が10,089百万円、未払法人所得税が12,318百万円、その他の流動負債が35,051百万円増加したこと等によるものであります。
(非流動負債)
当第2四半期連結会計期間末における非流動負債は310,159百万円(前連結会計年度末は307,815百万円)となり、2,344百万円増加しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が6,006百万円、契約負債が4,967百万円減少したものの、その他の金融負債が2,867百万円、退職給付に係る負債が1,358百万円、繰延税金負債が4,012百万円、その他の非流動負債が4,279百万円増加したこと等によるものであります。
c. 資本
当第2四半期連結会計期間末における資本は2,261,750百万円(前連結会計年度末は2,045,189百万円)となり、216,560百万円増加しました。その主たる内訳は、配当金の支払が27,119百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益69,753百万円の計上等により利益剰余金が43,436百万円、為替相場の変動等の影響によりその他の資本の構成要素が170,487百万円増加したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は456,759百万円となり、前連結会計年度末より46,074百万円増加しました。当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、118,826百万円となりました。一方で、将来の持続的成長に向けて、主に医療関連事業において投資等を行ったことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは△56,031百万円となりました。財務活動につきましては、借入金及びリース負債を返済し、配当金の支払額が△28,288百万円となったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは△48,217百万円となりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・イン・フローは、投資活動及び財務活動を合わせたキャッシュ・アウト・フローを上回り、また、円安の影響により現金及び現金同等物に係る換算差額が31,497百万円となったため、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より増加し、456,759百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、118,826百万円(対前年同四半期比9,112百万円減)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、税引前四半期利益92,788百万円、減価償却費及び償却費45,240百万円、減損損失及びその戻入益24,356百万円、金融収益△28,175百万円、売上債権及びその他の債権の増減額22,563百万円、仕入債務及びその他の債務の増減額△12,655百万円、法人所得税等の支払額△21,472百万円となっております。当第2四半期連結累計期間における対前年同四半期比9,112百万円のキャッシュ・フロー減少の主な要因は、売上債権及びその他の債権の減少によるキャッシュ・イン・フローが8,276百万円減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、△56,031百万円(同36,594百万円支出増)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、有形固定資産の取得による支出△30,666百万円、カリナンパール社のTAS6417の取得を含む無形資産の取得による支出△38,894百万円、投資の売却及び償還による収入29,522百万円、投資の取得による支出△13,183百万円等であります。当第2四半期連結累計期間における対前年同四半期比36,594百万円のキャッシュ・フロー減少(支出増)の主な要因は、投資の売却及び償還による収入が17,039百万円増加したものの、医療関連事業においてTAS6417を取得したことにより、無形資産の取得による支出が30,387百万円増加したこと、定期預金の増減額が対前年同四半期比△22,170百万円となったことにより、対前年同四半期比で支出増となり、支出増が収入増を上回った結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、△48,217百万円(同503百万円支出減)となりました。当第2四半期連結累計期間の主な内容は、長期借入金の返済による支出△12,870百万円、リース負債の返済による支出△9,610百万円、配当金の支払額△28,288百万円であります。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費は125,208百万円です。
主な研究開発分野及び新製品開発のセグメント別の状況は、次のとおりです。
(医療関連事業)
当社グループは、精神・神経領域、がん・がんサポーティブケア領域を重点領域とし、循環器・腎領域等においても未充足疾患に焦点を当てた研究開発を進めています。
医療関連事業における研究開発費は、118,580百万円です。
当第2四半期連結累計期間の医療関連事業における研究開発の主な進捗状況は、以下のとおりです。
領域 | 「製品名」 (一般名) 又は開発コード | 状況 |
精神・神経領域 | (センタナファジン) EB-1020 | <米国>・過食性障害を対象としたフェーズⅡ/Ⅲ試験を2022年2月に開始しました。 |
「レキサルティ」 (ブレクスピプラゾール) OPC-34712 | <米国>・開発戦略上の理由で、境界性パーソナリティ障害を対象とした開発を中止しました。 | |
(アリピプラゾール2カ月持続性注射剤) | <欧州>・統合失調症の効能で2022年6月に承認申請しました。 | |
(重水素化デキストロメトルファン・キニジン) AVP-786 | <米国>・開発戦略上の理由で、間欠性爆発性障害を対象とした開発を中止しました。 | |
がん・がんサポーティブケア領域 | (フチバチニブ) TAS-120 | <米国・欧州>・胆管がんの効能で米国(2022年3月)と欧州で承認申請しました。 |
(zimberelimab +ピミテスピブ) AB122+TAS-116 | <日本>・固形がんを対象としたフェーズⅠ試験*1を2022年2月に開始しました。 | |
「アロカリス」 (ホスネツピタント) Pro-NETU | <日本>・抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心・嘔吐の効能で2022年3月に承認を取得しました。 | |
「ジェセリ」 (ピミテスピブ) TAS-116 | <日本>・消化管間質腫瘍の効能で2022年6月に承認を取得しました。 | |
TAS6417*2 | <米国・欧州>・非小細胞肺がんを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を実施中です。 | |
循環器・腎領域 | 「サムタス」 (トルバプタンリン酸エステルナトリウム) OPC-61815 | <日本>・心不全における体液貯留の効能で2022年3月に承認を取得しました。 |
(バダデュスタット) AKB-6548 | <米国・欧州>・2022年5月13日付で、アケビア・セラピューティクス・インクとのグローバルライセンス契約(米国対象:2016年12月、欧州その他地域対象:2017年4月にそれぞれ締結)を終了することを決定しました。 | |
(sibeprenlimab) VIS649 | <米国・欧州・日本>・IgA腎症を対象としたフェーズⅢ試験を2022年4月に開始しました。 | |
その他領域 | TAS5315 | <日本>・慢性特発性蕁麻疹を対象としたフェーズⅡ試験を2022年6月に開始しました。 |
OPC-167832 | <米国>・結核を対象としたフェーズⅡ試験を2022年4月に開始しました。 |
*1 zimberelimab国内フェーズ1試験中のピミテスピブ併用コホート
*2 2022年5月、カリナンパール社買収に関する契約を締結
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当事業においては、医療関連事業で培ったノウハウを活かし、日々の健康の維持・増進をサポートする機能性食品・飲料を中心に世界に通用する製品の研究開発に取り組んでいます。外界と接する粘膜面で体内への異物の侵入を防ぐ役割を持つ「粘膜免疫」をテーマとした研究を行っている大塚製薬 大津栄養製品研究所において、粘膜免疫で中心的な役割を持つ免疫グロブリンA(immunoglobulin A、以下「IgA」*1)について、どのような微生物に結合するIgAが唾液中に存在するかを調べた研究論文が、公益財団法人腸内細菌学会、日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会の3学会合同機関誌「Bioscience of Microbiota, Food and Health」に受理され、2022年6月6日にJ-STAGE*2にて早期公開されました。本研究結果では、唾液IgAが様々な病原性微生物の感染を抑制している可能性が示されたとともに、唾液中のIgAを増やすことは感染予防のために重要であることが示唆されました。
*1 抗体のひとつ。抗体にはIgAのほか、IgG、IgM、IgEなどがありますが、粘膜ではIgAが主役となり異物の侵入を防ぐ役割をしています。
*2 国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する電子ジャーナルプラットフォーム。Bioscience of Microbiota, Food and Healthをはじめ多数のジャーナルが公開されています。
ニュートラシューティカルズ関連事業における研究開発費は、3,817百万円です。
(消費者関連事業)
当事業においては、生活に身近な食品や飲料の分野でオリジナルかつユニークな製品の研究開発に取り組んでいます。社会変化に伴う健康・環境・人口・高齢化問題など様々な課題の解決に向け「レトルト事業」「飲料事業」「プラントベース事業」を中核とし、「食」と「健康」をテーマに革新的な製品を創出、提案しています。
消費者関連事業における研究開発費は、315百万円です。
(その他の事業)
当事業においては、機能化学品やファインケミカルの分野で研究開発に取り組んでいます。有機、無機の合成技術を主体とし、独自の技術を核とした新製品の研究開発や次世代分野の研究開発を行っています。
その他の事業における研究開発費は、2,494百万円です。