有価証券報告書-第9期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 16:46
【資料】
PDFをみる
【項目】
160項目
(継続企業の前提に関する事項)
当社は、2017年度より経常損失が継続しており、当事業年度においても309百万円の経常損失を計上しております。また、取引先に対する営業債務の支払遅延が2019年3月末現在で1,035百万円存在しております。当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当該状況を早期に解消するため、当社グループは構造改革による固定費削減や、設計・生産・販売までの徹底した効率化を行い、また欧州子会社の事業譲渡によって運転資金の改善を図る等、財務基盤の強化を進めてまいりました。
さらに、将来の成長に向けた収益体質の確立と、財務体質の抜本的な改革を図るため、経営改善施策として事業ポートフォリオの見直しを進めてまいりました。その結果、十分な運転資金を確保し、支払遅延の速やかな解消、既存借入金の返済、及び事業再生に向けたデジタルライフ事業・OEM事業への集中投資を図ることが、当社の持続的な成長にとって最適な選択肢であると判断し、2019年5月21日付にて当社ホームAV事業の譲渡契約を締結いたしました。本株式譲渡及び本事業譲渡の概要については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に注記しております。
さらに当該財務体質の改善をより確実なものとするために、積極的なエクイティファイナンスを実施すべく、現在特定の相手先と協議を行っております。また、2019年6月26日開催の当社定時株主総会において、発行可能株式総数を拡大する定款の一部変更の議案が承認されており、将来の事業拡大に備えた機動的な資金調達を図ってまいります。
なお、主要な仕入取引先や借入先に対しては、本施策について丁寧な説明を行い、相手先からは概ね良好な反応を得られております。
また、注力するデジタルライフ事業、OEM事業等につきましては、以下の施策を遂行することで収益性の改善を図り、成長の柱となるよう経営資源を集中してまいります。
・デジタルライフ事業での商品販売戦略の再構築
高付加価値モデルの伸長が大きいヘッドホン事業を基軸としながら、構造改革による固定費削減に加え、更なる効率化を推進してまいります。多様化するモバイルオーディオ市場のニーズを捉え、カスタムインイヤーモニターやワイヤレスタイプのヘッドホン・イヤホン、補聴器や集音器をラインナップする聴こえサポート商品、さらに人気アニメやファッションとのコラボレーションモデル等の販売を強化しております。聴こえサポート商品では、2019年2月にオンキヨーブランドの耳あな型補聴器を市場に導入し、新たな販売チャネルのアプローチを進めております。
また2019年1月には、ゲーミング及びeスポーツ市場に向けた新ブランド「SHIDO」を発表し、ゲームサウンドに関するデバイスの各機能を見直したゲーミングヘッドセットとUSB コントロールアンプの開発を行いました。SNSを中心にした情報発信やショールーム「ONKYO BASE」を活用した開発サンプルの体験ブースの設置、販売もクラウドファンディングによる先行販売を企画するなど、新規市場・顧客の開拓を推進しております。
・OEM事業の拡大
今後はインド合弁会社の生産体制の整備による操業度ロスの解消を見込んでおります。インドビジネスにおいては新規受注が着実に進んでおり、生産規模の向上と売上規模の拡大が見込まれ、大幅な損益改善を計画しております。
車載スピーカーや「Sound by Onkyo」などのサブブランドを付したテレビ用スピーカー、及び加振器をはじめとする新規分野での販売拡大を進めてまいります。また、構造改革による固定費削減や経営資源の最適化を進め、機動力の高い事業展開を図ってまいります。新規分野では、AI/IoT化する生活用品・家電製品のソリューション開発に取り組み、加振器と音声技術を組み合わせた用途提案等を通じて、顧客ニーズの獲得と販売拡大を推進してまいります。
以上のような改善施策の実行により、グループ全体での事業の選択と集中を進め、収益力及び財務体質の改善を図ってまいります。なお、2019年6月26日開催の当社定時株主総会において、本株式譲渡及び本事業譲渡に関する議案は承認されておりますが、今後の資金調達については現時点での計画であり、関係機関の状況に左右される部分があることから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。 なお、財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しておりません。