有価証券報告書-第9期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/23 15:44
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事業等のリスク

当社グループに関するリスクのうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載します。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財務状況は、係るリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
(1)経済状況等の影響について
当社グループの製品・サービスに対する需要は、その販売を行っている国又は地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退、及びこれにともなう需要の減少は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、当社グループ製品のうち個人顧客を主力購買層とするものについては、個人顧客の嗜好の変化や可処分所得の増減等によって販売数量が左右されやすい性質をもっています。したがって、これら個人向け製品の販売動向は、その販売地域における経済状況、景気動向、個人消費動向等により大きく変動する傾向があり、これらの諸要因が当社グループにとって有利に作用しない場合、これらの諸要因に対応するための当社グループの事業改革が想定どおりに功を奏しない場合、又はこれらの諸要因に対応した当社グループ製品を適時に開発・製造して市場に提供できない場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループ製品のうち各国・地域の官公庁や民間企業などの法人顧客を主力購買層とするものについても、経済状況、景気動向、顧客が所在する国・地域の政治・財政動向や有事による特需の発生や需要の減少等に応じてそれらの販売量が左右され、そのことによって当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替相場及び金利の変動による影響について
当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は約6割であり、また当社グループの拠点及び取引先は世界各国にわたっています。外貨建てで取引されている海外での製品・サービスのコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受け、加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等が連結財務諸表作成のために円換算されることから為替相場の変動による影響を受けるため、為替相場の変動が当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。一般的に、当社グループの現地通貨建て輸出項目に占める割合の高いユーロに対する円高(円安)は当社グループの業績に悪(好)影響を及ぼし、当社グループの現地通貨建て輸入項目に占める割合の高い米ドルに対する円高(円安)は好(悪)影響を及ぼします。ただし、為替は世界各国、地域の経済状況の影響を受けて予期せぬ変動をする可能性があり、その変動が当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、金利の変動は、営業費用、支払利息、受取利息あるいは金融資産及び負債の価値に影響を与え、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)国際的な事業活動におけるリスクについて
当社グループは、海外で幅広くビジネスを展開していますが、海外では為替変動リスクに加え、政情不安、経済動向の不確実性、宗教や文化の相違、現地における労使関係、売掛金の回収や、その他の商慣習等に関する障害に直面する可能性があります。また、投資に係る規制、収益の本国送金に関する規制、輸出入規制や外国為替規制の変更等といったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。
また、国内外を問わず、当社グループが予期しない会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは物流費用等により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また、当社グループは国内・海外での製品輸入通関申告手続をその時点で適切と考えられる関税分類に従って実施していますが、輸入国の通関当局との見解の相違により、この通関申告への修正を後日当局より要請される可能性があり、このような場合の修正申告が当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)市場における競争の激化について
当社グループ製品の市場においては、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業が激しい競争を展開しています。それらの競合他社のうち当社グループよりも大きな財務、技術及びマーケティング資源を有し得る企業が、市場におけるシェアの拡大や寡占化を実現する目的で大規模な投資を行うことや、商品の低価格化を進めることがあります。このような市場環境において、当社グループがそれらの競合他社との競争に勝つことができない場合、当社グループ製品の需要が減少し、当社グループ製品の価格が下落したり、当社グループのブランド価値が下落したりする恐れや、当社グループが優位にある市場の規模が縮小したりあるいは収益性が悪化したりする恐れがあり、それらの結果、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、市場における激しい競争において当社グループのそうした企業努力を上回る価格下落圧力が生じ、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格の設定を困難にし、当社グループの利益の維持に深刻な影響を与える可能性があり、係る影響は製品の需要が低迷した場合に特に顕著となります。
(5)技術革新における競争について
当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供できない可能性があります。当社グループの主要事業においては技術革新が重要な競争要因になっているため、絶えず研究開発に資金・資源を注入し続ける必要があり、また技術の高度化にともなってそれらに要する資金が増加していく可能性がありますが、当社グループがこのような研究開発活動のために十分な資金・資源の注入を将来にわたって安定的に行うことができるとの保証はなく、また、当社グループが将来の市場ニーズに応える新技術を正しく予想して研究開発に取り組み、商品化した際には当社グループの業績向上に確実に寄与するとの保証もありません。したがって、当社グループの研究開発活動が、結果的に費用倒れに終わり、そのため当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの研究開発活動は人材の確保に大きく依存しており、特に有能かつ熟練した研究開発要員が何らかの事情(競合他社による引き抜き、当社グループの賃金水準・待遇の相対的低下、研究開発環境の劣化等を含みますが、これらに限りません)によって当社グループ外に流出した場合、また人材の新たな獲得ができない場合は、当社グループの将来の研究開発活動に悪影響を与え、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)原材料等の調達の外部依存について
当社グループ製品の開発・製造活動において、十分な品質の原材料、部品、機器、ソフトウエア、サービスなどをそれぞれに競争力を有するコストでタイムリーに必要なだけ外部より入手することは不可欠であり、そのために外部の部品開発・生産業者、部品供給業者、製品開発・生産業者、ソフトウエア開発業者等からの購入、生産委託、又はこれらの業者との共同開発等に一定程度以上を依存しています。したがって、これらの外部業者との関係の悪化、これら外部業者からの供給の遅滞・停止、これら外部業者自身の経営問題、天災等によるこれら外部業者の製造工場の被災等といった事情が発生した場合には当社グループ製品の開発・製造活動に支障が生じ、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループとこれらの外部業者は、契約によりその取引価格を決定していますが、需給環境の変化、為替変動などにより原材料や部品、その他の価格が高騰する可能性があります。原材料や部品により特定の業者しか供給できないものもあり、この場合には当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)顧客の資金状況・財務状況について
当社グループの顧客のなかには、代金後払の条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財務状況が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)他社との提携の成否
当社グループは、新しい製品・サービスの提供や新たな事業展開のために他社とのパートナーシップを不可欠として、業務・資本提携や合弁会社設立などを行うことがありますが、このようなパートナーとのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待したパートナーシップによる効果が得られない可能性があります。また、当社グループはこれらのパートナーを支配することはできないため、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があり、加えて、これらのパートナーが事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。以上のような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)業界動向と再編について
当社グループが事業を営む業界は、ネットワーク化やブロードバンド化などを含む科学・技術の進歩やビジネスの進化による製品・サービスの融合により、業界内にとどまらず、隣接する業界やその他の業界との垣根を越えた新たな市場開拓と成長の機会を秘めています。このような状況の下、業界内又は隣接業界や他業種との再編等により、当社グループの業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性があります。具体的には、競合他社に組織再編やM&Aが生じることにより、業界内又は業界を超えた企業間での地位や競争の構造が変化することにより、当社グループが生産・販売における規模のメリット、価格競争力、ブランド力、資金調達能力、原材料調達及び販路の確保等において劣後することとなり、あるいは、当社グループが業界再編の当事者となることにより、当社グループの経営の柔軟性や自由度が失われる可能性があります。このような業界再編により競争の構図が刷新されるような状況においては、当社グループが当社グループ製品の業界における現在の地位をその後も維持・発展していくことができるとの保証は無く、係る場合に当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)将来の見通し等に関するリスクについて
当社グループは、企業ビジョン「感動と安心を世界の人々へ」の下、平成27年5月18日付で2020年度を見据えた中長期経営計画「2020年ビジョン」を策定、「顧客価値創造企業への進化」を長期ビジョンに掲げ、グループ経営計画を推進しています。この計画は、策定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定されていますが、同計画が前提としていた事項が実際と異なることが判明した場合や、その後に事業環境が大きく変化した場合、又は、事業再編、組織再編、戦略的M&A、合理化、資産売却等が想定通りに進展しない、あるいは想定通りの効果が生じない場合などのさまざまな要因によって、グループ経営計画のすべての目標の達成、あるいはシナジー効果を含む期待される成果の実現に至らない可能性があります。更に、追加的な事業再編や構造改革に係る費用増加などの予期しない要因により、効率性の向上及び成長の達成ができない可能性があります。
(11)製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生
当社グループの製品に欠陥が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは製造物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題に関する報道などを通じて、当社グループのイメージ・評価の低下、ブランド価値の低下、顧客の流出等を引き起こし、ひいては、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)知的財産権について
当社グループは、当社グループが所有する特許及びその他の知的財産権の活用によって収入を得ていますが、特許の権利満了や今後の市場の動向次第でそれらの収入が減少する可能性があります。
当社グループが、出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部又はすべてが保護されない場合があります。また、知的財産権により保護されている第三者の技術を利用したい場合に、その技術が利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現在でも、当社グループの製品のなかには、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、現在、他社からライセンスを受けていても、将来使用できなくなったり、条件が不利に変更されたりする可能性があります。また、今後、当社グループが必要なライセンスを第三者から受けられない可能性や、不利な条件でのライセンスしか受けられなくなる可能性があります。これらの場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは第三者の知的財産権を必ずしも全て認識しているわけではなく、意図せず第三者の知的財産権を侵害している可能性がないと言い切ることはできません。このような場合、当社グループに対して第三者より知的財産権に基づく権利侵害の主張又は訴訟がなされ、製品の差し止めによる事業損失や、当社グループのイメージ・評判の低下、ブランド価値の低下を引き起こす可能性があり、また、紛争解決に係る費用、弁護士費用等、多額の支払が発生する可能性があります。他方、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性がありますが、係る場合にも多額の費用と経営資源が費やされる可能性があります。以上のような知的財産権に関する紛争が起こった場合には、訴訟等の結果に関わらず、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)法的規制について
当社グループは、日本及び諸外国・地域の法規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、個人情報保護、税制、会計制度、金融取引、内部統制等に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制及び輸出入に関する法規制等があります。
より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなることなどにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業活動が制限を受けることになります。また、これらの法規制等を遵守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。このような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が判断した場合には、当社グループが、行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となり、当社グループの事業、業績及び財務状況だけでなく、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)環境保護について
当社グループは、地球温暖化、大気汚染、水質汚濁、有害物質の使用制限・除去、廃棄物処理、製品リサイクル、及び土壌・地下水汚染などに関する国内外におけるさまざまな環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。また改正により使用禁止物質が追加となったRoHS規制や半年毎に管理対象物質が増えるREACH規則を始めとして、年々環境に関する規制が厳しくなる中、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRの観点から当社が任意に環境問題に取り組んだ場合には、法令及び任意に環境に対応する為の設備投資や支払いが当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらの環境に関する規制への取り組みにおいて、事故等の発生により環境基準を超過して制限物質が環境に放出されることを、完全に防止又は軽減することを保証することはできません。また、当社グループの工場跡地等の土壌に制限物質が基準を超えて残留することによりその除去や浄化に費用が発生する可能性、あるいはそれらの工場跡地等の売却価格に影響が出る可能性を完全に無くすこともできず、これらが当社グループの社会的評価や、事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)情報の流出について
当社グループは、事業を推進する過程で顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することがあり、また他の企業等の情報を受け取ることがありますが、これらの情報が誤って又は避けられない理由で外部に流出する可能性があります。情報が外部に流出した場合には、被害を受けた者に対して損害賠償責任を負う可能性があり、また当社グループの事業や社会的評価、ブランドイメージに悪影響が及ぶ可能性があります。また、当社グループの営業秘密が第三者等の行為により不正に又はその過失により流出する危険を完全に防止することはできず、その結果、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの事業活動において情報システムの役割は極めて重要です。当社グループでは、情報セキュリティ体制を強化し、情報システムの安全運用に努めていますが、コンピューターウイルス、ソフトウエア又はハードウエアの障害、人為的過誤、不正アクセス、災害、サイバー攻撃等により情報システムが機能不全に陥る可能性が皆無ではありません。
(16)コンプライアンスについて
当社グループは、全世界の拠点において、それぞれの国における業務を遂行する上でのさまざまな法令、諸規制及び社内規則の適用を受けており、これらが遵守されるよう、役職員への教育・啓発を含むコンプライアンス体制の構築に努めています。しかし、これらに対する違反等の発生する可能性が皆無とは言えず、発生した場合には、当社グループの社会的信用や、事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)災害や政情混乱等の影響について
当社グループは、世界中に事業拠点を展開しており、地震、津波、火災、洪水等の災害、鳥インフルエンザ、ジカ熱等の疫病発生、政治・社会の混乱、戦争、世界各国に広がるISIL等によるテロ行為、又はそれらを要因とする電気等のライフラインの断絶等の二次災害の発生、さらには電力供給不足等による操業度の低下、コンピューターウイルスやサイバーテロの攻撃等によって情報システムや通信ネットワークの停止又は誤動作等が発生した場合には、当社グループの拠点の施設や設備又は従業員が損害を被り、取引先やロジスティクスを含めて操業、就労が中断され、また生産及び出荷が遅延するなど、当社グループの企業活動が一時的又は一定の期間にわたり影響を受ける可能性があり、また損害の修復のために費用が発生する可能性があります。
(18)繰延税金資産及び法人税等調整額について
当社グループは、繰延税金資産について将来の課税所得の合理的な予測に基づき回収可能性を評価しています。今後、経営状況の悪化等により、十分な課税所得が得られないと判断される場合には、繰延税金資産の取崩しにより、法人税等調整額が増加し、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(19)退職年金給付債務について
当社グループ従業員の退職給付制度の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されています。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は連結貸借対照表上の純資産に反映されると共に、累積され将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される退職給付費用及び計上される退職給付債務に影響を及ぼします。したがって、今後、金利の低下により退職年金給付債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により年金資産の目減りや運用利回りの低下をもたらす可能性があり、その結果、年金数理上の損失が増加し、連結貸借対照表上の純資産が減少する可能性や、将来の退職給付費用が増加する可能性、未認識の数理計算上の差異が発生する可能性等があります。
(20)財務状況等の変動に係る事項について
<固定資産の減損>当社グループは、有形固定資産ほかの固定資産を保有しており、当社グループの各社は固定資産の貸借対照表計上額について当該資産から得られる将来のキャッシュ・フローにより資産の帳簿価額を回収することができるかどうかを定期的にまた必要に応じて検討しています。当該資産が充分なキャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損を認識しなければならない可能性があります。
<有利子負債>当社グループの有利子負債に係るシンジケートローン契約、コミットメントライン契約及びターム・ローン契約には期限前弁済条項及び財務制限条項が付されており、これらの条項が維持できない場合には、期限前弁済を行わなければならない可能性があります。
<投資有価証券>当社グループは、投資有価証券の一部として取引先企業等の株式を保有しており、これらの株価の下落により保有株式の評価損の計上が必要となる可能性があります。
<持分法適用関連会社の業績・財務状況>当社グループは、持分法適用の可能性を有する関連会社の株式を保有しています。係る関連会社は通常、自らの方針のもとで経営を行っており、こうした関連会社が損失を計上する場合には当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(21)決算訂正に関するリスクについて
当社グループは、日本及び諸外国・地域の財務会計に関する法規制等に従って連結グループ決算を行うため、関連法規制等を遵守するための社内規程を整備し、従業員への関連法規制等に関する教育を行っています。
しかしながら、当社において、平成24年3月期第3四半期から平成29年3月期第2四半期までに計上した法人事業税につき、過大計上となっていたことが判明したため、当該期間における各期の決算を遡及的に訂正するとともに、平成29年1月に有価証券報告書及び四半期報告書についても一部訂正をいたしました。
このように、当社グループが関連法規制等の改正や当局の法令解釈の変更等に十分に対応できない等、当社連結グループ決算手続に瑕疵がある可能性が皆無とは言えないことから、当社グループが既に公表した過年度の決算について訂正する可能性があります。
さらに、当社グループの過年度決算の訂正に関し、当局がこれらの法規制等に違反したものと判断した場合には、当社グループが、行政処分、刑事処分又は損害賠償の対象となり、当社グループの事業、業績及び財務状況だけでなく、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。