有価証券報告書-第10期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 11:01
【資料】
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【項目】
160項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に伴う影響については、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を及ぼす可能性がある事象が発生していないことから、軽微であると判断しております。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、
①情報通信を核とし、常に新しい価値を創造する「総合エンジニアリング&サービス会社」として、お客様から最高の満足と信頼を得られる日本のリーディング・カンパニーを目指します。
②安全と品質を大切に、最高のサービスを提供することによって豊かで快適な社会の実現に寄与します。
③企業の社会的責任を果たし、常に人間を尊重する企業として、人や社会と共存共栄する企業であり続けます。
以上の経営理念のもと、企業価値の向上と持続的な成長を図ってまいります。
(2) 会社の経営環境と中長期的な経営戦略
当社グループを取り巻く環境は転換期を迎えております。主力事業である情報通信エンジニアリング事業においては、お客様である通信キャリアのビジネスモデルの変化や、第4世代移動通信システム(4G)における新たな周波数帯でのサービス拡大に加え、2020年3月に商用サービスの提供が開始された第5世代移動通信システム(5G)の今後の拡大が期待されています。また社会的には、首都圏を中心に高度成長期以降に整備された社会インフラの再構築が加速しているほか、ローカル5G、GIGAスクール構想、テレワークの浸透など本格的なIoT時代の到来に向けたクラウド、Wi-Fiなど新たなソリューションに対する需要が高まる一方で、少子高齢化、働き手不足が問題となり、働き方改革が求められるなど、当社グループを取り巻く環境は今後も大きく変化していくことが予想されます。
当社グループは、このような外部環境の変化に対応し、「総合エンジニアリング&サービス会社」として企業価値の向上と持続的な成長を図るためには、経営の効率化と既存事業の生産性向上に取り組むとともに、中長期的にはデータセンターの運用・保守などのストックビジネス、環境・エネルギー、グローバルなど多くの成長分野(フロンティアドメイン)での競争力強化が必要であると考えております。
この達成に向けて、当社グループは、2019年度をスタートとする3ヶ年の第4次中期経営計画を策定しております。
[中期経営計画における重点施策]
① 新たな事業機会の創出
・経営統合により深化した地域カバレッジを活用したソリューションビジネスの展開
・従来の事業分野や技術の枠組みを超えた新たな事業機会へのチャレンジ
② 事業構造の転換を加速
・キャリア事業からソリューション事業への転換を加速
・ソリューション事業の質の転換(利益重視)の促進
③ 生産性の向上と事業運営コストの効率化
・パートナー会社との連携強化による工事稼働の確保
・システムの共有化と共通業務の集約
④ 人材基盤の強化
・働き方改革による生産性向上と人材確保
・新事業分野の拡大や事業変革を支える人材の強化・活性化
⑤ ESG経営の推進、安全・品質の向上
・ESG強化の観点から、事業をリスクと機会の両面から捉え的確に対応
・「安全・品質の向上」で、お客様からの安心と信頼に応えるミライトグループブランドの確立
⑥ 資本政策
・健全な財務体質の維持
・資本コストを意識した経営
・ROE8%以上の実現に向けた株主還元の検討
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(以下、「KPI」という。)として、第4次中期経営計画において、売上高、営業利益、営業利益率、ROE(自己資本当期純利益率)を採用し、 2021年度目標を売上高4,500億円、営業利益270億円(営業利益率6.0%)、ROE8%以上に設定しております。
当該KPIを採用しているのは、株主をはじめとする全てのステークホルダーが、当社グループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であるとともに、その進捗状況や、実現可能性の評価等行うことが可能であるとの認識によるものであります。
なお、営業利益及びROEについては、グループ会社の業績並びに企業価値向上への貢献意識を高めるため、導入している業績連動型株式報酬制度「株式給付信託」における付与ポイント算定のための指標にも採用しております。
(注)当該KPIの各数値については、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「(2) 会社の経営環境と中長期的な経営戦略」に記載のとおり、外部環境の変化に対応し、「総合エンジニアリング&サービス会社」として企業価値の向上と持続的な成長を図るためには、フロンティアドメインにおいて事業を積極的に拡大するとともに、2018年度に実施した経営統合のシナジーを創出し、施工能力の向上、顧客基盤の強化、利益構造の改善による経営の効率化を一層推進していく必要があると考えております。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行拡大に伴う影響の長期化は懸念されるものの、当社グループは、協力会社も含め皆が安心して働ける労働・衛生環境の整備と安全対策の徹底を進め、第4次中期経営計画のもと、社会の安心安全を支える「総合エンジニアリング&サービス会社」として、引き続き企業価値の向上と持続的な成長を目指してまいります。
2020年度につきましては、次の課題に優先的に取り組んでまいります。
①フロンティアドメインでの新たな事業領域拡大
・営業効率の向上と利益確保を重視した受注案件の厳選
・多様化する顧客要望に柔軟に対応する事業運営体制の構築
・グループ間連携の強化によるエンジニアリング力の向上
②経営効率化、既存事業の生産性向上
・ベンチマーク方式によるさらなる事業の効率化と各種施策の水平展開
・労働力確保を目的とした事業横断的なマルチスキル化の推進
・間接経費の圧縮に向けた各種施策の推進